

監修医師:
五藤 良将(医師)
目次 -INDEX-
TNF受容体関連周期性症候群の概要
TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)は、腫瘍壊死因子(TNF)に関連する自己炎症性疾患です。TNFは体内の炎症や免疫反応において重要な役割を果たし、腫瘍や病原体から体を守る機能を持っています。
TNF受容体関連周期性症候群は、TNFの受容体である「TNFR1」に異常が生じることで、特徴的な症状が引き起こされます。
主な症状として、38度を超える高熱が数日から数週間続き、これに伴って筋肉痛、関節痛、発疹、腹痛、まぶたの浮腫み、結膜炎などが現れます。
これらの症状は周期的に繰り返し発生し、患者の生活に大きな影響を与えます。
症状の発現メカニズムの詳細は未だ解明されていませんが、遺伝的要因が関与していることが明らかになっています。
TNF受容体関連周期性症候群の発症は主に幼少期に見られますが、60歳以降で初めて症状が現れる例も報告されています。
遺伝子解析により、TNFR1遺伝子を作る「TNFRSF1A」という遺伝子の変異を確認することで確定診断がおこなわれます。
治療は主に対症療法が中心となり、ステロイド剤や抗IL-1製剤などの抗炎症薬が使用されます。
これらの薬剤により、症状の軽減や発作の頻度を抑えることが可能です。
しかし、根本的な治療法は確立されておらず、患者の状態に応じて個別に治療計画が立てられます。
TNF受容体関連周期性症候群はまれな疾患であり、発症頻度は100万人に1人程度と推定されています。
日本国内では30数家系の存在が確認されており、専門医による適切な診断と管理が重要となります。
出典:難病情報センター「TNF受容体関連周期性症候群(指定難病108)」
TNF受容体関連周期性症候群の原因
TNF受容体関連周期性症候群の詳細な発症メカニズムは未だ解明されていませんが、遺伝子異常が主な原因であることが明らかになっています。
特に、TNFRSF1A遺伝子の変異が関与していることがわかっています。
しかし、遺伝子異常が発熱、筋肉痛、関節痛などの特徴的な症状を引き起こすメカニズムについては、詳細な解明がなされていません。
また、TNF受容体関連周期性症候群は常染色体優性遺伝であり、両親のどちらかが遺伝子異常を持っている場合、その子どもは1/2の確立で発症します。
TNF受容体関連周期性症候群の前兆や初期症状について
TNF受容体関連周期性症候群の主な特徴は、症状の発作が繰り返し続くことです。
典型的な発作では、38度を超える高熱が生じ、悪寒を伴います。
これに加えて、筋肉痛や関節痛、発疹、胸痛、腹痛、まぶたの浮腫み、結膜炎などの症状が現れます。
筋肉痛は体の局所に起こり、手足の先に向かって移動するのが特徴的です。
また、同じ位置に紅斑(こうはん)や蕁麻疹(じんましん)などの皮膚症状が現れます。
発作の持続期間は数日〜数週間で、発作と発作の間隔は5〜6週間が多いとされています。
症状の組み合わせや発作の頻度、持続期間は患者によって異なり、個人差が大きいことに注意が必要です。
TNF受容体関連周期性症候群の検査・診断
TNF受容体関連周期性症候群の診断は、特徴的な症状の確認や遺伝子検査によりおこなわれます。
まず、6ヶ月以上にわたって発熱、移動性の筋肉痛、関節痛、紅斑、腹痛、まぶたの浮腫、結膜炎などの症状が一つでも繰り返し現れるかを確認します。
さらに、「家族歴や親族の発症者の有無」「20歳未満での初発」「症状が平均5日以上持続するか」などの確認項目のうち、2つ以上当てはまるかを調べます。
これらの条件に該当する場合、TNF受容体関連周期性症候群が疑われ、遺伝子検査が実施されます。
遺伝子検査でTNFRSF1A遺伝子の変異が認められた場合に、確定診断となります。
TNF受容体関連周期性症候群の治療
TNF受容体関連周期性症候群に対する根本的な治療法は確立されていないため、個々の症状や重症度に応じた対症療法が主な治療アプローチとなります。
発作が軽症で頻度が低い場合は、一般的な解熱剤や鎮痛剤が使用されます。
症状がより重篤な場合には、プレドニゾロンなどのステロイド薬が7〜10日間投与されることがあります。
ステロイド薬は副作用があるため、症状を見ながら使用量が調整されます。
しかし、発作が繰り返されることでステロイド薬の効果が薄くなり、使用量が増加しやすい傾向にあります。
このような状況や、ステロイド薬の効果が十分に得られない重症例に対しては、国内で認可された抗IL-1製剤である「カナキヌマブ」が選択肢として用いられます。
これらの治療法を組み合わせることで、患者の症状管理と生活の質の向上を目指します。
TNF受容体関連周期性症候群になりやすい人・予防の方法
TNF受容体関連周期性症候群は遺伝性疾患であり、両親のいずれかが発症している場合、その子どもが発症する確率は1/2となります。
しかし、遺伝子変異があっても必ずしも発症するとは限らず、同じ遺伝子変異を持つ兄弟や姉妹でも発症の有無が異なる場合があります。
現在のところ、TNF受容体関連周期性症候群の確立された予防法はありません。
しかし、遺伝カウンセリングを受けることで、疾患のリスクや遺伝性について理解を深め、家族計画や将来の健康管理に役立てられます。
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