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知覚過敏の治療で行われるコーティングとは?知覚過敏の原因や治療方法、予防法も解説

 公開日:2025/08/18
知覚過敏の治療で行われるコーティングとは?知覚過敏の原因や治療方法、予防法も解説

冷たい飲み物を口にしたときに、歯がしみた経験はありませんか? それは知覚過敏の可能性があります。放っておくと悪化し、歯磨きや食事さえストレスになることもあるでしょう。 それでも症状の原因や適切な対処法がわからず、悩んでいる方も少なくありません。 本記事では、知覚過敏の原因から治療方法、セルフケアや予防策までを丁寧に解説していきます。歯科医院に通うべきか迷っている方にも、一歩を踏み出せる情報をお届けします

石毛 俊作

監修歯科医師
石毛 俊作(大神宮デンタルクリニック)

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東北大学歯学部卒業。千葉大学医学部附属病院 歯科・顎・口腔外科 臨床研修医。千葉大学大学院 医学薬学府 医学博士。独立行政法人地域医療機能推進機構。船橋中央病院。歯科口腔外科/インプラントセンター勤務。いとう歯科クリニック勤務、海岸歯科室勤務。

知覚過敏の原因と症状

知覚過敏の原因と症状

知覚過敏とはどのような状態ですか?

知覚過敏は、むし歯や歯髄炎などの病的な状態がないのに歯ブラシや冷水、風などの刺激で起こる一過性の痛みを指します。メカニズムは、硬いエナメル質が摩耗したり歯茎減退で失われたりして、本来保護されていた象牙質が露出することで細管から刺激が神経に伝わるためです。痛みは瞬間的ですが繰り返し起こり、日常生活に不快感や支障を与えることがあるため、適切な対策が必要です。

知覚過敏の原因を教えてください。

知覚過敏の原因としてまず、象牙質の露出です。これは歯茎が下がる歯肉退縮によって起こることが多く、加齢や歯周病、強すぎる歯磨きなどが関与します。また歯ぎしりや食いしばり、歯並びの乱れによって噛む力が局所に集中すると、エナメル質が摩耗して象牙質が露出しやすくなります。さらに炭酸飲料や果物などの酸性食品を頻繁にとると、歯の表面が化学的に溶ける酸蝕症が進行し、知覚過敏の引き金にもなるでしょう。これらの刺激が象牙質にある無数の微細な象牙細管を通じて神経に届くと、瞬間的な痛みを引き起こします。日常の何気ない習慣の積み重ねが知らぬ間に歯を傷つける要因になっていることもあるため、早めの対処と正しいケアが欠かせません。

知覚過敏はどのような症状が出ますか?

知覚過敏では冷水や風に触れた際に鋭い痛みを感じることが多く、数秒以内におさまる一過性の症状です。ただし、熱い飲み物や甘い食品、酸っぱい果物などでも同様の痛みを感じるケースがあります。歯ブラシの毛先が当たったときや、硬い食べ物を噛んだ際にも誘発されることがあり、日常生活に支障をきたす要因にもなるでしょう。さらに暖房の風や深呼吸の際の空気の流れなど、意識しにくい場面でも痛みが走ることがあり、生活の質に影響を及ぼすことがあります。刺激のたびに歯を庇うようになると、噛み合わせや清掃習慣にも悪影響を及ぼす恐れがあるため、早めの対処が重要です。

知覚過敏とむし歯の見分け方を教えてください。

知覚過敏とむし歯の見分け方は痛みの継続時間が重要です。知覚過敏は冷たい、甘いといった刺激に一瞬だけ痛みを感じ、すぐに収まります。一方、むし歯の場合は痛みが数分間続くことがあります。見た目だけで見ると、知覚過敏では穴や変色がなく、歯茎が下がって象牙質が露出している状態です。むし歯があれば黒ずみや穴が確認できるのが異なります。また、知覚過敏の痛みは刺激を取り除けばすぐ消え、就寝中に痛みを感じることはほとんどありません。しかしむし歯が進行していると、何もしていなくても痛みが続く場合があります。自己判断では見極めが難しいため、気になる症状があれば早めに歯科医院の診察を受けることが大切です。

知覚過敏治療で行われるコーティング

知覚過敏治療で行われるコーティング

知覚過敏の治療で行われるコーティングはどのようなものですか?

知覚過敏の治療では、歯の象牙質に露出した象牙細管を封鎖する目的で、専用のコーティング剤が使われます。代表的なのがフッ素バーニッシュで、歯面に高濃度フッ素を塗布することでカルシウムフルオリドの膜を作り、刺激の浸透を防ぐ方法です。また、歯科用レジンを光で硬化させる方法もあり、歯の表面を物理的に覆って保護する効果があります。これらの処置は短時間で行え、痛みの軽減が期待できる治療法です。コーティング後の効果を持続させるには、知覚過敏用の歯磨き剤の併用や、歯科医院での定期的な再処置が重要です。生活習慣の見直しと組み合わせることで、症状の再発リスクを減らすことができます。治療と予防の両面から継続的なケアを行うことが、快適な口腔環境を保つ鍵となります。

コーティングの効果はどのくらい持続しますか?

知覚過敏のコーティングに使用されるフッ素バーニッシュは、歯の表面に薄い膜を作って刺激を遮断する処置です。一度の塗布でも一定の効果が得られる場合がありますが、一般的に効果持続期間は数ヶ月ほどとされています。ただし硬いものをよく噛む、酸性飲料を頻繁に摂る、歯ぎしりや強い歯磨きの習慣がある場合は膜がすり減ることもあります。効果を長持ちさせるためには、日常のケアを見直すとともに、歯科医院での定期的な再塗布やメンテナンスが欠かせません。継続的な管理によって、知覚過敏の再発を防ぐことにつながるでしょう。

コーティングの保険適用や費用相場について教えてください。

知覚過敏のための歯科用コーティングは、医療保険の対象となり、基本的に保険診療で受けられます。費用は保険負担割合によりますが、1回の処置あたり数百円〜数千円が相場です。具体的には、象牙質レジンコーティングとして算定され、保険適用が認められている場合があります。必要性が認められ、過剰診療とならない範囲であれば、保険適用で複数回のコーティングも可能です。しかし費用や回数の詳細は、歯科医院に事前に確認することが望ましいでしょう。知覚過敏の症状が強い場合や再発を繰り返すケースでは、複数回の処置が必要になることもあります。症状の経過や生活習慣によって治療頻度も変わるため、保険適用の範囲や今後の治療計画について歯科医師と相談することが大切です。コーティングによる症状の改善は多くのケースで報告されていますが、万能ではないためセルフケアや原因へのアプローチと合わせて取り組む必要があります。

知覚過敏の治療方法と予防方法

知覚過敏の治療方法と予防方法

歯科医院での知覚過敏の治療方法には、ほかにどのようなものがありますか?

歯科医院では、レーザー治療によって露出した象牙質の細管を直接封鎖したり、象牙細管内のタンパク質凝固で刺激伝達を遮断したりする方法が採用されています。この治療は施術後数回で症状の緩和が期待できますが、種類や出力は歯科医院によって異なり、保険適用外の自由診療となる場合が一般的です。またハイドロキシアパタイトや、シュウ酸カルシウムを含むジェルで、象牙質を物理的に再石灰化を促す製品も用いられています。例えば、MSコートHysジェルは5分間の塗布によって脱灰を抑える効果が確認されている製品です。

知覚過敏のセルフケア方法を教えてください。

知覚過敏を自宅でケアするには、日々の習慣を見直すことが大切です。まず、毛先のやわらかい弾力のある歯ブラシを選び、歯や歯茎に過度な圧をかけず、1本ずつ丁寧に磨くことが基本となります。知覚過敏対応の歯磨き剤には、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなど、刺激の伝達を抑える成分が含まれており、数週間継続することで効果が期待できるでしょう。食後すぐの歯磨きは、酸で軟化したエナメル質を傷つける恐れがあるため、うがいで中和してから行うのがよいでしょう。また冷水の使用を避け、常温の水やぬるま湯でお口をすすぐと刺激を和らげやすくなります。症状が強い場合は、市販ケアに頼りすぎず歯科医院での相談も視野に入れましょう。

知覚過敏を予防する方法を教えてください。

予防には、日常的な生活習慣の見直しが欠かせません。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガードの使用を検討することが有効です。また、酸性の食品や飲料の摂取頻度を抑えることも大切です。歯の摩擦を防ぐために、研磨剤を多く含む歯磨き粉は避け、歯科医師の指導に基づいた歯磨き方法を習慣づけることも効果的だといえます。定期的な歯科受診で歯茎の状態を確認し、早期対応につなげることも予防の一環です。

編集部まとめ

男性医師と看護師

知覚過敏の治療では、歯の象牙質に露出した象牙細管を封鎖する目的で、専用のコーティング剤が使われます。 代表的なのがフッ素バーニッシュで、歯面に高濃度フッ素を塗布することで、カルシウムフルオリドの膜を作り、刺激の浸透を防ぐ方法です。 また、歯科用レジンを光で硬化させる方法もあり、歯の表面を物理的に覆って保護する効果があります。 これらの処置は短時間で行え、痛みの軽減が期待できる治療法です。さらに、コーティング後の効果を持続させるには、知覚過敏用歯みがき剤の併用や、歯科医院での定期的な再処置が重要です。 生活習慣の見直しと組み合わせることで、症状の再発リスクを減らすことができます。治療と予防の両面から継続的なケアを行うことが、快適な口腔環境を保つ鍵となります。

この記事の監修歯科医師