アフターコロナ時代に必要なお口のエチケットとは?
新型コロナウイルスが流行してから1年以上が経過しました。まさに今、必要とされるお口のエチケットには、どのような視点が必要なのでしょうか。新型コロナウイルスの入口でもある「新・お口の習慣」を、「歯周病治療専門クリニックSPIDO」の辻先生に解説していただきました。当記事では、「アフターコロナ」の意味について、「感染拡大が始まった後の局面」とさせてください。
監修歯科医師:
辻 翔太(歯周病治療専門クリニックSPIDO 院長)
大阪大学歯学部卒業。同大学附属病院で臨床経験を積んだ後に渡米し、歯周病、インプンラントの専門的な治療に従事。帰国後の2019年、大阪府大阪市に「歯周病治療専門クリニックSPIDO」開院。アメリカ歯周病学会認定歯周病専門医、アメリカ歯周病学会ボード認定歯周病専門医。歯周病に関する著書・寄稿多数。
ちまたで関心の高いマウスウォッシュの是非
編集部
新型コロナウイルスに関連して、マウスウォッシュの検索が顕著なようです。
辻先生
マスクを常用するようになったため、口臭やマウスウォッシュについての関心が高まっているのでしょう。以前、大阪府知事がマウスウォッシュを活用するよう言及したことも、影響しているのではないでしょうか。
編集部
口臭対策としては有効だとしても、新型コロナウイルスに効くのですか?
辻先生
研究室レベルではありますが2021年の最新の研究では、新型コロナウイルスと複数種類のマウスウォッシュを一緒に入れて実験をおこなったところ、ポピオンヨードと過酸化水素を含むマウスウォッシュは新型コロナウイルス対策に効果的という結果が得られました。しかし、むし歯菌や歯周病菌に効果的なマウスウォッシュはそこまで効果は得られないという結果となっております。
編集部
やはり、ブラッシングで“かきだす”必要があるのでしょうか?
辻先生
答えはわかりません。ただし、やみくもにこすると、かえって歯ぐきを傷めかねませんので、適切なブラッシングをするように努めてください。この場合の「適切」とは、歯科医師や歯科衛生士から教わった方法のことです。このような時期だからこそ、ウワサや思い込みに振り回されないようにしましょう。情報元が国か医療従事者であるなら、信用してもいいのではないでしょうか。
洗浄効果ではなく、保湿効果としての唾液
編集部
ほかに、推奨できるエチケットとしては何がありますか?
辻先生
水分を十分に摂取して、唾液が減らないようにしましょう。マスクをしていると“息苦しくなる”ため、口で呼吸することが多くなるようです。すると、意外なことに、口内が乾燥します。保湿されるのではなく、むしろ乾燥するのです。乾燥は、ウイルスや菌が大好きな環境といえます。
編集部
唾液の量は、エチケットの問題ということでしょうか?
辻先生
唾液には、殺菌効果や洗浄効果があるので、口臭予防も期待できます。天然のマウスウォッシュと言ってもいいのではないでしょうか。しかも無料で、いくらでも湧いてくるため、活用しない手はないと思いますよ。
編集部
もともと唾液量が少ない場合の対処法はありますか?
辻先生
顎の周りをマッサージするのも、一つの方法です。耳の前方には「耳下腺(じかせん)」、顎の裏側には「顎下腺(がくかせん)」、舌の下には「舌下腺(ぜっかせん)」があって、それぞれ唾液をつくっています。
編集部
ほかにも、取り入れたいエチケット習慣があれば、教えてください。
辻先生
マスクをこまめに取り換えることでしょうか。「近くのコンビニへ行くごとに取り換えなくてもいいのでは」と思われるかもしれませんが、マスクは時間を問わず、「使ったら捨てる」のが原則です。我々も、患者さんごとに換えています。少なくとも、日をまたいでの連続使用は避けてください。
かつての当たり前が、思わぬ感染リスクに
編集部
こうした先生に相談するだけで、歯科医院を利用してもいいのでしょうか?
辻先生
理想としては、定期健診の流れをつくっていただきたいですね。より具体的にアドバイスできますし、むし歯や歯周病も定期的にチェックすることができます。
編集部
相談に伺いたいのですが、院内感染が心配です。
辻先生
我々歯科医院は、歯周病菌やむし歯菌とずっと戦ってきましたので、ある意味で衛生面のプロフェッショナルです。新型コロナウイルスの流行前から、衛生対策に努めてきました。どうぞ、ご安心ください。
編集部
口の中を清潔に保つことは、いろいろな病気の予防になりそうですね。
辻先生
公衆衛生的な見方も大切ですが、自粛生活の長期化により、生活習慣や生活リズムを崩していないか心配です。もしかしたら、免疫力が下がっているかもしれません。このような状況だからこそ、歯科医院での定期メインテナンスをご活用いただきたいです。コミュニケーションによるストレス発散の機会にもなりますので、ぜひご来院ください。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
辻先生
アフターコロナで、さまざまな生活習慣が見直されています。以前なら、同僚と化粧室などで“並んで”歯磨きするのが当たり前でした。しかし今では、そこに「疑問」を挟む必要があります。かつての当たり前を当たり前と思わず、気付いたところから工夫・改善に努めてみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
マウスウォッシュは「一部の種類は〇」、唾液は保湿効果に限って「○」、マスクは都度、使い捨てにした方がよいとのことでした。こうしたエチケット項目を一つずつ覚えてもいいのですが、「飛沫(ひまつ)感染」の起きやすさを自分なりにイメージしてみることが大切です。項目にないからセーフ、あるいはアウトなのではなく、「今、なにが起きているのか」を想像しましょう。そこに、アフターコロナの知恵があるはずです。
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