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セラミック素材とは?歯科治療におけるセラミック素材の種類や重要性を徹底解説

 公開日:2024/12/27
歯

セラミック素材は美しさと機能性から、歯科治療における重要な選択肢となっています。セラミック治療を始める前に、歯科用セラミック素材の種類やメリット・デメリットについて理解を深めましょう。
本記事では、セラミック素材について以下の点を中心にご紹介します!

  • 歯科用セラミック素材の種類
  • 歯科治療におけるセラミック素材の重要性
  • セラミック素材のメリット・デメリット

セラミック素材について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

歯科用セラミック素材とは

歯科用セラミック素材とは

歯科用セラミック素材は、審美性と機能性を兼ね備えた歯科治療材です。セラミックは、天然の歯に近い見た目を再現しつつ、耐久性や生体親和性も高いため、歯科治療に使用されています。

セラミックは、金属ではなく、シリコンや酸化物などの無機化合物で構成された材料です。硬くてもろい性質を持ちながらも、耐摩耗性や耐熱性、耐腐食性があり、口腔内での長期間使用に耐えられます。
また、色調の再現性が高く、自然な透明感を持つため、審美的な修復に向いています。歯科用セラミック素材は、見た目の美しさと機能性を両立させるために、歯科治療で使用されています。

歯科用セラミック素材の種類

歯科用セラミック素材の種類

歯科用セラミック素材には、それぞれの特徴や適用範囲があり、患者さんのニーズや口腔内の状態に応じて適切な素材を選ぶことが重要です。

オールセラミック

オールセラミックは、金属を一切使用せず、すべてがセラミックで作られた修復物です。主に審美性を重視する前歯の修復に使用されます。オールセラミックは、天然歯に近い透明感と色調再現性があり、自然な見た目を実現できます。また、金属アレルギーの心配がないことも大きなメリットです。しかし、金属に比べて強度が劣るため、奥歯の修復には不向きな場合があります。

メタルボンド

メタルボンドは、金属のフレームにセラミックを焼き付けた修復物です。金属の強度とセラミックの審美性を兼ね備えており、幅広い修復に使用されます。金属フレームが内部にあるため、高い強度と耐久性を持ち、奥歯やブリッジにおすすめです。しかし、金属部分が見えることがあるため、前歯の修復には不向きな場合があります。また、金属アレルギーのリスクも考慮する必要があります。

ハイブリッドセラミック

ハイブリッドセラミックは、セラミックと樹脂を組み合わせた材料です。セラミックの審美性と樹脂の柔軟性を兼ね備えているため、適度な強度と耐久性があります。主にインレーやクラウンに使用され、天然歯に近い見た目を保ちながら、噛み合わせの衝撃を和らげます。ただし、樹脂部分が経年劣化しやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。

セラミック素材を使用した歯科治療の種類

セラミック素材を使用した歯科治療の種類

セラミック素材を使用した歯科治療にはどのような種類があるのでしょうか。

セラミッククラウン

セラミッククラウンは、歯の表面全体を覆う被せ物です。主に審美性を重視する前歯の治療に使用され、自然な色調と透明感を再現できます。セラミックのみで作られたオールセラミッククラウンや、内部にジルコニアを使用したジルコニアセラミッククラウンなどがあります。オールセラミッククラウンは、金属アレルギーの心配がなく、見た目も美しいのが特徴です。

セラミックインレー・アンレー

セラミックインレー・アンレーは、歯の一部を修復するための詰め物です。むし歯の治療後に使用されることが多く、自然な歯の色に近い仕上がりが期待できます。セラミックインレーは、歯の噛む面の一部を覆うもので、アンレーは噛む面全体と隣接する部分を覆います。セラミック素材は耐久性があり、長期間にわたって使用できます。

セラミックベニア

セラミックベニアは、歯の前面に薄いセラミックのシェルを貼り付ける治療法です。主に前歯の審美的な改善に使用され、歯の形や色、隙間を修正するために用いられます。セラミックベニアは、天然歯に近い透明感と光沢を持ち、自然な見た目の実現につながります。また、耐久性が高く、色の変化も少ないため、美しい笑顔を長期間維持できます。

歯科治療におけるセラミック素材の重要性

歯科治療におけるセラミック素材の重要性

セラミック素材は、歯科治療において重要な役割を果たしています。セラミックは天然の歯に近い見た目を持ち、審美性が高く、前歯などの目立つ部分の治療におすすめです。プラスチック(レジン)と比較すると、セラミックは経年劣化が少なく、長期間美しさを保てるため、審美性を重視する方々にとって理想的な素材です。

セラミックの大きな特徴は、その耐久性と生体への侵襲性の低さです。セラミックは硬く、噛む力にも耐えられるため、奥歯のクラウンとしても使用されます。また、金属を含まないため、金属アレルギーの心配がなく、口腔内の健康を保ちやすいです。セラミックの滑らかな表面は細菌の付着を防ぎ、むし歯の再発リスクを低減します。

プラスチックと比べると、セラミックは初期コストが高いものの、長期間の使用を考慮すると経済的であり、美しい見た目を重視する場合におすすめできる選択肢です。歯科治療においてセラミックを選択することで、長期的な健康と審美性を両立させられるでしょう。したがって、前歯など目立つ部分を美しく見せたい場合や、長期的な耐久性を求める場合には、セラミック治療がおすすめです。

セラミック素材のメリット

セラミック素材のメリット

セラミック素材は審美性、健康性、耐久性を兼ね備えた素材であり、歯科治療において有用です。以下にセラミック素材を使用するメリットを解説します。

天然歯に近い審美性

セラミックは、天然の歯と近い色調と透明感を持つため、見た目の美しさが抜群です。オールセラミッククラウンは、光の透過性が高く、自然な歯と見分けがつかない程の美しさの実現につながります。ホワイトニングでは得られない理想的な白さを再現できるため、前歯の治療におすすめです。

むし歯が起こりにくい

セラミックは、長期間使用しても変形や劣化が起こりにくい素材です。そのため、詰め物や被せ物として使用した場合でも、隙間や段差が生じにくく、二次むし歯のリスクを減少させます。一度の治療で長期間にわたり健康な歯を維持することが可能とされています。また、セラミックの表面は滑らかで、汚れや細菌が付着しにくいため、口腔内の清潔さを保つのにも効果が期待できます。

金属アレルギーのリスクを低減

セラミック素材は金属を一切使用しないため、金属アレルギーのリスクがありません。これは、金属アレルギーを持つ患者さんにとって重要なメリットです。従来の金属製の詰め物や被せ物では、金属が唾液に溶け出し、アレルギー反応を引き起こす可能性がありますが、セラミックを使用することでこのリスクを排除できます。したがって、金属アレルギーが心配な方でも治療を受けられます。

歯茎の黒ずみが起こらない

金属製の被せ物や詰め物を使用すると、金属が唾液によって溶け出し、歯茎が黒ずむことがあります。これは審美性を大きく損なう原因となりますが、セラミック素材を使用することでこの問題を回避できます。セラミックは金属を含まないため、歯茎が黒ずむことがなく、健康的で美しい口元を維持できます。前歯などの見た目が重要な部分において、セラミック素材はおすすめです。

セラミック素材のデメリット

セラミック素材のデメリット

セラミック素材を使用するデメリットを解説します。

割れる可能性がある

セラミック素材はその硬さと美しさが魅力ですが、その一方で割れる可能性があります。強い衝撃や瞬間的な力がかかった場合、陶器のように割れてしまうことがあります。歯ぎしりや食いしばりが強い方にとってリスクとなります。割れにくいジルコニアなどの強度の高いセラミックを選ぶことでこのリスクを軽減できるでしょう。

保険適用されない

セラミック治療は基本的に保険適用外の自費診療です。セラミックが審美性を重視した治療であり、保険の適用基準を満たしていないためです。そのため、セラミック治療は高額になることが多く、費用の負担が大きくなります。保険適用の治療と比べて、初期費用が数倍にもなることがあるため、治療を受ける前にしっかりと費用について確認しておくことが重要です。

歯の神経を抜く場合がある

セラミック治療を行う際、むし歯が進行している場合や歯の形を整えるために、歯の神経を抜く必要が生じることがあります。神経を抜くと歯の耐久性が低下し、将来的に歯の寿命が短くなるリスクがあります。そのため、可能な限り神経を保存する治療法を選択することが望ましいですが、状況によっては避けられない場合もあります。

一生ものではない

セラミックは耐久性のある素材ですが、一生ものではありません。使用環境やケアの方法によっては、セラミックの寿命が短くなることがあります。例えば、セラミックが欠けたり、歯茎が下がって隙間が生じることで、再治療が必要になることがあります。また、定期的なメンテナンスを怠ると、二次むし歯や歯周病のリスクが高まり、結果としてセラミックの交換が必要になることがあります。

オールセラミックとメタルボンド・ハイブリッドセラミックの違い

オールセラミックとメタルボンド・ハイブリッドセラミックの違い

それぞれのセラミックの違いを解説します。

メタルボンドとオールセラミック

メタルボンドとオールセラミックはどちらも歯科治療で使用される被せ物ですが、いくつかの重要な違いがあります。まず、メタルボンドは内側に金属フレームを使用し、そのうえにセラミックを焼き付けたものです。この構造により、メタルボンドは高い強度を持ち、奥歯の治療におすすめです。しかし、金属の使用により、金属アレルギーのリスクや、長期間使用することで金属が溶け出し、歯茎が黒ずむ可能性があります。さらに、メタルボンドは内側の金属が透けないようにするため、外側のセラミックの透明感が損なわれることがあります。

一方、オールセラミックは内側も外側も100%セラミックで作られており、金属を一切使用しません。そのため、金属アレルギーのリスクがなく、歯茎の黒ずみも避けられます。また、オールセラミックは高い審美性を持ち、天然歯に近い透明感とツヤを再現できるため、前歯の治療におすすめです。しかし、オールセラミックは強度がやや低く、強い衝撃で割れる可能性があるため、噛む力が強い奥歯にはジルコニアなどの強度の高い素材を使用することが推奨されます。

ハイブリッドセラミックとオールセラミック

ハイブリッドセラミックとオールセラミックも、それぞれ特有の利点と欠点があります。ハイブリッドセラミックは、セラミックと歯科用プラスチックを混合した素材で、オールセラミックに比べてコストが抑えられるのが大きな利点です。しかし、透明感やツヤはオールセラミックには劣り、長期間の使用で変色や摩耗が生じることがあります。また、セラミックの割合が低いため、耐久性や審美性においてオールセラミックに比べて劣る部分があります。

オールセラミックは、前述のとおり、100%セラミックで構成されており、高い審美性と透明感を持ちます。その美しさから前歯の治療に向いており、色素の染み込みがないため変色の心配も少ないです。さらに、セラミックは汚れが付着しにくく、二次むし歯のリスクも低減されます。しかし、その高い品質に伴い、コストが高くなるため、治療費の面ではハイブリッドセラミックに比べて高額です。

これらの違いを理解することで、患者さんは自身のニーズや予算に応じた治療法を選択できるでしょう。どの素材が合っているかは、個々のケースによるので、歯科医師と十分に相談しながら決定することが重要です。

まとめ

まとめ

ここまでセラミック素材についてお伝えしてきました。
セラミック素材の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 歯科用セラミック素材には、オールセラミック、メタルボンド、ハイブリッドセラミックなどがあり、ニーズや口腔内の状態に応じて適切な素材を選ぶことが重要
  • 歯科治療におけるセラミック素材は長期間美しさを保てるため、審美性を重視する方や前歯の治療におすすめ
  • セラミック素材は、高い審美性や金属アレルギーを使用していないなどのメリットがある一方、保険適用されないため高額になる、一生ものではないなどのデメリットがある

歯科セラミック素材は、美しさと機能性を兼ね備えた選択肢です。ご自身に合った素材を選び、健康な笑顔を手に入れましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正 / 一般歯科全般もOK

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