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歯のインプラント治療の年齢・性別による違いは? 特別な考慮事項ってあるの?

 公開日:2024/10/19
歯のインプラント治療で年齢・性別における特別な考慮事項ってあるの?

インプラント治療の患者層は、若くして歯を失った方から高齢になって治療を検討される方まで、その年齢や性別も多岐にわたります。年齢や性別の違いによってインプラント治療で気をつけたいこと、注意すべきことはあるのでしょうか? そこで若年者と高齢者、そして男女別でみるインプラント治療の注意点や考慮事項などを、まつのき歯科間々田クリニックの小松先生に解説してもらいました。

小松 貴紀

監修歯科医師
小松 貴紀(医療法人社団 まつのき会)

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新潟大学歯学部卒業。同大学医歯学総合病院顎顔面口腔外科、長岡赤十字病院口腔外科などでの勤務を経たのち、まつのき歯科クリニックを開院。「患者さんファースト」の精神で、最善最良の治療を提供する。国際口腔インプラント学会認定医。臨床歯科麻酔指導医。

年齢、性別の違いでインプラント治療はどう変わる?

年齢、性別の違いでインプラント治療はどう変わる?

編集部編集部

年齢や性別で、インプラント治療のアプローチの仕方に何か違いはあるのでしょうか?

小松 貴紀先生小松先生

基本的に、年齢や性別でアプローチの仕方が大きく変わることはありません。年齢に関していうと、全身的に健康であれば90歳に近い方でも治療は可能ですし、反対に50代や60代でも、全身の状態によっては治療できない場合もあります。ただ、性別に関しては女性の場合、ホルモンバランスの変化で骨の硬さや密度が変化することがあるため、その点は十分に配慮しながら治療計画を立てる必要があります。

編集部編集部

では、インプラント治療の成功率も、年齢や性別で変わることはないのでしょうか?

小松 貴紀先生小松先生

全身状態が良好で骨の硬さや厚みも十分にあり、適切なメンテナンスを行えば、年齢や性別による大きな違いはありません。ただし、高齢になると体の抵抗力が弱くなる傾向があるため、事前の治療計画の段階でそのようなリスクを想定した対策や、術後のケアについて十分に考えていく必要があります。今は健康でも、将来的に持病が増える可能性も考えられるため、現在の状態だけでなく、将来的なリスクも含めて十分に精査することが重要です。

編集部編集部

そのほかに、年齢や性別で何か配慮されていることはありますか?

小松 貴紀先生小松先生

高齢の方の場合は、事前のカウンセリングで全身状態や服薬状況の確認は必ず行うようにしています。これは、治療計画を立てるうえで非常に重要な情報となるためです。また、年齢や性別に関係なく、患者さんの生活習慣や生活スタイルに応じたプランニングは常に心がけています。インプラント治療においては、年齢や性別といった大きな枠組みだけでなく、個々の患者さんの状況をきめ細かく把握し、それに応じた治療計画やメンテナンス方法を提案していくことが大切になるでしょう。

年代別(若年者と高齢者)でみる、インプラント治療を受ける際のポイントと注意点

年代別(若年者と高齢者)でみる、インプラント治療を受ける際のポイントと注意点

編集部編集部

若年者がインプラント治療を受ける際、どのようなことに注意したらよいでしょうか?

小松 貴紀先生小松先生

若い方がインプラント治療を受ける際は、長期的な視点に立ったメンテナンスの重要性を理解することが大切です。例えば、車も5000kmに1回オイル交換をしている車とそうでない車とでは、明らかに差が出てしまいます。これと同様に、インプラントは一生ものではなく、治療後の適切なケアとメンテナンスが寿命を左右することは、十分に理解したうえで治療に臨んでいただきたいです。

編集部編集部

そのほかに、若年者がインプラント治療に際して考慮すべき点はありますか?

小松 貴紀先生小松先生

若い方特有の課題としては、ライフステージの変化にともなう転居や移住の可能性について考えておく必要があります。仕事や結婚、親の介護、定年後の移住など、若い方は今後、様々な理由で引っ越しを余儀なくされることも少なくありません。そのため、最初に治療を受けた歯科医院で継続的なメンテナンスが受けられなくなる可能性があります。

編集部編集部

そのような状況に対して、何か良いアドバイスがあれば教えてください。

小松 貴紀先生小松先生

将来的に転院が予想される場合は、転居後もメンテナンスが継続できるサポート体制の整った歯科医院を選ぶことをおすすめします。例えば、歯科医院のなかには第三者機関による保証制度を導入している医院があります。この制度を利用すれば、転院が必要な場合でも認定歯科医院であれば全国どこでも保証が有効ですので、転居後もフォローアップが受けやすいでしょう。このようなサポート体制が充実した歯科医院で、治療を受けることも方法の1つだと思います。

編集部編集部

では、高齢者がインプラント治療を受ける場合は、どのような点に注意したらよいでしょうか?

小松 貴紀先生小松先生

高齢者の場合は、加齢にともなう免疫力の低下により感染のリスクが高まる点や、術後の回復に時間がかかる点に注意が必要です。ただ、若い方と異なり、ご高齢の方の場合は生活基盤が安定しているので、治療を受けた歯科医院でメンテナンスを継続できるという利点があります。そのような意味において、高齢者の場合は「かかりつけ歯科医」の役割が非常に重要になってくるでしょう。

編集部編集部

高齢の方がインプラント治療を受ける際、どのような歯科医院を選ぶとよいでしょうか?

小松 貴紀先生小松先生

ご高齢の方には、お住まいの地域に密着した歯科医院をおすすめします。具体的には、お口だけでなく全身の状態も把握し、必要に応じて医科と連携が取れる体制が整っている歯科医院が望ましいでしょう。患者さんの生活環境や健康状態を総合的に把握し、長期的なケアが提供できる歯科医院をぜひ選んでいただきたいと思います。

性別でみるインプラント治療を受ける際のポイントと注意点

性別でみるインプラント治療を受ける際のポイントと注意点

編集部編集部

男性の方がインプラント治療を受ける際に、注意すべき点、気をつけたい点はありますか?

小松 貴紀先生小松先生

男性の場合は、生活習慣やライフスタイルに関連するリスクに注意が必要です。例えば、男性の場合は仕事の忙しさを理由に、メンテナンスに来なくなる方が一定数いらっしゃいます。しかし、インプラントは「治療をしたら終わり」でなく、以後の継続的なメンテナンスが予後を大きく左右します。このあたりは若年者のインプラント治療と同様に、長期的視点に立ったメンテナンスの重要性をあらかじめよく理解しておくことが重要です。

編集部編集部

では、女性の場合はいかがでしょうか? インプラント治療に際して考慮しておきたい点はありますか?

小松 貴紀先生小松先生

女性の場合は、ホルモンバランスの変動による骨粗しょう症のリスクを考慮しておく必要があります。これは骨の状態だけでなく、服薬する薬剤にも注意が必要です。骨粗しょう症の治療薬のなかには、インプラント治療のリスクを高めるものがあります。場合によっては、インプラントが適さないケースや追加の対策が必要になるケースもあるため、歯科医とよく相談のうえ治療を進めていただきたいと思います。

編集部編集部

女性の場合、妊娠中や授乳中でもインプラント治療を受けることは可能なのでしょうか?

小松 貴紀先生小松先生

絶対にダメというわけではありませんが、いくつかの懸念事項があります。具体例を挙げると、レントゲンやCT検査による放射線の被爆や、外科処置にともなう薬の服用などです。これらは安全性の高い方法を選択しても、リスクが完全にゼロになるとは言いきれません。学術的な安全性とは別に、患者さんの心理面を考慮すると、やはり妊娠中や授乳中のインプラント治療は極力控えたほうがいいでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

小松 貴紀先生小松先生

インプラント治療では、その適否を年齢や性別だけで判断することはありません。ただ、ライフステージや個々の状況に応じて、考慮すべき点が異なることは確かです。インプラント専門的に診ている歯科医は、こうした個々の事情をしっかり把握したうえで、最適な治療計画を立案しています。インプラント治療は長期にわたるものですので、ご自身の状況をよく理解し、適切な治療計画を提案できる歯科医をぜひ見つけていただきたいと思います。

編集部まとめ

インプラント治療では、年齢や性別による一律の制限はありませんが、それぞれの特性に応じた配慮が必要です。若い世代では長期的な管理の重要性、高齢者では全身的な健康状態との兼ね合いが大きなポイントとなります。また、女性の場合はホルモンバランスの変化、男性の場合は生活習慣や生活スタイルに注意が必要です。個々のライフステージや健康状態に配慮し、長期的な視点に立って治療計画を立ててくれる歯科医をぜひ見つけていきましょう。

医院情報

まつのき歯科間々田クリニック

まつのき歯科間々田クリニック
所在地 〒329-0207 栃木県小山市美しが丘1丁目19-1 ベルク間々田店敷地内
アクセス 東北本線(宇都宮線)「間々田」駅出口より車で5分
診療科目 歯科・小児歯科・矯正歯科・歯科口腔外科

この記事の監修歯科医師