目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 歯科TOP
  3. 矯正歯科TOP
  4. インプラントオーバーデンチャーのアタッチメントは何種類ある?特徴を解説します

インプラントオーバーデンチャーのアタッチメントは何種類ある?特徴を解説します

 公開日:2025/09/14
インプラントオーバーデンチャーのアタッチメントは何種類ある?特徴を解説します

インプラントオーバーデンチャーは、少数のインプラントで入れ歯をしっかりと固定する治療法です。その安定性を実現しているのが、インプラントと入れ歯を連結するアタッチメントと呼ばれる部品です。 しかし、アタッチメントにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

本記事ではインプラントオーバーデンチャーのアタッチメントについて以下の点を中心にご紹介します。

  • インプラントオーバーデンチャーとは
  • インプラントオーバーデンチャーのアタッチメント
  • インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット

インプラントオーバーデンチャーのアタッチメントについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

松浦 明

監修歯科医師
松浦 明(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック

出身大学
福岡歯科大学

経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任

資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医

所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

インプラントオーバーデンチャーの概要

インプラントオーバーデンチャーの概要

インプラントオーバーデンチャーはどのような治療方法ですか?

インプラントオーバーデンチャーは、数本のインプラントを顎の骨に埋め込み、入れ歯をアタッチメントで固定する治療法です。この方法は総入れ歯の方におすすめで、通常の総入れ歯は歯茎の吸着力で安定しますが、大きな食べ物や硬い物を噛むと外れたりずれたりしてしまいます。 一方、インプラントオーバーデンチャーはインプラントでしっかりと入れ歯を支え、どのようなものでも外れることなく噛むことができます。

インプラントオーバーデンチャーの特徴を教えてください

インプラントオーバーデンチャーの主な特徴は、インプラントを土台にして入れ歯を固定する点です。入れ歯が安定することで噛みやすく、外れにくくなるため、食事や会話が楽になります。

また、インプラントオーバーデンチャーは取り外しが簡単であり、患者さん自身で入れ歯やインプラントの清掃ができる点も特徴です。メンテナンスが容易だと、いつでも清潔に保つことができます。

さらに、磁石を使わないため、ペースメーカーを使用している方でも使用することができます。2~4本のインプラントでしっかり固定できるため、通常のインプラント治療よりも費用が抑えられ、身体への負担も少なくなります。

インプラントオーバーデンチャーはどのような方におすすめですか?

インプラントオーバーデンチャーは、費用を抑えつつ快適に食事や会話を楽しみたい方におすすめです。総入れ歯や部分入れ歯の患者さんに合った治療方法で、従来の入れ歯に比べて安定性が高いとされており、食べ物が外れたりズレたりする心配が少なくなります。 なかでも、顎の骨が痩せやすい30代から50代の総入れ歯の方におすすめで、顎の骨が痩せるのを防ぎ、長期的な口腔健康を保てるでしょう。

さらに、入れ歯の金具を使用せず、笑ったときに金具が目立ちにくいので、審美性を重視する方にもおすすめです。

インプラントオーバーデンチャーの種類

インプラントオーバーデンチャーの種類

インプラントオーバーデンチャーは何種類ありますか?

インプラントオーバーデンチャーには、いくつかの種類があります。

  • ・ロケーターアタッチメント
  • インプラントと入れ歯を凹凸で固定する方法です。インプラント側に凸、入れ歯側に凹のアタッチメントを取り付け、しっかりと固定します。

  • ・マグネットアタッチメント
  • 磁石を利用してインプラントと入れ歯を固定する方法で、装着が簡単で外れにくいですが、MRIを受ける際は注意が必要です。磁石は歯科医院でしか外せません。

  • ・ボールアタッチメント
  • 凹凸部分がボール状になったアタッチメントで、入れ歯をスムーズに装着できます。現在はメーカーが少なくなり、使用頻度は減少しています。

  • ・バーアタッチメント
  • インプラントに取り付けたアバットメントを金属のバーで連結し、入れ歯を固定する方法です。強固な連結が可能ですが、外しにくい点がデメリットです。

    また、インプラントオーバーデンチャーは以下のように形状や残る歯の数によっても分類されます。

  • ・総入れ歯タイプ
  • すべての歯を失った方に使用され、通常は上顎に4本、下顎に2本のインプラントを使用します。

  • ・部分入れ歯タイプ
  • 一部の歯が残っている方に適応され、クラスプを使用せず、審美性が高くなります。

  • ・コーヌスクローネ冠タイプ
  • 天然の歯を残し、入れ歯と共存させるタイプです。

    アタッチメントの種類を教えてください

    インプラントオーバーデンチャーで使用されるアタッチメントにはいくつかの種類があります。代表的なアタッチメントは以下のとおりです。

  • ・ロケーターアタッチメント
  • ロケーターアタッチメントは、ボタンのような形をしており、入れ歯とインプラントをしっかりと固定します。ナイロン製のキャップを使って固定力を維持することで、入れ歯のズレや外れを防ぎます。

  • ・ボールアタッチメント
  • ボール状のアタッチメントを入れ歯の内側に取り付けた受け皿にはめ込んで固定する方法です。

  • ・バーアタッチメント
  • インプラント同士を金属のバーで連結し、入れ歯に取り付けた部品にセットして固定する方法です。とても強固な連結が可能ですが、外しにくく、メンテナンスが少し手間となるデメリットがあります。

  • ・磁性アタッチメント
  • 磁石の力を利用して入れ歯を固定する方法です。磁力は長持ちしますが、高圧滅菌器などで磁石が傷ついたり、磁力が落ちたりすることがあるため注意が必要です。磁性アタッチメントは、インプラントにかかる負担が少ない方法とされています。

    インプラントオーバーデンチャーのメリットとデメリット・違い

    インプラントオーバーデンチャーのメリットとデメリット・違い

    インプラントオーバーデンチャーのメリットを教えてください

    インプラントオーバーデンチャーのメリットには、しっかりと噛むことができる点が挙げられます。総入れ歯の場合、歯茎に吸着させるため、動作によって入れ歯がズレたり外れることがありますが、インプラントオーバーデンチャーはインプラントが固定源となるため、そうした心配がなくなります。

    また、インプラントは骨としっかり結びつくため、骨の減少が抑えられます。そのため、安定した状態の維持が期待できます。 加えて、インプラントオーバーデンチャーは修理がしやすく、破損しても対応できます。入れ歯部分は取り外して洗浄もでき、清潔を保つことができるため、衛生面でも安心感につながります。

    インプラントオーバーデンチャーのデメリットを教えてください

    インプラントオーバーデンチャーのデメリットとして、入れ歯部分はインプラントを支えにしているため、噛む力が強くなると摩耗しやすくなる点が挙げられます。このため、定期的なメンテナンスや修理が必要となり、通院の手間が増える可能性があります。

    さらに、インプラントオーバーデンチャーはすべての患者さんに適用できるわけではなく、顎の骨の量や質によっては適応できない場合があります。そのため、治療前に十分な検査が必要です。

    加えて、医療保険が適用されないため、自己負担となります。また、インプラント自体のメンテナンスも必要で、放置するとインプラント周囲炎などの問題が発生するリスクがあります。

    インプラントオーバーデンチャーとオールオン4には、どのような違いがありますか?

    インプラントオーバーデンチャーとオールオン4の主な違いは、インプラントの本数と取り外しの有無です。オールオン4は、最少4本のインプラントを埋め込み、固定されたブリッジが上部構造として使用されます。これに対して、インプラントオーバーデンチャーは最少2本のインプラントで入れ歯を固定し、患者さん自身で取り外し可能です。

    オールオン4は外れにくく、食事や会話も天然歯のように楽しめますが、費用は高額になりがちです。治療費目安は200万円以上、治療期間も3〜6ヶ月程度かかります。 一方、インプラントオーバーデンチャーは価格が抑えられ、2〜6ヶ月程度の治療期間です。どちらもインプラントが必要ですが、オーバーデンチャーはコスト面や取り外しが可能な点で利便性があります。

    インプラントオーバーデンチャーと入れ歯には、どのような違いがありますか?

    インプラントオーバーデンチャーと入れ歯の違いは、主に安定性や機能性にあります。入れ歯は歯茎に吸着させて使用しますが、これが原因で食事や会話中にズレたり外れたりすることがあります。 インプラントオーバーデンチャーはインプラントが入れ歯を固定するため、安定性が高く、噛む力も強化され、硬い食べ物でもしっかり噛むことができます。

    また、入れ歯は発音が不明瞭になることがありますが、インプラントオーバーデンチャーは舌の動きを制限せず、自然な発音が期待できます。治療期間は入れ歯が短期間で製作できるのに対し、インプラントオーバーデンチャーは数ヶ月かかり、費用も高くなりますが、骨吸収を防ぎ、長期的に安定します。

    編集部まとめ

    800

    ここまでインプラントオーバーデンチャーのアタッチメントについてお伝えしてきました。インプラントオーバーデンチャーのアタッチメントの要点をまとめると以下のとおりです。

    • インプラントオーバーデンチャーは、数本のインプラントを顎の骨に埋め込み、入れ歯をアタッチメントで固定する治療法で、安定感が期待できる
    • インプラントオーバーデンチャーのアタッチメントには、ロケーターアタッチメント、ボールアタッチメント、バーアタッチメント、磁性アタッチメントなどが挙げられる
    • インプラントオーバーデンチャーのメリットには、主にしっかりと噛むことができる点が挙げられるが、顎の骨の量や質によっては適応できない場合があり、定期的なメンテナンスも必要

    インプラントオーバーデンチャーや入れ歯など、それぞれのメリットやデメリットを理解してから検討することが大切です。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    この記事の監修歯科医師