インプラント治療における失敗とは?
医療行為である限り、100%成功するということは確約できず、何かしらのトラブルに巻き込まれてしまうということももちろんあります。
自分が失敗されると考えると、とても怖くなります。特に高いお金と時間をかけて治療するインプラント治療であればなおのことです。
インプラント治療の失敗にはどのようなものがあるのか、また自分が失敗されずに治療してもらうためにはどうすればよいかについて、Medical DOC編集部がお届けします。
この記事の監修ドクター:
日根野谷 仁 歯科医師(日根野谷歯科 院長)
目次 -INDEX-
インプラント治療における経過不良例
国民生活センターによると、インプラント治療におけるトラブルや失敗されたという相談は年々増加傾向にあり、60歳代と50歳代が全体の約6割を占めているようです。
インプラント治療における経過不良例とはどのようなものなのか、その具体例をここでは紹介します。
インプラントが骨と結合しない
インプラント体は顎の骨と結合することによって人工の歯根となり、その上に人工歯や義歯をのせます。
しかし、インプラント体と顎の骨がなかなか結合しないというのは経過不良です。その原因は、ドリルの熱で骨がダメージを受けたことによる骨のやけど、インプラント体を挿入する際の深さや位置の不正確さ、患部の感染、あるいは患者さんに喫煙習慣や全身状態の不良があることなどさまざまです。
これらのトラブルは、事前の精密な問診や診断、インプラント体を正確に埋入するガイドの使用などで、ある程度防ぐことができます。
かぶせていた歯が破損する
かぶせ物の歯(人工歯)が破損してしまうという失敗です。インプラントとかぶせ物の歯をつなぐ部分が緩んでいる、適切なかみ合わせに調整できていないということが原因となります。
インプラント治療によって骨が溶ける
骨が溶けたことによって鼻と口をつないでいる部分にインプラントが貫通し、蓄膿症となったという事例があります。
また、埋入後に歯茎が炎症を起こしたことによって骨が溶けてしまい、インプラント体がすべて外れてしまったという事例もあります。
技術的には初歩的な失敗であり、X線やCT撮影などによって予測可能な症状であるにも関わらず、インプラント治療に習熟していない一部の医師が行うと、このような事故を起こしかねません。また、術式だけでなくメインテナンス不良も原因になりますので、医師の注意を良く守りましょう。
誤った部分へのインプラント埋入
本来骨の中に埋入するはずのインプラント体が骨の外に埋入されてしまっている例です。また、インプラント体が横たわっている、インプラント体がかぶせ物(人工歯)を挿入することができないくらいに埋まっているという失敗事例があります。こうした失敗も、インプラント体の角度や深さを固定するガイドを使うことで、防ぐことができます。もちろん、施術例の多い医師なら、本来「起こり得ない」ことです。
術前にはなかった身体症状が起こる
患者さんが訴えるインプラント治療の失敗として最も多いのは、この身体症状です。
典型としては、インプラント体の挿入が原因で神経を圧迫してしまったことによる、口や顎の痺れ・感覚麻痺です。また衛生環境が整っていない状態での手術によってインプラントから菌が入り、発熱や痛みなどの感染症状を引き起こしたという患者さんもいます。
中には、インプラント挿入時に舌まで貫通して大出血を起こし、その血の塊が気道に入り込んで呼吸ができなくなったという、まさに生命に直結するような事例もあります。歯科医院の公式サイトなどを参考に、衛生面への配慮や症例数の多寡などを確認してみましょう。
インプラント治療による経過不良が起こる理由
インプラント治療により多くの経過不良例が報告されていますが、その原因は何なのでしょうか。
医師の知識、経験不足
インプラント治療は比較的新しい治療法となります。そのため、歯科系大学の授業カリキュラムへの反映も、比較的、最近の動きといえます。事実、大学の案内を見てみると、ここ10年以内でカリキュラムに組み込まれたところがほとんどです。そうすると、それ以前に歯学部を卒業して医師免許を取得した医師は、研修機関などで研修をして知識や技術を習得しなければなりません。
技術研修をしっかりと行う研修機関がある一方、講義のみで研修を終えてしまうところも存在し、後者の場合、医師の技量は実践任せとならざるを得ません。つまり、医師の知識や経験の不足がインプラント治療の失敗を招いていると考えられます。
経営の影響
歯科医院は年々増え続け、今ではコンビニの1.7倍もの歯科医院があるといわれています。そうなると、いくら歯科としての技量が良くても、生き残るための集客に頼らざるを得ません。
歯科の診療の中でインプラント治療は、自費診療という保険適用外の治療となります。つまり、経営が立て直せる診療となるのです。そうすると知識や経験が不足していてもインプラント治療を頑張ってやろうとする歯科が増えます。とあるアンケートでは、自分の技量を超えたケースの患者にインプラント治療を施した例が、70%を超えていたそうです。
経営のために自分の技量を超えた診療をしているということも、失敗を招いてしまっていると考えられます。
誇大広告
失敗をされたと消費者センターに訴えた患者の多くは、インターネットや新聞折り込み広告、情報誌などを見て歯科を選択したという人でした。患者さんの訴えがあった歯科の広告を調べると、医療法で禁止とされている文言や誇大広告が多く見られたそうです。
こういった誇大広告に魅せられ、インプラント治療のリスクなどを理解せずに治療を受ける患者さんも増えており、患者さんの知識不足も失敗につながってしまう一因と考えます。
自分がインプラント治療を失敗しないための対策
とはいえ、やはりインプラント治療は有益な治療法であり、治療を行ったことによって食べられるもののバリエーションが広がった、生活に潤いが出たと恩恵を受けている人もたくさんいます。難しい症例に対しても失敗せずに治療をしている医師もたくさんいます。
自分が失敗せずにインプラント治療を受けるためにはどうしたらよいのでしょうか。
医師の説明をよく聞く
まずは、患者さん自身が医師の説明をよく聞きましょう。治療を受ける上でのメリットだけでなくデメリットもしっかりと説明してくれる歯科であれば安心して治療を受けても良いでしょう。
また、検査をしっかりと行ってくれることもポイントです。しっかりと検査を行ったうえで自分自身に合わせた治療計画を立ててくれる歯科であれば信用しても良いでしょう。
決断を迫られた場合には断る
インプラント治療において失敗されたという患者さんが来院した歯科の多くは、今すぐに治療をした方が良いと決断を迫ったということです。
しかし、歯の欠損は虫歯など異なり進行する病気ではないため、緊急性があるとは考えられません。今すぐ治療をした方が良いと決断を迫られた場合には疑いの目をもち断ってしまっても良いでしょう。
セカンドオピニオンを活用する
セカンドオピニオンとは第二の意見を求めるという意味があります。1か所での説明で不安であればこのセカンドオピニオンを活用し他の医師の意見を聞いてみるのも良いでしょう。
そこで2人の医師の意見が食い違えばサードオピニオンとしてまた別の医師の意見を聞いても良いのです。とにかく自分が納得するまで専門家の意見を求めましょう。
信頼できる病院を探すことが大切
インプラント治療は治療としてはとても良い治療法です。そのため自分が心から信頼できる医師を見つけることができれば、良い治療を受けることが可能でしょう。
全てを医師任せにするのではなく患者さん自身が行動を起こすことによって、信頼できる病院はきっと見つかることでしょう。
インプラント治療が、「常に治療方法の第一選択肢である」とは限らないでしょう。入れ歯やブリッジなどでもお口の機能を保っていけるなら、それで十分だと考えます。しかし、執拗にインプラント治療を勧めてくる歯科医院もございますので、「本当に自分のことを考えてくれているのか」「なぜこの医師は、インプラント治療を勧めるのか」という視点を持ってみてください。医院選びの点で比較的安心できるのは、日本口腔インプラント学会認定のインプラント専門医や指導医がいる医師です。他方、厚労省によるガイドラインを順守せず、営利目的を感じさせるような広告を打っているところは、注意が必要かもしれません。
監修ドクター:日根野谷 仁 歯科医師 日根野谷歯科 院長
インプラント治療でおすすめの歯医者さん 近畿編
日根野谷歯科医院
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