インプラント治療を1日で完了させることは可能ですか？

朝波先生

かつてはそうでした。顎の骨にインプラント体を埋め込み、安定するまで数カ月待ってから、人工歯を上部に取り付けていました。しかし昨今では、埋め込むインプラント体の形状に改良が施され、上部に「即時埋入」をすることも可能になっています。

朝波先生

総合的なリスクを考えると、旧来の方法のほうが安全なのかもしれません。しかし、即時埋入インプラントの生着率に関しては、旧来の方法と遜色ないことがわかってきました。それに、実際のニーズとして、もはや即時埋入が主流になってきている印象です。治療日程に限らず施術費も抑えられますので、後は、患者さんがどちらの進め方を選ぶかですね。

朝波先生

むし歯の治療後などに、歯が割れたり折れたりしたようなケースですよね。結論からすると可能です。この場合は「抜歯即時埋入」といいます。抜歯に必要な時間が上乗せされる程度ですから、「即時埋入」も「抜歯即時埋入」も、そんなには変わりません。

朝波先生

当院の場合、「仮歯」というステップを1段階挟んでいます。本歯よりわずかに裏側を薄くした歯で、噛む力をダイレクトに受けないようにする仕組みになっています。また、前歯などを治療する場合は「見た目」が問われますよね。いわゆる「すきっ歯」の問題を解決する意味でも、仮歯で3カ月程度、過ごしていただきます。

朝波先生

一般的な呼び方としては「即時埋入」でしょうか。ちなみに「ワンデイインプラント」は、商標登録がなされた治療方法です。また、「即時埋入」と「即時荷重」の実質的な差はありません。“埋める”ことを強調しているのか、“噛める”ことを強調しているかの違いですね。

朝波先生

もちろんあります。CT写真などで三次元的に検査をする方法がありますが、最終的には、患部を見て判断したいですね。インプラントを埋める場所はもちろんのこと、周辺組織がどうなっているか確認することも重要でしょう。

朝波先生

インプラントが1本だとしたら、1時間前後といったところです。本数が多い場合でも、文字どおり1日がかりでなんとかできるでしょう。午前中に抜歯からはじめてインプラントを埋め込み、午後に仮歯の装着まで進めるイメージです。

朝波先生

1本あたり40万円前後でしょうか。これは、ある程度の生着率が世界的に認められているメーカーのものを前提とした費用です。エビデンスに乏しい新興メーカーのインプラントであれば、もっと費用を落とせるかもしれません。しかし、当院では信頼性に重きを置いています。

朝波先生

それはありえません。最も危険な進め方ですね。初日はCTなどの画像検査などのうえで、「インプラントの仕組みや注意点、インプラント以外の選択肢との比較」などを丁寧にご説明します。その場での決断はやめて、一度、自宅でご検討ください。また、生着率に関わってきますので、血圧や糖尿病の有無などを調べてきていただくこともあります。

朝波先生

特に問題がなければ、そうなります。初回の簡易検査の結果が出てきていますので、より具体的なご説明ができるでしょう。もちろん、「適応外」と判断される場合もあります。また、施術後も経過観察のために、定期的にご来院ください。「すべてが1日で済む」わけではありません。

朝波先生

通常のインプラントと、なにも変わりません。医師から説明があると思いますが、術後も定期検診を続けてください。歯は人工でも歯ぐきや骨は天然ですから、インプラントを埋入した周囲の炎症に注意しましょう。

朝波先生

初診時に、直近の健康診断の結果と「お薬手帳」を持参していただくとスムーズです。一般的な健康診断を過去1年以内に受けていない人は、初回のカウンセリングまでに受けておいたほうがいいかもしれません。口頭による「健康です、大丈夫です」といった確認は、できれば避けたいですよね。

朝波先生

インプラントは「代替えの歯」なので、身体とは関係ないと思われている方が多いようです。しかし、埋入する箇所は顎の骨という“身体の一部”です。医学的な判断が欠かせませんので、ぜひ、身体管理の重要性をご理解ください。良い医療をご提供するためにも必要なプロセスです。また、タバコはインプラント治療のリスク因子です。埋入手術前に禁煙していただくこともあります。