矯正後のリテーナーは一生つけないといけない?装着が必要な理由やメリット・注意点を解説
歯科矯正によって歯並びが整ったらそれで治療終了ではなく、保定するためにリテーナーを取り付ける必要があります。
では、リテーナーの装着が必要な期間はどれくらいになるのでしょうか。
この記事では、矯正後のリテーナーの装着期間・装着が必要な理由・メリット・注意点について詳しく解説していきます。
矯正中の方など矯正治療のその後について知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
監修歯科医師:
古田 博久(歯科医師)
目次 -INDEX-
矯正後のリテーナーはいつまでつける?
矯正用の装置を外した後は整った歯並びの状態を維持するために、一般的にリテーナーとよばれる装置を取り付けることになります。
矯正期間に個人差があるようにリテーナーの装着期間にも個人差がありますが、大体矯正装置を付けていた期間プラス数年が一般的です。
リテーナーには取り外しができるタイプと、歯の裏側に接着させて保定するものの2種類があります。
さらに取り外しできるタイプの中でもいくつか種類があり、夜間のみの装着のものや一定時間(1日20時間程度)以上の取り付けが必要なものがあります。
リテーナーが必要になる期間は歯の成熟度や矯正の程度によっても変わるため、医師と相談しながら進めていくことが大切です。
矯正治療後リテーナー装着が必要な理由
矯正装置を取り外して治療が終わってもリテーナーを付けないといけない理由をご存じでしょうか。
実は歯科矯正によって短期間で動かされた歯は元々いた場所へ戻ろうとする現象が起こるのです。
元に戻ってしまっては長期間、決して安くない費用を支払って歯科矯正を行ったのに水の泡となってしまいます。
そうならないためにも、矯正治療後のリテーナーの装着はとても重要なのです。
下記ではリテーナーの装着が必要な理由についてさらに詳しく解説していきます。
矯正後は歯並びが不安定
歯科矯正によって歯を動かすことによって歯と骨の関係が変化するため、矯正治療後は歯並びが不安定になり歯が元の位置に戻ろうとしてしまうのです。
そのような事態を防ぐために、矯正治療後にはリテーナーを装着することが推奨されています。
せっかく綺麗に整った歯列が乱れてしまっては歯科矯正をした意味もないですし、歯や周辺の組織にも負担が大きくかかります。
そのため、後戻りを防ぐためにも一定の保定期間を設けることはとても大切なのです。
歯は常に動く
歯は元々微動が起こりやすいものです。特に矯正終了後すぐの間は歯の周辺組織も不安定になっているため、整えた歯並びが変化してしまうことがあります。
また、歯ぎしり・口呼吸・治療後に親知らずが生えることなども歯並びが悪くなってしまう原因です。
このように歯は常に動くものであるため、矯正治療後はリテーナーによる保定期間を設けることが、整った歯列を維持するためにとても重要なのです。
リテーナーのタイプ
リテーナーは、固定するもの・24時間装着するもの・夜間のみの着用でOKのものなど種類はさまざまです。中でもリテーナーは主に下記の4つのタイプに分かれています。
- クリアタイプ
- プレートタイプ
- スプリングタイプ
- フィックスタイプ
それぞれの特徴について詳しく紹介していきます。
クリアタイプ
クリアタイプのリテーナーは、マウスピースタイプのリテーナーで取り外しが可能です。
透明なプラスチックでできているため、装着していてもほとんど目立ちません。周りにバレてしまうこともないため人目を気にせずに使用できます。
1日20時間以上の装着が理想とされており、自己管理などが大変な部分もありますが、医師の指示に従って装着を続ければ後戻りすることはほとんどありません。
食事中や歯磨きの際は外せるため、口腔内の衛生を保ちやすい点がクリアタイプのメリットといえるでしょう。
プレートタイプ
プレートタイプのリテーナーは、歯の裏側をプラスチック製のプレートで支え表面にワイヤーを通して保定する方法です。
表面と裏側の両方から歯が動かないよう支えられるため、比較的保定効果の高い方法といえます。
奥歯の噛みしめなど噛み合わせの面でも大きな効果を期待できる方法ではありますが、1人1人に合わせて作る必要があるため負担する費用も大きくなります。
装着方法は前から奥歯にかけて順に取り付けます。耐久性に優れているため、壊れにくく長く使用できるのが特徴です。
スプリングタイプ
スプリングタイプのリテーナーは特に後戻りしやすいとされる下の前歯に使われることが多いリテーナーです。
取り外しが可能なため衛生面的にも清潔を保ちやすい方法といえます。
また、スプリングタイプは綺麗になった歯列状態を保ちつつ歯を動かす効果もあり、矯正後の最終的な微調整を行うことが可能です。
使用感も良く保定効果も高いためこちらもよく選ばれているリテーナーといえます。
フィックスタイプ
フィックスタイプのリテーナーは、前歯6本にかけて裏側に細いワイヤーを通す固定式のリテーナーです。
固定式のため取り外す必要がないため、管理が苦手という方でも安心して取り付けられます。
また歯の裏側に取り付けるため、見た目の面で最も優れた方法です。
ただし、取り外しができないため歯垢など磨き残しができやすいのがデメリットといえます。
口腔内トラブルを防ぐためにも定期的なメンテナンスが必要になるので、医師の指示に従い通院を続けることが大切です。
矯正治療後にリテーナーを装着するメリット
矯正治療後にリテーナーを装着することで得られる主なメリットは下記の通りです。
- 歯列の維持ができる
- 歯の再移動を防ぐ
- 口腔内トラブルの予防
リテーナーを行うことの主な意義としては、やはり整えた歯列の維持と歯の再移動を防ぐことにあるでしょう。
せっかく整えた歯列が矯正後に乱れてしまっては元も子もありません。
リテーナーを取り付けることで両方を防げるため、綺麗になった歯並びを保つうえでとてもメリットが大きい方法といえます。
また、後戻りをしてしまうと歯列に乱れができ、歯垢や食べ物のかすが残りやすくなってしまいます。
すると当然ながら虫歯や歯周病のリスクが上がるなど口腔内トラブルが起こりがちになってしまうのです。
「やっと矯正治療が終わったと思ったのにまた取り付けるの?」と嫌な気持ちになる方もいるかもしれません。
しかし、綺麗な歯並びを維持するためにリテーナーは欠かせない存在です。
リテーナーは一生装着していないとダメ?
リテーナーの装着は一生ではありません。リテーナーの装着が必要になる期間はおよそ3〜5年で、矯正期間プラス数年が一般的です。
元の歯並びの状態や矯正の程度などによって前後することもあります。
リテーナーは歯列矯正の最後の仕上げともいえ、矯正によって整った歯列を維持するために欠かせない治療です。
特に治療後は歯が動きやすい状態であるため、矯正治療が終わっても歯列の保持に気を配ることが必要となります。
医師の指示に従い適切な装着時間を守ることが、綺麗な歯並びを維持するうえで最も大切です。
リテーナーを装着する際の注意点
リテーナーを装着する際は主に下記の4点に注意してください。
- 食事をする際は必ず外す
- 痛みがある場合は歯科医に相談する
- 外したら必ず洗浄する
- リテーナーは破損しやすい
それぞれについて詳しく解説していきます。
食事する際は必ず外す
取り外し式のリテーナーの場合、食事の際は原則リテーナーを外すようにしてください。
装着したまま食事をしてしまうと、食べ物が口の中に残りやすくなり虫歯や歯周病など口腔内トラブルが起こりやすくなります。
また、リテーナーの材質が変化して本来の効果が得られなくなってしまうリスクもあるため注意が必要です。
そのため、食事の際はリテーナーを外し、歯磨きをして口の中を清潔にした状態で再度取り付けることを推奨されています。
痛みがある場合は歯科医に相談する
リテーナーは歯を動かすよりも歯が動かないように固定することが目的となっているため、基本的に痛みを感じることはほとんどありません。
痛みを感じる際はリテーナーのサイズが合っていないなどの問題が考えられるため、違和感を覚えたら早めに医師に相談するようにしましょう。
本来のリテーナー効果を得るためにも1人1人の歯の状態に合うように調整し、正しく装着することが重要です。
外したら必ず洗浄する
リテーナーを外した際は必ず洗浄し清潔に保つことが大切です。
リテーナーは食べ物のかすや口の中の細菌によって汚れやすく、虫歯や歯周病を引き起こす原因にもなります。
口腔内トラブルを招くだけでなく、リテーナーに臭いが付いてしまうこともあり、こまめに洗浄しないととても不衛生です。
洗浄方法は専用の洗浄液を使ってブラシなどで優しくこするやり方が一般的です。
ただし、歯科医によってやり方が異なることもあるため、通っている歯科医の指示に従って適切な方法で洗浄するようにしましょう。
リテーナーは破損しやすい
リテーナーは強く引っ張ったり無理やりはめ込んだりすると壊れやすくなってしまいます。
触るときは手を清潔にしてあまり力をかけず優しく取り扱うようにしてください。
定期的にリテーナーの状態を確認し、外れている部分はないか装着時に違和感がないかなど確認することが大切です。
リテーナーが破損したまま装着すると口腔内を傷つけてしまう恐れがあるため、破損を見つけた際は歯科医へ報告し早めに直してもらうようにしましょう。
リテーナーで気になることがあるなら
矯正治療後のリテーナーのことで気になることがある場合は、歯科医に相談するようにしましょう。
また定期的にメンテナンスに通い、リテーナーの状態が適切か・破損など問題がないかを確認してもらうことが大切です。
リテーナーに不備がある場合は調整をしてもらうことも可能ですので、違和感がある際は放置せずに早めに通院されることをおすすめします。
編集部まとめ
矯正治療後のリテーナーは一生装着が必要なわけではありません。一般的には矯正治療期間プラス数年(およそ3〜5年)程度であることが多いです。
矯正治療後は歯が動きやすい状態にあるため、リテーナーを用いて綺麗に整えた歯並びを固定する期間を設けることが大切になります。
リテーナーにはいくつか種類がありそれぞれメリットも異なるため、歯科医の指示に従って取り組むようにしてください。
リテーナーによる保定期間中に痛みを感じたり破損したりした場合は放置せずに早めに歯科医へ相談しましょう。
適切な使用方法を守ることが綺麗な歯並びの維持に繋がります。
参考文献
参考サイト