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カンジダ性間擦疹
五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。現在は「竹内内科小児科医院」の院長。日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医。

カンジダ性間擦疹の概要

カンジダ性間擦疹(かんじだせいかんさつしん)は、カビの一種であるカンジダ菌の自己感染によって、皮膚と皮膚がこすれる部位が赤くただれたり、皮膚のくびれに沿って白い薄皮が付着したりする病気です。皮膚に発症するカンジダ症のうち最も発症頻度が高い病気だといわれています。

カンジダ性間擦疹は白い薄皮が付着した紅斑が広がり、ふやけている状態になることが特徴です。ふやけている箇所の周辺には水疱(内部に透明な水分を含んだイボのようなもの)や膿疱(膿がたまり皮膚が膨らんだ皮疹)が多くみられ、かゆみや痛みが生じることもあります。

カンジダ性間擦疹は60歳代に多い病気ですが、肥満の人も発症する傾向があります。

発症する部位は主に脇の下や鼠径部(そけいぶ)、指と指の間などほとんどで、多湿環境によりカンジダ菌が繁殖することで発症します。

カンジダ性間擦疹

カンジダ性間擦疹の原因

カンジダ性間擦疹の原因は、皮膚の常在菌であるカンジダ菌に自己感染し、カンジダ菌が増殖することです。とくに鼠径部や脇の下、指の間などの皮膚と皮膚がこすれる箇所に発症しやすいです。

また、カンジダ性間擦疹は高齢者や肥満傾向の人が発症しやすい傾向があります。高齢者ではおむつを使用することで鼠径部が多湿環境になり、カンジダ菌が増殖しやすくなります。また、活動量の低下によって寝ている時間が多くなると、床面と殿部がこすれることで発症するとも考えられています。

肥満によって四肢が太くなると、皮膚がこすれることにより、カンジダ性間擦疹が発症しやすくなります。加えて汗をかきやすい人はさらに多湿環境になることでカンジダ菌が繁殖し、カンジダ性間擦疹を発症する可能性が高くなります。

カンジダ性間擦疹の前兆や初期症状について

カンジダ性間擦疹に前兆はありません。

発症初期から白い薄皮が付着した紅斑がみられ、水疱や膿疱が出現します。症状が重くなると徐々に範囲が広くなり、かゆみや痛みなどの自覚症状もあらわれます。

カンジダ性間擦疹の検査・診断

カンジダ性間擦疹は主に医師の視診によって診断されます。紅斑や水疱、膿疱がどの程度広がっているか確認することが重要です。

カンジダ菌を特定するために、皮膚の病理検査をすることもあります。水疱や膿疱の組織を採取し、顕微鏡でカンジダ菌が確認されればカンジダ性間擦疹の確定診断になります。

カンジダ性間擦疹の治療

カンジダ性間擦疹の治療では抗真菌薬などの外用薬を塗布します。外用薬を皮疹に1〜2週間塗布することで多くの症状が緩和します。

しかし、外用薬で十分な症状の改善が得られないケースでは、抗真菌薬の内服をすることもあります。

カンジダ性間擦疹の治療では薬と並行して、患部を清潔に保つことも治療につながります。汗を十分に拭き取ったりして、カンジダ菌が繁殖しないようにすることが大切です。

カンジダ性間擦疹になりやすい人・予防の方法

カンジダ性間擦疹になりやすい人は高齢者です。特におむつの使用はカンジダ菌が繁殖しやすい多湿環境になりやすく、長時間使用することでよりカンジダ性間擦疹の発症リスクが高まります。
活動量の低下により寝ている時間が多いことも、殿部などが床面とこすれる時間が増えることでカンジダ菌が増殖しやすくなります。

また、肥満の人も発症しやすいといわれています。四肢や腹部の皮膚同士の接触面積が広がり、カンジダ菌が感染しやすくなるためです。
加えて、汗をかきやすい人は多湿環境になりやすいので注意しましょう。

さらに、糖尿病やエイズの人もカンジダ性間擦疹を発症しやすいといわれています。これらの疾患では体の免疫力が低下するため、カンジダ菌に自己感染しやすいです。

予防の方法は脇の下や鼠径部などの皮膚を乾燥させ、清潔な環境を維持することが重要です。おむつを使用する際は定期的に交換し、交換のたびに皮膚の除菌を心がけてください。皮膚同士が接触する部分を頻回に拭き取るだけでもカンジダ性間擦疹の発症予防になります。

糖尿病やエイズの既往歴がある人は疾患に対する治療も重要です。これらの疾患に対する治療によって免疫力を高められればカンジダ性間擦疹の発症リスクも軽減できるでしょう。


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