歯周病治療の費用を解説|治療方法も紹介

歯周病は、口腔内に悪影響をもたらすだけにとどまらず、糖尿病や心疾患などの命に関わる病気にも関連しています。
歯周病であることが判明した際には、ご自身のお口と身体の健康のためにも、積極的に歯周病治療を行わなければなりません。
すると気になるのが費用面についてですが、歯周病治療にかかる費用は症状の進行度によって大きく異なります。
本記事では、歯周病治療にかかる費用や治療方法についてご紹介します。記事の最後では費用が高額になった場合の対処法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
歯周病治療の費用

歯周病の治療内容は、症状の進行度によって異なります。詳しくは後述しますが、場合によっては治療が保険適用外のことがあり、高額な費用が必要になることもあるかもしれません。
ここでは、症状の進行度ごとに治療費用の目安を確認してみましょう。
軽度の歯周病は、初期段階である歯肉炎にあたります。歯茎が赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりする症状が見られます。
軽度の場合は保険が適用できるケースがほとんどのため、治療費用も安く済みやすいでしょう。
初診料・レントゲン撮影・歯周病検査・スケーリング(歯石除去)を合わせて、4,000円程度です。
虫歯予防も兼ねてフッ素を塗布する場合には、また別途費用3,000円程度かかります。詳しくは歯科医院にて相談しましょう。
中等度の歯周病は、歯周病の末期である歯周炎になりかけの状態にあたります。歯肉炎の症状に加えて、歯茎が痛んだり、膿が出たりするでしょう。
→中等度の歯周病は、歯肉だけでなく歯を支える骨にまで炎症が波及した状態にあたります。歯肉炎の症状は強くなり、歯茎が痛んだり、膿がでたり、自然に出血することもあります。
歯周ポケットの奥の方にまで歯石が入り込んでいることが多いため、スケーリングを行った後に再度スケーリングルートプレーニングと呼ばれる治療を行います。
→歯周ポケットの奥の方にまで歯石が入り込んでいることが多いため、見える範囲の歯石やプラークを取り除くスケーリングを行った後に再度、ポケットの中に沈着している歯石を取り除くために、スケーリングルートプレーニングと呼ばれる治療を行います。
ポエットの中から歯石を取り出すため、治療は歯石の量に応じて複数回に分けるのが一般的です。痛みが強い場合には、麻酔を行うこともあります。
この場合、費用はトータルで10,000〜15,000円程度です。
重度の歯周病は、歯周炎にあたります。歯茎がブヨブヨと柔らかく、歯の安定性も失われます。口臭がひどくなるのも歯周炎の特徴です。
→重度の歯周病は、中等度以上に歯周炎が進行した状態にあたります。歯茎がブヨブヨと柔らかく、歯の安定性も失われグラグラします。口臭がひどくなるのも歯周炎の特徴です。
歯周病が重度にまで進行した場合、歯科医院の治療を持ってしても元の状態に戻すことは困難を極めます。
そのまま残しておくと他の残存歯に悪影響を及ぼす可能性もあるため、場合によっては治療ではなく抜歯の対応になる可能性もあるでしょう。
重度の歯周病は保険適用外の治療になることも多いため、費用は高額になりやすいです。
スケーリングルートプレーニングを行ったあとでも症状が改善されず、歯周外科治療が必要と判断された場合は、1つの歯あたり2,500〜9,000円程度の費用がかかります。
保険適応外の歯周組織再生療法を行う場合には、全額自費負担で1つの歯につき33,000〜165,000円程度が目安です。
歯周病が重度に進行している状態では、複数の歯・場合によっては歯全体が歯周炎になっているケースも多くあります。
全ての歯を治療するとなると、費用が100万円を超える場合もあるでしょう。
歯周病の基本的な治療方法

歯周病の原因は、粘着性の強い歯垢に潜む歯周病菌にあります。歯周病菌は毒素を発生させながら徐々に歯肉や骨を蝕んでいき、治療しない限り改善されることはありません。
歯周病の基本的な治療方法は、以下の通りです。
- 歯垢・歯石の除去
- 噛み合わせの調整
- ブラッシングの指導
それぞれ詳しく解説します。

まず最も基本的な歯周病治療が、歯垢・歯石の除去です。歯石とは、歯垢が唾液の成分と混ざることで硬く変化したものであり、日々の歯磨きでは取り除くことが難しい特徴があります。
そのため、歯周病治療では歯茎や歯の状態を確認した後、スケーリングによって歯垢・歯石の除去を行うのが一般的です。
軽度〜中等度の歯周病であれば、スケーリングをするだけでも歯茎の状態が大きく改善されます。
軽度〜中等度の歯周病の場合、スケーリングのみでもかなり状態は良くなりますが、再発を防ぐために噛み合わせの調整を行います。
→軽度〜中等度の歯周病の場合、スケーリングのみでもかなり状態は良くなりますが、嚙み合わせが歯周病の進行を助長している場合は、噛み合わせの調整を行います。
歯周病の患者様の多くは、日々の歯磨きで十分に歯垢が取りきれていません。
歯並びや噛み合わせなど、間接的な原因と見受けられる部分も改善することで、歯垢が付着しにくく歯垢が取りやすい口腔環境を目指します。

歯周病治療は、医師と患者様の二人で協力し合わなければ十分な治療の効果を引き出すことができません。
なぜなら、歯周病を予防するためには歯磨きによる日々のメンテナンスが何よりも大切だからです。
患者様自身のブラッシングの技術が向上しなければ、再発してしまう可能性も十分にあり得ます。
そのため、歯周病治療の一環としてブラッシングの指導を入れている歯科医院も多く存在します。歯科医師による指導を受け、自宅でも正しいセルフケアができるようになりましょう。
歯周病の外科治療

歯周病の基本治療を行ったのにもかかわらず改善が見られなかったり、歯周ポケットが深くなってしまっていたりする場合には、外科治療を行うことになります。
ここでは代表的な以下の2つの治療法を紹介します。
- 歯周ポケット掻爬術
- 歯肉剥離掻爬術
それぞれ確認していきましょう。
歯周ポケット掻爬(そうは)術とは、歯周ポケットの深さが4mm程度の場合に行われる外科治療です。
歯茎に麻酔を打ち、歯根に張り付いた歯石や歯周ポケット内の感染部位を取り除きます。歯根と周囲の歯肉が清潔な状態になるため、歯周ポケットの溝を浅くすることが可能です。
一部の歯肉を取り除くため、歯が縦長に見えてしまう一面があります。
歯肉剥離掻爬(そうは)術はフラップ手術とも呼ばれる治療方法で、歯周ポケット掻爬術では改善がみられない場合や重度に深くなったポケットが存在する場合に行います。
歯茎に麻酔を打ち、歯茎を切開して歯石を取り除くため、歯周ポケット掻爬術よりも確実に治療できるのが特徴です。
場合によっては感染している歯肉を取り除くこともあり、歯周ポケット掻爬術に比べて治療負担が大きくなります。
治療後は歯茎を縫い合わせるため、1週間後に抜糸が必要です。
重度の歯周病の場合

歯がグラグラと抜けかかっていたり、歯を支える役割を担う歯槽骨が溶けてしまっていたりと、重度の歯周病の場合にはさらに別の歯周病治療が行われます。
ケースによっては保険適用外の自費治療になる可能性もあるため、歯科医師とよく相談して決めることが大切です。
ここでは重度の歯周病の代表的な治療方法をご紹介します。今回取り上げるのは以下の4つです。
- 抜歯
- エムドゲイン法
- GTR法
- 骨移植
それぞれ確認していきましょう。
歯周病は、症状が進行すると他の健康な歯も巻き込んでしまう恐ろしい病気です。
歯周病治療を施している間に他の歯まで悪くなってしまうと判断した場合や、歯を支える歯槽骨の吸収が進行していると判断した場合には、最終的な治療方法として抜歯を試みます。
歯がグラグラとしていたり、咀嚼が難しかったりする場合には、抜歯の対応になることがほとんどです。
抜歯は保険診療になりますが、可能であればこれほどまでに症状が進行する前に、適切な治療を受けることが望ましいでしょう。

エムドゲイン法とは、外科治療の際に手術部位にエムドゲインを塗布し、失われた骨組織の再生を図る治療方法です。
従来、エムドゲインは歯根が形成されるときに分泌される成分であり、骨組織を誘導する役割を担います。
6〜7割の確率で骨再生が可能になるため、重度の歯周病の場合でも抜歯せずに済むかもしれません。
→骨の吸収の量や形態によっては骨再生が期待できるため、重度の歯周病の場合でも抜歯せずに済むかもしれません。
より確実に歯石を取り除けるものの、歯の審美性が悪くなってしまう歯肉剥離掻爬術をカバーするためにエムドゲイン法を採用する場合もあります。
なお、エムドゲイン法は保険適用外になるため全額自費負担です。
GTR法とはGuided Tissu Regenerationの略語であり、歯周組織再生療法と呼びます。
歯周病が原因で破壊された歯槽骨や歯周組織に、「メンブレン」と呼ばれる膜を入れることで組織の再生を図ります。
「メンブレン」には製品化されたものもありますが、患者様の血液から作る場合もあり、歯科医院の方針や患者様の口腔状態によって手法が様々なのが特徴です。
血液からメンブレンを生成する場合には、医科で採血が必要になります。他の治療法に比べて感染症のリスクが低いため、身体に負担なく治療できるのが魅力です。
また、GTR法には保険が適用できるのも嬉しいポイントです。ただ、複雑な治療のためにGTR法を行う歯科医院は限られている点に注意しましょう。

骨移植とは、歯周病によって吸収されてしまった骨の再生を図る治療のことです。
移植する骨には、患者様ご自身の他の部位から採取した骨や人工骨を使用します。GTR法では難しい、広く浅い部位にも適用できるのが特徴です。
歯周病治療を目的とした骨移植は基本的に保険適用となりますが、骨生成を促すエムドゲイン法を併用したり、特殊な人工骨を採用したりすれば保険適用外になります。
歯周病治療は保険適用できる?

軽度〜中等度の歯周病の場合には、保険適用できるケースがほとんどです。しかし、重度にまで進行した歯周病の場合には、治療法によって保険を適用できない可能性があります。
前述のように、エムドゲインゲルを使用することで組織再生を図るエムドゲイン法は、保険適用外です。
費用面を考慮すると保険適用内で治療を検討したいところですが、場合によっては保険適用外の歯周病治療の方が適していることもあります。
歯科医師と相談し、治療法を選択することが大切です。
歯周病治療の費用が高額になってしまった場合

記事前半で取り上げたように、歯周病治療に100万円を超える費用がかかる場合もあるものです。
このように高額な費用になってしまった場合には、どのように対処すれば良いでしょうか。ここでは、医療費控除とデンタルローンの2つの方法をご紹介します。
医療費控除とは、課税所得を減らせる制度のことです。歯周病治療にかかる費用は、全て医療費控除の対象になります。(歯周病予防にかかる費用は対象外です)
1年間にかかった医療費が10万円を超えた場合には、その超えた金額をその年の所得から差し引くことが可能です。控除額の計算方法は、以下のように算出できます。
控除額=年間に支払った医療費−保険金などで補填される金額−10万円
なお、所得金額が200万円未満の場合には、10万円ではなく所得金額×5%の額になります。つまり、所得が150万円の際には医療費7.5万円以上の場合に控除を申請可能です。
医療費控除では該当額の課税所得が減る制度のため、控除額がそのまま軽減されたり、費用がそのまま返ってきたりするわけではありません。
ただ、所得税や住民税などの税負担が軽減されるため、10万円を超える医療費がかかった場合には活用することをおすすめします。
医療費控除と似たような制度にセルフメディケーション税制がありますが、双方を併用することはできませんのでご注意ください。
医療費控除を申請するには、確定申告が必要です。そのためには、医療費控除の明細書が必要な点を押さえておきましょう。
医療費控除の明細書は、国税庁のホームページからダウンロードして取得しましょう。
改正により領収書の提出は必要なくなりましたが、確定申告する場合には5年間保存する必要があります。場合によっては提出が求められることもあるため、整理・保管しておきましょう。
デンタルローンとは、歯科治療のみに特化した立替払いのサービスです。重度の場合には高額になりやすい費用ですが、金融機関が全額立て替えをしてくれます。
これにより、実質的に分割払いで対応できるようになるのがデンタルローンの魅力です。
クレジットカードで分割払いにする選択肢もありますが、デンタルローンよりも手数料や利息が高くなってしまいます。
また、一般的なフリーローンよりも金利が低く設定されているのも嬉しいポイントです。
お金を借りる行為になるので審査は必要ですが、審査にさえ通過してしまえば費用負担を大きく軽減できるメリットがあります。
さらに、デンタルローンは医療費控除と併用することも可能です。手数料や利息分は対象外になりますが、上手に活用して費用負担を軽減しましょう。
まとめ

「静かなる病気」とも呼ばれる歯周病は、気づいたときには重度の歯周病にまで進行しているケースが多くあります。
進行度が高いほど治療にかかる費用負担も大きくなりやすいため、歯周病は予防とセルフケアに努めることが何よりも大切です。
費用が高額になってしまった場合には、医療費控除やデンタルローンを活用しましょう。賢く活用すれば、大きく負担を軽減できるはずです。
歯周病は完治が難しく、歯科医院で治療を受けても再発してしまう可能性があります。日々の丁寧なブラッシングを心がけ、歯科医師と二人で協力して治療を進めましょう。
参考文献



