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根管治療は痛くない?根管治療の痛みや原因、対処法を解説

 公開日:2024/09/13

根管治療はむし歯が進行して、菌が歯髄まで侵入した場合に行われます。治療は細菌に感染した歯髄(神経)を抜いて消毒した後、詰め物・かぶせ物で修復する手順です。

神経を抜くので痛みがなくなる印象ですが、実際は治療中・治療後もさまざまな痛みがあります。この痛みへの対処も、根管治療では重要な部分です。

この記事では根管治療の痛みに関して、原因・対処法・注意したい点を解説します。進行したむし歯が気になる方は参考にしてください。

根管治療の痛みについて

歯が痛い女

根管治療は痛いですか?
根管治療では、治療中や治療後にもさまざまな痛みを伴う場合があります。根管治療は歯の内部にある歯髄までむし歯菌に感染した場合に行われます。
多くは歯髄炎で痛みがある状態での治療です。歯髄は神経の末端や血管が通っているやわらかい組織で、治療中は麻酔したうえで感染した歯髄を取り除くために、痛みはほとんど感じません。ただ、器具で歯髄を抜く際に感じる引っ張られるような痛みや、治療後にも歯の周囲の神経で痛みを感じます。
痛みの感受性は人によって大きく異なり、同じ治療でも痛みの感じ方はさまざまです。また、もともと歯髄炎で痛みが強い場合は根管治療での麻酔が効きにくく、痛みも強く感じられます。
根管治療で痛みが出る原因を教えてください
根管治療で痛みが出る原因は治療によるものと、もともとのむし歯に関連する症状によるものです。治療時の痛みでは、細い根管の中にある歯髄を取った後、消毒の処置をします。
このとき細い針状の器具を根管に通しますが、その先端が歯根の奥の骨にある神経を刺激すると痛みが生じます。また、歯髄炎を起こした歯の歯根には多くの場合炎症があり、膿がたまった状態です。治療時にこの部分を刺激しても強い痛みを感じます。むし歯関連の症状による痛みの原因には根尖性歯周炎があります。
根管内の細菌が歯を支える歯槽骨にまで広がって、その部分を溶かしてしまう炎症です。この炎症にかかると歯根の奥に膿がたまり、歯茎が赤く腫れて治療時に痛みが出ます。
神経を取った後は麻酔をしなくても痛くないですか?
根管治療は神経を取る治療ともいわれます。言葉どおり神経が入る歯髄を抜くため、痛みを感じなくなるイメージです。しかし、実際は根管の治療中・治療後に痛みを感じる治療です。歯に関係する神経は内部の歯髄だけではなく、歯根膜や歯肉などの周辺組織内にも存在します。
そのため治療中に器具が歯に触れるなどで痛みを感じる場合があります。多くは1週間程で徐々に薄れる痛みです。歯髄炎では歯根の奥に炎症による膿がたまっている場合もあり、これにさわるのも痛みの原因です。また、根管に詰めた殺菌剤の刺激で痛みを感じる方もいます。こうした痛みへの対応で、治療には麻酔や痛み止めが必要です。

根管治療の痛みへの対処法

医療

根管治療中の痛みを抑える方法はありますか?
根管治療中におこる痛みを抑えるには、麻酔が効果的です。根管治療をするむし歯の病変部は炎症を起こしている場合が多く、そこを治療で針金状の器具でさわるために強く痛みます。痛い場合はむやみに我慢せず、早めに麻酔を使い手早く治療を済ませる方が苦痛が少なくてすみます。
痛みが治療後も続く場合は、処方された痛み止めを早めに飲んでください。また、むし歯の痛みが強いときに根管治療を始めると、麻酔注射の効きがよくありません。麻酔注射を早く有効にするには、少し痛みますが歯髄内に直接痛み止めの麻酔薬を入れます。時間的に余裕がある場合は事前に痛み止めを飲み、歯の痛みが治まってから根管治療を行えば、少ない痛みで治療が受けられます。
根管治療後の痛みの対処法を教えてください
根管治療をする歯根の先には、炎症による膿がたまっている場合があります。根管治療後に痛みが出るのは、この膿の元である腫れや炎症によるものです。対応は、抗生剤と痛み止めで炎症や痛みを抑えます。膿が出て炎症が治れば根管の痛みも2~3日で治まるでしょう。
また、治療後に噛んだときや外部からの圧力があったときに痛みが出ることがあります。この痛みは歯根の先にあった炎症が歯根を覆う歯根膜に広がったものです。対応は、歯科医に痛い歯の噛み合わせを調整してもらいます。
歯根膜への刺激がなくなれば痛みも治まります。ほかには、治療の終わりに歯根に詰めた抗菌薬による痛みです。空気を排除するために圧力をかけた刺激で痛むので、数日で軽減するまでその歯で噛まないようにしてください。
痛みが続く場合の受診の目安を教えてください
根管治療で発生する痛みのなかで、以下のような状態では治療した歯科医院で再度受診した方がいい場合があります。
  • 3日~1週間以上痛みが続く
  • 1週間以内でもズキズキする強い痛み
  • 我慢できない痛み
  • 抗生剤・鎮痛剤でも治まらない痛み

このような痛みは、早めの再受診がおすすめです。こうした症状は、治療した部分に何らかの異常があることが推測できます。受診せず我慢するうちに悪化する恐れがあり、そうなると再度根管治療を行う事態になりかねません。
根管治療は歯を削る治療で、削るたびに歯が小さくなって壊れやすくなり、最後は抜歯で歯を失います。そうならないために、強い痛みや長引く痛みがある場合は早めに歯科医院で受診してください。

根管治療後に気を付けたいこと

歯科治療

根管治療後の生活で気を付けることはありますか?
根管治療は場合により3~4ヵ月かかることもあります。この間に決して自己判断で治療をやめてはいけません。中断すると菌が再び増殖を始め、再度根管治療をやり直すか抜歯になることもあります。
また、治療後数時間~数日後に痛みが出る可能性があります。痛み止めが処方されるので、適宜使用して対応してください。痛みは血流がよくなると出やすくなるので、痛むときには入浴・運動など体を温める行動は避けましょう。
痛みの軽減には患部を冷やすことが有効です。手近に保冷剤などがあればタオルで包んで頬に当てて冷やすか、何もない場合は濡れたタオルを当てるだけでも気化熱を奪って冷やせます。
根管治療後の食事で気を付けることはありますか?
根管治療で詰め物やかぶせ物で修復が終わった歯は、天然の歯と比べるともろくて割れやすい性質に変わっています。そして、歯の中の神経(歯髄)を抜いているため感覚が鈍く、冷たい・熱いなどの温度が分かりにくくなります。
治療後の食事は治療中と同じように、歯に負担が少ない麺類や煮物から始めてください。数日続けても特に異常がなければ、通常の食事が食べられます。ただし、ピーナッツ・するめ・固焼きせんべいなどは治療した歯で食べないよう習慣づけてください。また、かぶせ物が取れた場合は、できるだけ早く歯科医院で修復治療が必要です。
根管治療後に痛みがひどいと再治療の可能性はありますか?
神経を抜いて根管治療をしても、再び強い痛みが出る場合があります。原因は根管の奥で細菌感染がおこり炎症・痛みが再発したためで、この場合の痛みは噛んだときに出るのが特徴です。
こうした痛みのほか、膿が出たり違和感があって噛みにくかったり、X線画像で歯根の先の骨が溶けているのが確認された場合に再治療が行われます。再治療に至る原因の多くは、初回治療で細菌を取り切れなかったことです。
再治療は初回よりも難易度が高く、成功率を高めるためには感染防止用ラバーダムやマイクロスコープが有効です。成功率は初回の治療状態に左右され、40~80%程度の範囲内に留まります。
根管治療後傷みはどのくらい続きますか?
根管治療の後に多少の痛みが出るのは、珍しいことではありません。多くは歯の周囲にある神経が根管治療で敏感になるためです。この痛みは3日~1週間程度で治まるのが一般的です。
痛みが出た場合は我慢せず、早めに処方された痛み止めを飲んでください。治療直後は痛みが出やすくなる入浴・運動・飲酒は避けた方が無難です。なお、1週間以上たっても痛みが治まらない場合や、ズキズキする強い痛みがある場合は歯科医院で診てもらってください。炎症の再発や歯根の破折が考えられます。

編集部まとめ

笑顔の女

根管治療時にはさまざまな原因による痛みが生じます。むし歯による歯髄炎の痛みはなくなっても、歯の周りや骨の神経でおこる痛みは避けられません。

痛みへの対応は麻酔薬・痛み止め・抗生剤・抗菌剤で痛みを鎮めて炎症を抑える対症療法です。治療した歯は当分無理せず安静にして保護します。

痛みは1週間程で治まりますが、長引いたり強い痛みには要注意です。再治療にならないように、早めの受診をおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正 / 一般歯科全般もOK

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