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インプラントの寿命はどれくらい?寿命が来た時の交換が必要なサインや交換費用も併せて解説します

 公開日:2025/01/15

インプラントは、ご自身の歯のような自然な見た目で歯を補う治療法ですが、ずっと使い続けられるわけではありません。また、寿命はメンテナンスや生活習慣によって異なり、交換が必要な場合もあります。

本記事ではインプラントの寿命はどれくらいなのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントの寿命とは
  • 寿命がきたインプラントの交換について
  • 寿命がきたインプラントの交換費用

インプラントの寿命はどれくらいなのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

インプラントの寿命とは

インプラントの寿命とは

インプラントの平均寿命はどれくらいですか?
インプラントの平均寿命は約10〜15年とされていますが、適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで20年、さらには30年以上の長期使用も可能な場合があるとされています。また、40年以上使用できた例もあるようです。

厚生労働省のデータによれば、インプラントの残存率は上顎で90%程度、下顎で94%程度とされ、90%以上の方が10年以上使用できる結果が示されています。ただし、メーカーによって残存率が10%程度変わることがあります。さらに、メンテナンスを怠ると寿命が短くなる場合があるため、日々のケアと歯科医院での定期検診が重要です。

インプラントの寿命を縮める要因を教えてください
インプラントの寿命を縮める主な要因は以下のとおりです。
  1. メンテナンス不足
    インプラント周囲の清掃を怠ると、プラークの蓄積によりインプラント周囲炎が発生します。この感染症が進行すると、骨の吸収が進み、インプラントが脱落するリスクが高まります。
  2. 喫煙
    喫煙は血流を悪化させ、骨とインプラントの結合(オッセオインテグレーション)を妨げます。また、術後の傷の治癒を遅らせ、感染症のリスクを増大させるため、寿命を縮める原因になります。
  3. 歯ぎしりや食いしばり
    過剰な歯ぎしりや食いしばりがインプラントに負担をかけ、動揺や破損の原因となります。これを防ぐには、ナイトガードの使用や噛み合わせ調整が有効とされています。
  4. 全身的な健康状態の悪化
    糖尿病や骨粗しょう症などの疾患は、骨の質を低下させ、インプラントの安定性に影響を与えることがあります。
  5. 低品質なインプラントの使用
    安価なインプラントや経験の少ないメーカーの製品は、耐久性や骨との適合性に問題が生じることがあり、結果的に寿命を縮めることがあります。

上記の要因によってインプラントの寿命は縮まるとされていますが、適切なケアと定期的な歯科診療を心がけることで、インプラントを長持ちさせることにつながります。

インプラントの寿命を延ばすためのケア方法を教えてください
インプラントの寿命を延ばすためには、日々のセルフケアと歯科医院でのメンテナンスが重要です。以下に、具体的な方法を挙げて解説します。
  1. 日々のセルフケア
    正しい歯磨き方法を習得し、毎日丁寧に歯を磨くことが基本です。デンタルフロスや歯間ブラシを使用することで、歯と歯の間やインプラント周囲のプラークを効率的に除去できます。また、やわらかい歯ブラシを選ぶことで、歯茎やインプラントへの負担軽減につながります。
  2. 定期的な歯科医院でのメンテナンス
    歯科医院での定期健診では、専門的なクリーニングでプラークや歯石を除去し、インプラント周囲炎を未然に防ぎます。また、噛み合わせやインプラント周囲の状態を細かくチェックし、必要に応じて早期治療を行います。定期診療の頻度は3〜6ヶ月に1回程度が目安です。
  3. 歯ぎしり・食いしばりの対策
    歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過剰な力をかけ、寿命を縮める原因となります。そのため、歯ぎしりや食いしばりがある方は、ナイトガード(マウスピース)を使用することで、インプラントにかかる過剰な負担の軽減につながります。
  4. 喫煙の制限
    喫煙は血流を悪化させ、インプラントの骨との結合を妨げます。禁煙または減煙をすることで、口腔内の健康を維持し、インプラントの長期使用につながります。

これらの方法を日々実践することで、インプラントの長持ちにつながります。

寿命がきたインプラントの交換について

寿命がきたインプラントの交換について

寿命がきたインプラントは交換できますか?
寿命が来たインプラントは基本的に交換できます。ただし、交換にはインプラント周囲の骨や歯茎の状態が大きく影響するため、骨の吸収が進んでいる場合は骨再生治療が必要になることもあります。交換時には新しいインプラントを適切に埋入するために専門的な診断と計画が重要であるため、歯科医師に相談して交換を検討しましょう。
インプラントの交換が必要なサインを教えてください
インプラントの交換が必要なサインとして、インプラント周囲の腫れや赤み、噛む際の痛みや違和感、さらにはインプラントの動揺(グラつき)が挙げられます。これらの症状はインプラント周囲炎や構造的な問題を示している可能性があり、早急な診察が必要です。

また、被せ物(クラウン)の緩みや破損も交換や修理が必要なサインとなります。
これらの症状を放置すると、状態が悪化して治療が困難になることがあるため、異常を感じたら、早めに歯科医院で診察を受け、必要な対応を相談することが大切です。

寿命がきたインプラントを交換せずに放置するリスクを教えてください
寿命がきたインプラントを交換せずに放置すると、以下のようなリスクが生じます。
  1. インプラント周囲炎の悪化
    放置することでインプラント周囲炎が進行し、歯茎の腫れや痛み、膿の発生、ひどい口臭を伴うことがあります。進行すると顎の骨が溶け、インプラントの脱落や再手術が難しくなる場合もあります。また、細菌が血流を通じて全身に広がり、心疾患や糖尿病などの全身疾患を引き起こすリスクもあります。
  2. 歯列や噛み合わせの崩れ
    インプラントの不調を放置すると、噛み合わせが乱れ、顎関節症や頭痛、肩こり、腰痛といった全身の不調につながります。また、骨への負荷が偏ることで顎の骨が変化し、顔立ちに変化が生じる場合もあります。
  3. 健康な歯や骨への影響
    不調のあるインプラントは周囲の健康な歯や骨にダメージを与え、ほかの歯の動揺や損傷が生じる可能性が高まります。

これらのリスクを避けるためにも、インプラントの異常を感じたら早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

寿命がきたインプラントの交換費用

寿命がきたインプラントの交換費用

寿命がきたインプラントの交換費用はどれくらいですか?
インプラントの交換費用は、1本あたり30〜60万円程度が目安とされています。ただし、実際の費用はインプラントの種類や治療範囲、患部の状態、さらに治療の難易度によって大きく異なります。また、骨移植や組織再生治療が必要な場合は追加費用が発生することもあります。
保証期間内であれば交換費用が無料、または一部負担で済む場合もあるため、事前に保証内容を確認し、費用の見積もりを依頼することをおすすめします。
寿命がきたインプラントの交換は保険適用されますか?
インプラント治療は基本的に自由診療(保険適用外)ですが、一部の条件下では例外的に保険が適用される場合があります。

例えば、先天性疾患や事故による顎骨の大きな欠損で、咀嚼機能の回復が目的の場合には保険適用の可能性があります。ただし、交換に関してはほとんどの場合が保険適用外となり、費用は全額自己負担となる傾向があります。

具体的な適用条件や補助制度については、治療を受ける歯科医院や加入している健康保険組合に確認することが大切です。また、一部自治体ではインプラント治療への助成金制度がある場合もあるため、地域の医療福祉窓口に相談するとよいでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでインプラントの寿命はどれくらいなのかについてお伝えしてきました。インプラントの寿命はどれくらいなのかの要点をまとめると以下のとおりです。

  • インプラントの平均寿命は10〜15年程度とされているが、適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで20年、さらには30~40年以上の長期使用できることもある
  • 寿命が来たインプラントは基本的に交換できるが、交換にはインプラント周囲の骨や歯茎の状態が大きく影響するため、骨の吸収が進んでいる場合は骨再生治療が必要になることもある
  • インプラントの交換費用は、1本あたり30〜60万円程度が目安とされているが、実際の費用はインプラントの種類や治療範囲、患部の状態、さらに治療の難易度によって大きく異なる

インプラントの寿命はどれくらいなのかやインプラントの交換費用について理解していただけたかと思います。

これらの情報が少しでもインプラントの寿命はどれくらいなのかについて知りたい方のお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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