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親知らずの抜歯とむし歯の治療はどっちが先?判断基準や注意点、リスクを解説

 公開日:2026/02/19
親知らずの抜歯とむし歯の治療はどっちが先?判断基準や注意点、リスクを解説

奥歯が痛むものの、原因が親知らずかむし歯かわからず、歯科医院への受診を迷う方は少なくありません。

親知らず周辺のトラブルとむし歯が併発している場合、治療の優先順位は、患者さんの口腔の状態や緊急度によって異なっています。

一般的には、トラブルの根本原因である親知らずの抜歯を先行させることがありますが、激しい痛みがある場合などはこの限りではありません。

この記事では、親知らずの抜歯とむし歯治療の優先順位を決める判断基準や治療の流れ、知っておくべきリスクについて詳しく解説します。

正しい知識を身につけ、納得して治療に進めるよう、ぜひ参考にしてください。

小田 義仁

監修歯科医師
小田 義仁(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事

親知らずの抜歯とむし歯の治療のどちらが先かの判断基準

歯の模型

親知らずの抜歯を先にした方がよいのはどのようなケースですか?

親知らずが斜めに生え、手前の歯(第二大臼歯)との間に深い隙間がある場合は、抜歯を優先することが少なくないでしょう。この隙間はプラークが溜まりやすく、手前の歯がむし歯になるリスクが高い環境です。親知らずを残したままでは治療器具が届きにくく、精密な治療が困難になります。その結果、治療後も汚れが溜まりやすいため二次カリエスが高まるでしょう。そのため、まずは原因である親知らずを抜歯して治療器具が届く場所を確保し、それから手前の歯のむし歯治療を行うのが理想的な順序とされています。

むし歯の治療を先にした方がよいのはどのようなケースですか?

原則として抜歯が優先されますが、例外的にむし歯治療を先行させる場合もあります。
特に優先度が高いのは我慢できないほどの激痛がある場合です。親知らず以外の歯が重度のむし歯で激しく痛む際は、患者さんの苦痛を取り除くことを優先し、まずは神経の処置や鎮痛を行います。抜歯は術後の腫れや痛みを伴うため、状態が落ち着いてから検討します。また大学病院への紹介が必要な難症例では、予約までの待機期間を利用して、かかりつけ医で可能な範囲のむし歯治療や歯石除去を進めることが効率的です。

親知らずの抜歯をしなくてもむし歯の治療はできますか?

技術的には可能ですが、斜めに生えている場合などは清掃性が悪く、治療した詰め物の隙間からむし歯が再発する可能性が高いため注意が必要です。一時的な治療は可能でも、手前の歯の骨が溶けるリスクもあり、長期的な歯の健康を守るためには抜歯が適しているのが実情です。ただし親知らずが骨のなかに完全に埋まっている場合や、将来的な移植用として保存する価値がある場合は、無理に抜歯を行わないこともあります。口腔の状態に応じた判断が必要なため、歯科医師への相談が重要です。

親知らずを抜歯する判断基準を教えてください。

歯科医師は主に現状のトラブルと将来のリスクを基準に抜歯を推奨します。具体的には、歯茎の腫れや痛みを繰り返す智歯周囲炎がある場合や、親知らずが原因で手前の歯(第二大臼歯)にむし歯や歯周病ができている場合は抜歯が検討されます。特に手前の歯の根が溶かされる歯根吸収が起きている場合は、早急な対応が必要です。また、親知らず自体が治療困難なむし歯になっている場合や、歯列矯正で歯を動かすスペース確保のために抜歯が必要となることもあります。

親知らずの抜歯とむし歯の治療順に関するリスクや注意点

診察

親知らずを抜歯せずにむし歯を治療するリスクはありますか?

抜歯に不安を感じ、むし歯治療だけを希望する方は少なくありません。しかし、親知らずが原因の場合、抜歯を行わない治療にはリスクが伴います。主な問題はむし歯の再発と症状の進行です。清掃しにくい環境が変わらないため、何度治療しても再発しやすいのが特徴です。再治療を繰り返すたびに歯を削る量が増え、親知らずだけでなく手前の歯まで抜歯が必要になる可能性があります。また、親知らずが邪魔でレントゲンや目視での確認が難しく、手前の歯の異常を見落とす可能性もあるでしょう。 さらに、親知らずと手前の歯の間に汚れが溜まり続けると、歯茎の炎症が慢性化し、手前の歯を支える骨が徐々に溶かされてしまう恐れもあります。こうなると、いざ親知らずを抜こうとした時には、手前の歯もグラグラになっていて保存できないという事態になりかねません。また、深い位置のむし歯や歯周ポケットは口臭の原因にもなるため、エチケットの観点からも放置は推奨できません。

親知らずの抜歯が難しい場合はどのような対応になりますか?

親知らずの根が神経や血管に接している、あるいは顎の深くに埋まっているといった難症例では、抜歯時に神経を傷つけ麻痺が残るなどのリスクが高まります。また重度の糖尿病や心疾患がある場合や、血液をサラサラにする薬を服用している場合も、全身状態の管理を含めた慎重な対応が不可欠です。このような場合は、一般歯科で無理に治療せず、大学病院などの高次医療機関へ紹介されるのが一般的です。専門機関であれば、歯科用CTによる精密検査や入院管理下での処置、静脈内鎮静法の利用などができます。また、神経損傷のリスクが極めて高い場合には、無理に一度で抜かずに2回法という手法が取られることもあります。これは、歯の上部(歯冠)だけを先に取り除き、残った根が移動して安全な位置に来てから抜歯を行う方法です。

適切な治療スケジュールを立てるための注意点はありますか?

親知らずの抜歯は外科手術であり、術後に腫れや痛み、お口が開きにくいなどのダウンタイムが生じることがあります。そのため試験や旅行、結婚式などの重要イベント直前の抜歯は避けた方が無難です。特に女性の場合、妊娠中の抜歯にも注意が必要です。妊娠中は検査や投薬に制限がかかるため、可能な限り妊娠前や安定期に治療を済ませておくことが推奨されます。予定を事前に歯科医師に伝え、無理のない治療スケジュールを相談しながら立てることが大切です。

親知らずの抜歯の流れとむし歯治療までの期間

歯科治療

親知らずの抜歯の流れを教えてください。

親知らずの抜歯は、まずレントゲンや歯科用CTで歯の位置や神経との距離を確認することから始まります。当日は局所麻酔で痛みを抑え、歯茎に埋まっている場合は切開し、骨を削ったり歯を分割したりして取り出します。歯を抜いた後は傷口を清掃して縫合し、ガーゼで止血して当日の処置は終了です。その後、消毒を経て約1週間後に抜糸(糸取り)を行います。これが一般的な埋伏智歯の治療の流れです。

親知らずを抜歯する歯科医院はどのように決めればよいですか?

親知らずの抜歯を行う医療機関は、歯の難易度で判断します。例えば、真っ直ぐ生えている場合は、口腔の状態を把握しているかかりつけ医(一般歯科)で対応可能です。一方骨の深くに埋まっている場合や神経に近い場合は、全身疾患がある難症例では、設備や緊急対応体制が整った口腔外科や大学病院が適しています。まずはかかりつけの歯科医師に相談し、診断を受けることが大切です。そこで歯を抜けるか、紹介が必要かの判断を仰ぎましょう。

親知らずの抜歯後どのくらいの期間でむし歯の治療が可能ですか?

抜歯をしてすぐにほかの治療も進めたいと思われるかもしれませんが、直後は腫れや開口障害の恐れがあるため、無理な治療は避けましょう。一般的には抜糸を行う術後1週間が治療再開のひとつの目安であり、この頃には腫れも引き始め、簡単な治療や歯石除去などが可能です。ただし抜歯した手前の歯(第二大臼歯)の型取りなどの精密な治療は、歯茎の腫れが引き、傷口がある程度治癒する2週間から1ヶ月後まで待つことが望ましいでしょう。なぜなら腫れている状態で型取りをしても、精度の高い詰め物が作れないためです。なお、抜歯後の注意点としてドライソケットがあります。これは、抜歯した穴の血餅(血のふた)が剥がれて骨が露出してしまう状態で、激しい痛みが10日〜2週間ほど続きます。ドライソケットになると、その間のむし歯治療は非常に困難です。予防のためにも、抜歯当日は強いうがいを避け、傷口を舌で触らないようにすることを推奨します。

編集部まとめ

歯をみせる女性
親知らずの抜歯とむし歯治療、どちらを先に行うべきかは、患者さんの症状や緊急性によって異なっています。

しかしトラブルの根本原因である親知らずを先に抜歯することで、治療器具が届くスペースを確保し、手前の歯を守るための環境を整えることが優先です。

一時的な治療の先送りは、結果として大切な歯を失うリスクを高めてしまいます。

「痛いのは嫌だ」と自己判断で放置せず、まずは歯科医院でレントゲンや歯科用CTなどの検査を受け、ご自身の歯の状態を正しく把握することが大切です。

歯科医師と相談のうえ、将来のお口の健康まで見据えた適切な治療スケジュールを立てていきましょう。

この記事の監修歯科医師