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インプラントが緩む原因は?緩んできたときの対処法も併せて解説

 公開日:2025/03/24

インプラント治療は天然の歯に近い見た目や機能を持つ治療法のひとつですが、稀に「インプラントが緩んできた」と感じるケースがあります。

本記事ではインプラントが緩む原因について以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントが緩む原因とは
  • インプラントが緩んできたときの対処法
  • すぐに歯科医院を受診できないときについて

インプラントが緩む原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

インプラントが緩む原因

インプラントが緩む原因

インプラントが緩む主な原因は何ですか?
インプラントが緩む主要な原因として、アバットメントの緩みが挙げられます。アバットメントは、インプラント体と上部構造を結びつける部品で、主にネジで固定されています。この部位には、噛む力や歯ぎしりなどによる継続的なストレスがかかり、時間の経過と共にネジがゆるむことがあります。また、上部構造自体の不具合が原因でネジが緩むことも考えられます。そのため、定期的なメンテナンスが重要であり、この時にネジの状態がチェックされます。しかし、メンテナンスを怠ると、ネジの緩みが悪化し、最終的にはインプラントの不安定化や破損、さらには周囲の骨組織に炎症を引き起こす原因となりえます。このように、アバットメントの緩みはインプラントの機能低下に直結するため、適切なケアと定期的なチェックが必要です。
インプラント周囲炎でインプラントが緩むことがありますか?
インプラント周囲炎が進行すると、インプラント体と顎の骨がうまく結合せず、ぐらつきや浮いたような感覚が生じます。これは、歯を支えている骨が炎症によって溶けてしまい、インプラントを支える力が弱くなるためです。インプラント周囲炎は、インプラント周囲のプラーク(歯垢)の蓄積が主な原因です。インプラントには歯根膜がないため、細菌による影響を受けやすく、炎症が急速に進行することがあります。
噛み合わせが合わないとインプラントの緩みにつながりますか?
噛み合わせのバランスが崩れることは、インプラントの緩みや破損につながる可能性があります。 天然の歯は噛む力に応じてわずかに動くことができますが、インプラントは骨に固定されているため、このような自然な動きができません。噛み合わせが悪いと、噛む際に発生する力がインプラントに集中し、その結果、インプラントやその周囲の骨に過剰な負担がかかります。この過剰な負担は、インプラント自体の緩みや、摩耗、そして破損の原因となることがあります。さらに、持続的な不均衡な力がインプラント周囲の骨にストレスを与えると、骨が徐々に吸収され、インプラントの安定性が損なわれ、ぐらつきやインプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まります。

また、噛み合わせの問題はインプラントの上部構造にも影響を及ぼし、過度の圧力により構造が欠けたり割れたりする可能性があります。これらの問題は、インプラントの機能性に大きく影響し、長期的な健康を損なう可能性があります。したがって、インプラントの緩みを防ぐためには、適切な噛み合わせの維持が重要です。

事前診断が不十分だとインプラントの緩みにつながりますか?
事前の診断が不十分な場合、インプラントの緩みや脱落のリスクが高まります。適切な診断を行わないと、骨の状態や全身の健康状態に基づいた適切な治療計画を立てることが難しくなります。まず、骨密度が低い場合、インプラントは骨にしっかりと結合することができず、治療後に動いたり緩んだりする可能性があります。特に上顎の骨は柔らかく密度が低いため、こうした問題が起こりやすいです。

次に、骨の厚みが不足している場合も問題です。骨が薄いと、インプラントが適切に支持されず、噛む力が均等に分散されないため、インプラントに過剰な負荷がかかり、緩みや脱落につながることがあります。

さらに、全身の健康状態も影響します。糖尿病や骨粗しょう症などの疾患があると、骨の再生能力が低下し、インプラントと骨の結合が十分に行われないことがあります。喫煙者は血流が悪化するため、インプラント治療の成功率が低下するリスクも考慮する必要があります。

したがって、事前の正確な診断が、インプラント治療の成功には非常に重要です。適切な診断を通じてこれらのリスクを事前に識別し、対策を講じることが、インプラントの安定と長期的な成功には不可欠です。

インプラントが緩んできたときの対処法

インプラントが緩んできたときの対処法

インプラントが緩んできたら歯科医院を受診するべきですか?
インプラントに不具合が生じた場合、自身で修理することはできません。ぐらつきや違和感を感じた際は、速やかに治療を受けた歯科医院に相談しましょう。また、受診時には、次のような情報を事前にまとめておくと診断がスムーズに進みます。
  • ぐらつきを感じ始めた時期(治療直後か、ある程度時間が経過してからか)
  • 外的要因の有無(口元をぶつけた、硬いものを噛んだなどの出来事があったか)
  • 生活習慣について(喫煙や歯ぎしりなど、インプラントに影響する可能性がある習慣)

上記の情報を正確に伝えることで、歯科医師が原因を特定しやすくなり、適切な治療を受けることができます。

アバットメントが原因でインプラントが緩んでいるときの対処法を教えてください
アバットメントが原因でインプラントが緩んでいる場合、いくつかの対処法が考えられます。アバットメントはインプラント体と上部構造を結びつける部分で、使用により時間とともに緩むことがあります。この問題に対処する一つの方法は、アバットメントのネジを締め直すことです。また、定期的なメンテナンスを行い、歯科医師によるチェックを受けることも重要です。この定期検診により、アバットメントの緩みを早期に発見し、適切な時期に締め直すことが可能となります。

また、緩みを防ぐために上部構造の材質を柔らかいものに変更することも対策の一つです。これにより、アバットメントにかかる負荷が軽減され、緩みにくくなります。

インプラント周囲炎が原因でインプラントが緩んでいるときの対処法を教えてください
インプラントの緩みの原因がインプラント周囲炎である場合、まずはその治療を開始します。インプラント周囲炎は一度発症すると完治が難しいとされていますが、以下のような治療が行われます。
  • 非外科的アプローチ
    専用の器具を使ってインプラント周囲の細菌や汚れを除去し、必要に応じて抗生物質を投与して炎症を抑える方法です。
  • 外科的アプローチ
    炎症が進行している場合には、メスで歯茎を切開し、感染した組織を取り除く外科的な治療が行われることもあります。

また、予防には、毎日の正しい歯磨きに加えて、定期的な歯科検診を受け、歯科医院で専門的なクリーニングやメンテナンスを行うことがおすすめです。

噛み合わせが原因でインプラントが緩んでいるときの対処法を教えてください
噛み合わせのバランスが原因でインプラントに問題が生じる場合、自覚しにくいため、歯科医院で確認してもらうことが大切です。診察では、噛み合わせの状態を丁寧に確認し、天然歯と上部構造が均等に噛み合うように調整を行います。

また、歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある場合は、インプラントや歯にかかる負担を軽減するために、就寝時にマウスピースを装着するなどの対策が取られることもあります。

すぐに歯科医院を受診できないときは?

すぐに歯科医院を受診できないときは?

インプラントが緩んでいて歯科医院をすぐ受診できない場合に注意することを教えてください
インプラントにぐらつきや違和感を感じると、つい何度も噛んで確認したり、指で触ってしまう方がいます。しかし、インプラントに不必要な負荷がかかると、症状が悪化する原因となるため、できるだけ触らず、該当するインプラント側で食べ物を噛まないようにしましょう。不安を感じた場合は、早めに歯科医院に連絡し、受診までの過ごし方についてアドバイスをもらうことをおすすめします。
インプラントの部品が外れてしまったときにすぐに歯科医院を受診できない場合、どうすればよいですか?
インプラントのパーツが外れてしまった場合、無理に元の位置に戻さず、紛失しないように保管したうえで、早めに歯科医院に連絡してください。パーツを戻しても自然にくっつくことはなく、逆に細菌が入り込んで感染を引き起こすリスクがあります。

外れたパーツの状態によっては、修理や再治療の際に再利用できる場合もあるため、清潔な状態で保管し、歯科医院に持参しましょう。

インプラントが緩んでいるときに歯磨きで注意することを教えてください
ぐらついているインプラントを悪化させないために優しく扱うことは大切ですが、清潔に保つことも炎症を防ぐためには欠かせません。歯磨きをしないまま放置すると、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まります。力を入れて強く磨くのは避け、インプラント周囲を丁寧に優しくケアするよう心がけましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラントが緩む原因についてお伝えしてきました。インプラントが緩む原因の要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラントが緩む主な原因はアバットメントの緩みで、その他にはインプラント周囲炎、噛み合わせのバランスが崩れることなどがある
  • インプラントが緩んできたときの対処法は、緩みの原因によって異なるため、早めに歯科医院へ相談することが大切
  • インプラントが緩んできたときにすぐに歯科医院を受診できないときは、できるだけ触らず、該当するインプラント側で食べ物を噛まないようにして、早めに歯科医院に連絡し、受診までの過ごし方についてアドバイスをもらう

インプラントはさまざまな原因で緩む可能性があります。定期的に歯科医院でメンテナンスを行い、緩みを感じたら放置せずに対処しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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