気になる歯並びを改善 「目立ちにくい成人矯正」のメリットと選び方を歯科医が解説

仕事や人前での見た目が気になって、矯正治療に踏み出せない……。そんな人におすすめなのが「目立ちにくい矯正治療」です。装置の進化により、治療中でも見た目を保ちながら、歯並びを整えることができます。そこで、大人からはじめる成人矯正のメリットや装置の選び方、注意点について、赤坂ヴィーナスデンタルクリニックの岩城先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
岩城 賢珠(赤坂ヴィーナスデンタルクリニック)
大人からでも遅くない! 成人矯正の基礎知識とメリット

編集部
近年は大人になってから矯正治療をはじめる人も増えているようですが、成人矯正のメリットを教えてください。
岩城先生
まずは、「見た目の改善」が大きなメリットです。昔から歯並びにコンプレックスを持っていた人にとって、歯並びが整うことは日常生活において大きな自信につながります。また、大人になると噛み合わせも決まってきますので、噛みにくさや顎関節症など、噛み合わせによるトラブル改善を目的にはじめる人もたくさんいます。さらに、子どもの頃に矯正治療をしていた人が、大人になってから再治療するケースもじつは少なくないのです。
編集部
子どもの頃に矯正治療をした人が、どのような理由で再治療を希望するのでしょうか?
岩城先生
過去にワイヤー矯正をしたものの、保定を十分に続けられなかったために歯並びが戻ってしまう、いわゆる「後戻り」が気になるという相談がよくあります。そのような人は歯並び全体が大きく乱れているわけではなく、前歯のズレなど軽度なケースがほとんどです。そのため、治療も半年から1年で終わることが多く、マウスピース型矯正装置との相性も良好です。したがって、2回目の治療に不安がある人でも、安心して相談してもらえればと思います。
編集部
成人矯正をはじめるにあたって、年齢制限や上限はあるのでしょうか?
岩城先生
とくに年齢の上限はありません。40代や50代になると、加齢による影響で歯並びが乱れてしまうことも多く、そのタイミングで治療をはじめる人もたくさんいます。ただ、若い頃よりも代謝が落ちているため、治療期間がやや長くなる可能性はあります。また、矯正治療は基本的に歯が残っていることが前提ですが、部分的に歯がない場合でも、インプラントを併用しながらトータルで良好な口腔環境に導くことも可能です。
編集部
成人の場合は、矯正治療とほかの治療を組み合わせることもできるのですね。
岩城先生
はい。たとえば、むし歯や歯周病で抜かなければならない歯がある場合でも、ほかの歯に改善の余地があれば矯正治療は可能です。矯正治療は一般に1~2年かかる治療なので、その間にインプラントを併用して噛み合わせを整えるような計画を立てることもよくあります。複数の治療を組み合わせることで、より良い口腔環境を目指せることも成人矯正のメリットだと思います。
マウスピース? 裏側矯正? 目立ちにくい矯正を徹底比較

編集部
いわゆる「目立ちにくい矯正」にはどのような種類がありますか?
岩城先生


編集部
それぞれの治療の特徴を簡単に教えてください。
岩城先生
白いワイヤーとブラケットを使うワイヤー矯正は、従来の金属製のものに比べて目立ちにくく、見た目が気になる人に好まれます。装置が常に歯についているため、安定して力をかけられるのが特徴です。裏側矯正はブラケットとワイヤーが歯の裏側につくため、正面からはまったく見えませんが、話しづらさや舌の違和感が出ることがあります。マウスピース型矯正装置は透明で目立ちにくく、見た目を気にする人に人気があります。1日20時間以上の装着が必要ですが、治療スピードもワイヤー矯正と大きく変わりません。
編集部
これら3つの方法で、治療の効果に違いはありますか?
岩城先生
症状によって異なるため一概には言えませんが、歯並びの乱れが軽度の場合は、マウスピース型矯正装置のほうが歯全体に力が均等にかかるため、早く終わることもあります。一方で、歯のデコボコが大きい場合や抜歯が必要なケースでは、ワイヤー矯正のほうが効率よく進む可能性があります。
編集部
これら3つの治療法から、自分に合った方法を選ぶポイントを教えてください。
岩城先生
歯並びの乱れが軽度の人は、見た目の面を重視するならマウスピース型矯正装置や裏側矯正がおすすめです。また、お仕事で人と話す機会の多い人は、喋りづらさが出やすい裏側矯正装置よりも、マウスピース型矯正装置やワイヤー矯正のほうが適していると思います。一方で、スポーツ選手など噛み合わせがパフォーマンスに影響する職種では、衝撃で装置が当たってケガをするリスクを避けるために、必要に応じて外せるマウスピース型矯正装置が向いていることもあります。
編集部
そのほかに、治療法を選ぶ際に気をつけたいことや注意点はありますか?
岩城先生
マウスピース型矯正装置は自分で取り外しができる分、モチベーションが非常に重要になります。装着時間が不足すると思うように治療が進まない可能性があるため、自己管理に自信がない人はワイヤー矯正のほうが確実な結果が出せるでしょう。いずれの治療法にもそれぞれのよさがありますので、ご自身の歯並びの状態や生活スタイルをふまえて、担当の先生とよく相談して決めることが大切です。
後悔しないために! 成人矯正で知っておくべき注意点

編集部
成人矯正をはじめるにあたって、気をつけたいことや注意点などはありますか?
岩城先生
成人はすでに顎の成長が終わっているため、骨格そのものは変えられません。今の骨格に合わせて歯を動かしていくため、歯のデコボコが大きい場合は歯を抜かないときれいに並べられないことがあります。また、ワイヤー矯正は装置の周りに磨き残しが出やすく、むし歯や歯周病のリスクが高まるため、これまで以上にセルフケアを徹底することが大切です。さらに、見落としがちなのが治療後の「後戻り」です。治療後の保定期間が短いと、せっかく整えた歯並びがまた崩れてしまう可能性があります。
編集部
治療が終わっても気を抜かずに、保定をしっかりおこなうことが重要なのですね。
岩城先生
はい。治療後の保定には、「リテーナー」というマウスピース型の装置を使ったり、前歯の裏側にワイヤーを貼って固定したりする方法があります。いずれも歯並びを長くきれいに保つためには欠かせないものなので、歯科医師の指示にしっかり従って継続して使ってもらいたいと思います。
編集部
治療を前向きに続けるためのモチベーション維持や、途中で挫折しないためのアドバイスがあれば教えてください。
岩城先生
近年は矯正治療もデジタル化が進み、治療前にシミュレーションをおこなえるようになっています。今の歯並びと治療後の理想的な歯並びを画面上で比較できるため、「実際にこうなるんだ」と視覚的に確認できると大きな励みになるでしょう。また、矯正治療は見た目がきれいになるだけでなく、歯並びが整うことでむし歯や歯周病のリスクが軽減するほか、噛み合わせも大きく改善されます。長い人生で自分の歯を健康に保つために、1~2年しっかり取り組むという意識を持っていただけるとよいと思います。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
岩城先生
矯正治療は年々進化しており、以前よりも装置の種類や治療法も増えています。自身のライフスタイルや仕事に支障が出にくい方法を選べば、治療中も快適に過ごしながら理想の歯並びを目指すことができるでしょう。きっかけひとつで、その後の人生が大きく変わることもありますので、歯並びに少しでも不安のある人はぜひ一度、矯正歯科にご相談ください。
編集部まとめ
成人矯正は見た目の改善だけでなく、噛み合わせや口腔環境の改善につながる治療です。装置の種類も多様化し、ライフスタイルや仕事に合わせた方法を選ぶことができます。治療中の注意点やリスクを正しく理解し、自分に合った方法を選ぶことが成功のカギになります。将来のお口の健康のために、気になることがあれば専門の歯科医に相談してみましょう。
医院情報

| 所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂2-3-5 赤坂スターゲートプラザ2F |
| アクセス | 東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王」駅10番出口より徒歩1分 東京メトロ千代田線「赤坂」駅より徒歩7分 |
| 診療科目 | 歯科、小児歯科、歯科口腔外科、矯正歯科 |




