インプラントを成功させるための手術後の行動とNG行動
美しい歯を再び手に入れる方法として人気を集めているインプラント。実は、手術後の行動が成功率に大きく関わっているといわれています。あなたのいつもどおりの行動が、傷口からの再出血やインプラントの失敗に繋がってしまうかもしれません。
そこで、手術後にできる行動や、やってはいけないNG行動などについてMedical DOC編集部がお届けします。
伊藤 貴志 (いとう歯科 院長)
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注目集める義歯治療のインプラント
抜けてしまった歯を補う方法として、差し歯や入れ歯が昔から利用されていました。もちろん、今でも使用されているのですが、現在ではもう一歩進んだインプラントという方法が人気を集めています。
インプラントは、土台部分と人工歯、これらを繋ぐ連結部分の3つの部分から構成されています。抜けにくい差し歯、取り外しの必要がない入れ歯というイメージです。
施術では、まず土台部分を顎の骨に埋め込むための外科的手術を行います。その後、3~6ヶ月程度、土台部分が骨と結合するまで待ち、連結部分を用いて人工歯と取り付けます。基本的には、土台部分の手術がインプラントの大半を占めており、手術が終わればインプラントの8割は終了するといっても過言ではありません。
手術の手順としては単純ですが、歯肉や骨に穴を空けて埋め込むため想像以上にハードな手術となります。そのため、術後にはさまざまな制約などが設けられることもあります。
インプラント手術後の痛み
インプラントの手術では、顎の骨や歯肉に穴を開けて土台部分を埋め込みます。想像するだけでも痛く感じるかもしれませんが、当然手術中は麻酔を打ちます。そのため、手術中に痛みを感じることはありません。そこで気になるのが手術後、麻酔が切れた後の痛みです。インプラントの手術は切開や縫合を行いますので、麻酔が切れれば残念ながら術部に痛みが現れます。
ただ、すでに縫合されていますので、そこまで大きな痛みを感じることは少ないといわれています。しかし、痛みの感じ方には個人差があり、中にはひどい痛みに襲われる人もいます。
また、場合によっては1週間ほど時間が経過してから痛みが現れることもあります。痛みが重い場合は痛み止めなどが処方されることもありますので、前もって用意してもらうか、改めて歯科を訪ねて処方してもらいましょう。
インプラント手術後の注意点
インプラントは手術を行えば終わり、というわけではありません。傷口が塞がる、きちんと骨に定着するなど、手術後からの時間がより大切になります。
手術後の注意点として気をつけなければいけないことが、術部を清潔にして刺激を与えないようにすることです。術部に細菌が繁殖すると化膿する可能性があります。また、刺激を与えてしまうと傷口が開き出血することもあるようです。そのため、不用意に舌などで触れたり、硬いものを食べたりしないようにしましょう。
処方された内服薬は、用法用量を守って全て飲みきりましょう。特に、抗生剤は途中でやめてしまうと耐性がついてしまい、今後効きづらくなるリスクがあります。腫れなどの感染を抑える役割もありますので、正確に服用しましょう。
そして、手術後の行動によってインプラントの成功率は大きく変化するといわれています。医師と相談しながら何をしてもよいのか、何がダメなのかをしっかり把握しながら、アフターケアを行いましょう。
インプラント手術後のOK行動・NG行動
口は生活の中でもよく使用する部位のため、注意が必要だと分かっていても、手術直後から使わなくてはいけません。そこで、気になる行動ごとに手術後にしてもよいのか考えていきましょう。
食べてもいい?手術後の食事
インプラント手術で多くの人が気になるのが、術後は食事をしても良いのか、ということでしょう。もちろん、食事を取らなければ健康に生活できませんので、食事をしても問題ありません。特に指示がない場合は、手術当日から食事をしても構わないようです。
ただ、今まで通りの食事をそのまま食べるのはNGです。インプラントをしたのが一部分でも、噛むことで全体に力が入ったり、噛み砕いたものが触れたりする可能性があります。術後2~3日にはおかゆ、うどんや薬局コンビニで売っているゼリー状のサプリメントなど、柔らかいものを食べるようにして、なるべく負担をかけないようにしましょう。
また、術部を刺激する香辛料やアルコール、場合によっては塩分なども染みて痛むこともありますので、食事内容には十分な注意が必要です。ただ、アルコールに関しては術後1週間程度経過したら徐々に再開して構わないとする意見が多いようです。
手術後の歯磨き
食事をしたら欠かせないのが歯磨きです。インプラント部分の清潔はもちろん、残っている自然の歯を守るためにも歯磨きは必要です。そのため、手術当日でも歯磨きをしてもOKです。指示されたとおりに行えば問題ありません。手術部位以外の歯を磨いてお口の中の衛生管理を行いましょう。
ただ、歯ブラシの毛先にも細菌が付着していたり、ブラシ部分が硬かったり、歯磨き粉との刺激が強かったりすると術部を刺激してしまい、傷口が開いてしまうことがあります。そこで、一般的には抜糸までは歯磨き粉を使用せず、自然の歯だけを丁寧に水のみで磨くことが推奨されています。歯茎は絶対に磨かないようにしましょう。
また、歯磨きだけでなくうがいにも注意が必要です。一見すると歯ブラシよりも安全そうですが、水による刺激は意外と大きく、勢いよく水を吐き出すと再出血する危険性があります。術後2~3日は水をそっと吐き出すようにしたり、強くブクブクうがいをしたりするのは控えて、優しいうがいを心がけましょう。
手術当日の入浴
腹部などの手術後の入浴は禁止されていますが、インプラントの場合も同じで、手術当日の入浴はNGといわれています。これは、入浴によって体温が高くなり、血行がよくなることで傷口が疼いたり、再出血する危険性があったり、お風呂のお湯が傷口に入り感染するからです。そこで、術後2~3日の入浴は避けて、シャワーだけで済ませましょう。また、同様に血圧が上がる運動なども控えることが必要です。
一方で、血行が悪くなる喫煙もNGです。血行が悪くなることで傷の治りが遅くなったり、土台部分と骨の結合を阻害したりして、インプラント治療の成功が難しくなってしまいます。医師から決められた期間はもちろん、今後のためにもインプラントをきっかけに禁煙を目指しましょう。
手術後の行動がカギを握るインプラント
インプラントは土台を骨に埋め込み、定着し抜けにくくなることでより強固な人工歯を取り付ける手術方法です。方法自体はシンプルですが、術後の行動に気をつけないと、術部からの感染、再出血など危険なことも多い施術です。
腹部などと違って、術部が小さいため深刻に感じないかもしれませんが、日々の行動に細心の注意が必要です。特に、生活で欠かせない食事や歯磨き、入浴などは傷の悪化を招く最大のポイントでもありますので、十分に気をつけましょう。
インプラントの手術は1日で終わりますが、インプラントの完成までには半年程度かかることもあります。そして、費用が高額な手術でもあります。手術後はいつもの行動に少しの手間をプラスして、安全にキレイな新しい歯を手に入れましょう。
インプラント治療が怖いというイメージがありますが、一昔前とはCTなどの機械の精度も変わりましたし、様々な事故の報告を受けて学会や勉強会が中心となって、術者の知識、テクニック、トレーニングも向上しています。手術を伴う為に、トラブルは絶対起こりえないとは言いませんが、トラブルは起こりにくくになっています。今のインプラント治療は、いかに患者さんの負担(外科的侵襲や治療に費やす日時)を少なくするかです。信頼できる先生のもとで患者さんも共に治療にあたり、食事に不自由しない生活、体のバランスをとる歯を手に入れてみてはいかかがでしょうか。
監修ドクター:伊藤 貴志 歯科医師 いとう歯科 院長
インプラント治療でおすすめの歯医者さん 東海編
いとう歯科
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