矯正治療のメリットと矯正医を選ぶ基準
10代以降の矯正治療における恩恵とは何でしょうか?メリットを5つのポイントにまとめました。また、矯正歯科医を選ぶ上での4つの基準についても、あわせてご紹介いたします。
1)歯並びが良くなる
正面からの笑顔により自信がもてるようになります。
また、よく「歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすい」と聞きますが、そのような科学的根拠を今のところ見たことはありません。しかし、良い歯並びの方が歯を磨きやすいのは明らかです。矯正治療をした患者さんは、それをしなかった人よりも自分の歯に対する関心が高いという報告があります。20歳で虫歯が一本もない人の割合と見ると、スウェーデンでは26%、日本では7%でした。また、70歳代のお口の中に残っている歯の本数を見ると、スウェーデンでは約22本、日本では約16.5本でした。ですから、矯正治療が、歯の長期保存に一役かっているのかも分かりません。
2)かみ合わせが良くなる
どこでかめば良いか分からない、前歯で物をかみ切れないかみ合わせなどは、矯正治療により改善します。
また、かみ合わせを直すと首や肩のコリが軽くなると聞くことがありますが、科学的には定かではない場合がほとんどです。しかし、矯正治療を受けられた患者さんから「肩こりが楽になった」と聞くことがあります。やってみないと分からないと言うのが、正直なところでしょう。
3)正面だけではなく、横顔をより魅力的になる
街を歩いていると、上下の唇が前にとがっていて、口を閉じづらそうにしている方をよく見かけます。私も出っ歯が原因で上下の唇が前にとがっていて、口を楽に閉じられませんでした。しかし、矯正治療後は、出っ歯が解消し唇がひっこんだので、口元が自然になり、かつ楽に閉じられる様になりました。30代で矯正治療を受けましたが、矯正治療をもっと早く受ければ良かったと今では思います。
また、中高年の方によく見受けられますが、歯周病を患うと、患う前と比べて上の前歯がより出っ歯になり、下の前歯がよりデコボコになることがあります。この場合、歯周病の治療後に矯正治療を行い、出っ歯やデコボコを改善することで、本来の横顔を取り戻すことが可能です。
4)発音がしやすくなる
特に、上下の前歯に隙間がある場合、そこから空気がもれて話しづらくなることがあります。矯正治療でその隙間を狭くすると、話やすくなります。矯正治療を受けた患者さんが「滑舌が良くなったと言われて嬉しかった」と教えてくださり、一緒に喜ぶことは仕事冥利につきます。
5)自分に自信がつきます
笑うと口元を隠す方がいらっしゃいますが、そのような方は、矯正治療で歯並びと横顔をより美しくすることで、人生が明るくなります。
また、社会がグローバル化するに伴い、若い方だけではなく、30代~50代の方でも海外に出られる方が多くなりました。海外では、良い歯並びを持つことは、健康意識の高さを示すひとつの重要なステータスであり、特にビジネスや高等教育の場ではそれが明らかです。最近では、中高年の方でも海外赴任を機に矯正をする方が増えていると感じます。
豊かな人生を送るために、生活の質(QOL)をいかに高めるかが大切になるでしょう。そのための手段として、矯正治療はご自身へのよい投資のひとつではないかと思います。しかし、矯正治療は、一生に一度の大イベントですので、信頼のおける矯正医を探すことが大切です。
矯正医を選ぶ基準は、
1.しっかりとした専門教育を受けていること
2.皆さんの悩みをよく聞き、その上で納得のいく説明をしてくれること
3.気が合いそうなこと!(長丁場ですから)
4.できれば、矯正治療を自身で体験したことがある方
でしょうか。
ホームページやクチコミも参考になりますが、実際にクリニックを訪れて、直接歯科医師やスタッフとお話になり、クリニック全体の「雰囲気」を感じられることをお奨めいたします。
筆者:石川 基