インプラント治療で“やってはいけないこと”はご存じですか? 成功に導く術前から術後の流れを歯科医が解説!

インプラント治療を決意したものの、「手術前にどんな準備が必要?」「手術後の過ごし方は?」など、疑問や不安がつきまとうと思います。インプラント治療を成功に導き、長く快適に使い続けるためにも、事前準備と治療後のケアは不可欠です。そこで、これからインプラント治療を始める人に向けて、治療に必要な準備から治療後の注意点まで、「横浜駅西口デンタルオフィス」の大羽先生に解説していただきました。

監修歯科医師:
大羽 陽樹(横浜駅西口デンタルオフィス)
目次 -INDEX-
インプラント手術前の準備:手術前日の食事や体調管理で注意したいポイント

編集部
インプラント手術を受けるにあたって、患者さんが準備しておくべきことは何でしょうか?
大羽先生
インプラント手術を成功させ、長期的に良好な状態を保つためには、患者さん自身によるセルフケアが最も重要です。日頃のケアで不十分なところがある場合は、歯科医院で自分にあったブラッシング法や補助清掃器具の使用についてアドバイスしてもらい、正しい口腔ケアの習慣を身につけておきましょう。また、すでに歯周病になっている人は、必ずインプラント手術までに歯周病を改善しておく必要があります。まずは、口腔内を健康な状態に整えることが、治療を成功に導く第一歩です。
編集部
インプラント手術前日または直前の飲食について、どのような注意が必要でしょうか?
大羽先生
通常のインプラント手術であれば、特別な食事制限は必要ありません。手術前日は普段通りの食事と睡眠をとり、リラックスした状態でお越しください。ただし、点滴で鎮静状態にして手術をおこなう「静脈内鎮静法」を選択する場合は、術前の食事制限が必要となります。当院では手術の4時間前からの制限をお願いしていますが、受診する歯科医院で規定が異なるので必ず確認しましょう。
編集部
インプラント手術前の体調管理で気をつけることはありますか?
大羽先生
普段通りの体調であれば問題ありません。ただし、発熱や風邪症状、感染症などの体調不良がある場合は、必ず事前に歯科医院へご連絡ください。そのような場合は、ご自身の体調の回復や手術の成功のためにも、手術を延期することをおすすめします。
インプラント手術後の日常生活とリカバリー期間の過ごし方

編集部
インプラント手術後、痛みや腫れはどのぐらい続くものなのでしょうか?
大羽先生
痛みと腫れの程度・期間については手術する場所や範囲によって個人差がありますが、通常は1週間程度、長い場合でも2週間程度で落ち着いていきます。術後の痛みについては、手術当日に処方される痛み止めを歯科医師の指示通りに服用することで症状を和らげることが可能です。一方で、腫れについてはそれを抑える特別な方法がないため、腫れが引くまでは安静にしていただくことが、症状を早く治す近道になります。
編集部
インプラント手術直後の食事制限について、具体的にどのような点に気をつけたらいいでしょうか?
大羽先生
食事内容に関してとくに制限はありませんが、糸で縫った傷口が開かないように、手術した部位とは反対の歯で食事をするように心がけてください。例えば、右側を手術した場合は左側の歯で、なるべく柔らかめのものをゆっくり噛みましょう。
編集部
そのほかに、手術当日や術後の生活で注意すべき点があれば教えてください。
大羽先生
仕事や学校は通常通りで問題ありません。ただし、術後数日は激しい運動やスポーツ、長風呂などの血流が良くなるような行為は控えることをおすすめします。アルコールも血流を促すため、術後数日は控えめにしておきましょう。さらに、喫煙はインプラント治療の大きな天敵となるため、術前から術後にかけては極力控えるようにしてください。インプラントを長く保つためにも、できればこの機会に禁煙を目指していただきたいと思います。
編集部
術後、インプラントが骨に結合するまで、どのくらいの期間がかかりますか?
大羽先生
インプラントが骨に結合する期間は、手術部位や患者さんの骨の状態によって個人差があります。早い場合は2カ月程度で結合しますが、骨を補う処置(骨造成)をおこなったケースでは半年程度かかることもあります。
編集部
インプラントが骨に結合するまでの期間、患者さんが気をつけるべきことはなんですか?
大羽先生
通常、インプラントは術後1~2週間で抜糸をおこないますが、それ以降は特別な注意点はなく普段通りの生活を送っていただいて問題ありません。ただし、骨を補う処置をした場合は、その部分を強く押さえないように注意してください。
編集部
抜糸が終わったら、手術した側で噛んだり食べたりしても問題ないのでしょうか?
大羽先生
傷口が完全にふさがり、糸も取れた状態であれば、手術した側で噛んでいただいてもとくに支障はありません。手術直後に患部側で食事をしないようにお願いしているのは、傷口が開いたり、縫合した糸が外れたりするのを防ぐためです。したがって、抜糸後は普段通りの食事に戻していただいて問題ありません。
インプラントを長持ちさせるためのケアとメンテナンスの重要性

編集部
インプラントの寿命を延ばすために、患者さんができることはなんでしょうか?
大羽先生
治療後、インプラントが問題を起こす主な原因は「インプラント周囲炎」です。インプラント周囲炎を予防するためにも、治療後は毎日のセルフケアを徹底することが肝心です。また、インプラント周囲炎は初期の段階では自覚症状がなく、気づかないうちに周囲の骨が溶けてしまうことも少なくありません。早期発見のためにも、歯科医院での定期メンテナンスが不可欠です。
編集部
インプラントを入れる前と後とで、セルフケアのやり方や内容は変わるのでしょうか?
大羽先生
基本的な手順は大きく変わりませんが、個々の状況によって細かい違いがでてくることはあります。例えば、それまで歯ブラシだけで磨いていた場合、インプラント治療後はデンタルフロスや歯間ブラシを併用するなど、より丁寧なケアが必要になります。また、被せ物の形や歯と歯の間のすき間も個々で異なるため、一人ひとりのお口の状態にあった磨き方や磨きやすい器具などを取り入れることが大切です。
編集部
インプラント治療後、歯科医院にはどのぐらいの頻度で通ったらいいでしょうか?
大羽先生
治療後しばらくは3カ月に1回の頻度で来院していただき、セルフケアの状況やインプラントの状態、全体的な噛み合わせを確認していきます。その後、口腔内の状態が安定し、ご自身でもケアがしっかりできている人については徐々に間隔を空けていき、最終的には半年に1回程度の定期メンテナンスに移行していきます。
編集部
インプラントに何か異常を感じた場合、メンテナンスの時期を待たずに受診した方がいい症状や兆候などはありますか?
大羽先生
インプラント周囲炎の初期症状として、歯ブラシ使用時の出血や歯ぐきの腫れがみられることがあります。このような出血や腫れの症状がある場合は、メンテナンスの時期を待たず早めに受診しましょう。また、インプラントも長く使っているうちに、噛み合わせの変化によって被せ物とインプラントを固定するネジが緩んでしまうことがあります。したがって、被せ物にぐらつきを感じたり、あるいは被せ物の一部が欠けたりした場合も、時間を空けずに早めにご相談ください。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
大羽先生
インプラント治療は「入れたら終わり」ではありません。手術前の準備から術後のケア、そして日々のメンテナンスまで、全てが成功のカギを握ります。不安なことがあれば、遠慮なく歯科医に相談し、納得したうえで治療を進めてほしいと思います。正しい知識と丁寧なケアで、インプラントを快適に、そして長く使い続けられるよう、手入れしていきましょう。
編集部まとめ
インプラント治療を成功に導き、長く維持するためには、術前・術後の適切なケアが欠かせません。まずは、治療が始まるまでにこれまでのセルフケアを見直し、健康なお口の環境を整えておきましょう。また、インプラントを長く使い続けるためには、治療後も歯科医院での定期メンテナンスが不可欠です。本記事でご紹介した術前の準備から治療後のケアまでをしっかりと確認し、これからの治療に万全の態勢で臨んでいきましょう。
医院情報
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診療科目 | 歯科 |