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オールオン4手術後に歯茎に感じる違和感とは?違和感の原因や予防方法を徹底解説します!

 公開日:2025/01/15

オールオン4手術を受けた後、歯茎に違和感を覚える方は少なくありません。この違和感は、術後の回復過程や新しい義歯に慣れるための一時的な現象のようです。原因や適切な対処法を知っておくことで、より快適な生活を送るための手助けとなるでしょう。

本記事ではオールオン4手術後に感じる歯茎への違和感について以下の点を中心にご紹介します。

  • オールオン4のメリットとデメリット
  • オールオン4手術後に感じる歯茎への違和感の原因
  • オールオン4手術で歯茎に怒る違和感を防ぐ方法

オールオン4手術後に感じる歯茎への違和感について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

オールオン4とは

オールオン4とは

オールオン4とは、わずか4本のインプラントを顎の骨に埋め込むことで、片顎全体の人工歯を支えるインプラント治療の一種です。従来の総入れ歯よりも安定感があり、自然な噛み心地を実現するため、生活の質の向上が期待できます。

オールオン4の特徴を以下で詳しく解説します。

  • 歯茎を再現したデザイン
    オールオン4には、歯茎に似せたピンク色の構造が組み込まれており、見た目も自然に仕上がるのが特徴です。総入れ歯のように義歯床と呼ばれる大きなパーツは必要なく、よりシンプルで快適な装着感を実現しています。オールオン4を取り入れた歯茎部分は審美性を高めるため、見た目が気になる方でも取り入れやすいのがポイントです。
  • ネジで固定するため安定性が期待できる
    オールオン4は、顎骨に埋め込んだインプラントに義歯をネジで固定します。ネジの仕組みは家具などで用いられる技術に近く、必要に応じて歯科医師が取り外しての調整が可能とされています。ただし、患者さん自身で取り外すことはできません。固定式であるため、装着中のずれや動きの心配がなく、快適な日常生活が送れます。

オールオン4のメリット・デメリット

オールオン4のメリット・デメリット

オールオン4は画期的な治療法である一方で、すべての患者さんにおすすめできるわけではありません。オールオン4のメリットとデメリットを以下で詳しく解説します。

メリット

  1. 患者さんへの負担が少ない
    オールオン4は少ない本数のインプラントを活用するため、体への侵襲を抑えられるようです。従来のインプラント治療よりも治療過程がシンプルで、手術後の負担が軽減される点がメリットです。
  2. 治療期間の短縮
    抜歯からインプラントの埋め込み、仮歯の装着までを1日で完了できるケースがあります。手術後すぐに食事が可能となる場合があり、日常生活への影響が少ないのも大きなメリットです。
  3. 自然な噛み心地
    インプラントが顎骨にしっかり固定されるため、義歯が動く心配がなく、自然な噛み心地が期待できます。硬いものや繊細な食材も快適に楽しめるようになります。
  4. 発音への影響が少ない
    総入れ歯では、歯茎を覆う構造が発音に影響を与える場合がありますが、オールオン4はそのような心配が少ないようです。スムーズに発音できるため、治療前と変わらない会話を楽しめます。
  5. 見た目の改善
    オールオン4は審美性が高く、歯を失ったことで起こる顔のしぼみや老けた印象を解消する効果が期待できます。若々しく健康的な口元を取り戻せるため、笑顔にも自信を持てるでしょう。
  6. 噛む力が強い
    総入れ歯に比べて噛む力が強く、天然の歯に近い構造を持つため、食事の楽しみが増します。顎骨を直接サポートする構造が、自然な食感を再現します。
  7. 違和感が少ない
    総入れ歯で感じるような歯茎や粘膜を覆う不快感がなく、装着感が良好です。また、口内の異物感が少ないため、スムーズに日常生活に馴染めます。
  8. 痛みが少ない
    オールオン4は義歯と歯茎の間に食べ物が挟まる心配が少なく、痛みや炎症のリスクを軽減します。天然歯に近い設計なので、快適な使用感が期待できます。
  9. 外れる心配が少ない
    インプラントで固定されているため、義歯が外れたり落ちたりすることが少ないのもメリットです。
  10. 顎の骨を守る
    インプラントが骨に直接刺激を与えるため、骨が痩せるのを防ぎます。顔のハリを維持し、長期間にわたり美しい見た目を保つことが期待できるでしょう。

オールオン4は、見た目と機能性を両立させた治療法です。上記のメリットを考慮しながら、自身に合った治療法を検討しましょう。

デメリット

  1. 手術が必要になる
    オールオン4では、インプラントを顎の骨に埋め込むため外科手術を伴います。手術は当日に終わることがあるものの、事前の検査や術後のケアが必要になります。
  2. 天然歯を抜歯する必要がある
    治療の特性上、オールオン4はすべての歯を人工歯に置き換えるため、残っている歯があっても抜歯が必要です。まだ機能している歯を失うことへの心理的抵抗感がある場合は、オールオン4を慎重に検討する必要があります。
  3. 奥部の歯が設置できない
    オールオン4では、インプラントの負担を軽減するため、奥の歯を設置しない設計になっています。よって、咀嚼力の分散が制限され、場合によっては噛み心地に違和感を感じることがあります。
  4. 骨量が不足している場合の制限
    オールオン4は骨量が少ない場合にも対応できる柔軟性がありますが、極端に骨が薄い場合は骨造成や骨移植といった追加手術が必要になる可能性があります。よって、治療期間が長引く可能性があります。
  5. 治療が適用できない場合がある
    健康状態や口腔の状況によって、オールオン4を選択できない場合があります。例えば、むし歯や歯周病が進行している場合や、全身疾患(糖尿病や心疾患など)がある場合には、治療を受けられないことがあります。
  6. 仮歯がその日に装着できないことがある
    手術当日に仮歯を装着できることが多いようですが、骨の状態やインプラントの安定性によっては、仮歯の装着が難しい場合があります。よって、治療の進行が遅れる可能性もあります。
  7. 高度な技術が必要
    オールオン4は、4本のインプラントで12本の義歯を支える特殊な技術を要するため、治療を行う歯科医師には高い専門性が求められます。よって、この治療を受けられる医院が限られている場合があります。
  8. 治療費が高額
    オールオン4は自費診療であり、総入れ歯に比べて費用が高いのが現実です。ただし、従来の1本ずつインプラントを埋め込む治療よりはコストを抑えられる場合もあります。
  9. 定期的なメンテナンスが必要
    オールオン4は定期的なメンテナンスを受ければ、長期的に良好な状態を保てます。しかしメンテナンスは、時間や費用がかかることから、患者さんの負担となる場合があります。また、メンテナンスを怠るとトラブルが発生する可能性もあります。

オールオン4を選択する際は、上記のデメリットを踏まえ、自身の生活スタイルや健康状態に合っているかを十分に検討しましょう。

オールオン4手術後に歯茎に違和感を覚える原因

オールオン4手術後に歯茎に違和感を覚える原因

オールオン4手術後に歯茎に違和感を感じるのは、患者さんがよく経験する症状です。 歯茎に違和感を覚える原因を以下で解説します。

歯茎や顎の骨の炎症

手術による組織への刺激や傷口の治癒過程で、歯茎や顎の骨に炎症が起きる可能性があります。炎症が起きると、歯茎や顎が腫れたり赤くなったりし、痛みや出血を伴うこともあります。症状は数日〜数週間で収まるようですが、場合によっては長期間にわたることもあるため、注意が必要です。

インプラント周囲炎

オールオン4の治療後に注意すべきトラブルに「インプラント周囲炎」があります。インプラントを支える歯茎に炎症が起こる疾患で、適切なケアが不足すると発症しやすくなります。

インプラント自体は人工物でむし歯になることはありませんが、周囲の歯茎や顎骨は天然の組織であり、ケアを怠ると健康を損なう可能性があります。

位置や角度、深さがズレている

オールオン4の手術では、インプラントを正確な位置や角度、深さで埋め込むことが重要です。位置や角度がわずかにでもずれると、噛み合わせのバランスが崩れる可能性があり、食事や会話時に違和感を覚える原因となります。適切に噛めない、義歯が不安定に感じるといった問題が生じる場合があります。

骨と結合していない

オールオン4治療において、インプラント体が顎の骨と適切に結合しない場合、手術後にぐらつきや違和感を感じる可能性があります。

骨とうまく結合できていない原因は、骨の質や量の問題、手術時のトラブル、全身的な健康状態、細菌感染などが挙げられます。これは、インプラント治療の成功において重要な過程であるオッセオインテグレーション(骨結合)がうまく進まないことが原因です。

この結合が成立しない場合、インプラントの安定性が低下し、義歯がしっかり固定されなくなる可能性があります。

オールオン4手術で歯茎に起こる違和感を防ぐ方法

オールオン4手術で歯茎に起こる違和感を防ぐ方法

オールオン4手術で歯茎に起こる違和感を防ぐ方法はあるのでしょうか。
以下に詳しく解説します。

しっかりと歯磨きする

オールオン4治療を受けた後は、日々の歯磨きを丁寧に行うのが大切です。インプラントは天然歯のように歯根膜がないため、細菌感染に対する防御力が弱く、歯周病を発症すると進行が速くなる可能性があります。そのため、入念なケアを心がける必要があります。
また、適切な歯磨きとケアを続けることで、インプラントの長持ちも期待ができます。よって、治療後の快適さを保ち、歯周病などのトラブルを防げるでしょう。

手術前にむし歯や歯周病の治療を終わらせておく

オールオン4の手術を成功させるために、事前にむし歯や歯周病の治療を済ませておくことが重要です。歯周病が治療されていない状態では、インプラント周囲炎のリスクが高まり、インプラントが顎の骨としっかり結合しない可能性があります。これは手術後のトラブルにつながるため、注意が必要です。
歯周病が進行していると、インプラント周囲の組織が健康でなくなり、骨とインプラントが結合する「オッセオインテグレーション」が妨げられる可能性があります。これは、インプラントの安定性が低下し、ぐらつきや感染の原因となる場合があるとされています。

禁煙する

オールオン4の治療を検討し始めた時点から、禁煙を始めるのがおすすめです。喫煙は口腔内の健康にさまざまな悪影響を及ぼし、インプラント治療の成功を妨げる要因のひとつです。

タバコに含まれるニコチンは血流を悪化させ、歯茎や骨への酸素や栄養の供給を妨げるため、インプラントと骨がしっかり結合するプロセスを阻害します。

また、喫煙がオールオン4の治療に悪影響を与える影響は以下のとおりです。

  • 治癒力の低下
    喫煙により血液循環が悪化し、術後の傷の治りが遅くなることがあります。術後の回復期間が延びたり、感染リスクが高まったりする可能性があります。
  • 細菌感染のリスク増加
    タバコは口腔内の唾液量を減少させ、自浄作用を弱めます。よって、細菌が増殖しやすくなり、インプラント周囲炎のリスクを高めることがあります。
  • インプラントの安定性への影響
    喫煙による血行不良は、インプラントと骨の結合を妨げ、長期的な安定性に悪影響を及ぼす可能性があります。

定期的にメンテナンスを受ける

オールオン4の治療を成功させ、長期間快適に使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。治療が完了した時点で終わりではなく、その後も継続的に歯科医院でのチェックをが大切です。このメンテナンスにより、インプラントの状態を確認し、早期に問題の発見・対処ができる可能性があります。 メンテナンスでは以下のようなことが行われます。

  • 歯周病や炎症の予防
    インプラント周囲炎のリスクを抑えるため、歯茎や骨の状態を定期的に診断します。必要に応じてクリーニングを行い、細菌の増殖を防ぎます。
  • 口腔の健康維持
    メンテナンスにより、口腔内の清潔さを保ち、口臭の予防や全体的な健康維持にもつながります。またメンテナンスは、治療直後から1年目までは3~4ヶ月に1度のペースで通院し、治療箇所の状態を細かくチェックする必要があります。

そして2年目以降は、安定している場合でも、年に1回の歯科医院での検診がおすすめとされています。

オールオン4治療後の歯茎の違和感は放置せず歯科医院に相談しよう

オールオン4治療後の歯茎の違和感は放置せず歯科医院に相談しよう

オールオン4治療後に歯茎や義歯に違和感や不快感を感じた場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。軽度の違和感を放置してしまうと、インプラント周囲炎やその他の合併症を引き起こすリスクが高まります。 最悪の場合、インプラントが安定せず脱落してしまう可能性もあるため、些細な症状でも早急に対応することが求められます。 お口の中の違和感を放置していると、以下のようなことが起こる可能性があります。

  • 治療の複雑化
    トラブルを放置すると、治療がさらに難しくなり、追加の手術や処置が必要になることがあります。よって、治療期間が延び、費用が増加する可能性もあります。
  • インプラント周囲炎の発症
    違和感が炎症や感染の初期症状である場合、放置するとインプラント周囲炎へと進行する可能性があります。この状態では、顎の骨が損傷し、インプラントが支えを失うことがあります。

まとめ

まとめ

ここまでオールオン4手術後に感じる歯茎への違和感についてお伝えしてきました。 オールオン4手術後に感じる歯茎への違和感の要点をまとめると以下のとおりです。

  • オールオン4とは、わずか4本のインプラントを顎の骨に埋め込むことで、片顎全体の人工歯を支えるインプラント治療の一種である。従来の総入れ歯よりも安定感があり、自然な噛み心地を実現するため、生活の質の向上が期待できる
  • オールオン4のメリットは、患者さんへの負担が少ないこと、治療期間の短縮が可能とされていること、自然な噛み心地が期待できること。デメリットは手術が必要になる可能性があること、天然歯を抜歯する必要があること、治療が適用できない場合があることなどが挙げられる
  • オールオン4手術後に歯茎に違和感を覚える原因は、位置や深さがずれていたりインプラント周囲炎を引き起こしたりしている可能性がある。これらの症状を引き起こさないために、定期的に歯科医院で検査を受ける必要がある

少しでもお口のなかに異変を感じた場合は、自己判断せずに歯科医師に相談し、健康な口腔環境を維持するための方法を見つけていきましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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