歯列矯正のやり直しが必要になる理由は？治療法や再治療を予防する方法も解説

きれいな歯並びを求めて長い時間をかけて行う歯列矯正は、ときとして元に戻ってやり直しが必要な事態になる場合があります。 ご本人にとっては大変辛い出来事ですが、そこから気を取り直し、原因を調べて再びやり直せば希望したきれいな歯並びになれるのが救いです。 本記事では、歯列矯正のやり直しが起こる原因やリスク、再治療法、治療期間、予防法などを解説します。歯列矯正を検討されている方の参考になれば幸いです。

監修歯科医師：
小田 義仁（歯科医師）

目次 -INDEX-

• 歯列矯正でやり直しが必要になる理由
  • 歯列矯正のやり直しが必要になる原因を教えてください。
  • 歯列矯正のやり直しが推奨されるケースを教えてください。
  • やり直しのリスクはどのようなものですか？
• 歯列矯正のやり直しの治療法
  • 歯列矯正をやり直す場合の治療法を教えてください。
  • 治療中に別の疾患にかかった際はどうなりますか？
  • やり直し期間の歯列矯正装置はどのくらい付けるのが適切ですか？
  • 歯列矯正をやり直しすると治療期間が長くなりますか？
  • やり直し中の口腔ケア方法を教えてください。
• 歯列矯正のやり直しを防ぐ方法
  • 歯列矯正をする場合の歯科医院の選び方を教えてください。
  • 歯列矯正のやり直しを防ぐ方法を教えてください。
• 編集部まとめ

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歯列矯正でやり直しが必要になる理由

歯列矯正のやり直しが必要になる原因を教えてください。

矯正のやり直しが必要になる場合、原因はいくつか考えられます。一般的には、矯正後に装着するリテーナー（保定装置）の使用が不十分な点です。歯列矯正後は歯を元の位置に戻そうとする力が働くため、リテーナーで阻止します。使用期間が短かったり装着しなかったりした場合、歯列が乱れて矯正のやり直しを求められる場合があります。また、親不知が生えてきたり顎が成長したりして歯列に圧力がかかり、矯正が後戻りする事例も見受けられます。爪を噛んだり舌を前に突き出したりする口腔習癖でも、歯列に圧力がかかって歯列が乱れ再矯正になる場合もあります。

歯列矯正のやり直しが推奨されるケースを教えてください。

歯列矯正の結果が思わしくなく、ほかの方法では対応が難しい場合は矯正のやり直しが推奨されます。主な症例は後戻りです。治療の直後はきれいな歯並びに整えられていても、基礎となる歯槽骨はまだ不安定な状態です。その状態を維持するためにはリテーナーを3年ほど装着しますが、不十分だった場合は後戻りを引き起こします。また、咬合状態の不満のように、矯正に納得できない場合もあります。治療中の調整が不十分な場合、咬合の違和感や顎の痛みなどがおこる場合も少なくありません。この場合は外見と健康面の両方に問題があるため、再診断のうえ再矯正での対応になる可能性が高いです。

やり直しのリスクはどのようなものですか？

歯列矯正のやり直しでは、初回には出なかったリスクが出る可能性があります。まず挙げられるのが、歯や歯肉に負荷がかかって発症する歯肉退縮です。歯茎が下がって歯根が露出し、知覚過敏やむし歯、歯周病になりやすい状態です。また、矯正治療では顎関節や周辺の筋肉に負荷がかかります。結果として現れるのが、噛むと音が出たり痛みを感じたりする不快な症状です。歯列矯正では長期間圧力をかけるために、歯根が短くなる歯根吸収がおこります。再矯正すればさらに症状が進んで安定性が低下し、将来歯が抜けやすくなる可能性が高いです。再矯正では後戻りの原因を特定して対応も含めるため、初回より複雑な治療になる可能性が高いです。また、初回治療で顎骨や歯肉の減少などが見られる場合、さらに悪化するリスクもあります。

歯列矯正のやり直しの治療法

歯列矯正をやり直す場合の治療法を教えてください。

矯正をやり直す場合、マウスピースを使う方法とワイヤを使う方法の2種類があります。部分的に気になる場合はマウスピースがおすすめです。始めに全種類のマウスピースを作り、2週間に一度のペースで形状を変えながら治療を進めます。通院は数ヶ月ごとです。透明な材料で自分で取り付け取り外しができ、日常生活への影響が少ない方法です。歯列の乱れが大きい場合はワイヤを使います。ワイヤ矯正では歯の表面にブラケットと呼ばれる金属を付け、そこにワイヤを通して力を加え歯を動かします。矯正治療では一般的な方法で、広い範囲の矯正に対応できる方法です。近年では目立ちにくいプラスチック製の器具や、歯の裏に付けるブラケットが普及しています。

治療中に別の疾患にかかった際はどうなりますか？

矯正治療中にむし歯など別の疾患にかかったら、まず担当の矯正歯科医師に相談しましょう。矯正器具を外して詰め物などの処置後、再度装着して再矯正を再開します。対応できない場合は器具を外してもらい、一般歯科で治療後に元の矯正歯科で再装着して矯正再開です。マウスピースなら自分で外せますが、自己判断せずに矯正歯科医師に相談し了承のうえで治療しましょう。一般歯科への情報提供なども、矯正担当医師に任せましょう。

やり直し期間の歯列矯正装置はどのくらい付けるのが適切ですか？

後戻りなどで矯正がやり直しになった場合、矯正期間は歯並びの崩れ方によって長くなったり短期間で終わったりします。一般的には6ヶ月前後にわたって矯正装置を装着します。初回の矯正期間よりは短くなるのが一般的です。歯列の崩れが部分的で程度も軽度な場合で3～6ヶ月、中程度で4～8ヶ月、重度では6ヶ月～1年ほどが目安です。顎全体の歯列が崩れた場合は相当長くなります。軽度で1年～1年6ヶ月、中程度で1年6ヶ月～2年、重度で2～3年程度です。大切なのは早期治療で、初回矯正後に歯並びがおかしいと感じたら、すぐに担当医に相談すれば期間も費用も縮小できます。

歯列矯正をやり直しすると治療期間が長くなりますか？

歯列矯正のやり直しの場合、一般的に治療期間は初回の治療より短くなります。理由は初回よりも治療範囲が限定されるため、それだけ期間も短縮されるからです。初回の矯正では、すべての歯に矯正装置を装着して全体の歯並びを整えます。しかし、再矯正では並びが崩れた部分だけに装着するため矯正装置自体がシンプルです。また、初回治療時よりも対象が明確になっており、集中的に治療を進められる点も短期間で終わる理由です。

やり直し中の口腔ケア方法を教えてください。

矯正やりなおし中の装着物には汚れが付きやすく、むし歯や歯周病のリスクが増大するので口腔ケアが重要です。もし矯正やり直し中にむし歯などになれば、矯正を中断して治療を行なうようになります。影響が大きく、口腔ケアの重要性をよく認識しましょう。歯科医院で定期チェックや清掃を行うほか、自宅でのケアも大切です。歯科医師からは、装着物の周囲や汚れが溜まりやすい部分を特に丁寧にケアするよう指示されます。自宅では普通の歯ブラシのほか、デンタルフロスや歯間ブラシ、洗口液などの補助用具も積極的に使い、徹底して汚れ防止につとめましょう。

歯列矯正のやり直しを防ぐ方法

歯列矯正をする場合の歯科医院の選び方を教えてください。

歯列矯正は専門性が高く高度な技術が必要な治療方法です。ただし医院前の看板に矯正歯科と表示があるだけでは、優れた医師が在籍しているとはいえないでしょう。一定水準の治療技術を示す指標として、日本矯正歯科学会の認定制度があります。この制度の審査を受けた認定医や専門医であれば、充分な知識と技術を習得済みと認められます。また、矯正歯科開業医の組織である日本臨床矯正歯科医会の所属医師も、認定医または同等の技術や治療経験を持つ医師です。こうした医師を選べば、確かな技術と豊かな経験で精度の高い治療が受けられ、やり直しの削減が期待できます。

歯列矯正のやり直しを防ぐ方法を教えてください。

歯列矯正がやり直しになる原因は以下のとおりです。

• リテーナーの装着不足
• 本人の癖
• 遺伝
• 成長、加齢に伴う変化

これらのうち下の2つは注意のしようがなく、注目したいのは上の2点です。特にリテーナー（保定装置）の装着期間、装着時間が短すぎた点が主な原因とされます。リテーナーは矯正後に歯列が安定するまで固定する器具で、撤去が早すぎたり1日の装着時間が短いと後戻りにつながります。リテーナーは治療期間に相当する期間装着し、1日20時間装着が基本です。さらに横向き寝や頬杖、口呼吸、舌で歯を押す癖に注意すれば予防効果が期待できるでしょう。

編集部まとめ

歯列矯正で時折起こる後戻りなどのトラブルを解説しました。やり直しになる原因はさまざまですが、主に矯正後の保定期間が十分でなかった点が大きいようです。 ほかにも患者さんの癖や治療中の調整不足などもありました。いずれにしても大半は再度診察して再度の矯正が可能です。 やり直しには時間も費用もかかりますが、いずれも初回ほどではないのが一般的です。とはいえ、やり直しはできる限り避けたい手段には違いないでしょう。 主治医との相性もあるとはいえ、原因をしっかり認識して、再矯正では失敗しないように気長に対処したいものです。