オールオン4はやり直しできる？やり直しを成功させるために大切なことを解説

オールオン4とは

オールオン4は、失った歯を補うためのインプラント治療法のひとつです。上顎または下顎の歯をすべて失った方に対して行われています。

従来のインプラント治療では、1本の上部構造に対して1本ずつインプラント体を埋め込む必要があり、複数の歯が欠損している患者さんにとって、治療の負担や費用が大きくなりがちでした。それに対してオールオン4は、片顎に4本のインプラント体をバランスよく配置し、それらで一体型の上部構造をしっかりと支える構造になっています。

こうした特徴から、オールオン4は、手術の回数や治療期間、費用などを抑えられる場合があります。また、顎の骨が少ない方でも対応できる点もメリットとして挙げられます。その他に、使用している入れ歯に不満がある方などにも提案されている治療法です。

オールオン4がやり直しになるケース

オールオン4は治療期間や治療費を抑えられる治療法ですが、まれに再治療が必要になることもあります。以下ではオールオン4がやり直しになるケースについて解説します。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、インプラント周辺の歯茎や顎骨に炎症を引き起こす病気です。主な原因は、プラークや歯垢の磨き残しから発生する細菌感染で、歯茎に炎症が広がります。歯茎の炎症が放置されると、インプラント体を支える顎骨にまで影響し、最終的にはインプラントが抜け落ちるリスクがあります。

インプラント周囲炎は、毎日の口腔ケアと専門的な歯科診療を受けることで予防できます。治療後も適切なメンテナンスを行い、インプラントを長期的に安定した状態で維持することが大切です。

インプラントの脱落

オールオン4の治療後には、さまざまな要因により、インプラント体が顎の骨としっかり結合せず、インプラントが脱落することがあります。これは1％程度の確率で発生する可能性があり、再治療が必要となります。こうしたインプラントの脱落は、インプラント周囲炎やインプラントの固定不良、手術時の不備などが主な原因です。

脱落を防ぐためには、歯科医師が綿密な治療計画を立て、しっかりとしたインプラント埋入を行うことが重要です。また、インプラントの適切な配置だけでなく、その後の患者さんの日々のメンテナンスや定期的な歯科診療などの予防ケアが継続して行われることで、脱落のリスクを抑えられます。

噛み合わせの違和感

オールオン4治療後に、噛みにくい、喋りづらいといった違和感を感じることがあります。違和感の原因は、インプラント体の埋入位置や角度が計画どおりでなかった場合に起こることが多いようです。インプラント体の埋入が不適切だと、噛み合わせのバランスが崩れ、上部構造に不均等に力がかかり、結果的に食事や会話時に不便さを感じます。

もし治療後に噛み合わせの違和感や顎の痛みを感じた場合、速やかに担当の歯科医師に相談し、調整してもらうことが大切です。

見た目の不満

オールオン4の仕上がりに対し、患者さんの期待どおりにならなかった場合、やり直しが行われるケースがあります。インプラント治療は、患者さんが希望した色や形を反映しやすい反面、実際に上部構造が入った後に違和感を感じたり、理想と少し異なる仕上がりになったと感じることもあります。そのため、治療前にどのような見た目を目指すのかを歯科医師とよく相談し、確認しておくことが大切です。

見た目に関して不満が生じる原因には、歯並びや歯の大きさ、色、または笑った時の歯の見え方などが理想と違うことが挙げられます。さらに、治療後に唇が閉じにくい、口元のバランスが悪いなどの問題も発生することがあります。医学的には適切な歯並びや噛み合わせができていても、治療前の口元の状態とギャップが生じたり、思いどおりの見た目にならなかったりする場合もあることを理解しておく必要があります。

オールオン4のやり直し治療の流れ

もしオールオン4のやり直しがある場合、どのような治療の流れなのか気になりますよね。以下で詳しく解説します。

①カウンセリング

オールオン4の治療のやり直しは、患者さんの状態を把握することから始まります。まずは、視診や触診を行い、歯茎の健康状態や残っている歯の状況を評価します。さらに、患者さんのライフスタイルや希望を確認します。

②検査・原因の特定

次に行うのは術前の詳細な検査です。この検査では、顔全体における歯や歯茎の位置を確認し、歯並びの歪みや不整合を客観的に記録します。特に、既存の歯並びが悪くなっている場合、その歪みが顔のバランスにどのように影響しているかを把握することが重要です。

検査の際には、歯科用CTスキャンやレントゲン撮影を実施し、顎の骨の厚さや密度をチェックします。顎の骨の厚さや密度は、インプラント体の埋入計画にとって重要な情報です。その他、口腔内写真、顔貌写真、型取り、噛み合わせの確認、歯周病検査などを行います。これらのデータをもとに治療計画を立て、治療の可否や進行方法を詳細に把握します。

1回の検査だけでは、情報が不十分な場合もあるため、必要に応じて追加で検査が行われることがあります。

③オールオン4の除去

オールオン4治療後に問題が発生した場合、必要に応じてインプラントを取り除くことがあります。インプラント周囲に炎症や感染が確認された場合、そのままにしておくことはできません。インプラントの除去は慎重に行う必要があり、周囲の組織や骨をできる限り傷つけないよう、専門的な技術が求められます。

取り除く際は、まず検査結果をもとにどのインプラントが問題を引き起こしているかを特定します。インプラントを安全に取り外すため、場合によっては特殊な器具を使用することもあります。インプラントを除去した後は、周囲の組織に炎症や感染がないかを確認し、必要に応じて治療を行います。

④骨再生手術（必要な場合のみ）

インプラント治療を行う際、骨量が不足している場合には、骨再生手術を検討することがあります。骨再生手術では、骨移植や骨誘導再生療法（GBR）など、再生技術を駆使して顎骨の量を回復させ、インプラント体がしっかりと固定できるようにします。

骨移植では、患者さん自身の骨や人工骨を使用します。骨誘導再生療法では、特殊な膜を使って顎骨の再生を助けます。これらの手法により、インプラントを支える十分な骨量を確保し、治療の成功率を高めることができます。

骨再生手術は、必要な場合にのみ行い、手術前に十分な説明と検査を行い、患者さんの状態に合わせた方法を選択します。

⑤新しいオールオン4の埋入

骨再生が完了し、治癒が十分に進んだことが確認できたら、次に新しいインプラントを埋入する手術を行います。初回の治療で得られた反省をもとに、インプラントの位置や角度をさらに調整し、安定性を目指します。

インプラント体が顎骨としっかり結合することが大切なので、手術後はその進行具合を定期的に確認しながら慎重に治療を進めていきます。

⑥最終補綴物の装着

インプラント体が顎骨と結合し、しっかりと固定された後、治療の最終段階として上部構造を装着します。この際、上部構造の噛み合わせを細かく調整し、インプラントに過度な負担がかからないようにします。適切な調整を行うことで、快適な噛み心地と見た目が実現され、天然歯のように機能します。

治療が完了した後も、定期的なメンテナンスが重要です。定期的にチェックを行い、インプラントや上部構造に問題が発生していないかを確認します。これにより、長期間にわたり、安定した状態を維持でき、健康な口腔環境を保てます。

オールオン4のやり直しにかかる費用・期間の目安

オールオン4のやり直しには、どのくらいの費用・期間が必要なのでしょうか？ 以下で解説します。

オールオン4のやり直し費用

オールオン4の治療費は、片顎の場合で200〜400万円程度が相場ですが、オールオン4のやり直しは、再手術や調整が必要となるため、追加のコストが発生します。その金額は、治療内容や歯科医院によって異なります。

例えば、インプラントの再埋入や修正が必要な場合、再手術に伴う費用や新しいインプラント体、上部構造の製作費用が追加されます。さらに、使用する素材や歯科医院の設備、治療の難易度によって、最終的な費用は変動します。やり直しの費用を抑えるためにも、治療前に歯科医師と十分に話し合い、計画を確認することが大切です。

オールオン4のやり直し期間

オールオン4治療では、インプラント体の埋入手術が半日で終了し、その後、4〜6ヶ月間の顎骨との結合期間を経て最終的な上部構造が装着されます。しかし、やり直しが必要な場合、治療内容に応じて再手術や調整が必要となるため、さらに治療期間が延びることが考えられます。

例えば、インプラント体と顎骨がうまく結合しなかったり、位置や角度が不適切だった場合、再埋入や再調整が必要です。この場合、追加の検査や手術を経て、再度インプラントの安定性を確認するために数ヶ月を要することがあります。特に骨移植や追加の再生治療が必要な場合、治療期間は長引く可能性があります。

患者さんの個々の状態により治療期間が変動するため、事前に十分なカウンセリングを受け、治療の進行具合を確認しながら治療を進めることが大切です。

オールオン4のやり直しを成功させるために大切なこと

最後にオールオン4のやり直しを成功させるためにはどのようなことが大切なのか、以下で解説します。

経験豊富な歯科医院を選択する

オールオン4治療を成功させるためには、経験豊富で技術力のある歯科医師を選ぶことが重要です。治療の結果に満足できるかどうかは、歯科医師の技術や経験に左右されます。

具体的には、オールオン4に関する専門的な資格を保有している歯科医師であるかを確認するとよいでしょう。また、年間症例数が多い歯科医院や、歯科技工士との密な連携が取れる歯科医院、歯科用CTなどの医療機器を整えている歯科医院などは、精密な治療が期待できます。

サポート体制を確認しておく

オールオン4治療を受ける際は、治療に必要な費用や保証内容だけでなく、その後のサポート体制もしっかりと確認しておくことが大切です。治療が完了した後も、定期的なメンテナンスが不可欠であり、メンテナンスの費用や内容を事前に把握しておくことで、予想外の負担を避けることができます。

具体的には、治療完了後のメンテナンス費用や、万が一のトラブル時にどのような対応がされるのかを確認しておきましょう。歯科医院が提供するアフターケアが充実しているかどうかも、治療の成功にとって重要な要素です。例えば、定期的なチェックアップや緊急対応がしっかりと行われているか、また専門の歯科衛生士が在籍しているかなどもチェックポイントとなります。

さらに、治療後の保証内容や期間についても明確に説明を受けておくことが必要です。将来的に治療に関する問題が発生した場合、どのように対応してもらえるか、保証の範囲を確認しておきましょう。