白皮症
高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

白皮症の概要

白皮症とは、遺伝子の異常によって発症する先天性の疾患です。皮膚や眼の色に関わるメラニン色素を合成する遺伝子に異常があり、全身の皮膚が白くなります。また、毛髪も特徴的な白〜茶褐色を示します。

白皮症は常染色体異常による疾患であるため、両親や親族に発症者がいる場合に発症するリスクが高まると言われています。

白皮症は異常がある遺伝子によって、全身的な合併症(出血傾向、免疫不全、神経症状など)を伴う「症候型」と全身症状を伴わない「非症候型」に分類されます。
また、多くの白皮症患者は矯正不可能な視力低下や斜視などの眼の症状も伴い、眼皮膚白皮症と呼ばれます。

肌の症状は出生直後からみられるのが一般的です。肌の色や眼の機能検査、遺伝子検査によって白皮症の診断が下されます。

白皮症の治療はまだ確立されておらず、治療は主に肌や眼の症状に対する対症療法が中心となります。
また、間質性肺炎や肉芽腫性大腸炎、光発がん(紫外線による皮膚がん)などの合併症リスクも高まるため、定期検査も重要とされています。

白皮症自体は遺伝子異常により発症するため予防は困難ですが、合併症リスクを軽減させるためにも、日光の暴露を避けたり、定期的な診察を心がけましょう。

白皮症の原因

白皮症の原因は遺伝子の異常です。皮膚や目の色を決定するメラニン色素の合成に関わる遺伝子変異によって減少、あるいは完全に消失するために発症します。

異常がある遺伝子の種類によって全身的な合併症を伴う症候型と、全身症状を伴わない非症候型に分類され、眼の症状を伴うものを眼皮膚白皮症と呼びます。

白皮症の前兆や初期症状について

白皮症は症候型・非症候型どちらも出生時から全身の皮膚が白色調であり、白〜茶褐色の頭髪が特徴です。
眼皮膚白皮症の場合には目の虹彩(黒目の内側にあるドーナツ状の幕)も青〜灰色調をしていて、眼振(がんしん:意図せず目が揺れる症状)や矯正不可能な視力低下がみられるケースもあります。

白皮症による白い肌は紫外線由来の皮膚がん(光発がん)を発症しやすいとされています。加えて、白皮症に至る遺伝子異常は悪性黒色腫の原因とされているため、日光の曝露には注意が必要です。

白皮症の検査・診断

皮膚の色が先天的に白く、日焼けしない場合や髪の毛の色が白〜銀色であれば白皮症を疑いますが、皮膚の色だけでは白皮症の確定診断にはなりません。白皮症が疑われる場合、遺伝子検査により原因遺伝子の変異がみられれば確定診断となります。

また、白皮症は眼振(がんしん:意図せず目が揺れる症状)や矯正不可能な視力低下など、特徴的な眼の症状を低することが多くあります。

そのほか必要に応じて、合併症の有無を調べるために血液凝固検査やCT検査などの検査を行うこともあります。

白皮症の治療

白皮症の治療はまだ確立されたものがなく、それぞれの症状に対する対症療法が主な治療法です。
白皮症の特徴である白い肌は紫外線に弱いため、長袖の衣服を着用したり、遮光効果のある服を着用したりして、紫外線から皮膚を守ることが重要です。また、目を守るためのサングラスも有効です。

白皮症患者の中でも皮膚のメラニン色素がどの程度減少しているか、あるいは完全に失っているかは、人それぞれ異なります。病態にあわせた適切な対処が必要です。

眼の症状がある場合には、メガネやコンタクトレンズによる視力矯正や、斜視や眼振といった症状が見られるケースでは、手術などの外科的治療が適応になります。

また、生後まもない時期(2カ月〜2歳ごろまで)は光に対する視覚刺激に敏感なため、乳幼児期から視覚機能の訓練や日常生活の困難を軽減させるためのロービジョンケアが求められます。

加えて、3〜6歳の小児期でも就学に向けた訓練をおこないます。ルーペや単眼鏡のほか、照明器具や拡大本の使用が推奨されることもあります。

白皮症になりやすい人・予防の方法

白皮症は遺伝子異常によって発症する疾患であるため、予防は困難です。しかし、常染色体の異常であるため両親や親族に白皮症を発症した人がいれば、発症リスクが高くなることを理解しておきましょう。

また、白皮症の発症予防が困難でも、合併症はある程度予防が可能です。とくに光発がんは加齢とともに発症リスクが高くなるため、定期検診が必要です。

そのほか、小児のときから日光への暴露を抑える対策が必要です。とくに遮光性の高い衣服の着用や日焼け止めの使用などが推奨されます。帽子やサングラスの着用も有効な遮光手段です。

光発がんのほか間質性肺炎や肉芽腫性大腸炎も白皮症に合併しやすい疾患です。40歳以降で発症しやすいと考えられていますが、20歳でも発症報告があるため、関連する診療科での定期検査も必要です。


関連する病気

  • 間質性肺炎
  • 光発がん
  • 肉芽腫性大腸炎
  • 斜視
  • 眼振

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