TVCMでよく見る、歯周病予防のガムや歯磨き粉は本当に効くの?
こんにちは、埼玉県さいたま市浦和区にある『ナカニシデンタルクリニック』院長で日本歯周病学会歯周病専門医の中西伸介と申します。
現在では様々なガムや歯磨き粉が販売されていますが目的によってそれぞれ有効成分や効果別に分類されて販売されています。
その効果は実際のところどうなのか?どんな種類のものを選べば良いのか?その辺りのお話をさせていただきます。
目次 -INDEX-
一番大事なのはブラッシング
まずお伝えしたいのは当然ブラッシングをしっかりしなければいけません。
プラークコントロールの確立が得られなければ優れたガムや歯磨剤の有効成分があっても効果は得られません。
ガムはどんな効果があるの?
ガムを噛むことにより唾液がたくさん分泌されます。唾液がたくさん出ることにより自浄作用が働き口腔内のpHも中性に近づきます。
またはの再石灰化を促し虫歯予防にも繋がります。
ガムの有効な成分は?
・キシリトール
ガムの成分としてかなり有名ですが効果は歯周病というよりは虫歯予防に役立ちます。
作用機序としては口腔内に残った糖類を元にミュータンス菌が酸を出します。その結果唾液のpHが下がり口腔内が酸性の環境になり歯の表面が溶けてしまいます(脱灰)。そこにキシリトールが働きかけて再び歯の表面を修復します(再石灰化)
・ラクトフェリン
歯周病原因菌は毒素としてLPSを持っていますがラクトフェリンはそのLPSと結合することにより働きを抑制し無毒化します。またTNF-αと呼ばれる歯周組織の炎症性サイトカインを増加させない働きがあります。他にも歯肉の炎症が強くなると歯肉溝からの滲出液が増加しますがラクトフェリンは抑制させる働きがあると報告されています。
歯磨き粉にはどんな効果があるの?
歯磨き粉を使用することにより発泡し歯の汚れ(プラークや着色)を効率よく除去できます。歯の表面を滑沢にすることによりプラークが再びつきにくくする効果があります。他にも歯の白さを取り戻す、口臭予防などがあります。
薬用成分も様々な効能があります。
歯磨き粉の薬用成分は?
・殺菌成分
イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
様々な菌に対して殺菌・静菌作用がありバイオフィルム(細菌の塊)に浸透して効果を発揮します
塩化セチルビリジニウム(CPC)
浮遊菌を殺菌することで虫歯や口臭を予防します
ラウロイルサルコシンNa(LSS)
浮遊菌を殺菌し口臭を予防します
塩酸クロルヘキシジン
虫歯や歯周病原因菌に対して殺菌効果があります。
・プラーク(歯垢)除去
デキストラナーゼ
酵素の力でプラークを分解します
・虫歯予防成分
フッ化ナトリウム(NaF)
モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)
歯の再石灰化を促し虫歯を予防します
・歯周病予防成分
ビタミンE
酢酸トコフェノール
歯周病病原菌が出す毒素LPSが歯肉上皮細胞層を透過する量を低下させることによりバリア機能を向上させます
アスコルビン酸ナトリウム
歯周組織内のコラーゲンなどの代謝を活性化し、歯肉の炎症や出血を抑制します
トラネキサム酸(TXA)
β-グリチルレチン酸
歯肉の炎症や出血を抑制します
・知覚過敏予防成分
硝酸カリウム(KNO3 )
痛みの伝達を抑えることで知覚過敏症状を抑えます
乳酸アルミニウム
歯の表面の微細な穴(象牙細管)を閉鎖することで症状を抑えます
まとめ
いかがでしたでしょうか?ガムや歯磨剤には様々な成分が入っており各社それぞれの特色がある製品を出しています。有効成分を少し気にして見ていただければそれぞれの製品を選ぶ基準ができてくると思います。
しかしながら歯周病予防に一番重要になってくるのはプラークコントロールです。日々のブラッシングを怠っていては効果はもちろん発揮できませんのでそのあたりは十分に気をつけていただければと思います。
また有効成分の中には日本の薬事法上濃度を上げられないものもあります。
この成分が入っているから大丈夫と過信するのはやめましょう。これらのことを踏まえていくとより高次元のプラークコントロールが可能になり歯周病の予防に効果的になってきます。またかかりつけの歯科医院でのメンテナンスやプロフェッショナルケアを受診することも重要となってきますのでぜひ歯周病認定医・専門医在籍の医院で受診されることをおすすめします。