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インプラントを絶対入れるべき! そう断言できるケースはあるの?

 更新日:2023/03/27

数ある欠損補綴(ほてつ)治療の中で、インプラント治療の優先順位が“相当に高い”症例はあるのでしょうか。あるとしたら、どんなケースなのでしょうか。また、インプラント以外の治療選択肢が及ばない理由についても、知りたいところです。「横山歯科医院」の横山先生、詳しく教えてください。

横山先生

監修歯科医師
横山 知芳(横山歯科医院 院長)

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鶴見大学歯学部卒業。鶴見大学歯学部附属病院医局勤務を経た2008年、父親が神奈川県横浜市に開院した「横山歯科医院」を継承し現職に。戸塚区を中心に老若男女幅広い患者を診ており、とくに、歯の保存を重視する根管治療へ注力している。国際インプラント学会認定医(DGZI)。

“絶対”はないが、好ましい症例ならある

“絶対”はないが、好ましい症例ならある

編集部編集部

歯科医院のサイトなどで、インプラントの優位性を見かけます。

横山先生横山先生

入れ歯は歯ぐきを傷める。ブリッジは隣接歯を削る必要がある。インプラントは自立するので他歯に影響を与えない。つまり、インプラントが最も優れているという説ですよね。しかし、治療終了までの期間や費用も含めると、なにをもって優位といえるのかが不明確です。身体疾患の既往歴なども考慮したいですよね。

編集部編集部

つまり、「絶対にインプラントでなければいけない」ことはなく、患者の状況次第ということですか?

横山先生横山先生

そうですね。そもそも、治療は患者と医師の合意の上に成り立つものです。また、お口の中の様子や生体反応は人によりさまざまですから、治療方法が画一的に決まることもありません。つまり、はじめからインプラントという選択肢だけに絞られることは、まずないでしょう。

編集部編集部

なるほど。では、一方でインプラントを優先したいケースはありますか?

横山先生横山先生

見た目を比較的気にする方で、年齢が若く、目立つ前歯に欠損があり、両隣の歯は健全、そんなケースでしょうか。「年齢が若い」という項目があるのは、治療の効果をそれだけ長く得られるからです。また、顎の骨も丈夫でしょうから、適応の可能性が高まります。それでも、最終的には、患者さんに決めていただくことですが。

編集部編集部

治療選択肢に、医師側の都合が反映されることはないでしょうか?

横山先生横山先生

たしかに、医院の経営的側面からインプラントを勧めてくるドクターはいるでしょう。他方、「インプラントが簡単だから」という理由で、ファーストチョイスにすることはないと思います。ある程度の医療標準化が整っていたとしても、やはり、大がかりな外科処置を要します。まだまだインプラントは、オートマチックには進められない分野です。

治療選択肢の1つとして“絶対”にもっておきたいインプラント

治療選択肢の1つとして“絶対”にもっておきたいインプラント

編集部編集部

仮にインプラントをしたとして、気がかりなのがインプラント周囲炎です。

横山先生横山先生

インプラント周囲炎は特殊な病気というより、自然歯の歯周病と同じ位置づけです。インプラントという選択肢を選んだからといって、特定の病気にかかりやすくなるということは、まずないですね。

編集部編集部

あと、インプラントは一度治療すると元に戻せないイメージがあります。

横山先生横山先生

たしかに入れ歯なら、いつでも原点に戻れます。ただし、歯ぐきの形は年とともに変化するので、次第に合わなくなってきますよね。高機能な入れ歯だと自費ですし、都度、作り直していると、保険の入れ歯でも高くなる。費用がそんなに変わらないなら、インプラントで状況を固定化しておくのもありです。

編集部編集部

取り立ててメリットもない、かといってデメリットもない?

横山先生横山先生

今までの経緯からするとそうなりますが、患者さんご本人にとって「最も好ましい方法」はあるはずです。ほかの方法だとどのようなリスクがあるのか、なぜ、その方法が好ましいのか、納得がいくまで医師に聞き続けてください。

編集部編集部

結局のところ、最終的な判断は患者に委ねられるということですか?

横山先生横山先生

患者さんの価値観も関わってきますから、私がなにを言ったところで、医師の空論になりかねません。また、医療そのものが、そんな簡単に語れる話ではありません。ひとつ言えるとしたら、インプラントを扱っている歯科医院のほうが、「よい結果に結びつきやすいだろう」ということでしょうか。治療の選択肢は多ければ多いほど好ましいと思います。

“絶対”的な絆が、相対的な方法論に勝る

“絶対”的な絆が、相対的な方法論に勝る

編集部編集部

先生のような保存治療を重視する医院でも、インプラントを推奨することはあるのですよね?

横山先生横山先生

ありますよ。まず、歯が残っていないと、保存治療はできません。抜歯による欠損補綴治療では、常にインプラントが治療選択肢に入ってきます。

編集部編集部

インプラントを優先するとしたら、どんな観点ですか?

横山先生横山先生

噛む力」ですかね。自然歯を100とした場合、おおむねインプラントは99、ブリッジは50、入れ歯は30といわれています。繰り返しになりますが、「噛む力」にしても、あくまで検討材料の1つです。入れ歯で食事ができないわけではありませんからね。

編集部編集部

話を聞く限り、歯を悪くしたらどう対処すべきか難しくて、悩んでしまう気がします……。

横山先生横山先生

当然のことですが、そもそも歯を悪くしないことが一番でしょう。早期発見、早期治療開始がなにより大事です。予防に勝る治療はありません。それでも歯が悪くなってしまった場合には、医師に納得がいくまで相談して、自分に合った治療方法を模索しましょう。納得いけば、きっと後悔もないはずです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

横山先生横山先生

「方法論・べき論」から得られることは、あまりないと思います。それよりも、「この先生だったら、安心して任せられる」という信頼感のほうが重要でしょう。「なにが起きても、どうにかしてくれるはずだ」と安心できた瞬間、「べき論」は不要になります。インプラントであろうが、入れ歯であろうが、その方にとってのベストを尽くさせてください。

編集部まとめ

横山先生の最後のメッセージで、すべての前提がひっくり返りましたね。「お任せします」という依存は避けるべきですが、「なにがあっても大丈夫」という信頼こそが、すべてに勝る検討材料なのでした。治療方法の決め打ちから入らず、一緒に悩んで考えてくれるドクターを、絶対に選びましょう。

医院情報

横山歯科医院

横山歯科医院
所在地 〒244-0816 神奈川県横浜市戸塚区上倉田町769-16
アクセス JR「戸塚駅」東口 徒歩3分

診療科目 歯科

この記事の監修歯科医師