目次 -INDEX-

風邪(急性上気道炎)
大坂 貴史

監修医師
大坂 貴史(医師)

プロフィールをもっと見る
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。

風邪(急性上気道炎)の概要

風邪は、上気道と呼ばれる鼻や喉の感染症の総称で、正式には「急性上気道炎」とも呼ばれます。風邪は最も一般的な感染症の一つであり、特に秋冬の季節に多く発生します。成人は平均して年に2〜3回、子供はさらに多く風邪をひきます(参考文献 1)。風邪は通常軽症で、数日から1週間程度で自然に治癒することがほとんどですが、高齢者や免疫力が低下している人では重症化することもあります。

風邪(急性上気道炎)の原因

風邪の主な原因はウイルス感染です。風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あり、その中でも最も一般的なのはライノウイルスです。その他にもコロナウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルスなどが風邪の原因となります(参考文献 2)。これらのウイルスは、感染者のくしゃみや咳によって飛び散る飛沫を吸い込むことで、またはウイルスが付着した手で鼻や口を触ることによって感染します。

風邪(急性上気道炎)の前兆や初期症状について

風邪の初期症状は、感染後1〜3日で現れます。最初の兆候としては、喉の痛みや違和感が挙げられます。次第に鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳といった症状が現れ、場合によっては微熱、頭痛、倦怠感が伴います。一般的に、風邪の症状は数日から1週間程度続きますが、咳や鼻水はそれ以上続くこともあります(参考文献 2)。

主な初期症状

風邪の症状として、いくつかの一般的なものがあります。まず、喉の痛みや違和感が感じられることが多く、これが風邪の初期症状として現れることがあります。また、鼻水や鼻づまりも風邪の特徴的な症状です。これに伴い、くしゃみが頻繁に出ることもあります。さらに、咳が出ることがあり、場合によっては微熱が伴うこともあります。頭痛や全身の倦怠感も風邪の際によく見られる症状で、体がだるく感じられることがあります。

風邪(急性上気道炎)の検査・診断

風邪の診断は、主に患者の症状と病歴に基づいて行われます。風邪は症状が軽度であることが多く、特別な検査を行わないことが一般的です。ただし、症状が重い場合や、他の感染症が疑われる場合には、血液検査や喉のスワブ検査を行うことがあります。特に、インフルエンザや細菌性の喉頭炎などが疑われる場合には、迅速検査が行われることもあります。

風邪(急性上気道炎)の治療

風邪の治療は、主に症状を緩和することを目的としています。風邪の特効薬は存在しないため、体の自然治癒力を助けることが基本となります。以下は、風邪の治療に役立つ方法です(参考文献 3)。

休息

十分な休息を取ることで、体が感染と戦う力を高めることができます。寝不足や過労は免疫力を低下させるため、風邪の治りを遅らせる原因となります。

水分補給

風邪を引いた時は、喉が渇きやすくなります。水分を十分に摂ることで、喉の潤いを保ち、症状の緩和に役立ちます。また、発熱がある場合は、発汗による水分の喪失を補う必要があります。

薬物療法

市販の風邪薬は、風邪の症状を一時的に和らげるために使用されます。解熱剤や鎮痛剤(例:アセトアミノフェン、イブプロフェン)は、発熱や頭痛を緩和するのに役立ちます。また、鼻づまりには鼻炎用の点鼻薬、咳には鎮咳薬が有効です。ただし、風邪薬はあくまで症状を抑えるものであり、ウイルスそのものを排除するものではありません。
また、抗生物質は細菌感染にのみ有効ですので、ウィルス感染には効果がありません。

家庭療法

蜂蜜や生姜茶、蒸気吸入などの家庭療法も風邪の症状を和らげるのに役立ちます。特に蜂蜜は、子どもの咳を伴う上気道感染症の症状を改善するのに役立つことが知られています。また、成人の症状管理にも効果がある可能性があります。ウイルス性上気道感染症にかかった成人と子どもを対象にした研究では、蜂蜜や蜂蜜を使った製品を使用することで、咳の回数や重さが軽くなることが確認されました(参考文献 4)。ただ、蜂蜜は1歳未満の赤ちゃんには乳児ボツリヌス症の恐れがあり、与えないようにしてください(参考文献 5)。

風邪(急性上気道炎)になりやすい人・予防の方法

風邪になりやすい人

風邪にかかりやすい人には、いくつかの特徴があります。
まず、幼児や子供は免疫力がまだ十分に発達していないため、風邪にかかりやすいです。また、高齢者は免疫力が低下しているため、風邪にかかりやすく、さらに重症化するリスクもあります。さらに、ストレスや慢性的な病気、過労などで免疫力が低下している人も風邪にかかりやすいです。加えて、公共交通機関を利用する人は、人混みの中でウイルスに接触する機会が多くなるため、風邪にかかりやすい傾向があります。

予防の方法

風邪の予防には、以下のような方法があります(参考文献 3)。
まず、手洗いは非常に重要です。風邪のウイルスは手から口や鼻を通じて感染することが多いため、石鹸と水でしっかり手を洗うことでウイルスを除去することができます。また、公共の場ではマスクを着用することが推奨されます。これにより、飛沫感染を防ぐことができます。
さらに、適度な運動を行うことも風邪予防に役立ちます。運動は免疫力を高める効果があるからです。バランスの良い食事も重要で、特にビタミンCを含む果物や野菜を積極的に摂ることで、免疫力を強化することができます。また、十分な睡眠を取ることも忘れてはいけません。睡眠は免疫機能を維持するために不可欠です。
ストレスを適切に管理することも大切です。ストレスが免疫力を低下させることがあるため、リラックスする時間を持つことが推奨されます。これらの予防策を日常的に実践することで、風邪にかかるリスクを大幅に減らすことができます。


この記事の監修医師