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オールオン4の術後に気をつけることは?食事や生活の注意点、痛みや違和感への対策を解説

 公開日:2024/12/11

インプラント治療の一種であるオールオン4には、必ず外科手術を伴います。顎の骨にドリルで穴を開けて、チタン製の人工歯根を埋め込む外科手術には、いろいろな不安を感じている方もいるのではないでしょうか。ここではそんなオールオン4の術後の食事や生活面での注意点、痛みへの対策方法などを詳しく解説します。オールオン4の手術に関する疑問や不安がある方は参考にしてみてください。

オールオン4手術の流れ

オールオン4手術の流れ はじめに、オールオン4手術の基本事項を確認しておきましょう。

オールオン4手術の流れを教えてください
一般的なオールオン4手術は、以下の流れで進行します。

【STEP1】手術前のクリーニング
オールオン4の手術を行う前には、口腔内をきれいに清掃する必要があります。プロフェッショナルクリーニングによって、口腔内の細菌数を可能限り減少させ、手術中・手術後の細菌感染のリスクを抑えます。

【STEP2】麻酔処置
オールオン4の治療を行う部位に局所麻酔を施します。外科手術への不安感や恐怖心が強い場合は、静脈内鎮静法を併用することがあります。腕の静脈から点滴の要領で鎮静剤を投与することで、半分眠ったような状態でオールオン4手術を受けられます。

【STEP3】人工歯根の埋入
オールオン4では、片側の顎に4本の人工歯根を埋入します。ケースによっては、6本の人工歯根の埋入が必要となることもあります。

【STEP4】仮歯の装着
人工歯根に仮歯を装着したら手術は完了です。オールオン4は、仮歯を装着した直後から噛めるようになります。

オールオン4手術は1日で完了しますか?
オールオン4手術は、基本的に1日で完了します。患者さんの顎や全身の状態によっては、1日で完了しない場合もありますので、その点は事前に確認しておく必要があります。
オールオン4の仮歯はどのくらいの期間入れますか?またその間の注意点を教えてください。
オールオン4の仮歯は、手術から3ヵ月程度は装着することになります。その間、きちんとした歯磨きができていないと、上部構造の製作へと移行できないため、十分な注意が必要です。また、オールオン4の仮歯はあくまで仮の歯であることから、食事の内容にも配慮しなければなりません。極端に硬い食べ物や粘性の高い食べ物を噛むと、仮歯が割れたり、外れたりするおそれがあります。

オールオン4の手術後の注意点

オールオン4の手術後の注意点 次に、オールオン4手術を受けた後の注意点を解説します。

オールオン4の手術当日に気をつけることはありますか?
オールオン4手術を受けたその日は、口腔内に大きなケガをしている状態と同じです。そのため全身の血流が良くなるような行為は、可能な限り控えるようにしましょう。具体的には、熱い湯船に浸かる、スポーツなどの激しい運動をする、お酒を飲むことは避けてください。喫煙は、タバコに含まれる成分が口腔組織の血流を悪くすることで傷の治りを遅らせ、歯周病のリスクも増大させるので、手術後はもちろんのこと、それ以降も禁煙するのが望ましいです。また、オールオン4手術では、局所麻酔の投与量が多くなるだけでなく、認知機能が一時的に低下する静脈内鎮静法を併用することもあるため、当日は車やバイク、自転車を運転しないようにしてください。
オールオン4の術後当日から食事は可能ですか?
オールオン4では、しっかりとした仮歯を人工歯根の埋入手術と同時に装着するため、その日から食事が可能となります。ただし、人工歯根はまだ顎の骨に定着しておらず、仮歯も暫定的な人工歯であることから、食事では軟らかい食べ物を選ぶ必要があります。フランスパンやナッツ類、おせんべいなどは、上部構造を装着するまで控えてください。オールオン4の手術から1ヵ月半くらい経過すると、人工歯根の定着が進み、噛み応えのある食べ物も徐々に食べられるようになります。
オールオン4の手術後に違和感があることは普通ですか?
オールオン4の手術では、顎の骨にチタン製の人工歯根を複数埋め込み、仮歯を装着します。これだけの処置を施せば、違和感が生じない方が珍しいといえます。そもそも私たちの口腔は、髪の毛が1本入っただけでも違和感で不快になるくらいデリケートな器官なのです。そのためオールオン4の手術後の違和感に関しては、それ程深刻に考える必要はないといえます。もちろん、その違和感が数週間に及んだり、痛みに変わったりするような場合は、何らかの異常が疑われるため、主事に相談することが推奨されます。

オールオン4手術後のトラブル

続いては、オールオン4手術後のトラブルについて解説します。

オールオン4の手術後、歯茎や顎に腫れや痛みが出る原因は何ですか?
オールオン4の手術後は、外科処置に伴う影響で、歯茎や顎に腫れや痛みなどの症状が現れます。これは歯周組織に炎症反応が生じているからであり、生理的な現象の範囲内ととらえても問題はありません。もちろん、患部は外傷を負っている状態なので、治癒が遅れるような行為は避けるようにする必要があります。手術後しばらく経過しても歯茎や顎の症状が治まらない場合は、細菌感染などのトラブルが考えられることから、放置はせず主治医に報告する必要があります。
オールオン4の手術後に歯のぐらつきを感じる場合は問題が生じていますか?
オールオン4の手術で埋入した人工歯根は、時間をかけて顎の骨に定着していくため、手術直後から無理な力をかけるとぐらつきが生じる点に注意が必要です。手術後、歯科医師の指示どおりに生活しているにも関わらず、歯のぐらつきを感じた場合は、人工歯根の埋め込み位置のずれ、人工歯根と顎の骨が結合していない、インプラント周囲炎を発症しているなどのトラブルが発生している可能性があるため、早急に歯科で診てもらいましょう。
オールオン4の手術後に受診した方がよいケースを教えてください。
オールオン4の手術後に、我慢ができない程の痛みが生じている、顎が異常なくらい腫れている、歯がグラグラして軟らかい食べ物も噛めない、仮歯や人工歯根が脱落した場合は、できるだけ早く歯科を受診してください。主治医に診てもらう際には、これまでの経過などもきちんと伝える必要があります。

オールオン4の手術後の痛みや違和感への対策

ここでは、オールオン4手術の後の痛みや違和感を減らす、あるいは予防する方法について解説します。

オールオン4の手術前にできる対策があれば教えてください。
オールオン4の手術を受ける前は、まず全身の健康管理を徹底することが大切です。全身の健康状態が悪いと、免疫力が下がって手術中・手術後の細菌感染が起こりやすくなります。歯周病を患っている方は、事前にしっかりと歯周病治療を受けておくことが必須となります。歯周病は、顎の骨を破壊する病気で、人工歯根を顎骨に埋入するオールオン4治療の天敵ともいえます。それに加えて、設備の整った歯科医院を選んでおくと、精度や安全性の高い手術が受けられ、手術後のトラブルも未然に防ぎやすくなるでしょう。
オールオン4の手術後も定期的にメンテナンスが必要ですか?
インプラント治療において、手術後の定期的なメンテナンスは必須です。それはオールオン4も例外ではありません。オールオン4手術後の定期的なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まる、上部構造やアバットメントの不具合を放置することになる、セルフケア方法に誤りがあっても修正できないなどのデメリットが生じます。また、多くのオールオン4治療には保証が付いてきますが、手術後の定期的なメンテナンスを受けていないと、その権利もなくなってしまうため、十分な注意が必要です。とりわけオールオン4は、片側の顎だけでも数百万円の費用がかかる治療法だけに、保証の価値のそれだけ高くなっているといえます。オールオン4の手術後のメンテナンスなど、一定の条件を満たしてれば、上部構造の修理や交換、インプラントの再埋入を無償で受けることも可能なのです。

編集部まとめ

今回は、オールオン4の手術後の食事や生活上の注意点、痛みや違和感への対策について解説しました。オールオン4は、人工歯根の埋入と同時に仮の歯を装着できるため、手術当日から噛めるようになりますが、しばらくは軟らかい食べ物を選んで食事をとることが大切です。手術後の痛みや腫れが数週間続いたり、症状が強くなったりする場合は、何らかのトラブルが疑われるため、早急に主治医に相談しましょう。また、オールオン4を長持ちさせるためには、手術後の定期的なメンテナンスが重要となることをあらためて強調しておきます。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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