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インプラント後に歯茎が腫れる?腫れる原因について 

 更新日:2023/03/27

インプラント後は痛むのか、腫れるのかなど、予後の経過は非常に気になるところです。

実際、インプラント部位は腫れることがあります。術後に腫れる場合や、通常の生活を送っていて腫れてくる場合もあります。

様子をみてよい腫れや対処が必要な腫れなど、インプラント部位の歯茎が腫れる原因について、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修ドクター:
日根野谷 仁 歯科医師(日根野谷歯科 院長)

 術後の経過と腫れる原因

 インプラントの術後の経過

インプラント治療は、局所麻酔を使用し、外科的手術で行われます。まずは、歯茎を切開し、あごの骨に装置を埋め込みます。そして段階を経ながら、再度歯茎の切開・縫合をし、人工の歯を作っていきます。そのため、出血や感染症などの合併症のリスクが伴います。

通常、術後は麻酔が切れると痛みが出たり、腫れることがあります。痛みに対しては、鎮痛内服薬が処方されることが多いですが、痛み・腫れともに、通常約4~5日ほどで落ち着いてきます。それ以上痛みや腫れが続く場合は、何らかのトラブルも考えられるので、歯科医院を受診する必要があります

 腫れを引き起こす原因

インプラント部位の腫れを引き起こす原因は、大きく3つあります。

 術後の感染

インプラントの手術は、歯茎を切開・縫合したり、あごの骨を削って行われるため、細菌感染のリスクがあります。

手術自体は、清潔な手術室で滅菌された手術器具を使用して行うので、手術中に感染することはほとんどないとされています。しかし、切開・縫合する範囲が大きかったり、歯科医の縫合技術不足によっては、縫合部位からの感染リスクが高くなります。

 術後の出血

インプラントの手術は、歯茎を切開し、あごの骨を削るため、少なからず出血があります。

止血した上で縫合するので通常はさほど出血は認めませんが、切開する範囲が大きい場合や技術不足の場合、また術後患部を安静に保てていない場合など、術後も出血することはあります。

縫合した歯茎の中で内出血している場合は、歯茎が腫れてきます。多くの場合、通常2~3日ほどで血液が吸収され、腫れが引いていくことが多いようです。

 手術の方法

装置を埋め込むあごの骨が不十分である場合は、骨移植を行う場合があります。GBR法という骨をつくる手術方法やサイナスリフトという骨移植の方法がありますが、この場合約2~4割の人が術後に歯茎が腫れてしまうようです。

骨移植については、下記で具体的にご説明します。

 インプラント周囲炎

インプラントを行ったことで、その部分の免疫抵抗力が低下してしまい、歯茎が炎症を起こしやすくなってしまいます。インプラント部位が歯周病になることをインプラント周囲炎といい、歯茎が腫れてきます。

インプラント周囲炎については、下記で具体的にご説明します。

 術後に腫れる人が多い骨移植

インプラントは、あごの骨に穴をあけ、装置を埋め込んで行います。そのため、何らかの理由であごの骨がもろかったり、薄くて装置を埋め込むことができない場合は、この骨移植を最初に行います。

骨移植にはいくつか方法がありますが、以下の2つの方法についてみていきましょう。

 GBR法

GBR法は、部分的に骨が不足している箇所に、骨をつくる骨造成法です。骨が不足している部分に、人工の特殊な膜を入れて期間を置きます。その後、膜を除去すると新しい骨が再生されているのです。

 サイナスリフト

サイナスリフトとは、上顎洞という上あごの空洞部分のことをいいます。この空洞が大きい分、歯槽骨という歯を支える骨が薄くなっている人がいます。

この場合、薄くなった部分に骨を移植し、インプラントが埋め込める状態にします。骨移植は、口腔内の別の場所の骨を使います。下あごの骨を削って採取することが多いようです。足りない場合は腰骨や下腿の骨から採取します。この場合は入院が必要です。

これらは、元々なかった部分に骨をつくる治療なので、歯茎が腫れることがあります。また、術後1週間ほどは腫れが続くことが多いようです。

 インプラント周囲炎

術後の合併症である出血や感染による腫れでなく、インプラントを行った人なら全員が起こる危険があるのが、インプラント周囲炎です。

インプラントを埋め込んでいることで、その部分の抵抗力は他と比べ落ちてしまい、感染しやすい状態になります。そのため、他の自分の歯以上に十分なケアを行っていないと、歯周病になりやすくなるのです。インプラント周囲炎は、歯周病と同じ細菌が原因で起こります。

 インプラント周囲炎の症状

通常の歯周病と同様に、初期段階では痛みはなく気づきにくいです。歯茎が腫れてきたリ、歯茎から出血を伴う、また歯周ポケットが深くなるなどの症状がみられます。

 インプラント周囲炎を放置するとどうなるか

初期段階では、まだ歯茎の粘膜の炎症にとどまっていますが、進行すると、あごの骨にまで細菌感染が広がってしまいます。痛みやインプラントの動揺も進みます。ここまでくると外科的手術が必要になり、感染した歯茎を切除したり、インプラント装置を取りだす必要も出てきます。

 インプラント周囲炎の治療

歯周ポケットの深さを測定し、初期段階であればポケット内の洗浄や消毒を行います。しかし、歯周ポケットの深さが大きくなるに従い、抗生剤の内服やポケット内に直接抗生剤を注入する必要があります。最終的に、骨まで炎症が達していれば、外科的手術を行うことになります。

 腫れを引き起こさないよう気をつけるポイント

インプラント手術直後は数日腫れることがあり、普段日常生活を送っていても、インプラント周囲炎などが原因で腫れる可能性があることがわかりました。では、これらを避けるためにどのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。

 術後の場合

術後は炎症を落ち着かせることが大切です。具体的に以下のような点に気をつけてください。

  • 処方された鎮痛剤や抗生物質は、正しく内服する
  • なるべく固い食べ物や辛い刺激物の摂取を避ける
  • 手や舌で患部を触るなどして、刺激しない
  • 喫煙・飲酒はしない
  • 口腔ケアは優しくうがいをし、患部の清潔を保つ
  • 激しい運動をしない

 通常の生活に戻ってから

術後の状態が安定し、通常の食事や日常生活が送れるようになってからも注意が必要です。自分の歯であれば、細菌の侵入を防ぐ防御システムが備わっていますが、インプラントを入れた部位ではその作用がなくなっています。

そのため、自分の健康な歯よりも、インプラントは歯周病(=インプラント周囲炎)を起こしやすいということを念頭において、生活習慣や口腔ケアを見直す必要があります。

歯周病=インプラント周囲炎にならないよう、以下のことに気をつけましょう。

・歯磨き時は、インプラント部位の歯茎を傷つけないよう、優しく行う
・自分にあった糸ようじや歯間ブラシも使用し、歯周病対策を行う
・喫煙しない
・定期的に歯科検診を受け、インプラントの状態を診てもらう

 患部の安静と日頃からのメンテナンスが重要

インプラントの手術後は、歯茎が腫れる場合があります。中でも、骨移植を行う人には多くみられる炎症反応です。 術後の正常な腫れは数日で落ち着いてくるので、何日も腫れが引かない場合は何らかの原因が考えられます。 早急に歯科医院を受診しましょう。

また、インプラントは虫歯にならないという利点がありますが、インプラント周囲炎という歯周病になりやすいという欠点もあります。

インプラント部位の歯茎の腫れは、何らかの炎症反応を表します。術後の腫れに対しては安静を保ち、また炎症反応による腫れが起きないように日頃からの歯磨きや口腔ケアを正しく行い、定期検診を受けメンテナンスを行っていきましょう。

監修ドクターのコメント
インプラント周囲炎は残存する天然歯の歯周病菌からの感染でもあります。軽症なら光殺菌・超音波洗浄などの対応もありますが、日頃の口腔衛生が大切です。歯科医は極力インプラント周囲炎を起こさないように、インプラント埋入前の診査・診断を慎重に行います。
埋入部位周囲の不動粘膜の存在により、危険性をおさえることができます。必要に応じ角化粘膜獲得手術も行います。やはり慎重かつ綿密な治療計画と適切な技術を行い過信と怠慢を戒める姿勢が大切だと思います。
 
監修ドクター:日根野谷 仁 歯科医師 日根野谷歯科 院長

 インプラント治療でおすすめの歯医者さん 近畿編

 日根野谷歯科医院

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