インビザライン（※）は、透明なマウスピース型の歯列矯正装置で、周囲に気付かれずに歯並びを整えられることから注目されています。
しかし、インビザラインでの治療を成功させるためには、装置の装着時間を守ることが極めて重要です。
装着時間を守れないと、治療が計画どおりに進まないだけでなく、さまざまなトラブルを引き起こすリスクがあります。
この記事では、インビザラインの特徴やメリット・デメリットに加え、装着時間を守ることの重要性について整理しました。
また、装着時間が短い場合のリスクや、装着時間を守るための具体的なコツについてQ&A形式で詳しく解説します。
（※）未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。
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小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事
インビザラインの特徴
インビザラインの特徴を教えてください。
インビザラインは、従来のワイヤー型
歯列矯正とは異なり、
透明なマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく治療法です。患者さん一人ひとりの歯並びに合わせて作成された複数のマウスピースを、
段階的に交換しながら装着することで、歯並びを理想の位置へと近づけます。大きな特徴は、装置が透明で取り外しが可能な点です。目立ちにくいため、周囲に気付かれずに歯列
矯正治療を進めたい方に適しています。また、食事や歯磨きの際には取り外せるため口腔内を清潔に保ちやすく、日常生活に支障が少ないのも支持されている点です。
インビザラインの治療期間はどのくらいですか？
インビザラインの治療期間は、患者さんの歯並びや顎骨格の状態、治療計画などによって大きく異なります。一般的に、部分的な
歯列矯正であれば数ヶ月から1年程度、全体的な
歯列矯正の場合は1年半から3年程度が目安です。ワイヤー型
歯列矯正と比較して、歯科医院への通院頻度は低くなりますが、治療期間が特別に短いわけではありません。むしろ、マウスピースの装着時間が守られない場合は、治療期間が予定よりも長引いてしまうことがあります。
インビザラインのメリットを教えてください。
インビザラインには、主に以下のようなメリットがあります。
- 目立ちにくい
- 取り外しが可能
- 金属アレルギーの心配がない
- ほかの歯列矯正治療より通院回数が少ない
透明なマウスピースを使用するため、装着していてもほとんど気付かれないので、
歯列矯正装置が目立つことに抵抗がある方におすすめです。また、食事や歯磨きの際に取り外せるため、普段と変わらない食事が可能です。その結果、口腔内を清潔に保てるため、むし歯や歯周病のリスクを減らせます。さらに、マウスピースはプラスチック素材なので、
金属アレルギーの心配がありません。それに加え、ワイヤー型
歯列矯正に比べて通院回数が少なくて済むのもメリットといえます。
インビザラインのデメリットを教えてください。
インビザラインのデメリットは以下の点が挙げられます。
- 自己管理が求められる
- 症例によっては適用できない
- 治療期間が長引く可能性がある
- 紛失や破損のリスクがある
インビザラインは、毎日
20〜22時間の装着時間を確保する必要があります。装着時間を守れないと治療期間が長引く可能性があり、自己管理が苦手な方には負担が大きい治療です。また、不正咬合の度合いや顎骨の問題などにより、治療自体が適用できない場合もあります。そして、取り外し可能というメリットは、外食時などに
紛失や破損のリスクにもつながります。
インビザラインの装着時間が短いと生じるリスク
インビザラインの1日の装着時間の目安を教えてください。
インビザラインの1日の装着時間の目安は、基本的に20〜22時間とされています。この時間を守ることが、治療計画どおりに歯を動かすための重要な条件です。食事や歯磨きなど、どうしても外さなければならない時間を除いて、できるだけ長く装着し続けることが大切です。
インビザラインの装着時間が短いと起こるリスクを教えてください。
装着時間が短いと、以下のようなリスクが生じます。
- 歯が計画どおりに動かない
- 治療期間が長引く
- むし歯や歯周病のリスクが高まる
- 追加費用が発生する
インビザラインは、継続的な圧力によって少しずつ歯を動かす
歯列矯正方法です。装着時間が短いと歯にかかる力が弱くなり、歯の移動が滞ってしまいます。その結果、歯が計画どおりに動かず、マウスピースが合わなくなることもあります。マウスピースが浮いた状態になると隙間に細菌が繁殖しやすくなり、
むし歯や歯周病のリスクを高めることが問題です。さらに、マウスピースの作り直しが必要になり、予定外の費用がかかることにもなりかねません。このように、装着時間が短いとさまざまな要因で治療に支障をきたし、最終的に理想の歯並びが得られない可能性が高くなります。
外しても差し支えない時間はありますか？
食事の時間と、歯磨きや歯間ブラシなどで口腔ケアを行う時間は、マウスピースを外しても問題ありません。また、水やお茶以外の飲み物（ジュースやコーヒーなど）を飲むときは、むし歯や着色を防ぐために外すことが推奨されています。
装着時間が守れない場合は別の治療法に切り替えられますか？
治療が計画どおりに進まない場合は、歯科医師と相談して、ワイヤー型
歯列矯正など別の治療法に切り替えることもできます。ワイヤー型
歯列矯正は、装置を歯に固定するため取り外しができず、自己管理に依存しない治療法です。ただし、治療法を切り替えると、追加費用の発生や治療期間の再計算が必要になるため注意しましょう。
インビザラインでの治療を始める前に、ご自身の
ライフスタイルを見直し、毎日20時間以上の装着時間を確保できるか慎重に検討することが重要です。
インビザラインの装着時間を守るためのコツ
インビザラインの装着時間を守るためのコツはありますか？
インビザラインの装着時間を守るためには、日常生活のなかにマウスピースを馴染ませる工夫が必要です。
- 装着時間を記録するアプリの活用
- 食事の時間を決め、間食を控える
- 就寝中の装着の徹底
- 外出時の携帯用ケースの利用
スマートフォン
アプリで装着時間を可視化すれば、管理が楽になるだけでなく、目標達成へのモチベーション維持にもつながります。また、食事の時間をあらかじめ決めておき間食を控えれば、マウスピースを外すことが少なくなります。外食時は紛失のリスクが高いため、携帯用ケースを持ち歩き、外したマウスピースはケースに入れる習慣をつけましょう。そして、就寝前の装着確認を習慣化して、
就寝中の装着忘れを回避することも大切です。いずれにしても、装着時間を守ることが治療の成功につながるという意識を持ち、自己管理を徹底しなければなりません。
痛みが生じた場合は装着せずに歯科医院に相談したほうがよいでしょうか？
インビザラインによる歯の移動では、多少の痛みや違和感を伴うのが一般的です。通常は数日で落ち着きますが、痛みが強い場合は歯科医院に相談しましょう。また、マウスピースによる歯茎の傷がある場合も、無理に装着し続けずに歯科医院に連絡してください。自己判断で装着をやめてしまうと、治療計画に影響するので、歯科医師の指示を仰ぎながら治療を進めることが重要です。
編集部まとめ
インビザラインは、目立ちにくく取り外し可能という大きなメリットがある歯列矯正治療です。しかし、その効果を無駄なく引き出すためには、自己管理を徹底し装着時間を守らなければなりません。
1日20〜22時間という装着時間を守れないと、治療期間が長引いたり、追加費用が発生したりするリスクがあります。また、最終的に理想の歯並びを得られない可能性もあります。
一方で、装着時間を守れば、無理なく治療を継続できるでしょう。装着時間を守るための工夫には、タイマーやアプリを使った時間管理やケースの携帯などがあります。
インビザライン装着の負担を軽減し、治療の進行を早めることが大切です。
装着時間に不安がある場合は、治療を始める前に歯科医師に相談し、ご自身のライフスタイルに合った治療法か確認しましょう。また、装着後の痛みやトラブルは自己判断せず、早めに歯科医院に相談して指示を仰ぎましょう。
