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CAD/CAM冠の強度は十分?素材の特徴やメリット・デメリット、他の治療との違いを解説

 公開日:2026/05/07
CAD/CAM冠の強度は十分?素材の特徴やメリット・デメリット、他の治療との違いを解説

CAD/CAM冠は、コンピューター制御によって設計・製作される白い被せ物です。一定の条件を満たせば保険適用となるケースもあり、審美性と費用のバランスに優れた治療法として選ばれる機会が増えています。一方で、強度や耐久性について不安を感じる方も少なくありません。この記事では、CAD/CAM冠に使用される素材の特徴や強度の考え方、メリット・デメリット、ほかの被せ物との違いを解説します。

柳下 寿郎

監修歯科医師
柳下 寿郎(歯科医師)

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日本歯科大学附属病院歯科放射線・口腔病理診断科 元教授
日本臨床口腔病理学会理事 日本口腔腫瘍学会理事 一般社団法人口腔がん撲滅委員会代表理事

【経歴】
1989年3月 日本歯科大学歯学部 卒業
1993年3月 日本歯科大学大学院歯学研究科 修了
1993年4月 日本歯科大学歯学部病理学教室 助手
1996年1月 州立フロリダ大学歯学部 客員研究員
1998年4月 日本歯科大学歯学部病理学教室 講師
1998年10月 東邦大学医学部第一病理学講座 非常勤研究員(~2004年 8月)
2001年10月 人体解剖資格医 取得 (第7494号)
2004年8月 口腔病理専門医 取得 (第126号)
2004年9月 埼玉県立がんセンター 病理診断科 非常勤研究員(~現在に至る)
2004年10月 日本歯科大学歯学部病理学講座 准教授
2005年10月 日本歯科大学附属病院口腔病理診断室 異動
2009年4月 日本病理学会 評議員
2010年1月 口腔腫瘍学会 評議員
2012年4月 日本歯科大学附属病院歯科放射線・口腔病理診断科 科長
2012年4月 口腔病理専門医研修指導医
2012年12月 細胞診専門歯科医認定医 取得
2014年10月 口腔がん撲滅委員会 活動スタート
2014年12月 1日 東京医科歯科大学非常勤講師
2015年4月 1日 東邦大学医学部客員講師
2016年4月 日本歯科大学附属病院歯科放射線・口腔病理診断科 教授
2017年3月 一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 理事
2018年4月 口腔腫瘍学会 理事
2020年10月 一般社団法人 口腔がん撲滅委員会 代表理事
2026年4月 富士市立中央病院 歯科口腔外科 非常勤歯科医師
2026年6月 日本歯科大学附属病院 退職
2026年8月 横浜総合病院  歯科口腔外科 非常勤歯科医師

【専門・資格・所属】
歯学博士 
口腔病理専門医 口腔病理専門医研修指導医 細胞診専門歯科医認定医
日本病理学会評議員 日本臨床口腔病理学会理事 日本口腔腫瘍学会理事 一般社団法人口腔がん撲滅委員会代表理事

CAD/CAM冠の概要

CAD/CAM冠の概要
CAD/CAM冠は、デジタル技術を活用して製作される被せ物です。ここでは、使用される素材の特徴や費用の目安を解説します。

使用する素材

CAD/CAM冠は、ハイブリッドレジンブロックと呼ばれる材料から削り出して製作されます。ハイブリッドレジンとは、歯科用プラスチックであるレジンにセラミックの微粒子(無機フィラー)を高密度に配合した複合材料からなり、工場で均一な品質のもとで製造された既製ブッロクを削って作る工業製品に近い補綴物であるため、従来のレジン充填と比べて硬さなどの物性が安定しており、強度や耐摩耗性が向上しています。

この素材は、硬すぎず適度なしなやかさを持つ点が特徴です。ジルコニアのように非常に硬い素材は割れにくい反面、噛み合う歯(対合歯)を摩耗させやすい傾向があります。一方、ハイブリッドレジンはある程度の弾性を持つため、噛み合う歯へのダメージを抑えやすいという利点があります。

また、金属を使用しないため金属アレルギーの心配が少なく、歯茎の黒ずみも起こりにくい点もメリットのひとつです。ただし、ジルコニアなどの高強度セラミックと比較すると、破折強度や長期耐久性ではやや劣る傾向があります。噛む力の強い方や奥歯の負担が大きい部位では、適用の可否を慎重に判断することが求められます。

費用相場

CAD/CAM冠は、一定の条件を満たせば健康保険が適用されます。対象となる歯の部位や、両隣や反対側の歯でしっかり噛める状態であることなどが条件です。保険診療の場合、自己負担割合に応じた費用で白い被せ物を選択できます。

従来、白い被せ物は自費診療が中心で高額になることが多くありました。CAD/CAM冠の登場により、比較的費用を抑えながら審美性を確保できる選択肢が広がっています。自費診療で行う場合は、使用するブロックの種類や歯科医院の技術料によって費用が異なりますが、ジルコニアクラウンやオールセラミッククラウンと比べると費用は抑えめの傾向があります。

見た目と費用のバランスを重視する方にとって、検討しやすい治療法のひとつとして位置付けられます。

CAD/CAM冠の強度と耐久性

CAD/CAM冠の強度と耐久性

CAD/CAM冠を検討する際、強度や耐久性は多くの方が気になるポイントです。ここでは、天然歯との比較や割れる原因について解説します。

CAD/CAM冠の強度は天然歯と比べてどうか

CAD/CAM冠に使用されるハイブリッドレジンは、天然歯のエナメル質よりやや柔軟性があります。天然歯は非常に硬い組織ですが、その下には象牙質という柔らかい層が存在し、衝撃を吸収しています。ハイブリッドレジンもある程度の弾性を持つため、噛み合わせの衝撃を分散しやすいという特徴があります。日常的な食事や会話などの通常の使用環境であれば、十分な強度を発揮します。ただし、強い咬合力が繰り返しかかる部位では摩耗や欠けが生じる可能性があります。とくに歯ぎしりや食いしばりのある方は注意が必要です。

CAD/CAM冠が急速に咬耗・摩耗する、破折する場合があります。適切な症例選択と咬合調整が行われていれば、CAD/CAM冠は実用上問題なく使用できます。噛み合わせのバランスを整えることが重要なポイントです。長期的には、CAD/CAM冠が削れ、咬合高径の低下、咬合バランスの崩壊、対合歯の提出等に繋がる場合があります。

CAD/CAM冠が割れる原因

CAD/CAM冠が割れる主な原因としては、強い咬合力や歯ぎしり・食いしばりが挙げられます。とくに就寝中の歯ぎしりは無意識のうちに起こるため、想像以上の力が加わることがあります。また、土台となる歯の高さや幅が不足している場合も破折リスクが高まります。支える歯質が十分でないと、冠に負担が集中しやすくなるためです。加えて、経年的な摩耗や接着剤の劣化も影響することがあります。氷を噛んだり硬いナッツ類を頻繁に食べたりする習慣がある方は、とくに注意が必要です。破折を予防するためには、定期的なメンテナンスと咬合チェックが欠かせません。歯ぎしりの傾向がある場合は、ナイトガードの使用も有効な対策となります。

CAD/CAM冠が適している方

CAD/CAM冠が適している方
CAD/CAM冠は、金属アレルギーへの配慮や審美性と費用のバランスを重視する方に選ばれています。ここでは、CAD/CAM冠が適している代表的なケースを解説します。

金属アレルギーがある方

金属を含む被せ物では、お口のなかに装着された金属から微量の金属イオンが溶け出し、体内に取り込まれることで皮膚炎やかゆみなどの症状が現れるケースが報告されています。また、長期間の使用により歯茎との境目が黒ずむこともあり、見た目が気になる方も少なくありません。CAD/CAM冠は金属を一切使用しないため、こうした金属アレルギーのリスクを軽減できます。過去にアクセサリーなどで金属アレルギーを起こした経験がある方や、将来的なリスクを避けたい方にとって安心できる選択肢です。歯茎の変色も起こりにくいため、長期的な審美性の維持にもつながります。金属をできるだけ避けたい方や、身体への負担が少ない素材を希望する方に適した治療法として位置付けられます。

審美性を重視しつつ費用を抑えたい方

CAD/CAM冠は、天然歯に近い白さを再現できる被せ物です。銀歯と比べると見た目の違和感が少なく、お口を開けたときにも自然な印象を保てます。笑ったときに銀歯が見えることを気にしている方にとっては、大きなメリットです。オールセラミックやジルコニアと比較すると透明感や色調再現性ではやや劣る場合もあります。しかし、保険適用の範囲内で白い歯を選択できる点は大きな利点です。費用を抑えながら審美性も確保できるというバランスのよさが、CAD/CAM冠の強みとなっています。できるだけ自然な見た目にしたいが費用面も重視したいという方にとって、現実的で選びやすい治療の選択肢です。

保険適用の白い被せ物を希望する方

従来、白い被せ物は自費診療が中心であり、費用面でのハードルが高いものでした。CAD/CAM冠は一定の条件を満たせば保険診療で受けられるため、経済的な負担を抑えながら白い被せ物を選択できます。治療する歯の部位や噛み合わせの状態などの基準がありますが、条件に合致すれば保険の範囲内で対応が可能です。とくに奥歯の銀歯が気になる方や、金属色をできるだけ減らしたい方にとって、現実的な選択肢のひとつとなります。ただし、咬合力が非常に強い方や支えとなる歯質が不足している場合など、適応外となるケースもあるため、事前の診断にもとづいた判断が求められます。

以上を簡単にまとめると、CAD/CAM冠の適応については、保険を希望、主に小臼歯で、咬合力が普通、そして審美性に関してはそこそこの要求度の患者さんに適しています。一方で、強いブラキシズムがある、咬合が崩壊している、そして、長期安定を絶対の条件としている患者さんは避けた方が良いと考えます。

CAD/CAM冠治療の流れ

CAD/CAM冠治療の流れ
CAD/CAM冠の治療は、検査から装着まで複数のステップを経て進められます。ここでは、一般的な治療の流れを解説します。

検査・診断

最初のステップは、お口のなか全体の検査です。むし歯や歯周病の状態確認、レントゲン撮影などを行い、歯そのものや歯茎の状態、噛み合わせを把握します。これらの所見をもとに、必要な治療とCAD/CAM冠が適応可能かどうかを判断し、治療計画を立てます。むし歯が大きい場合は、先にむし歯の除去や神経の治療が必要になることもあります。歯周病が進行している場合は、歯茎の炎症を改善してから被せ物の治療に移行する流れが基本です。土台となる歯質が十分に残っているかどうかも大切な判断材料となります。加えて、噛み合わせの状態も慎重に評価されます。これが最も重要なポイントです。歯ぎしりや食いしばりの傾向がある場合は、CAD/CAM冠以外の素材を検討することもあります。また、対合歯が天然歯か補綴物かの確認も重要です。見た目だけでなく、機能面や長期的な安定性を考慮したうえで総合的に判断することが大切です。

・歯の形成(医療側のポイント)

被せ物を作るためには、上述したように土台となる歯質が十分に残っている必要があるのと同時に、十分な切削量も重要になります。これは、被せ物の厚みを確保することで、強度を出ためです。薄い被せ物は破折の原因になります。

型取り

治療計画にもとづいて歯の形成(削り出し)を行った後、印象材または口腔内スキャナーで型取りを実施します。歯の形を整える形成は、被せ物の適合性を左右する重要な工程です。適切な形に削られていないと、冠が浮いたり隙間ができたりする原因になります。従来はシリコンなどの印象材を使用して型取りを行っていましたが、近年は口腔内スキャナーを用いたデジタル印象を導入する歯科医院も増えています。デジタルスキャンは不快感が少なく、より精密なデータを取得しやすいというメリットがあります。型取りの精度は、完成した被せ物のフィット感や長期的な安定性に直結します。このステップの正確さが、治療全体の仕上がりを大きく左右します。

CAD/CAMシステムによる作製

取得したデータをもとに、コンピューター上で被せ物を設計し、専用の機械でハイブリッドレジンブロックから削り出します。コンピューター上では歯の形態や噛み合わせのバランスを細かく調整しながら設計を行うため、従来の手作業による製作と比べて安定した品質を確保しやすくなっています。設計が完了すると、ミリングマシンと呼ばれる専用の機械がブロックから冠を削り出します。人の手によるばらつきが少なく、均一な厚みや形態を再現できる点が特徴です。歯科医院によっては院内で当日中に製作できるケースもあり、治療期間の短縮につながることもあります。短期間で精度の高い補綴物(ほてつぶつ)を得られる点は、CAD/CAMシステムの大きな利点です。

装着と調整

完成した冠を実際に歯に合わせ、噛み合わせや適合状態を確認しながら細かく調整を行います。まず仮合わせを行い、隙間や浮きがないかを確認した後、噛み合わせのチェックに進みます。わずかな高さの違いでも違和感につながるため、慎重な調整が必要です。問題がなければ、専用の歯科用接着剤(レジンセメント)でしっかりと接着します。接着操作の精度は冠の長期的な安定性に直結するため、この工程も非常に重要です。装着後は違和感やしみる症状が出ていないかを確認し、必要に応じて後日のチェックを行います。定期的にメンテナンスを受けることで、CAD/CAM冠を長く良好な状態で使い続けることにつながります。

CAD/CAM冠以外の治療の選択肢

CAD/CAM冠以外の治療の選択肢

被せ物にはCAD/CAM冠以外にもさまざまな種類があります。ここでは、代表的な選択肢であるメタルクラウン、ジルコニアクラウン、オールセラミッククラウンの特徴を解説します。

メタルクラウン

メタルクラウンは、金銀パラジウム合金などの金属で製作される被せ物です。保険診療で広く用いられてきた実績があり、長年にわたって使用されている信頼性の高い治療法です。金属は非常に強度が高く、咬合力の強い奥歯でも破折しにくいという大きな利点があります。適合精度が高く、長期間安定しやすい点も特徴です。一方で、審美性の面では銀色が目立つため、お口を開けたときに気になる方は少なくありません。金属アレルギーのリスクがあるほか、経年的に歯茎との境目が黒ずむことがある点にも注意が必要です。強度を最優先に考える方や、見えにくい奥歯で審美性をそこまで重視しない方に向いている選択肢です。

ジルコニアクラウン

ジルコニアクラウンは、人工ダイヤモンドにも耐えられるほど高い強度を持つセラミック素材を使用した被せ物です。曲げ強さや破折強度が非常に高く、強い咬合力がかかる奥歯にも適応できます。金属を使用しないため金属アレルギーの心配がなく、歯茎の黒ずみも起こりません。白色の素材であるため審美性にも優れていますが、透明感という点ではオールセラミックにやや劣る場合があります。また、自費診療となるケースが多く、費用が高額になる傾向がある点は把握しておく必要があります。非常に硬い素材であるため、噛み合わせの調整が不十分だと対合歯を摩耗させる可能性がある点にも注意が求められます。割れにくい素材を重視する方や、長期的な耐久性を求める方に適した治療法で、咬合力の強い患者さんには向いています。

オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンは、金属を一切使用せず、すべてセラミックで製作される被せ物です。透明感があり、天然歯に非常に近い色調や質感を再現できるため、前歯の審美治療にとくに適しています。光の透過性に優れており、自然な仕上がりが期待できる点が最大の特徴です。金属を使用しないため、アレルギーや歯茎の変色の心配もありません。見た目を最重視する方にとっては非常に魅力的な選択肢です。ただし、ジルコニアほどの強度はないため、強い咬合力がかかる奥歯では慎重な判断が必要になります。多くの場合は自費診療となるため、費用面も事前に確認しておくことが大切です。前歯の見た目を自然に整えたい方や、審美性を最優先にしたい方に向いている治療法です。

まとめ

CAD/CAM冠は、保険適用が可能な白い被せ物として、費用と審美性のバランスに優れた治療法です。適切な症例であれば日常生活での食事や会話に十分対応できる強度を備えており、金属アレルギーのリスクがない点も大きな利点です。ただし、歯ぎしりや食いしばりが強い方、奥歯に大きな力がかかる方などでは、素材の特性を踏まえた慎重な判断が必要となります。ジルコニアやメタルクラウンなどほかの選択肢とも比較しながら、自身のお口の状態に合った方法を選ぶことが大切です。被せ物の治療を検討する際の参考にしてみてください。

この記事の監修歯科医師