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歯科矯正のトラブル例は?原因や対策する方法も解説

 公開日:2023/12/14
口元を指差す女性

近年、在宅勤務の増加に伴い周りの目を気にしなくて良いため、歯科矯正を検討される方が増えてきています。

一方で、歯科矯正を始めてみたいけれどトラブルはないのと心配されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

理想の歯並びを手に入れるために、可能な限りトラブルは避けたいものです。

そこでこの記事では、歯科矯正のトラブル例を詳しく解説します。また、トラブルの原因や対策する方法も解説するので、参考にしてください。

坂本 輝雄

監修臨床准教授
坂本 輝雄(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科)

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東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授

歯科矯正のトラブル例

チェック治療期間の長い歯科矯正には、予期せぬさまざまトラブルが生じる可能性があります。
トラブルがないに越したことはありませんが、トラブル例を把握しておくことで、柔軟に対応できるでしょう。以下では、歯科矯正のトラブル例を6点解説します。

噛み合わせが悪くなった

歯科矯正を終え歯並びが綺麗になっても、その後噛み合わせが悪くなってしまうケースがあります。
治療が終わっているのに、なぜ噛み合わせが悪くなるの」と疑問に思う方も多いでしょう。原因は下記の通りです。

  • 親知らずの影響:治療後に親知らずが生えてきてしまい、矯正した歯が押され噛み合わせが悪くなる
  • むし歯や歯周病の影響:歯磨きを怠りむし歯や歯周病ができてしまい、歯茎が弱まることで噛み合わせが悪くなる
  • 妊娠に伴う身体の変化の影響:つわりや嘔吐により歯磨きが困難になり、むし歯・歯周病・歯肉炎などの影響で噛み合わせが悪くなる
  • 加齢に伴う身体の変化の影響:加齢によって歯茎が弱まり、歯が自然に抜けてしまい、そのまま放置して噛み合わせが悪くなる

上記で解説した原因はごく一部ですが、噛み合わせが悪くなる原因を事前に把握して、対策を立てておきましょう。

矯正器具が外れた

矯正器具の一種に、ブラケットワイヤーを用いた矯正器具があります。
土台となるブラケットは歯科用の接着剤で固定していますが、固い食べ物を強く噛んだ時に負担がかかり、外れてしまうこともあります。
その他には、キャラメルやガムなどの粘着性が強い食べ物にも注意が必要です。また、指や舌でワイヤーに強く触れると、ワイヤーが外れてしまうこともあります。
矯正器具が外れることは珍しくありませんが、放置すると矯正期間が延びてしまう可能性があります。
万が一、外れてしまった場合は、慌てず歯科医院へ相談しましょう。

むし歯になってしまった

歯

ブラケットとワイヤーを用いた矯正器具の場合、プラークや汚れが溜まりやすいため適切な歯磨きができないと、むし歯になりやすいです。
汚れが溜まりやすい部分は下記の通りです。

  • 矯正器具と歯茎の間
  • 矯正器具に近い歯茎(辺縁歯茎)
  • 歯と歯の間の歯茎(歯間乳頭部)
  • ワイヤー裏側の歯と歯の間

治療中にむし歯ができてしまうと、程度によっては矯正治療を中断し、むし歯治療を優先することもあります。
適切な歯磨き方法を知っていれば防げるトラブルのため、少しでも不安を感じるようであれば、歯磨き指導をお願いしてみましょう。

後戻りしてしまった

歯科矯正の終了直後は、移動させた歯が元の位置に戻ろうとするため、後戻りが生じやすいです。そのため、後戻りを防ぐ保定と呼ばれる治療も行います。
保定には保定装置(リテーナー)が用いられ、着脱式や固定式があります。
着脱式の保定装置は歯磨きがしやすいメリットもありますが、装着後に後戻りが起こりやすいデメリットもあるでしょう。
装着忘れを防ぎたい場合は、固定式の保定装置を検討してください。

予定通りに矯正が終了しなかった

先述でも解説したように、矯正器具が外れる・むし歯になる・後戻りが生じるなど、歯科矯正にはさまざまなトラブルが付きものです。
また、歯の動くスピードには個人差がありますが、動きが遅いことで矯正期間が延びてしまう場合もあるでしょう。
その他には、定期的な通院を怠ることで、予定通りに終了しないトラブルもあります。

思ったよりも費用がかかってしまった

困った歯科矯正は、先天的な特殊な病気を除き基本的には保険が効かないため、治療費が高額になってしまいます。一般的には、総額で80〜120万円程度かかるでしょう。
また、矯正期間が延長してしまうと診察料が余分にかかる場合や、矯正器具が外れると装着のために追加で費用が発生する場合もあります。

歯科矯正でのトラブルの原因は?

カウンセリング歯科矯正でのトラブルには必ず原因が存在します。どのような原因があるのか把握することで、事前に対策ができるでしょう。
トラブルを防ぐためにも、ぜひ参考にしてください。

歯を動かすためのスペースが不足していた

歯並びや噛み合わせが悪い原因として最も多いのが、スペース不足があげられます。
そのため、スペースの確保には抜歯が有効ですが、健康な歯を抜歯するのは抵抗がある方も多いでしょう。その場合、非抜歯矯正で治療をすすめていくこともあります。
しかし、非抜歯の場合狭いスペースの中で歯を動かすため、治療後に噛み合わせが悪くなることや後戻りが生じてしまうこともあるでしょう。

矯正装置が付いているため歯磨きをしっかりと行えなかった

先述の「むし歯になってしまった」でも解説したように、矯正装置が付いていると、歯磨きを隅々まで行うことが困難です。
どの部分がどのように磨きにくいのか把握せずに、普段通りの歯磨きを行っていると、むし歯のリスクが高まってしまいます。
また、通常の歯ブラシではプラークや汚れが残りやすいため、むし歯になりやすいです。
そこで、専用の歯ブラシ補助道具を用いることで、歯磨きがしやすくなるでしょう。磨きやすい歯ブラシや、補助道具の特徴は下記の通りです。

  • 歯ブラシ:山形カットやヘッドがコンパクトなタイプであれば、隙間に入りやすく、小回りが利くため磨き残しが少ない
  • 矯正用フロス:細い繊維を束ねたもので、矯正用のフロスであればワイヤーの間を通しやすい構造のため、歯と歯の間のプラークも取り除ける
  • 歯間ブラシ:1本の細い針金の周りに、複数の毛が設置されているタイプのブラシで、小回りが利きやすくワイヤーの下も磨きやすい
  • タフトブラシ:毛先がひと束になったコンパクトなブラシで、矯正装置の周りや、奥歯などの磨きにくい部分に適している

上記のように、治療中の歯磨きをサポートしてくれるアイテムが多くあります。サイズや形状が複数ある場合は、使用する前に主治医へ相談してください。

しっかりと保定を行わなかった

歯科矯正の治療が終了後、一般的には歯肉や歯の周りの骨が安定するまでに、6ヶ月〜1年ほど時間がかかります。
その間、何もしないまま放置すると後戻りが起きてしまうので、最低でも1年間は保定装置(リテーナー)で保定します。
最終的には全体が安定するまでに、2〜3年の保定を推奨されるでしょう。
固定式の場合は、ご自身で外せないので問題はありませんが、着脱式の場合いつでも外せるため注意が必要です。基本的に食事や歯磨き以外の時は、常に装着する必要があります。
矯正器具が外れたから少しくらい大丈夫だろう」といった思い込みで、毎日装着を忘れてしまうと、後戻りが生じる可能性が高まるでしょう。

カウンセリングが不十分だった

説明歯科矯正は一般的に、下記の流れで治療をすすめていきます。

カウンセリングは初診の項目に当てはまります。患者さんが何に悩んでいて、最終的なゴールはどういった状態なのかなどをヒアリングすることが多いでしょう。
ヒアリングの結果をもとに、治療方法についてや治療費についての説明をします。
ただし、カウンセリングで悩みや考えを十分に聞いてもらえず、一方的な提案が行われてしまい、言われるがままに治療をすすめてしまうトラブルも多いです。
歯科矯正において、カウンセリングは非常に重要です。トラブルにあわないためにも、事前に相談したい内容をまとめておくと良いでしょう。
確認しておくと良い項目は下記の通りです。

  • 歯並びで気になる点
  • 最終的にどのような歯並びにしたいのか
  • 治療期間や治療費について

不安な点や疑問点を事前に明確にして、カウンセリングで解決できるようにしましょう。

歯科矯正でのトラブル対策は?

なぜ歯科矯正のトラブル例や、トラブルの原因はわかっても、実際にトラブルにあった際の対策がわからない方が多いのではないでしょうか。
そこで、冷静に対応できるように、以下では対策方法を解説します。

気になることはすぐに歯科医院に相談する

歯科矯正は数年単位で治療をすすめていきますが、歯の動くスピードは個人差があるため、予定通りにすすまない場合もあります。
そのため、長引いている状態で説明がなければ「この治療方法で問題はないのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
また、予定していた期間よりも早く終わる場合もあるので、少しでも治療について気になる事があればその都度、歯科医院に相談しましょう。
カウンセリングと同様に、治療中でも疑問点を解決することは重要です。

セカンドオピニオンを検討する

カウンセリングの段階で疑問や不安が解消されない場合は、セカンドオピニオンを検討すると良いでしょう。
ただし、セカンドオピニオンを検討する場合、いくつもの病院でカウンセリングを受けないように注意しましょう。
ある程度ゴールを決めておかないと、不安が解消されずカウンセリングばかりを受けてしまい、治療ができないリスクもあります。
セカンドオピニオンは1つの病院に留めておき、同じ質問をして納得がいくまで相談しましょう。
また、治療中に治療方針に対して他の先生の意見を聞きたいと検討されている場合、まずは主治医に申し入れが必要です。
別の医療機関でセカンドオピニオンを受診する場合、検査資料や治療経過に関する資料や書類を主治医に作成してもらう必要があります。
一般的には、資料や書類作成に1〜3万円の費用がかかる場合が多いです。
高額な費用が発生することを事前に把握した上で、セカンドオピニオンを検討するようにしましょう。

歯科矯正を受ける歯科医院の選び方

チェックしたいトラブルにあわないためには歯科医院の選び方もポイントです。どのようなポイントを意識すれば良いのか、以下で解説します。

矯正の専門医や認定医のいる歯科医院を選ぶ

歯科矯正は国家資格である歯科医師免許を持っていれば、どの歯科医師でも治療を行うことは可能です。患者さんの立場からすると、歯科医師の技量を判断することは難しいでしょう。
そのため、専門性をわかりやすくするために、専門医や認定医の資格制度が存在します。
学会の在籍期間・論文の発表・試験の合格など、さまざまな条件をクリアした歯科医師のみに与えられる資格です。
ただし、資格を保有していない歯科医師でも高い技術を有している場合もあるので、資格は医院選びの判断材料として検討すると良いでしょう。

通院しやすい距離の歯科医院を選ぶ

歯科矯正の治療を始めた場合、歯の様子を確認しながら動かしていくため、定期検診が必要です。一般的には、1ヶ月に1回の頻度が多いでしょう。
治療が終わった後の保定中も3ヶ月に1回の定期検診を行う医療機関が多いです。そのため、通院しやすい距離の歯科医院を選ぶことで、通院の負担が少なくなるでしょう。
また、距離が近ければ何か困ったことや、トラブルがあった場合に早急に対応してもらえるメリットもあります。

矯正費用は事前にしっかりと確認しておくのが大事

電卓先述で矯正費用は、一般的に総額で80〜120万円程度かかることを解説しましたが、医療機関によっては定期検診の診察料が別にかかる場合もあります。
治療を始める前に説明はあるかと思いますが、「聞いていない」といったトラブルに注意して、事前にしっかりと確認しておきましょう。
追加費用の発生が心配な方は、トータルフィーシステムを導入している歯科医院を選びましょう。
トータルフィーシステムとは、治療の開始から終わりまでにかかる総額費用を治療開始前に提示するシステムです。
延長による追加費用は基本的にはかからないため、安心して治療を進められます。
ただし、トータルフィーシステムであっても診察料・検査料などは別途費用が発生する場合もあるので、治療を始める前に必ず確認しておきましょう。

トラブルが生じたらすぐに歯科医院に相談を

説明トラブルが生じた場合、慌てず歯科医院に相談することが重要です。特に、矯正器具が外れてしまった場合や、歯が痛みむし歯の不安がある場合などはすぐに相談してください。
ご自身で判断してしまい、トラブルを放置してしまうと、状況によっては治療を中断して対応する場合もあります。
その結果治療期間が延びてしまい、さらに費用が余分に発生する可能性もあるでしょう。トラブルが生じた際は、歯科医院に相談することを心がけましょう

編集部まとめ

やる気この記事では歯科矯正のトラブル例や、トラブルの原因や対策する方法について解説しました。

トラブルについては、カウンセリングの段階で説明されることが多いですが、全てのトラブルについて詳しく説明してくれるかは、歯科医院によって異なるでしょう。

事前に防げるトラブルもあるため、この記事を参考に知識を身に付けていただき、不明点があればその都度確認しましょう。

信頼関係も大切ですので、積極的に主治医とコミュニケーションをとることも、意識してみてください。

この記事の監修臨床准教授