インプラントのソケットリフトとは?サイナスリフトの違いも解説
上の奥歯のインプラント治療について調べていると、ソケットリフトという名前を目にすることがありませんか?これは、抜歯後に痩せてしまった歯を支える骨(歯槽骨)を再生して、骨を生成するための術式名称のひとつです。似たような術式にサイナスリフトもあります。
今回は、ソケットリフトとサイナスリフトの両方についてその術式を説明し、どのような症例にはどちらの術式が選ばれるのかについて解説します。上の奥歯をインプラントにしたいとお考えの方は、ぜひご一読ください。
ソケットリフトについて、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
三宅 忠隆 歯科医師(医療法人審美会 鶴見歯科医院 院長)
目次 -INDEX-
ソケットリフトの概要
インプラント治療で上の歯を埋め込む場合、歯の抜けた場所の歯槽骨(歯を支える骨)の厚みが10mm程度は必要です。しかし、歯が抜けた後しばらく経過していると、歯槽骨は吸収されてしまい薄くなってしまっていることが往々にしてあります。
奥歯の上の方には上顎洞と呼ばれる空洞があり、歯槽骨が薄いままでインプラントを埋め込むと、歯槽骨を突き抜けて上顎洞で炎症を起こしてしまったり、インプラントの土台がぐらぐらして支えられなくなったりするなどの問題が起きてしまう可能性があります。
こういった事態を避けるために、歯槽骨を再生して、骨を生成するための術式名称のひとつがソケットリフトです。ソケットリフトの術式詳細について見ていきましょう。
ソケットリフトの術式の流れ
ソケットリフトは以下のような流れで骨の再生とインプラント治療を進めていきます。
1.患者さんの状態や歯科医師の判断により違いはありますが、歯槽骨を圧縮し、そこに穴を空けていきます。この際に、歯肉を切開したり、ドリルを使って骨を削ることもあります。
2.この穴に骨補填材を入れます。自分の骨の場合もあれば人工骨の場合もあります。このとき、インプラントの土台を一緒に入れるケースが多いです。
3.3ヶ月程度経過して骨が再生されたら人工の歯を入れて完了です。
流れ2のところで、穴を押しひろげるところから「ソケットリフト」という名前で呼ばれるようになりました。比較的身体に負担をかけずにインプラントの土台部分を同時に埋め込めるので、治療期間も短縮できる術式です。
ソケットリフト術後の痛み
ソケットリフトは骨を削る手術ですから、当然痛みを伴います。そのため手術前の麻酔は必ずありますので、その点は心配する必要はありません。ただ、術後に麻酔が切れた後、痛みを感じる人が一定数います。そのため、歯医者さんから痛み止めの薬を処方してもらえます。多くの場合は、この痛み止めを飲んでおけば、必要以上に痛みに悩まされることはありません。
万が一、歯医者さんから処方してもらった薬が効かない場合は、手術をした部分にトラブルが発生しているかもしれませんので、すぐに治療を受けた歯医者さんに行き、処置をしてもらいましょう。手術してもらった歯科医師に事情を説明して診察してもらうとスムーズに話が進むでしょう。
ソケットリフトの費用
ソケットリフトは自由診療なので、料金は歯医者さんによって違いがありますが、多くは5万円~15万円くらいです。ソケットリフトが必要かどうかについては、インプラント治療を開始する前の治療計画説明時に聞くことができます。ソケットリフトが必要という診断があれば、ソケットリフトの分、治療費が高くなると考えましょう。
サイナスリフトの概要
ソケットリフトとセットでよく名前が出てくるサイナスリフトも、インプラント治療で上あごの歯槽骨が足りない場合に行われる術式です。歯科医師によって基準は違いますが、一般的な傾向としては、歯槽骨の厚さが5mm以下とかなり薄い状態の場合に選択されることが多くあります。ここでは、サイナスリフトの術式や術後の痛みや費用について説明しましょう。
サイナスリフトの術式
サイナスリフトは、上あごの空洞部分に骨を生成して厚みを持たせてから、インプラント手術をするという術式です。ソケットリフト同様に歯肉を切開しますが、ソケットリフトよりも大きく切開しますので、患者さんへの身体的負担は大きくなります。
また、サイナスリフトでも、可能であれば施術時にインプラントの土台を埋め入れます。ただ、ソケットリフトに比べると同時埋入ができないケースもあるので、その場合は治療完了までの時間が長くかかります。
サイナスリフト術後の痛み
サイナスリフトは、穴をあけるだけのソケットリフトに比べると身体の負担が大きい術式です。そのため、術後の痛みや腫れなどに悩まされるケースもあります。痛み止めの処方など、フォローはありますので、術後のつらさが長引くようなら歯医者さんに相談しましょう。
サイナスリフトの費用
サイナスリフトの費用は、ソケットリフトに比べると高くなる傾向にあります。ある病院の例で言えば、ソケットリフトは10~15万円、サイナスリフトは25~30万円です。
ソケットリフトとサイナスリフトのメリット・デメリット
ソケットリフトとサイナスリフトそれぞれの特徴を説明しました。ここでは、ソケットリフトとサイナスリフトのメリット・デメリットをまとめます。
ソケットリフトのメリット・デメリット
ソケットリフトのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
・患者さんの身体への負担が少ない
・値段がサイナスリフトに比べると安い
・インプラントの土台を埋める手術を並行して行える
デメリット
・歯槽骨の厚みなどによって適用できないケースがある
・生成できる骨の範囲は狭い
・上あごの空洞部がどうなっているかを目で直接確認できないまま手術を進めなくてはならない
サイナスリフトのメリット・デメリット
サイナスリフトのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
・歯槽骨の厚みが足りない人でも確実にインプラント治療が受けられる
・生成できる骨が広範囲
・切開して上あごの空洞部がどうなっているかを見ながら治療できる
デメリット
・ソケットリフトに比べて半年~1年程度治療期間が延びるケースがある
・患者さんの身体への負担が大きい
・費用がソケットリフトに比べて高い
ソケットリフトとサイナスリフトの適用ケース
一般的に、ソケットリフトとサイナスリフトは、患者さんの歯槽骨の厚みにより適用の有無が決まります。ソケットリフトは、歯槽骨の厚みが10mmを切り、5mm程度まで少なくなった状態での適用ケースが多いです。
歯槽骨の厚みが5mmより少なくなると、サイナスリフトとなる傾向があります。基本的な考え方として、できれば患者さんの負担が少ないソケットリフトを採用する方向で検討するが、適用が難しい場合にサイナスリフトを採用するという歯医者さんが多いようです。ただし、中にはサイナスリフトしか行わない方針の歯科医師もいるので、事前にしっかりと説明を聞いておきましょう。
ソケットリフトは負担の少ない骨の生成方法
ソケットリフトについて、サイナスリフトと比較しながらその特徴を紹介しました。
・ソケットリフトはインプラントを埋める部分の歯槽骨の厚みが10mmに満たない場合に適用される骨の生成方法
・歯槽骨の厚みがあまりに薄い場合(5mm以下など。歯医者さんによって基準は異なる)はサイナスリフトが適用される
・歯ぐきに穴をあけて骨を生成する材料を詰める
・同時にインプラントの土台を埋める手術も行える
・サイナスリフトに比べて費用が安い
歯槽骨の厚みが足りないからとインプラントを諦めていた方も、骨を生成する施術の可能な歯医者さんなら治療できる可能性があります。ソケットリフトやサイナスリフトができる歯医者さんに、インプラントの相談をしてみてはいかがでしょうか。
監修ドクター:三宅 忠隆 歯科医師(医療法人審美会 鶴見歯科医院 院長)
インプラントでおすすめの歯医者さん 関東編
鶴見歯科医院
出典:http://www.tsurumi-shika.jp/guide/
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