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オールオン4とオールオン6にはどのような違いがある?選び方やメリット・デメリットついて解説

 公開日:2025/09/10
オールオン4とオールオン6にはどのような違いがある?選び方やメリット・デメリットついて解説

オールオン4とオールオン6は、どちらも少ない本数のインプラントで全顎の上部構造を支える治療ですが、適応条件、手術時間や治療費などに差があります。

本記事ではオールオン4とオールオン6の違いについて以下の点を中心にご紹介します。

  • オールオン4とオールオン6の違い
  • オールオン4とオールオン6の選び方
  • 治療の流れ

オールオン4とオールオン6の違いについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

松浦 明

監修歯科医師
松浦 明(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック

出身大学
福岡歯科大学

経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任

資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医

所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

オールオン4とオールオン6の違い

オールオン4とオールオン6の違い オールオン4とオールオン6には、どのような違いがあるのでしょうか。以下では、項目別に解説します。

適応症の違い

オールオン4とオールオン6の選択において重要となるのが、顎の骨の量や質です。オールオン4は、骨の厚みや強度がある程度確保されている方に推奨されており、4本のインプラントで上部構造を支えます。

一方で、長年の総入れ歯使用や重度の歯周病により顎の骨が痩せている場合には、インプラントの支えを強化するために6本埋入するオールオン6が推奨されることがあります。

本数を増やすことで、噛み合わせや構造の安定性が高まり、長期的な機能維持が期待できます。

治療費の違い

オールオン4とオールオン6は、埋め込むインプラントの本数が異なるため、治療費にも差が生じます。例えば、オールオン4は4本のインプラントで構成されるため、費用の目安は260万〜270万円程度(税込286万〜297万円)です。

一方、オールオン6は6本使用するため、300万〜310万円(税込330万〜341万円)程度かかります。ただし、これらはあくまで参考価格であり、顎の骨が不足している場合には骨造成などの追加処置が必要となり、別途費用が発生することもあります。

従来のインプラント治療より埋入本数が少ないことから、全体的な費用は抑えやすい治療法といえますが、最終的な治療費は診断結果や素材の選択によって異なるため、事前の見積もり確認が大切です。

手術時間の違い

オールオン4とオールオン6では、埋め込むインプラントの本数が異なるため、手術にかかる時間にも差が出ます。

患者さんの口腔状態や治療内容によって前後しますが、オールオン4はおよそ1〜1.5時間、オールオン6は1.5〜2時間程度が目安です。本数が多くなるオールオン6の方がやや長くなりますが、いずれの手術も基本的に入院は不要です。

オールオン4とオールオン6の選び方

オールオン4とオールオン6の選び方 オールオン4とオールオン6は、どのように選択したらいいのでしょうか? 以下では、選び方について解説します。

顎骨の状態

オールオン4とオールオン6の選択において、顎の骨の状態は重要な判断材料となります。インプラントは骨にしっかりと固定される必要があるため、骨の量や質が不十分な場合は、支えを強化するためにオールオン6が選択されるケースもあります。

なかでも、骨密度が低い方や骨が痩せている方には、6本のインプラントを用いることで上部構造の安定性が高まり、長期的なトラブルを防ぎやすくなります。

一方で、骨がしっかり残っている場合は、オールオン4でも十分な固定力が得られるため、外科的負担を抑えたい患者さんに推奨されています。

全身の健康状態

オールオン4とオールオン6の選択において、顎の骨の状態と並んで重要なのが、患者さんの全身の健康状態です。高血圧や糖尿病などの持病がある場合や高齢の方では、インプラント手術による身体への負担をできるだけ抑える必要があります。

オールオン4は埋入するインプラントの本数が少ないため、手術時間が短く、身体への負担も軽減される傾向にあります。そのため、体力に不安がある方にも適応しやすい選択肢です。

一方、体力に余裕があり、より長期的な安定性を求める場合には、オールオン6が推奨されることがあります。治療前には歯科医師が全身の健康状態を丁寧に把握し、必要に応じて内科医と連携しながら安全性の高い手術計画を立てます。

治療費

オールオン4とオールオン6の選択において、治療費も重要な検討材料の一つです。埋入するインプラントの本数が多いほど費用は高くなる傾向があり、オールオン4の方がオールオン6よりも費用を抑えやすいといえます。

ただし、初期費用だけでなく、将来的なメンテナンスや修理費用も視野に入れてトータルでの負担を考慮することが重要です。

治療費に不安がある方には、デンタルローンなど分割払いの選択肢も用意されています。「費用がネックで治療をあきらめたくない…」という方も、まずは歯科医師に相談して、予算に合ったプランを一緒に検討してみることが大切です。

ライフスタイル

オールオン4とオールオン6の選択には、患者さんのライフスタイルも大きく関わってきます。例えば、喫煙習慣がある方や、定期的なメンテナンス通院が難しい方は、インプラントの予後に影響を及ぼすリスクがあるため、より慎重な判断が求められます。

また、治療後に重視したいポイントによっても選択肢は異なります。見た目の美しさや噛み合わせの安定性を優先する方には、6本のインプラントで支えるオールオン6が推奨されており、長期的な審美性の維持に期待が持てます。

一方、仕事などで長期のダウンタイムが取れない方には、手術後の回復が早く、仮歯の装着までがスムーズなオールオン4がおすすめです。「自身の生活に合うのはどっち?」と悩んだときは、日々の習慣や優先したい価値観を基準に、医師と一緒にじっくり考えることが大切です。

長期的な治療の安定性

オールオン4とオールオン6を選ぶ際、長期的な治療の安定性は重要なポイントとなります。インプラントは一度埋入すれば長く使用するものだからこそ、年齢や将来的な健康状態を踏まえた判断が必要です。

例えば、若年層の患者さんであれば、今後何十年も安定した噛み合わせを維持することが求められるため、支えの多いオールオン6が推奨されることがあります。

一方、高齢の方には手術の負担が少ないオールオン4が推奨されている場合もあります。どちらを選ぶにしても、信頼できる歯科医師とのカウンセリングを重ね、歯科用CTやデジタル診断によって骨の状態や健康背景をしっかり把握することが不可欠です。

オールオン4とオールオン6に共通するメリットとデメリット

オールオン4とオールオン6に共通するメリットとデメリット ここまで、オールオン4とオールオン6について解説してきましたが、以下では共通するメリットとデメリットについて解説します。

共通するメリット

まずは、オールオン4とオールオン6の共通するメリットを解説します。

審美性が高い

オールオン4とオールオン6に共通するメリットの1つ目が、審美性の高い点です。上部構造とは思えないほど自然な見た目に仕上がるため、口元に自信が持てるようになり、笑顔も自然と明るくなります。

歯の色や形も一人ひとりに合わせて調整されるため、「自身の歯のように見える」と感じられる仕上がりになります。見た目の美しさを重視する方の生活の質を高めてくれます。

顎骨の吸収を防ぐ

オールオン4とオールオン6に共通するメリットの2つ目が、顎骨の吸収を防ぐ点です。 オールオン4とオールオン6は、インプラントが直接顎の骨に力を伝えることで、骨に適度な刺激が加わり、顎骨の吸収を防ぐ効果が期待できます。

歯を失ったまま放置すると骨が徐々に痩せてしまいますが、インプラント治療によってその進行を抑えやすくなります。 オールオン4とオールオン6は、機能面だけでなく、見た目の面でも自然な状態に近づけられます。

しっかり食べ物を噛める

オールオン4とオールオン6に共通するメリットの3つ目が、しっかり食べ物を噛める点です。 オールオン4とオールオン6は、インプラントを土台とした固定式のブリッジ構造のため、総入れ歯よりも格段にしっかり噛めます。

従来の入れ歯は噛む力が天然歯の半分以下といわれますが、これらの治療法では、ほぼ自然な咀嚼力を再現できます。また、上部構造が顎全体を覆わないため、食べ物の温度や質感を感じやすく、食事の楽しさも損なわれません。

治療期間を短縮できる

オールオン4とオールオン6に共通するメリットの4つ目が、治療期間を短縮できる点です。 従来のように複数回の手術を要することなく、1回の施術で仮歯まで装着できるケースが多い傾向にあり、歯がない状態で過ごす必要もありません。

個別のインプラント治療では数回に分けて手術を行う必要がありますが、この方法なら一度の手術で済むため、身体的・心理的な負担も軽減され、よりスムーズな社会復帰が期待できます。

共通するデメリット

次に、共通するデメリットを解説します。

外科的手術が必要になる

オールオン4とオールオン6に共通するデメリットの1つ目が、外科的手術が必要になる点です。 オールオン4とオールオン6は、インプラントを顎の骨に埋め込む外科手術が不可欠です。身体への侵襲を伴うため、手術そのものに不安を感じる方もいます。また、全身疾患の有無や顎の骨の状態によっては、手術が難しいケースもあります。

出血や腫れ、術後の合併症のリスクがないわけではないため、治療を受ける前には十分な説明を受け、納得のうえで判断することが大切です。

費用が高い

オールオン4とオールオン6に共通するデメリットの2つ目が、費用が高い点です。 オールオン4とオールオン6は、いずれも保険適用外の自費診療となるケースが多井恵子公にあります。

インプラントの本数や使用する素材、治療内容によって総額は異なりますが、数十万円〜数百万円に及ぶこともあります。機能性や審美性に高い治療ではあるものの、費用面の負担は無視できず、事前に十分な説明を受けてから検討することが重要です。

経験豊富な歯科医師や歯科医院を選ぶ必要がある

オールオン4とオールオン6に共通するデメリットの3つ目が、経験豊富な歯科医師や歯科医院を選ぶ必要がある点です。

オールオン4とオールオン6は、従来のインプラントよりも高い専門性と精度が求められる治療です。そのため、歯科医師の技術力や症例経験の豊富さが、治療の成功を左右します。したがって、計画の立案から手術、アフターケアまで一貫して対応できる体制が整った歯科医院を選ぶことが重要です。

メンテナンスが必要

オールオン4とオールオン6に共通するデメリットの4つ目が、メンテナンスが必要な点です。 オールオン4とオールオン6は治療後も継続的な管理が必要です。インプラントの周囲に歯垢や歯石が蓄積すると、炎症や感染を引き起こす”インプラント周囲炎”のリスクが高まります。

また、噛み合わせの乱れを放置すると、顎の骨に負担がかかり、インプラントが脱落する恐れもあります。そのため、定期的な健診とプロによるクリーニング、嚙み合わせのチェックを受けることが、インプラントを長く機能させるための鍵となります。

治療の流れ

治療の流れ 最後に、オールオン4とオールオン6の治療の流れを解説します。

①カウンセリング・検査

治療は、患者さんのご希望を伺うカウンセリングと、口腔内の詳しい検査から始まります。歯科用CT撮影によって顎の骨の厚みや状態を確認し、模型の製作や噛み合わせのチェックも実施します。

これらの情報をもとに、オールオン4とオールオン6のいずれがいいのかを見極め、治療計画を立案します。疑問や不安がある場合も、この段階でしっかりと相談できるため、納得して次のステップに進めます。

②インプラント埋入手術

治療計画に基づき、顎の骨にインプラントを4本または6本埋め込みます。 埋め込む際には、局所麻酔を用いて行い、痛みや不安への配慮もされています。

骨の状態に応じて傾斜埋入という技術を取り入れ、骨のある部位を効果的に活用することで、強固な固定が可能になります。 手術は一日で完了するケースが多い傾向にあり、術後の安静を経て次の工程に進みます。

③仮歯装着

手術後、インプラントが安定していれば、その日のうちに仮歯を装着でき、見た目や日常会話にも支障がありません。ただし、仮歯はあくまで一時的なものなので、インプラントに過度な負担がかからないよう、やわらかい食事を心がける必要があります。

仮歯を使いながら数ヶ月かけて骨との結合を待ち、最終的な上部構造を製作していきます。

④治癒期間

手術後は、インプラントが顎の骨としっかり結びつくオッセオインテグレーションという現象が起こるのを待つ期間に入ります。治癒期間は3〜6ヶ月程度で、その間は仮歯を使いながら生活します。

経過を見ながら、嚙み合わせの確認や見た目の微調整を行うこともあり、最終的な上部構造の装着に向けて細やかな準備が進みます。

⑤最終上部構造装着

インプラントと骨の結合が安定したら、仮歯から上部構造へと移行します。セラミックなどの素材でつくられた最終補綴物は、見た目の自然さや強度、装着時のフィットしやすく、長期的な使用に推奨されています。

患者さんの要望をもとに、噛み合わせや発音のバランスも細かく調整されるため、機能性と審美性の両立が図られます。このステップを経て、インプラント治療は完了となります。

⑥メンテナンス

最終的な上部構造を装着した後も、インプラントを良好な状態で保つには、定期的なメンテナンスが欠かせません。3〜6ヶ月ごとの検診で、噛み合わせのチェックや専用器具によるクリーニングを行い、トラブルの早期発見・予防につなげます。

また、日々のセルフケアも重要です。丁寧な歯磨きとプロのサポートを両立させることで、インプラントを長持ちさせ、快適な口腔環境を維持できます。

まとめ

まとめ

ここまでオールオン4とオールオン6の違いについてお伝えしてきました。 オールオン4とオールオン6の違いについて、要点をまとめると以下のとおりです。

  • オールオン4とオールオン6は、インプラントの埋入本数や顎骨の状態に応じて使い分けられるが、適応症、治療費、手術時間にも差が生じるため、専門的な診断と十分な相談をもとに治療法を選ぶことが重要
  • オールオン4とオールオン6の選択は、顎の骨の状態や全身の健康、治療費、ライフスタイル、そして長期的な安定性を総合的に考慮して判断される
  • オールオン4と6の治療は、カウンセリング、検査から始まり、インプラント埋入、仮歯の装着を経て、最終的な上部構造を取り付けて完了するが、治療後は定期的なメンテナンスとセルフケアが欠かせず、長期的な快適性と安定性を保つために重要

本記事が少しでもオールオン4とオールオン6の違いについて知りたい方のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師