マウスピース矯正を失敗させないために必要なこと
マウスピース矯正は、ワイヤーを使用した矯正よりも、痛みが少なく目立たないという利点がありますが、うまくいかないケースもあります。
まずは、マウスピース矯正が適応されるケースかどうかを見極めることが大切ですが、実際にどのような失敗が考えられるのでしょうか。失敗する原因について、Medical DOC編集部がお届けします。
柿山 宏史 (白楽柿山歯科・矯正歯科 院長)
目次 -INDEX-
ワイヤー矯正とマウスピース矯正
歯列矯正の方法
歯並びや噛み合わせを改善したいという人に対し歯列矯正を行いますが、現在さまざまな方法の歯列矯正方法があります。
一般的に行われているのは、金属のワイヤーを歯全体に装着して行う方法ですが、このワイヤー矯正も歯の表面に装着する方法や歯の裏側に装着する舌側矯正という方法があります。また、マウスピース矯正とは、自分の歯型に合ったマウスピースをコンピューターで作成し、マウスピースを装着しておくことで歯列矯正が行えるというものです。
マウスピース矯正は、一日20時間以上装着する必要があり、徐々に歯を動かしていくため約2週間ごとにマウスピース自体を作成しなおす必要があります。マウスピース自体も、インビザライン・アソアライナー・アクアシステム・オペラグラスなど、作成する会社によって種類がありますが、どれも使用方法はほぼ同じです。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の比較
ワイヤー矯正は、歯一本一本に装置を装着し、強い力を加えて直接的に歯を動かしていきます。そのため、歯並びが大きく乱れていてガタガタな状態でも、きれいな並びに矯正することができます。
しかし、マウスピース矯正の場合、コンピューターで計測・計算して作られた型に合わせるように歯を動かしていきます。強い力はかからないため、痛みが少ないことも利点ですが、ワイヤー矯正のように強い矯正力がないため、歯並びが悪い人には不向きです。軽度な矯正で済む人に適応されます。
また、マウスピース矯正は、近年増えている要因に見た目のわかりづらさがあります。ワイヤー矯正は歯の表面に金属の装置をつけるため、どうしても目立ってしまいます。その反面、マウスピースは装着していても気づかれないことも多く、さりげなく自然に矯正治療を行うことができます。
審美的な問題からも、30代~60代の方に気軽に行える矯正治療として、近年増加しているようです。
マウスピース矯正が失敗する原因
痛みも少なく、見た目も気にせずに矯正治療が行えるマウスピース矯正ですが、デメリットもあります。デメリットやリスクを踏まえた上で、適切な方法や対応を行わなければ、矯正治療がうまくいかない・失敗してしまったという残念な結果になってしまいます。マウスピース矯正が、失敗につながってしまう具体的な原因をみていきます。
矯正の失敗とは
まず始めに、矯正治療における失敗とはどういう状態を指すかについて、説明しておきます。矯正治療を行うにあたり、必ず担当歯科医により事前の検査とカウンセリング・治療計画の決定が行われます。
これは、患者の現在の歯並びや噛み合わせの状態から、どの程度の改善を目標とし、どこまでをゴールにするかを決めるという、非常に大切なステップです。担当歯科医と患者がじっくり話し合った上で決定しますが、この事前に決定していた目標やゴールに至らなかった場合を、失敗とします。これは、歯並びの良し悪しに限らず、患者個人個人がどの程度の歯並びをゴールにするかが異なるためです。
歯がきれいに並ばなかったから「失敗」とはならず、自分の望む歯並びに矯正することができれば「成功」になります。
どのようなことが失敗につながる?
施行側の原因
治療を行う歯科医師側の技術不足や知識不足による失敗が考えられます。先に述べたように、マウスピース矯正は歯並びがガタガタに乱れている人には向きません。マウスピースでは歯を大きく動かすことが難しいのです。その患者の歯並びや骨格・根っこの状態など、さまざまな事前検査を行った上で、マウスピース矯正が適応されるかどうかの判断が大切です。
また、近年増加している矯正治療分野ですが、技術や知識が不十分な歯科医や歯科医院も多いようです。安価な治療費やキャッチフレーズに惑わされず、経験と実績が十分である歯科医院を選ぶことも重要です。
患者側の原因
マウスピース矯正は、取り外しが可能であり、患者が主体となって行わなければなりません。一日20時間以上の装着が必要な場合、夜間も日中もほぼ装着しておかなければなりません。うっかり外したままにしてしまった……など、マウスピースの装着時間が少ないために、矯正効果が得られない場合があります。
また、マウスピースを常に装着しているため、虫歯や歯周病になりやすいというリスクもあります。マウスピースを外してこまめに口腔ケアを行う必要がありますが、虫歯や歯周病になってしまうとその治療を優先させなければならず、矯正治療が一旦ストップしてしまう可能性もあります。
失敗しないための注意事項
決められた装着時間を守る
マウスピースの種類や患者個人の歯の状態によっても、マウスピースの装着時間は異なります。だいたい一日20時間以上は装着する必要があるとされていますが、人によっては仕事や生活習慣により難しい場合もあります。
マウスピース矯正はマウスピースを装着していないと効果はありません。装着が困難な状況があれば、担当歯科医に相談し、マウスピースの装着スケジュールを調整することも可能です。自己判断で着脱せずに、無理な場合は相談するようにしましょう。
口腔ケアをしっかり行う
マウスピースを常時装着していることで、口腔内は菌の温床となってしまいます。起床後や就寝前・食後の歯磨きはしっかり行いましょう。
またマウスピースを装着したまま、コーヒーやお茶・ジュースなどを摂取することもあるかもしれません。その際は、簡単にうがいを行うだけでも違うので、常に口腔内を清潔に保てるよう意識付けをするとよいでしょう。
決められた受診日に必ず受診する
マウスピース矯正は、約2週間ごとにマウスピースを作成しなおす必要があります。少しずつ歯を動かしていくためですが、これを怠ってしまい同じマウスピースを長く装着していても、矯正は進みません。決められた次回受診時は必ず守るようにしましょう。
マウスピース矯正は自分に適しているかと自己管理能力が大切
マウスピース矯正は、痛みも少なく見た目もわかりづらいという、とても魅力的な矯正方法です。気軽に矯正が行えることで増えている方法ではありますが、誰もが行える方法ではありません。
マウスピース矯正の失敗例に多い原因は、マウスピース矯正が自分の歯並びには適していなかった・マウスピースを装着することが自分には向いていなかった、ということです。まずは、事前検査やカウンセリングをしっかり行った上で、自分の歯にとってマウスピース矯正は向いているのかどうか、歯科医と検討することが大切です。
また、マウスピースは日中も就寝時もほぼ一日中装着している必要があり、うっかり外してしまうようでは効果がありません。さらに、ただ装着するだけでなく、歯磨きなど口腔内の衛生管理も重要であり、マウスピース自体の管理ができずに紛失してしまう可能性もあります。
自分の性格や生活習慣・仕事内容なども踏まえた上で、決められた時間マウスピースを装着できるか・自分に向いているのかも検討しましょう。
全てがマウスピース矯正でできますが、診断を間違えれば、結果が出ない場合があります。充分、分析して治療計画を立てる必要があります。抜歯ケースでも、ほぼ見えない矯正は可能ですし、抜歯した場合は、その歯だけゴムで引っ張ったりしてマウスピース矯正の前準備をします。どのタイミングでマウスピース矯正に移行するか?なども重要になります。
全ては、マウスピース矯正で可能ですが診断を間違えるとゴールに辿り着けないことがありますので充分、診断力のある歯科医院を選んでください。そのためには実績などを参考にしてもらえればと思います。
監修ドクター:柿山 宏史 歯科医師 白楽柿山歯科・矯正歯科 院長
マウスピース矯正でおすすめの矯正歯科 関東編
白楽 柿山歯科・矯正歯科
出典:http://www.kakiyama-dc.jp/
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