虫歯の見分け方――押さえておくべきポイント
むし歯は、「治療をすれば元通り」とはいかないことをご存知でしょうか?治療のためとはいえ、削れば、二度ともとには戻りません。削ったり神経を抜いたりする分だけ、弱く脆くなり、歯を失う原因にもなりかねないのです。
自分の歯をできるだけ長く維持し、長年にわたって楽しく明るい食生活を送るためには、予防歯科に努めると同時に、問題をできるだけ早期に発見する必要があります。
しかし、むし歯を見分ける方法がわからなければ、どれだけしげしげと鏡をのぞき込んでも意味がありません。
ここでは、自身でも可能なむし歯を見分ける方法、お子さまのむし歯を見分けるポイント、歯科医院における判断基準などについて、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
和田 耕二 歯科医師 栄町歯科医院 院長
目次 -INDEX-
まずは自宅でのセルフチェック
視覚で発見する初期の虫歯
1年に1度の歯科検診、もしくは数年に1度の歯科検診で、かなり進行していた虫歯が見つかった――こんな苦い経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。痛みがほとんどなくても感染している可能性は高く、普段から定期的に歯科医院に足を運んでいなければ、初期とはいえない状態で発見されるケースが多くなります。
これは、初期の虫歯に自覚症状がほとんどないのが原因。痛みの感覚より、視覚を頼りに探すことで、初期段階で発見することができます。できるだけ早期に虫歯を発見する方法は、お口の中をしっかり見ることです。
3ヶ月に1度ほどの頻度で歯科医院に足を運び、歯科医によるチェックを受けると同時に、毎日のブラッシングに際してご自身のお口の中を見る習慣を身につけることが重要です。
鏡でチェックすべきポイント
まずチェックすべきは、かつて詰め物や被せ物の治療を受けた奥歯や前歯の周辺です。詰め物・被せ物があるということは、その場所がかつて虫歯であったということ。つまり、自分がブラッシングしにくいウィークポイントだということでもあります。
詰め物や被せ物自体がむし歯になることは決してありませんが、その周辺で金属や樹脂に接している自分の歯はむし歯になりやすい――そう認識したうえで、しっかり目をこらして見てみてください。
色が黒っぽくなってはいませんか?歯が変色し、不透明な白色になってはいませんか?金属や樹脂と歯の境目に段差が目立つようにはなっていませんか?細やかに目を配ることで、むし歯の再発をできるだけ早期に発見してください。
続いて注意していただきたいのが、奥歯の溝です。溝の部分が多少黒くなっていても、即座に判断できるわけではありませんが、内部に大きな問題が潜んでいる可能性があります。また、歯並びが悪い部位は、ブラッシングが不十分になりがち。むし歯になりやすい部位でもありますので、変色していないかどうかに十分にご注意ください。
その他のチェックポイント
口腔内のお手入れに糸ようじを使っている方は、糸のほつれがあるかどうかも、むし歯を発見するポイントです。また、タバコのヤニ、お茶、コーヒーなどの茶渋は、歯の表や裏につくことが多いため、歯が全体的に変色してきているのか、特定の部位だけなのかをご確認ください。
お子さまの虫歯の見分け方
お子さまの虫歯の特徴
お子さまの虫歯を見分けるためには、その特徴をしっかり把握する必要があります。
お子さまの身体はまだ発達段階にあるため、痛みを感じにくい可能性があり、かなり進行した段階でやっと発見されるといったケースが多数にのぼります。このため、「痛みを訴えないから虫歯でない」と考えることはできません。
さらに、お子さまでご注意いただきたいのは、虫歯が黒く変色するとは限らないという点です。乳歯は、表面は白いまま内部が虫歯になっていることがあります。こうした白い虫歯の場合、進行が早いのも特徴のひとつ。
手をこまねいていれば、あっという間に進行してしまいます。こうした状態を見逃さないためにも、次に上げるポイントを確認してみてください。
お子さまの表情やボディランゲージに注目
お子さまは、なかなか言葉で痛みを表現しません。そのため、言葉にならない言葉=ボディランゲージに注目する必要があります。
歯ブラシの際に、歯と歯茎の間にブラシがあたると身をよじったり、顔をそむけることはありませんか?食事に際して、噛んでいる側を変えたり、食が進まないことはありませんか?
これらは、お子さまの虫歯が進行しているサインかもしれません。こうしたお子さまのサインにしっかり目を配り、症状が進行しないうちに受診できるような環境を整えてあげてください。
早期に治療を受けることができれば、お子さまは、歯科医院での痛みや恐怖を経験せずに歳を重ねることができます。大切な歯を削る必要もありません。数十年後になっても歯科医や歯科医院との良好な関係を保ち、ご自分の歯で明るく楽しい食生活を送るための最初の一歩がここにあるとお考えください。
歯科医院におけるむし歯の判断方法
むし歯でないかを厳密に見極めるのは、実は、歯科医であってもとても難しいことです。実際に「感染している」ことを確認するためには、歯を抜いて作製した標本を用いて、電子顕微鏡などで感染の有無を確かめなければならないからです。
しかし、日々の診療の中でそういった検査が行われていないのは、針などで触ったところが柔らかければむし歯、硬ければむし歯でないと判断できるからだと言います。
また、「う蝕検知液」を用いて、虫歯菌に犯されて脱灰(だっかい)した歯を染めたり、「ダイアグノデント」と呼ばれるレーザー機器を用いて深度を測ることも可能です。長年の経験とこうした装置を活用し、むし歯をできるだけ初期のうちに発見してくれるのが歯科医院です。
自分の口の中に関心をもつ重要性
むし歯か否かを判断するのはとても難しいことです。しかしその一方で、初期段階でしっかり見極めて歯科医の判断を仰ぐことができなければ、10年後、20年後にいたるまで大切な歯を守れないかもしれません。
定期的に歯科医院に足を運び、口腔内のプロである歯科医や歯科衛生士に確認してもらうのと同時に、自宅での毎日のブラッシングにあたっても確認することが非常に重要です。そのためには、自分自身の口そのものに関心を持つ必要があります。しっかり鏡をのぞき込み、その変化に目を光らせることが、むし歯を見極めるのに役立つはずです。
見極め方にこれで正解というものはありませんが、それだけに、関心を払い続けるという姿勢そのものが大切になります。ご自身とお子さまのお口に高い関心を持ち、何かしらの違和感があれば、すぐに歯科医院に足を運んで確認してみてください。
半年に一回の通院が一般的ですが、虫歯になりやすい人はもっと短い間隔で通院してメンテナンスされることをお勧めします。
当院では、ご自宅でのケアだけでは落とし切れない歯垢や歯石の除去など専門的なケアを実施しています。歯科医院は、「歯が痛くなってから行く場所」だけではなく、「歯が痛くなる前に行く場所」でもあります。
監修ドクター:和田 耕二 歯科医師 栄町歯科医院 院長
虫歯治療でおすすめの歯医者さん 関東編
栄町歯科医院
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