予防歯科で一生健康な歯に!予防歯科の基本と歯科医の選び方
最近耳にすることも多い「予防歯科」。興味はあるけれど実際どんなことをするのか分からない方も多いのではないでしょうか。
自分の歯が80歳で20本以上残っている人を国内外で比較すると、日本は欧米の半分以下ということが分かっています。 病気と同様、歯のトラブルは、発生原因を予防することで抑え込むことができます。予防歯科で適切なケアをしていれば、生涯にわたり、健康な歯をキープすることが可能なのです。
今回はそんな予防歯科について、そして予防歯科を受ける場合の「良い歯科医の選び方」について、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
秀島 学 歯科医師 仁愛会歯科 武蔵小杉クリニック 院長
目次 -INDEX-
予防歯科の基本
まずは、予防歯科の基本と現状について見ていきましょう。
歯のトラブルを予防する治療分野
虫歯や歯周病などの歯のトラブルは、起きてしまう前にケアをすることで、その大部分を阻止することができます。予防歯科とは、このように「悪くなったら治す」のではなく、「悪くなる前にトラブルを防ぐ」科目です。
歯のトラブルは、病気による不調や前向きな気持ちになれないなど、毎日の生活の質を下げる原因になりかねません。そうならないように、歯のトラブルを予防する予防歯科が、今注目されています。
欧米では予防歯科が当たり前
欧米では以前から、歯科医院などで定期的に検診を受けることが習慣化されています。2014年のライオン株式会社の調査によると、アメリカでは1年間に平均で2回歯科検診を受けていたのに対し、日本では半数以上の人が一度も歯科検診を受けていないという結果が出ています。
欧米では歯の審美に対する意識が高いことに加え、例えばスウェーデンのように矯正を含む予防歯科を無料化する国があるなど、国全体を挙げて予防治療を根付づかせています。また、日本のような保険制度のないアメリカでは、「歯のトラブルは予防する」という意識が定着しているのです。
一方の日本では、歯科治療を手軽な費用で行うことができるため、かえって「悪くなってから治療する」という考えから脱却できなかったのでしょう。しかし最近は日本でも、歯のトラブルと全身疾患や認知症との関係性が周知されるようになり、歯科予防が注目を集めています。
予防歯科のポイント
歯のトラブルを予防するためにはいくつか知っておくべきポイントがあります。予防歯科を考えるにあたって、押さえるべきポイントを確認していきましょう。
歯みがきでは細菌が除去しきれない
毎日歯を磨いていても、気がついたら虫歯になってしまっていたという経験はありませんか?どうしても自力のケアだけではみがけない、いわゆる「みがき残し」部分の細菌が、疾患を招いてしまうのです。そのため、毎日の歯磨きに加え、プロによるチェックとお掃除が欠かせません。予防歯科による処置が、健康な歯を保つために大切なのです。
健康な歯を保つために重要なポイント
歯を健康に保つため、知っておいてほしいポイントがあります。
フッ素塗布の効果
フッ素は骨を作るために欠かせない成分で、歯のエナメル質の修復を促進し、エナメル質を酸に溶けにくくしてくれる働きを持っています。
歯垢(プラーク)を落として細菌を増やさない
「プラークコントロール」という言葉を聞いたことはありませんか?プラークとは歯垢のことで、1mgの歯垢には約2〜3億個もの細菌が存在すると言われています。この歯垢が虫歯・歯周病などの原因となります。
予防歯科の選び方と種類
予防歯科には、歯石除去やPMTCなど専門の器具を用いて歯科医で行う「プロケア」と、歯磨きやデンタルフロスなど自分で行う「セルフケア」の二つに分けられます。
プロケアによる予防歯科
まずは、プロケアの詳細を紹介します。
歯磨きで落ちない汚れをキレイにするPMTC
歯科医によるプロケアの代表的なケアの一つが、PMTC。PMTCとは、歯石や歯垢を専門器具で除去する治療で、プロフェッショナル(Professional)・メカニカル(Mechanical)・トゥース(Tooth)・クリーニング(Cleaning)の略です。
歯みがきをしても落ちない細かい部分などをキレイにクリーニングすることで、トラブルの元となる細菌を落とし、口のトラブルを防止します。外科手術のような強い刺激はなく、心地が良く治療後は口の中がさっぱりとします。
虫歯予防に効果があるフッ素塗布
フッ素は歯の表面のエナメル質を強くする薬剤です。歯科医院などで歯の表面にフッ素を塗布してもらうことにより効果を発揮します。フッ素塗布は乳幼児の生えたてのまだ強くない歯に特に効果的ですが、大人の歯への塗布も有効です。特に歯周病などで歯茎がやせ、覆われているはずのセメント質や象牙質が露出してしまった場合、フッ素を散布することで虫歯のリスクが下がると言われています。
1年に2〜4回、塗布を継続することで20〜40%の虫歯予防効果があると言われています。費用は1回500円程度のところが多く、気軽に受けることができます。
セルフケアによる予防歯科
続いてセルフケアの詳細を紹介します。
フッ素配合の歯みがき剤を使う
フッ素を配合した歯磨き粉はたくさんありますが、ただみがくだけではフッ素の効果があまり得られません。フッ素を歯に残すため、正しい用法でみがきましょう。3分を目安として、じっくり丁寧にみがき、1回から2回だけ少量の水ですすぎます。
デンタルリンスで殺菌
歯磨きでみがききれない部分をカバーするデンタルリンスです。液体なので、口に含ませることで口腔内の隅々を殺菌し、歯をリンスでコートし菌がつきにくい状態を保つことができます。特に就寝前に行うことで、寝ている間に増殖しやすい虫歯の原因菌の繁殖を防いでくれる効果があります。ただあくまでも補助的に考えていただいて、基本は歯ブラシやフロスを使用して汚れを落とすことが重要です。
デンタルフロス
歯と歯茎の間の歯垢をダイレクトに除去することができるデンタルフロス。ライオン株式会社の調査によると、歯みがき後にデンタルフロスを併用することで、歯垢の除去率が約30%アップするという結果が出ています。
予防歯科の選び方は?
予防歯科はプロケアとセルフケアを両方しっかりと行っていくことが大切です。それではプロケアを検討する際、チェックすべきポイントについて見ていきましょう。
予防についてのコンセプトが明確でしっかり時間をとってくれる
予防目的で歯科医院を選ぶ際、参考にすべき一つのポイントは、ホームページにどのような方針が明記されているかです。診療内容のうち、予防歯科のページを精読してみましょう。またクリーニングの時間も電話口で聞いてみてください。30分でお口全体を隅々まで丁寧に処置することは極めて困難です。患者さんの話を聞いたりしていれば実際の処置時間は15分くらいになってしまいます。60分くらいで予約を取ってくれるクリニックを選ぶと良いでしょう。
写真や顕微鏡で経過観察を行う
虫歯を例に挙げると、写真による経過観察を行うことで、「虫歯が進行中」なのかあるいは「これ以上進行しないのか」を見極められ、必要な処置だけを施すことができます。また、位相差顕微鏡のような「虫歯の進行度を数値化できる機材」を導入している医院もあります。こういった診察方針をとっている歯科医はおすすめと言えます。
根本原因にアプローチしている
歯にまつわるトラブルの原因は、歯みがきだけではありません。歯みがきの指導はもちろん、食事内容や生活も含めて、歯のトラブルの原因を徹底的に調べてくれることが、予防歯科を選ぶ際に大切なポイントとなります。虫歯菌や歯周病菌の検査を実施している医療機関を選ぶと良いでしょう。
予防歯科で何歳になっても健康な歯をキープ
歯の健康は身体の健康そのものにも大きく関係するほか、審美的な面でも、他人が受ける印象を大きく左右影響します。
一度虫歯や歯周病になってしまうと元には戻せませんが、定期的にケアをしていくことで歯にまつわるトラブルを未然に防ぐことは可能です。欧米では当たり前のこの予防歯科の考え方が、日本でも多くの方に認知されるようになりました。個人のケアでは限界がある歯のお手入れ。しかし、プロによるケアと組み合わせることによって健康な歯を保ち、毎日を快適に過ごすことができるのです。
自分に合った歯科医を見つけて、何歳になっても健康な歯と体をキープできるよう、予防歯科でしっかり自分の歯をケアしていきましょう。
監修ドクター:秀島 学 歯科医師 仁愛会歯科 武蔵小杉クリニック 院長
予防歯科でおすすめの歯医者さん 関東編
仁愛会歯科 武蔵小杉クリニック
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