小児矯正に必要となる治療期間の目安
矯正治療は長期にわたって行われる治療です。とくに小児矯正では、顎の骨を広げるために行われる第1期治療と歯並びを整えるために行われる第2期治療を段階的に行うため、治療期間が長期化しやすくなります。
第1期治療に必要となる期間や治療方法ごとの治療期間、そして治療後の保定期間について、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
櫻井 雄太 歯科医師 スマイル+さくらい歯列矯正歯科二子玉川 院長
目次 -INDEX-
第1期治療と第2期治療に分けて行われる小児矯正
歯並びの乱れの多くは顎(あご)の骨が発達段階にある小児期に起こります。柔らかいものばかりを口にする食習慣や頬杖、指しゃぶり、うつぶせ寝などの習慣があると顎の骨が十分に発達せず、狭い顎の骨に並びきれない歯が前後に倒れて歯並びが乱れ始めてしまいます。
成人矯正と異なり、小児矯正ではまず顎の骨を広げる第1期治療を行い、顎の骨が適切な大きさまで成長してから歯並びを整える第2期治療を行います。第1期治療と第2期治療は目的や治療方法が異なり、治療に必要となる期間にも違いがあります。治療期間を分けて段階的に治療を進めることで、無理なく整った歯並びを目指すことが可能となります。
第1期治療の目的と治療期間
第1期治療は乳歯と永久歯が混在した混合歯列期に顎の骨の成長を利用して行われる矯正治療です。床矯正やマウスピースを使った矯正によって、少しずつ顎の骨の適切な成長を促していきます。歯並びを整える前に顎の骨を十分に広げておくことで、抜歯することなく歯並びの改善を目指すことができるようになります。
顎の骨が成長の途上にある6歳から10歳頃までのあいだに治療を開始することが望ましく、治療期間は1年から2年程度にわたります。第1期治療によって顎の骨が十分に広がった場合であっても、永久歯が生え揃うまで第2期治療の開始を待つケースも珍しくありません。
第2期治療の目的と治療期間
顎の骨が十分に広がり、永久歯も生え揃った段階で第2期治療に移行します。多くの場合、中学生頃になると第2期治療が可能となります。第2期治療ではオーソドックスな矯正装置である表側矯正などを使い、成人の方に行う矯正治療と同じように、お口全体にわたって歯並びを整えていきます。
治療に使用される矯正装置の種類にもよりますが、治療期間は2年から3年となります。第2期治療の完了をもって矯正治療が終了となります。
治療方法ごとに異なる第2期治療の治療期間
第2期治療で選択できる治療方法には、さまざまな種類があります。選択されるケースの多い表側矯正のほか、舌側矯正(裏側矯正・リンガル矯正)やマウスピース矯正が検討されます。治療方法ごとに治療費用や特徴は異なりますが、治療期間もそれぞれに違いがあります。
矯正治療は歯科治療のなかでも、とくに治療期間が長期に及びやすい治療のひとつです。治療を終えるまで調整や矯正装置の付け替えのために通院が必要となりますが、治療を受けるお子さまの負担の軽減をはかるうえで治療期間がどれくらいであるのかという点は大切なポイントになります。
ベーシックな表側矯正
矯正治療で採用される矯正装置のなかでもっともベーシックなタイプです。歯の表側にブラケットとワイヤーを取り付け、奥歯を固定ポイントにして、歯並びを動かします。表側矯正に対応した歯科医院は多く、矯正歯科の診療を行っている歯科医院のほとんどで治療を受けられます。
矯正装置が口元で目立ちやすいため敬遠される方も少なくありませんが、症例の蓄積が豊富で期待する治療結果を得やすい治療方法であるとされています。ワイヤーやブラケットの多くは金属製ですが、セラミックのブラケットによる表側矯正に対応した歯科医院も増えつつあります。お子さまの歯並びの状態にもよりますが、平均的な治療期間は2年から3年です。
口元で矯正装置が目立たない舌側矯正
歯の裏側にワイヤーとブラケットを取り付けて歯並びの改善を目指す治療方法で、「裏側矯正」「リンガル矯正」と呼ばれるケースも多く見られます。矯正装置を歯の裏側に取り付けるため、お口を空けても矯正治療をしていることがほとんどわからないという大きな特色があります。
口元で矯正装置が目立ってしまうことを心配される方は、裏側矯正を選択することもできます。ただ、歯の裏側にある矯正装置に舌が当たることに違和感を持つ方も少なくありません。歯の裏側に矯正装置を取り付ける裏側矯正は表側矯正よりも高い技術が必要となり、治療費用もやや高額となる場合が多いようです。治療期間は約2年から3年にわたります。
取り外しが可能なマウスピース矯正
近年、利用されるケースが増えている矯正方法がマウスピース矯正です。マウスピース矯正は、歯並びをもとに透明な材料で作られたマウスピースを定期的に付け替えることで、歯を少しずつ動かしていく治療方法です。マウスピース矯正の治療期間は表側矯正や裏側矯正よりも長くなる傾向があります。
マウスピース矯正は治療期間中であっても、装用時間を守っていればマウスピースを取り外すことが可能である点に大きなメリットがあります。お食事や歯磨きの際には取り外すことが可能で、毎日の生活上の不便を小さくすることができ、装用時にも目立ちにくい矯正方法です。食べ物が矯正装置に挟まってしまうことがなく、金属アレルギーの心配もありません。
また、お子さまが身体を激しく動かすスポーツをする場合にも、お口のなかにダメージを与えにくくなっています。小さなお子さまがマウスピース矯正を行う場合、学校などで紛失してしまうおそれがあるため、注意が必要です。
治療後に設定される保定期間
矯正治療では歯の後戻りを防ぐために、一定期間にわたってリテーナー(保定装置)を装着して過ごす必要があります。リテーナーを使用する保定期間は歯並びの状態や年齢などによって異なりますが、引き続き、歯科医院に通院して後戻りが起きていないかチェックを受けるケースがほとんどです。多くの場合、矯正装置を付けていた治療期間と同じ程度の保定期間が設定されます。歯の後戻りがないことを確認することで保定期間が終了となります。
長期にわたる治療で得られる大きなメリット
小児矯正は第1期治療と第2期治療を合わせると、およそ2年半から4年ほどの治療期間が必要となります。選択した矯正方法によっては、さらに長い治療期間を想定する必要があります。矯正治療は治療期間が長期にわたるケースがほとんどですが、治療を行うことで歯並びが整うだけでなく、噛み合わせが改善して将来的にも虫歯や歯周病になりにくい口腔環境を保ちやすくなります。
また、お口のなかの清掃性が高まることで、予防の効果を期待することができるようになります。長期間の治療を受けることで大きなメリットを手に入れることができます。治療を担当する歯科医ともよくご相談のうえ、お子さまにとって負担の少ない治療方法を選択していただきたいと思います。
お子さんの状態によっては、大人の歯が生えそろってから治療開始した方が、質の高い矯正治療が可能な場合もありますので、適切な時期まで経過観察を行うことが最上の治療選択になります。適切な診査診断をすることで、今後、お口の中がどのように変化していくか、そしてその変化は適切なものか、適切な変化でなければ、いつ、どのような装置を利用して治療をしていくのかが予測できます。
監修ドクター:櫻井 雄太 歯科医師 スマイル+さくらい歯列矯正歯科二子玉川 院長
歯列矯正でおすすめの矯正歯科 関東編
スマイル+さくらい歯列矯正歯科二子玉川
出典:http://www.smileplus-sakurai.com/
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