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小児矯正のタイミングとは?子どもの適切な矯正開始時期について解説

 更新日:2023/10/02
小児矯正のタイミング

子どもの歯列矯正の必要性については、保護者であれば一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

歯列矯正も年々進化しており、その方法も多岐に渡るようになり、歯列矯正だけに効果が留まらなくなりつつあります。

様々な選択肢があることはありがたいことですが、一方でどのような歯列矯正を選択すれば良いのか分からなくさせてしまいます。

この記事では、現在、歯列矯正の中でも注目されているランパセラピーを紹介しています。

大切な子どものためにも、一度、歯列矯正をじっくり検討してみてはいかがでしょうか。

岡井 有子

監修歯科医師
岡井 有子(こどもと女性の歯科クリニック)

プロフィールをもっと見る
看護師として京都市内の産婦人科に勤務した後、大阪歯科大学に入学し、同大学大学院歯学研究科で小児歯科学を専攻。一般歯科医院勤務を経て、東京都港区に「こどもと女性の歯科クリニック」を開院。妊婦さんや赤ちゃんのための歯科治療、顎顔面口腔育成治療「RAMPAセラピー」などを中心に、こどもと女性の歯や呼吸、姿勢などのお悩みに応える。日本小児歯科学会、日本小児耳鼻咽喉科学会 、顎顔面口腔育成研究会所属。

小児矯正の適切なタイミングは?

タイミング
歯は、上下の歯がしっかり噛み合うことで大きな力が発揮されます。歯列矯正には、歯並びを良くして見栄えを向上させるだけでなく、咀嚼にも大きな影響を与えます。
口腔内の状況は個々で大きく異なるため、矯正を行う適切なタイミングは一概にはいえません。ただし、理想的なのは幼児期より経過を観察して、歯科医師などが適切と思えるタイミングで行うことが良いと考えられています。
参考までに、日本臨床矯正歯科医会が行った調査では、小児矯正を始めた年齢で最も多かったのが7〜8歳でした。この年代になると将来の歯並びがある程度予測がつくようになるため、歯列矯正のタイミングの一つの目安とされています。

小児矯正の治療時期

小児矯正の治療時期
小児矯正は、一般的に矯正治療開始から主に顎の成長が終わるまでの期間が治療期間になります。矯正を開始する年齢で異なりますが、10歳未満で矯正を始めたのであれば、5年以上を要することもあります。治療初期の間は1〜2週間に1回、保定期間に入ると3〜6ヶ月に1回の通院頻度です。
顎の成長を利用するため、10歳未満の場合矯正期間が長くなる傾向にあります。
近年、歯列矯正は口腔まわりに限定されず身体全体に影響が与えられると考えられるようになってきました。姿勢・いびき・鼻づまりなど他の症状の悩みから、お子さんの将来を考えて、それを解決する手法の一つとして歯列矯正を検討されるようなケースも増えています。

1期治療

1期治療とは、乳歯と永久歯の生え変わる時期での歯列矯正になります。概ね6〜12歳までのお子さんが対象です。プレートを用いて1〜3年程度をかけて顎の広さを拡大します。その後は、2〜3年程度の経過観察が必要です。
歯並びの影響は、指しゃぶり・口呼吸の影響を大きく受けると考えられています。1期治療から矯正を行うことで癖の改善にもつながり、将来の歯列にも良い影響が与えられます。
しかし1期治療には、装置が見えることを子どもが嫌がって治療に協力的ではなく計画通りに進まない、1期治療だけでは細かい歯列矯正が行えないといった注意点もあります。

2期治療

概ね12歳以降に行われる歯列矯正を2期治療といいます。内容としては、矯正器具を用いて、永久歯を移動させ歯列をきれいに整えます。
永久歯に対して歯列矯正を行うため、成人の歯列矯正と内容はほぼ同じです。12歳を上回ると、顎の大きな成長は見込めないため、必要に応じて抜歯でスペースを確保しながら歯列矯正を行うことがあります。

早期に受ける矯正について

早期に受ける矯正
早期歯列矯正は誰にとっても、必ずしも適切とは限りません。個々の成長に合わせて、適切なタイミングで実施されることが望ましいとされています。
しかし、早期から準備を始めることは有効です。永久歯の発育まで定期的に検診を繰り返すことで、個人にぴったりな歯列矯正のタイミングを図れます。
成長の予測は、歯科医師など専門家であっても困難な部分があります。早期に始めている分だけ、エラーが生じた際にも修正時間の確保が可能です。

顎の成長をコントロールしやすい

綺麗な歯並びを作るための一つの条件として、顎の広さが重要となります。顎の広さには子どもの成長が大きく関わり、人それぞれ異なります。しかし、小児の間であれば、矯正器具を用いて必要に応じて顎の広さを拡充することが可能です。
成人してからでは、顎の広さを変えることは難しいため、早期から歯列矯正を意識することは選択の幅を広げます。顎の成長を促すのであれば12歳未満の段階から矯正を行うことが無理は少ないとされ、推奨されています。

歯が動きやすい

セルフケアで歯を動かすことはほとんど不可能です。専用の矯正器具を用い、目にみえる歯の部分ではなく、歯茎に隠れた歯の部分にアプローチをすることで歯を移動させられます。専用器具を用いても、歯の移動は、1ヶ月で0.3〜0.5mm程度といわれています。
歯を引っ張って動かして固定していると、縮んだ歯根膜が時間をかけて元に戻る作用が働き、従来の位置から異なる場所で歯を定着させます。この作用は、骨・歯に関する細胞の破壊・修復によって行われているため、若い細胞であればあるほど変化に柔軟な対応が可能です。

抜歯のリスクが低い

抜歯のリスクが低い
小児矯正では顎の骨をある程度コントロールすることができるため、歯を抜かずに矯正治療を進められる可能性が高いです。成人してからでは、顎の広さを変えることが難しいため、抜歯によって広さを確保しなくてはならなくなります。
抜歯には、痛み・回復期間・修復不可能などデメリットがあるので注意が必要です。従来、歯列矯正のために抜歯をすることも多々ありましたが、近年はなるべく抜歯せずに矯正を行うようになってきています。そのためにも、早期から歯列矯正を行い、お子さんの成長を見極めながらの対応が求められています。

小児矯正におすすめのランパセラピー(RAMPA)とは?

ランパセラピー
ランパセラピー(RAMPA)は、従来の歯科矯正とは異なるアプローチによる矯正です。歯列が悪くなる理由は、中顔面領域の骨格的な発育不良に原因があるといわれています。ランパセラピー(RAMPA)を受けることで、歯列だけでなく、耳の症状・鼻の症状・いびきなどが改善されるといわれています。
ただし、ランパセラピー(RAMPA)は歯科医院であればどこでも受けられるというわけではありません。検討されている場合は、事前にRAMPAの取り扱いがあるかどうか確認が必要です。
ランパセラピー(RAMPA)は自由診療となるため、保険適応外となります。費用相場は、130万〜150万円(税込)程だそうです。

ランパセラピー(RAMPA)の治療法

ランパセラピー(RAMPA)は、顎顔面口腔育成研究会が推奨する顎骨矯正法で、歯列を含む全身の健康状態を向上させる治療方法です。上顎骨に専用マスクを装着し、上前方に牽引することで骨の成長誘導が行われ治療効果を得ます。専用マスクは、フルオーダーメイドのヘッドギアなので、個々に合わせた治療を可能としています。
ランパセラピー(RAMPA)の推奨年齢は、12歳未満の一期治療に準ずる年齢です。成長に合わせて専用マスクは微調整が必要となるため、定期的に歯科医院に通わなければならないので注意してください。

一般的な矯正治療とランパセラピー(RAMPA)の違い

一般的な矯正治療とランパセラピーの違い
一般的な矯正治療とランパセラピー(RAMPA)は、治療対象としているものが異なる点が大きな違いです。歯列矯正治療は、歯列の改善が主たる目的です。ランパセラピーにおいては、中顔面領域の発達不良の解消を主たる目的としており、歯列・呼吸・体の歪みなど全身を治療対象としています。
簡単にいうと、根本的な問題を解消対象としているのか、歯列のみを改善しようとしているかの違いです。ランパセラピー(RAMPA)は前者となります。目的が異なるため、使用する器具も大きく違います。

小児の鼻炎にも効果的

ランパセラピー(RAMPA)の装置を使用して上顎骨を拡大することで、理想的な呼吸ができるように調整することが可能です。特に鼻詰まりなどが改善されやすくなり、鼻炎症状が生じにくくなることが期待されます。また、呼吸が改善されれば、免疫機能・不純物の排泄機能がうまく働き、感染症・アレルギーなどにも良い効果が期待できます。

治療開始に適した年齢

ランパセラピー(RAMPA)を開始する推奨年齢は、12歳未満の小児です。なかでも5〜8歳頃が適齢期と考えられています。治療の目的は、成長過程における様々な問題を解決していくことになるので、なるべく早く治療開始できることが望ましいです。
装置の装着時間のことも考慮すると、1日の時間にゆとりが取れる小学校低学年から開始すると、お子さんにとっても負担が少ないかもしれません。ただし、成人であっても効果が得られるため、幅広い年齢層の方が受けられます。

装置の装着時間

12時間以上の装着を90日ワンタームとし、複数回繰り返します。小学生であれば、学校から下校後装着して、翌朝まで装着を続けるというイメージとなります。睡眠時間も装着時間に含むことが可能です。装置を装着した状態なので少し不自由はありますが、食事・会話・睡眠も通常通りできます。

治療中の注意点

装置は、ヘッドギアのような治療機器であるため、子どもが抵抗感を持ってしまう可能性があります。治療前・治療中ともにしっかりコミュニケーションをとって治療を離脱しないよう注意が必要です。治療中は、むし歯になりやすくなるため、日頃の口腔ケア・定期的な歯科検診を欠かさず行いましょう。

小児矯正のタイミングに悩んだらこどもと女性の歯科クリニックへ

こどもと女性の歯科クリニック院長
保護者の方は、子どもの歯並びに関して歯列矯正をするべきか否か、検討されたことがある方もいるでしょう。

こどもと女性の歯科クリニックでは、子どもや保護者の方がゆっくりと過ごせる空間を用意し、お悩み相談を受け付けています。

麻布十番・広尾エリアにある歯科医院で、看護師経験もある女性歯科医師が治療を行うので安心して通えるのではないでしょうか。

3歳からの小児矯正を扱う

こどもと女性の歯科クリニック患者
こどもと女性の歯科クリニックでは、5〜10歳の間で矯正を始められる子どもが多いそうです。

10歳を超えると発育が落ち着いてしまうので、なるべくその前に始めることを推奨されています。

ランパセラピー(RAMPA)は、歯列矯正だけを目的とした治療法ではないため、子どもの口腔環境を注視しながらの提案を行っています。

必要に応じて、推奨年齢の5歳より前からの治療もできるそうです。

食事や生活習慣、姿勢などの癖から治療計画を決める

ランパセラピー(RAMPA)を開始する前には、まず子ども一人ひとりの状態を入念に確認します。

また、ランパセラピー(RAMPA)だけの効果に頼るのではなく、生活習慣を中心に不適切な状態があれば改善を促しています。

小児の場合、装置を1日12時間以上装着する必要があるので、家族の協力が不可欠です。

装置は、日々の成長に合わせて微調整を行わなければならないため、2週間に1回は通院していただくような治療計画が作成されます。

歯がきれいに生える土台をつくる

ランパセラピー(RAMPA)の特徴は、装置によって3次元的に顎の骨の成長を健全な方向に向けてくれることにあります。

従来の歯列矯正では、歯の位置調整に目が向けられ、必要に応じて抜歯も検討されてきました。

ランパセラピー(RAMPA)では、骨格に目を向けることで、永久歯が生えるスペースを成長誘導で確保するなど根本的な原因解消を目指しています。

あくまで、外科的な処置を加えずに子どもの成長サポートを行うことで、綺麗な歯列・その他身体の健康状態の向上を目的にしているそうです。

こどもと女性の歯科クリニックの基本情報

アクセス・住所・診療時間

麻布十番駅より徒歩7分・広尾駅より徒歩8分

東京都港区元麻布1-4-27-101

診療時間
8:30~13:00
14:00~18:00

※学会出席・研修・祝祭日により、診療日・休診日が変更になる場合がございます。

この記事の監修歯科医師