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歯がしみる症状は治療できる?歯科医院での知覚過敏治療について徹底解説

 公開日:2024/12/23
歯がしみる症状は治療できる?歯科医院での知覚過敏治療について徹底解説

冷たい水をお口に含んだときや、場合によっては空気をすったときなどに歯がしみるような痛みを感じたら、知覚過敏が生じている可能性が高いといえます。
知覚過敏は正しいケアや治療で改善することができる症状ですので、放置せずにしっかりと対策をしましょう。

知覚過敏について

知覚過敏について

Qの内容
Aの内容
知覚過敏とはどのような症状ですか?
知覚過敏は、むし歯や、歯髄(歯の神経)や歯茎に問題がないにも関わらず、歯に刺激が加わると一時的な痛みが生じる状態です。知覚過敏の典型的な症状には、主に以下のようなものがあります。

  • 冷たい、または熱い飲み物や食べ物をお口にすると、歯にしみる感覚がある。
  • 歯に触れるだけで痛みを感じる。
  • 歯磨きや歯間ブラシの使用時に、歯に触れると電気が走るような感覚がある。
  • 歯に風があたると、歯がピリッと痛む。
知覚過敏になってしまう原因はなぜですか?
知覚過敏の主な原因は、何らかの理由で歯のエナメル質が薄くなってその下の象牙質が露出し、刺激が歯の神経に伝わりやすくなっていることです。
象牙質が露出する原因として考えられるものとしては、硬い物などの噛みすぎや歯ぎしりや食いしばりといった癖、または歯磨きに力を入れすぎてしまっていることや、酸性の飲食物のとりすぎなどがあげられます。
エナメル質が薄くなる以外にも、歯に傷や欠損がある場合や、歯の治療での詰め物が取れてしまった場合、または歯周病などによって歯茎が下がり、歯の根元側が露出してしまった場合にいても知覚過敏が生じることがあります。
知覚過敏かどうかをセルフチェックする方法はありますか?
知覚過敏かどうかをセルフチェックするポイントとして、まずはどのようなときに痛みを感じるかを確認しましょう。
冷たい、または熱い食べ物や飲み物を噛んだときであったり、酸っぱい食べ物を食べたときに痛みを感じるような場合は知覚過敏の可能性があります。
痛みの続き方もポイントで、痛みが10秒程度でおさまるのであれば知覚過敏の可能性が高いといえるでしょう。逆に一定の時間が経過しても痛みが続く場合はむし歯などが疑われます。

知覚過敏の治療について

知覚過敏の治療について

歯科医院で知覚過敏は治療できますか?
知覚過敏は歯科医院で治療することができます。
治療方法としては大きく2種類で、歯の保護によって刺激を受けにくくする方法と、神経が痛みを感じにくくする方法です。
歯を保護する方法では、フッ化物が配合された薬の塗布や、歯科用のコーティング剤で知覚過敏が生じている箇所を覆う方法などがあります。
一方の神経が痛みを感じにくくする方法では、鎮痛剤の処方やレーザーによる治療、知覚過敏が重度の場合は神経を抜いてしまう治療法などがあり、症状の程度などによって適切な治療法が選択されます。

また、知覚過敏の改善を目的としてマウスピースによる治療や、歯のクリーニング、歯磨き指導などが行われることもあります。
歯のエナメル質が薄くなる主要な原因の1つが歯ぎしりによる歯の摩耗であり、マウスピースによってこれを防ぐことで、知覚過敏を改善していくことができます。
歯のクリーニングや歯磨き指導については、歯垢や歯石にはむし歯菌がいて、それが歯のエナメル質を溶かしてしまう酸を作りだすことが知覚過敏の原因となるためで、歯を清潔に保っていると、徐々に再石灰化によって歯のエナメル質が回復していくため、知覚過敏の改善が可能となります。

知覚過敏はすぐに治すことができますか?
知覚過敏の痛みを対症療法として治療するという意味では、歯科用レジンなどを用いることですぐに改善することが可能です。
ただし、歯のエナメル質の回復による、根本的な改善については歯の再石灰化を待つ必要があるため、数週間から数ヵ月程度の機関がかかるといえるでしょう。
歯科医院での直接的な治療だけではなく、歯磨きの見直しなどセルフケアの改善も適切に行うことが大切です。
知覚過敏の治療で気を付けた方がいいポイントはありますか?
知覚過敏は日頃の習慣や癖などが原因となっていることが多いです。そのため、歯科での治療だけではなく、習慣の見直しも重要です。
特に重要なのが、歯磨きの方法です。過度な力を使って歯の表面を傷つけないよう、やわらかい歯ブラシを使って軽い力で小刻みに動かして汚れを落とします。適切に磨けているのか不安な方は、歯科で正しい歯磨き方法の指導をうけるとよいでしょう。
また、酸性食品や飲み物は知覚過敏を引き起こす要因となりますので、摂りすぎないようにするか、接種後に水でお口をすすぐなどして口内に長時間酸性のものが残らないようにしましょう。

知覚過敏以外で歯がしみるケースについて

知覚過敏以外で歯がしみるケースについて

歯科医院での治療後に歯がしみる原因は何ですか?
むし歯の治療で、神経の近くまで削って治療した場合(根管治療まではしていない)、被せ物が歯の神経や組織に接触していると歯がしみることがあります。特に金属の詰め物は温度の変化が伝わりやすいため、歯が痛んだりしみたりすることがあります。
だんだんと慣れてきて痛みは落ち着きますが、あまりにも痛い場合や数週間経っても痛みを感じる場合は再び歯科に相談してみましょう。
そのほかにも、歯のホワイトニング治療の直後も歯がしみることがあります。歯のホワイトニングに使用する過酸化水素水は、歯の神経を刺激することがあるため、ホワイトニングの後数時間は歯がしみるように感じることがあります。しかし、数時間後にはほとんど痛みを感じなくなります。2〜3日たってもしみるようなら歯科に相談しましょう。
むし歯の痛みと知覚過敏の痛みはどのような違いがありますか?
むし歯の場合は痛みがしばらく続くことがありますが、知覚過敏の痛みは一時的で数秒後には消えるのが特徴です。ただし、初期のむし歯だと、知覚過敏のように痛みが一時的でしばらく経つと痛くなくなる場合もあるので完全に区別するのは難しく、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。
歯周病で歯がしみるように痛くなることはありますか?
歯周病ではがしみるような痛みを感じることはあります。歯周病によって歯茎が退出すると、エナメル質が薄く、刺激に敏感な象牙質が露出してしまいますので、その部分に刺激となるものが当たると痛みを感じることがあります。ただし、少しずつ歯茎が退縮していくためその痛みに慣れてしまい、痛みを感じにくい場合もあります。

歯がしみる場合のケア方法について

歯がしみる場合のケア方法について

歯がしみる場合はいつもとおりの歯磨きで大丈夫ですか?
歯がしみる場合は、歯磨きの仕方が適切ではないことが原因である可能性が考えられますので、やわらかめの歯ブラシに変えて軽い力で細かく動かすように磨き方を変えましょう。
また、歯をしっかり磨いているつもりでも、歯間や歯と歯茎の間の歯垢が取りきれておらず、これによってむし歯菌が増殖して歯を溶かしたり、歯周病が進行してしまうことがあります。歯ブラシによるケアだけではなく、歯間ブラシの使用やうがい薬の使用などによって、より丁寧に口腔内のクリーニングを行うようにしましょう。
歯がしみる場合の歯磨き粉選びはどうしたらよいでしょう?
知覚過敏用の歯磨きや、再石灰化を促す成分が入った歯磨き粉を選ぶとよいでしょう。
具体的には、フッ素や硝酸カリウム、カルシウム、リン、ハイドロキシアパタイトなどの成分です。
フッ素は歯を強くする成分で、硝酸カリウムは歯のエナメル質の内側に作用し、むし歯になりかけた箇所を修復します。ハイドロキシアパタイトとは、歯の再石灰化を促す成分ですが、市販のものでは使用されているものがごくわずかです。
歯科医院でも知覚過敏用のケア商品を販売していることがありますので、相談してみるとよいでしょう。
歯がしみる症状は歯科医院に行かなくても治せますか?
知覚過敏や、むし歯の初期状態で歯がしみる場合は、歯磨きや食事、噛み締め癖などを見直すことで、セルフケアでも改善していくことは可能です。
しかしながら、適切な歯磨きの方法や、どういった食事に気をつければよいかなどは、やはり専門家のアドバイスを聞いた方が確実性が高く、場合によっては痛みの原因が知覚過敏ではなくむし歯であったなどのケースもあり、放置によって悪化してしまう場合もありますので、可能であれば早めに歯科に相談する方がよいでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ
歯がしみる原因の多くは知覚過敏で、知覚過敏は歯磨きなどの見直しでも改善が可能な症状です。
ただし、セルフケアでは十分な対策が行えないことも多く、一方で歯科医院での治療をうけることで、すぐに痛みを止めたり、適切なケア方法を知って効率よく治癒させていくことも可能となりますので、歯がしみることでお悩みの方は、まず一度歯科医院に相談してみるとよいでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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