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インプラント治療は10年後に痛みが出るって本当?トラブルの予防・対処法について

 公開日:2025/02/18

インプラント治療を受けた後、長期間が経過すると痛みが出るという話を耳にしたことがありませんか?インプラントに関連した痛みの背後には何があるのか、そして予防や対処ができるのか気になりますよね。 本記事ではインプラント治療は10年後に痛みが出る?について以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラント治療後の痛みと主な原因
  • インプラント治療から10年後の痛みを予防・対処するために
  • インプラントの再治療と治療費について

インプラント治療の痛みについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

インプラント治療から10年後に痛みは出るのか

インプラント治療から10年後に痛みは出るのか

インプラント治療後から数年後に痛みが出ることはありますか?
インプラントを施した後、数年経過すると痛みを感じることがあります。その原因は主に以下の3つが挙げられます。

①インプラント周囲炎
インプラントの周囲組織に炎症が生じるインプラント周囲炎を起こすことがあり、歯肉の赤みや腫れ、出血を引き起こし、重症化するとインプラントがグラグラと動くこともあります。

②噛み合わせの変化
治療後に噛み合わせが変わることで、インプラントに過剰な負担がかかり、痛みが出ることがあります。日常生活で徐々に起こる変化のため、定期的な歯科健診などで注意深く観察する必要があります。

③インプラントと骨の間の問題
インプラントと顎骨の間にひび割れが生じると痛みが伴います。インプラントの安定性を損ない、周囲への負担が増大して痛みなどが起こります。

インプラントは10年持ちますか?
インプラントの耐用年数は、適切なケアと口内環境により異なりますが、10年以上持続することも少なくありません。

しかし、インプラントの寿命は定期的なメンテナンスと適切な日常ケアに依存します。特に、10年を超えるとインプラントの周囲で問題が発生する可能性が高まるため、インプラント専門の歯科医師による定期的な診察により、インプラントの安定性や周囲の骨の状態確認が推奨されます。

また、歯周病菌による炎症や痛み、インプラントの緩みなど、トラブルの初期段階で対処することが、10年を超える長期的な維持には不可欠です。

インプラント治療後に出る痛みについて

インプラント治療後に出る痛みについて

インプラントの周囲が腫れて膿が出てきましたがなぜですか?
インプラントの周囲に腫れや膿が見られる場合、インプラント周囲炎と呼ばれる状態の可能性が高いです。この症状は、インプラント周辺の組織が炎症を起こしていることを示しています。主にプラークの蓄積が原因で、適切な口腔内のケアが行われていない場合に細菌が増殖し、炎症が進行することで発生します。

インプラント周囲炎は歯周病と似た症状を引き起こし、放置するとインプラントの支持力が低下し、最終的にはインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。症状の初期には歯茎の腫れや赤みが見られ、進行すると膿がたまり、痛みを伴うこともあります。

インプラントと骨の境目にひびが入っている気がしますが大丈夫ですか?
インプラントと骨の間にひびが入ると感じる場合、インプラントの構造や骨との結合部に問題が発生している可能性があります。インプラントの上部構造が日常的に力を受けるため、過度な力や長期間の使用により、微細なヒビが発生することがあります。

こうした状態は、口腔内の痛みの原因となるだけでなく、骨の健康にも悪影響を及ぼし、最終的にはインプラントの脱落につながる恐れがあります。

さらに、インプラントと骨の境にヒビが生じると、その部分から細菌が侵入しやすくなり、感染症を引き起こすリスクも高まります。このため、歯を強く噛みしめる癖がある人や、歯ぎしりが激しい方は注意が必要です。

もしインプラントと骨の間にひびが入っていると感じた場合は、早急にインプラントの治療を受けた歯科医師に相談し、レントゲンなどの検査を受けることをおすすめします。

噛む際に痛むのはインプラントに問題がありますか?
噛む際に痛みを感じる場合、インプラントに関連する問題が考えられます。なかでも、アバットメントと呼ばれる部品の緩みが原因である可能性が高いです。アバットメントはインプラント体と上部構造を繋ぐ役割を担い、この部分が緩むとインプラント全体の安定性が損なわれ、食事中や噛む動作において痛みや不快感が生じることがあります。

また、噛み合わせのバランスが崩れることで、アバットメントに過度な力がかかり、さらに緩みや痛みを引き起こす可能性もあります。

アバットメントの不具合が痛みの原因となっている場合、歯科医師はアバットメントのネジの締め直しや交換、必要に応じて噛み合わせの調整を行うことで、問題を解決しインプラントの機能を回復させます。

インプラント治療から10年後の痛みを予防・対処するには

インプラント治療から10年後の痛みを予防・対処するには

インプラント治療後から数年経って痛みが出た場合どうすればいいですか?
インプラント治療を受けてから数年が経過し、痛みや違和感が生じた場合は、すぐに歯科医院で診察を受けることが推奨されます。時間が経つにつれて、インプラントやその周辺組織に問題が拡大する可能性もあり、早期に問題を発見し適切な処置を施すことで、症状の悪化を防ぎ、インプラントの寿命を延ばすことが大切です。

これまで述べてきたように、痛みの原因としては、インプラントの緩みやインプラント周囲炎、構造的な問題などが考えられます。これらの問題は、早めの診断と治療により対処できることもありますが、場合によっては、インプラントの一部または全部の交換が必要になるため、異常を感じたら放置せずにインプラントを専門とする歯科医師に相談しましょう。

インプラント治療後から数年後の痛みを予防する方法を教えてください
インプラント治療後の痛みやトラブルを避けるためには、日常の適切な口腔ケアと定期的な歯科医院での検診が重要です。インプラント周囲炎などの問題を防ぐためには、以下の点に注意してください。
  1. 毎日しっかりとお口のセルフケアを行う
    毎日の歯磨きは丁寧に行い、歯間ブラシやデンタルフロスを使用してインプラント周辺のプラークを徹底的に除去しましょう。インプラントのある部分は細菌が付着しやすいため、念入りにケアする必要があります。
  2. 歯科医院での定期検診を受ける

    インプラント専門の歯科医師による定期検診では、インプラントの固定状態や周囲の歯茎の健康をチェックし、初期の段階で問題を発見できるよう診察が行われます。また、プロフェッショナルなクリーニングを受けることで、自宅でのケアでは落としきれない汚れや歯石を除去できます。

  3. 禁煙する
    禁煙はインプラントの健康を保つためにも効果的とされています。喫煙は歯周病のリスクを高め、インプラント周囲の炎症を引き起こしやすくします。

これらの対策を実施し、インプラント治療後の痛みやトラブルを抑え、快適な口内環境を維持しましょう。

インプラントの再治療について

インプラントの再治療について

インプラントは交換できますか?
インプラントは、必要に応じて交換される場合があります。 インプラントの構成パーツにはインプラント体、アバットメント、上部構造という3つの主要部分があり、これらはそれぞれ交換が可能とされています。

単に上部構造が損傷した場合は、新しく製作して交換することが多いようです。また、アバットメントの緩みが原因で不具合が生じている場合は、締め直しや交換で問題を解決できます。しかし、インプラント周囲炎などで重症化している場合や、インプラント体自体にダメージがある場合は、全体の交換が必要になることがあります。

重度のインプラント周囲炎では、歯周組織と骨が損傷し、インプラントの支持が不足するため、再手術として顎の骨の状態を改善をしたうえで新しいインプラントを埋め込む処置が伴います。

また、このようなインプラントの交換などの治療は、インプラントを入れた歯科医院で治療を受けることが基本ですが、異なる歯科医院での治療の際には、過去の治療データや使用されたインプラントの種類を確認することが望ましいです。

インプラントの再治療にかかる費用はどれくらいですか?
インプラントの再治療費用は、歯科医院ごとに異なるため、具体的な金額には幅があります。インプラントは自由診療であるため、各歯科医院が設定した料金に基づきます。再治療の際は、インプラントの状態や必要な手続きの範囲によっても費用が変動するため、事前の見積もりを受けましょう。

多くのインプラントにはメーカーや歯科医院による保証が設けられており、5年~10年の保証期間があります。保証期間内に再治療が必要となった場合、無償または割引価格で対応してもらえることがありますが、定期メンテナンスを怠ったり、指示に従わなかったりした場合には保証が適用されないこともあります。再治療の全体的な費用を抑えるためにも、保証内容をしっかりと確認し、必要なメンテナンスを遵守することが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラント治療は10年後に痛みが出る?についてお伝えしてきました。 インプラントの10年後の痛みについて、要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラントを施した後、数年経過すると痛みを感じることがあり、インプラント周囲炎、噛み合わせの変化、インプラントと骨の間の問題などが痛みの主な要因とされている
  • インプラント治療後の痛みやトラブルへの予防と対策は、①毎日しっかりとお口のセルフケアを行う、②歯科医院での定期検診を受ける、③禁煙
  • インプラントの交換などの再治療は、インプラントを入れた歯科医院で治療を受けることが基本で、保証期間内で保証条件をクリアしている場合であれば無償または割引価格で対応してもらえる

今回ご紹介したインプラントの痛みの原因と対策を理解し、定期的なメンテナンスと適切な日常ケアを心がけることで、10年後も安心してインプラントを使用したいですね。健康な口内環境を維持し、快適な毎日を送りましょう。

本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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