オールオン4で受け口は改善できる?改善できるケースと改善が難しいケースとは
公開日:2025/09/17

受け口に悩んでいる方のなかには、「オールオン4で見た目も噛み合わせも改善できるのでは?」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、オールオン4と受け口の関係について以下の点を中心にご紹介します。
- オールオン4と受け口の関係
- オールオン4で受け口を改善できるケースと難しいケース
- オールオン4による受け口改善のメリット・デメリット
オールオン4によってどのように受け口の状態が変化するかを理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

監修歯科医師:
松浦 明(歯科医師)
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職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック
出身大学
福岡歯科大学
経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任
資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医
所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック
出身大学
福岡歯科大学
経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任
資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医
所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員
目次 -INDEX-
オールオン4と受け口の関係
オールオン4はどのような治療法ですか?
オールオン4は、上下いずれかの顎に4本のインプラントを埋入し、その上に連結型の上部構造を固定する補綴治療法です。すべての歯を失った方や、歯の保存が困難な方に合っており、従来のように1本ずつインプラントを埋める方法と比べて、手術時間・治療費・身体的負担の軽減が期待できます。見た目と機能の回復を両立しながら、患者さんの生活の質(QOL)を高める治療法です。
特徴は即日負荷が可能な点で、手術当日に仮歯を装着できることから、歯がない期間を過ごさずに済み、早期の社会復帰や会話・食事も可能になるところです。また、インプラントの埋入角度を調整することで骨の少ない部分にも対応でき、骨移植を回避できる場合もあります。
受け口はどのような状態ですか?
受け口とは、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態のことを指します。この状態は、上顎の歯並びに対して下顎の歯並びが前方に位置し、通常とは逆に噛み合ってしまいます。受け口は、遺伝的な要因や、幼少期の癖、歯の喪失などによって引き起こされることが多いようです。
受け口の状態が続くと、見た目の問題だけでなく、噛み合わせの異常が原因で顎関節症、頭痛、肩こりなどの症状が現れることもあります。さらに、食事がしづらくなったり、口が閉じにくくなったり、滑舌が悪くなるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
受け口は大きく分けて、歯並びが原因のものと骨格が原因のものに分類されます。歯並びが原因の場合は、歯の位置を調整することで改善が期待できますが、骨格が関与する場合は、矯正や外科的治療が必要になることもあります。
オールオン4で受け口は改善できますか?
オールオン4によって受け口の状態を改善できるかどうかは、その原因や重症度によって大きく異なります。
歯の位置異常による歯性の受け口であれば、インプラントの埋入位置や上部構造の角度を調整することで、噛み合わせや見た目を整えることが可能とされています。特に、前歯部分の上部構造をやや内側に設計することで、口元の突出感を抑え、横顔のバランスを改善できる場合もあります。
しかし、骨格そのものに問題がある骨格性の受け口に対しては、オールオン4単体での対応は困難であり、根本的な改善には外科的矯正手術などほかの治療法との併用が求められます。
オールオン4治療はどのような流れで進められますか?
オールオン4の治療は、初診時のカウンセリングと精密検査からスタートします。まず、歯科用CTの撮影や口腔内スキャンを用いて、顎の骨の量や質、噛み合わせの状態、受け口の有無や程度などを詳細に分析し、それに基づいた治療計画を立案します。必要に応じて、保存が難しい残存歯の抜歯を行い、その日のうちにインプラントを4本埋入します。
ほとんどのケースで”即時荷重”と呼ばれる手法が採用され、手術当日に仮歯を装着することで、歯がない状態で過ごす必要がなく、術後すぐに食事や会話が可能になります。インプラントが骨としっかり結合するまで、3〜6ヶ月ほどの治癒期間を設け、安定を確認した後に最終的な上部構造を装着して治療は完了します。
受け口の改善を目的とする場合には、上部構造の設計段階で前歯の傾きや咬合関係を細かく調整し、見た目と機能の両立を図る必要があります。
経験豊富な歯科医師による丁寧な診断と設計が、満足度の高い仕上がりにつながります。
オールオン4で受け口を改善できるケースと難しいケース
どのような状態の受け口はオールオン4で改善できますか?
オールオン4で受け口の改善が期待できるのは、主に歯性の受け口や軽度の骨格性受け口に該当するケースです。歯の傾きや位置が原因で前歯が前方に突出している場合には、インプラントの埋入位置や上部構造の角度、咬合平面の調整によって見た目や噛み合わせのバランスを整えることができます。
特に、顎の骨格に大きな異常がなく、歯列の配列や位置のずれに起因する軽度の受け口であれば、補綴的なアプローチにより口元の突出感を抑えられます。また、仮歯の段階で噛み合わせを調整し、患者さんの希望やフェイスラインに合わせた上部構造の設計を行うことで、より自然で美しい見た目が期待できます。
さらに、適切な角度でインプラントを埋入することで、骨の状態にも配慮した安全性の高い治療が可能になります。ただし、あくまでも補綴の範囲内での改善となるため、治療対象は限定的であり、歯科用CTや模型による精密な診断のうえで適応の可否を判断する必要があります。
オールオン4で受け口を改善するのが難しいケースはありますか?
オールオン4で受け口の改善が難しいのは、骨格性の受け口や重度の下顎前突が認められるケースです。こうした症例では、下顎の骨格自体が前方に大きく突き出ているため、インプラントの埋入位置や上部構造の角度を調整しても、審美性や機能性の十分な改善は期待しにくい場合があります。
骨格のズレが大きいと、噛み合わせの調整だけでは問題の根本解決ができず、外科矯正との併用が必要となることが多くなります。また、顎関節症を抱えている方や、歯ぎしり・食いしばりの強い習慣がある方では、インプラントに過剰な力が加わりやすく、長期的な安定性に懸念が残る可能性があります。
そのほか、重度の骨吸収がある場合や、全身的な健康状態に問題がある場合も、治療の可否を慎重に見極める必要があります。このように、オールオン4には適応が難しいケースも存在するため、事前に歯科用CTや咬合検査を含む精密診断を行い、専門的な視点から適応可否を判断することが不可欠です。
受け口を改善するのが難しい場合、どのような治療がありますか?
受け口の改善がオールオン4単体では難しい場合には、外科矯正や矯正治療との併用が検討されます。特に骨格性の受け口では、下顎骨を後退させたり、上顎を前方に移動させる”顎矯正手術(外科的矯正治療)”が必要になることが多く、これは咬合や顔貌を根本から改善できる方法として有効とされています。
顎矯正手術(外科的矯正治療)は、歯科と医科が連携して行うもので、通常は全身麻酔下で実施され、入院を伴うケースもあります。一方で、外科的処置に抵抗がある方やリスクを避けたい方には、矯正用インプラントを用いた矯正治療や、補綴的な方法による部分的な改善策も提案されます。
これらの方法は低侵襲ですが、改善の範囲に限界があることも理解しておく必要があります。
オールオン4で受け口を改善するメリット・デメリット
オールオン4で受け口を改善するメリットを教えてください
オールオン4で受け口を改善するメリットは、審美性と機能性の両立が図れる点にあります。
歯並びや噛み合わせを上部構造で自由にデザインできるため、受け口による口元の突出感や見た目のコンプレックスを緩和することが可能とされています。これにより、笑顔に自信が持てるようになり、対人関係にも前向きな影響を与えるケースも少なくありません。
また、咬合が整うことで、発音の明瞭化や咀嚼効率の向上など、日常生活の快適さが向上するのも大きな利点です。さらに、治療期間が短い傾向にあり、手術当日に仮歯を装着できることが多いため、見た目の変化を即時に実感できる点も魅力です。
そして、4本のインプラントで全体を支える構造でありながら、しっかりと固定されているため、ズレにくく異物感も少ないのもメリットです。従来の入れ歯と比較しても噛み心地がよく、外れやすさの不安がないことから、多くの患者さんにとって日常生活の質が大きく向上する可能性があります。
オールオン4で受け口を改善するデメリットを教えてください
オールオン4で受け口を改善する際のデメリットとしては、治療の限界と外科手術に伴うリスクが挙げられます。
まず、骨格性の受け口など重度の症例では、インプラントの位置調整や上部構造の配置だけでは根本的な改善が難しく、見た目や咬合に不満が残る可能性があります。また、オールオン4はインプラントを埋め込む外科処置を伴うため、出血や腫れ、痛みなどの術後の症状が一定期間続くことがあり、場合によっては神経への影響や感染リスクもゼロではありません。
さらに、4本のインプラントで上部構造全体を支える構造のため、1本でも問題が生じると全体の修復に影響が及ぶ点も注意が必要です。治療費が高額で、ほとんどのケースで保険が適用されないため、経済的な負担は無視できません。
加えて、インプラントを長く維持するためには、定期的な歯科受診と丁寧なセルフケアが欠かせず、治療後の生活習慣の見直しや継続的なメンテナンスが求められます。
編集部まとめ
ここまでオールオン4による受け口の改善についてお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。
- オールオン4は上部構造で噛み合わせや口元の形を調整できるため、軽度の受け口なら改善が期待できる
- 骨格性の受け口など根本的な要因がある場合、オールオン4単体では改善が難しく、ほかの治療法が必要になる
- 見た目や咬合の改善に加え、咀嚼や発音機能の向上など多くのメリットがあるが、外科的リスクや高額な費用などのデメリットもある
受け口に悩む方にとって、オールオン4は有力な選択肢の一つです。ただし、ご自身の歯に合っているかを見極めるには、歯科医師の丁寧な診断とカウンセリングを受けることが欠かせません。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。




