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発疹
大坂 貴史

監修医師
大坂 貴史(医師)

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京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。

発疹の概要

発疹は、皮膚に現れる赤みやかゆみ、膨疹(皮膚が盛り上がった状態)など、異常な皮膚反応を総称したものです。
発疹は、皮膚に現れる様々な症状を示すため、その原因や形態は非常に多岐にわたります。発疹は軽度のかゆみや赤みから始まり、重症化すると水疱、膿疱、ただれ、色素沈着などを引き起こすことがあります。発疹自体は特定の病気ではなく、他の病気や状態の一部として現れる症状です。
発疹は一時的なものから慢性的なものまでさまざまで、局所的に限られたものから全身に広がるものもあります。日常生活において、アレルギー、感染症、ストレス、薬物など多くの原因が発疹を引き起こします。
発疹は外見に現れるため、早期に原因を特定し、適切な治療を行うことが重要です。

発疹の原因

発疹の原因は多岐にわたり、以下のようなさまざまな要因が関与しています。発疹は時に軽度なものから、緊急の医療対応を要する重篤な病気に伴う場合もあるため、原因の特定が重要です。

1. アレルギー

アレルギー反応は、発疹を引き起こす最も一般的な原因の一つです。食物、薬物、化粧品、洗剤、金属、植物、虫刺されなどに対するアレルギーが原因となり、発疹が現れます。アレルギー反応による発疹は、アレルゲンに接触した部分に限局して発生することが多いですが、全身に広がることもあります。

  • 食物アレルギー:
    特定の食べ物(卵、ナッツ、乳製品など)にアレルギーがある場合、発疹やじんましんが現れることがあります。
  • 薬物アレルギー:
    薬物の副作用として発疹が生じることがあり、抗生物質や鎮痛薬が原因となることが多いです。
  • 接触皮膚炎:
    アレルギー物質(化粧品や洗剤など)に触れることで発生する皮膚の炎症です。局所的な発疹が特徴です。

2. 感染症

ウイルス、細菌、真菌などの感染によって発疹が発生することがあります。特に、ウイルス感染は発疹の原因としてよく見られます。

  • 風疹、麻疹、水痘(みずぼうそう):
    小児期に見られるウイルス感染症で、発熱とともに全身に発疹が広がります。
  • 帯状疱疹:
    水痘帯状疱疹ウイルスによる感染で、局所的な痛みを伴う水疱が帯状に現れます。
  • 真菌感染:
    白癬菌などの真菌感染による発疹は、赤いリング状の発疹やかゆみを伴うことがあります。

3. アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、慢性的なアレルギー性皮膚疾患で、かゆみを伴う赤い発疹が現れます。遺伝的要因や環境要因が関与しており、季節の変わり目やストレス、気候の変化で症状が悪化することがあります。
特に乾燥した肌がアトピー性皮膚炎の発疹を悪化させる要因となります。

4. 物理的刺激

皮膚が物理的な刺激を受けることでも発疹が発生します。日光、冷え、熱、摩擦などが皮膚を刺激し、発疹を引き起こすことがあります。

  • 日光過敏症:
    日光に過敏に反応し、紫外線にさらされた皮膚に発疹が現れます。特に顔や腕などの日光が直接当たる部分に発生します。
  • 機械的な刺激:
    衣服や装飾品などが皮膚に長時間擦れたり圧迫されたりすることで、発疹が発生することがあります。

5. 内科的疾患

内科的な疾患が原因で発疹が現れることがあります。自己免疫疾患や肝臓、腎臓の機能不全が皮膚症状を引き起こすことが知られています。

  • 自己免疫疾患:
    全身性エリテマトーデス(SLE)や多発性筋炎などの自己免疫疾患により、全身に発疹が現れることがあります。
  • 肝臓疾患:
    肝機能障害によって体内の毒素が蓄積すると、かゆみを伴う発疹が現れることがあります。

発疹の前兆や初期症状について

発疹の初期症状は、原因や発疹の種類によって異なりますが、以下のような一般的な症状が見られます。

1. かゆみ

発疹の初期段階で最も一般的に見られる症状です。軽度のかゆみから強いかゆみまでさまざまで、発疹の広がりとともにかゆみが強くなることがあります。特にアレルギー性の発疹やアトピー性皮膚炎では、かゆみが強くなることが特徴です。

2. 赤み

皮膚の表面に赤い斑点や広がった赤みが現れることがあります。アレルギーや感染症による発疹は、赤みが目立つことが多く、皮膚が炎症を起こしているサインです。

3. 腫れや膨疹

発疹が進行すると、皮膚が腫れたり、膨疹ができることがあります。これは、皮膚内での炎症反応が活発化したことを示しており、特にじんましんなどで見られます。

4. 水疱や膿疱

発疹が悪化すると、水疱や膿疱ができることがあります。これは、細菌感染やウイルス感染が関与している場合に見られることが多く、強い痛みを伴うことがあります。

発疹の検査・診断

発疹の診断は、発疹の形状や広がり、発症の経緯、症状の進行具合などを総合的に判断して行います。原因によって適切な治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

問診

発疹の原因を特定するために、医師はまず問診を行います。以下のような情報が問診の対象となります。

  • 発疹がいつから現れたか
  • 発疹が現れる前に何か特別な出来事があったか(薬の服用、食物の摂取、環境の変化など)
  • かゆみや痛みの有無
  • 発疹の広がり方や発疹が現れた部位

視診

次に、医師は発疹の外見を直接観察します。発疹の色、形、大きさ、広がり方などを確認し、発疹が感染症やアレルギーによるものか、あるいは別の疾患によるものかを判断します。

アレルギー検査

アレルギーが疑われる場合、パッチテストや血液検査を行い、アレルギーの有無を確認します。パッチテストでは、アレルゲンとなる物質を皮膚に貼り、反応が現れるかどうかを見ます。

血液検査

感染症が疑われる場合には、血液検査を行い、炎症の程度や感染源を特定します。
また、内科的な疾患が原因である可能性がある場合には、肝臓や腎臓の機能を評価するための血液検査も行われます。

皮膚の生検

発疹が重症である場合や原因が特定できない場合には、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる皮膚生検が行われます。これにより、発疹の原因となる細菌やウイルス、真菌などを特定することができます。

発疹の治療

発疹の治療は、発疹の原因と症状の重さによって異なります。一般的には、かゆみや炎症を抑えるための薬物治療が行われますが、感染症やアレルギー反応によるものにはそれぞれの原因に応じた治療が必要です。

1. ステロイド外用薬

炎症やかゆみを抑えるために、ステロイド外用薬が使用されることが多いです。ステロイドは強力な抗炎症作用を持っており、発疹の進行を抑える効果があります。特にアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎など、炎症が強い発疹に有効です。

2. 抗ヒスタミン薬

かゆみを抑えるために、抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンの作用を抑制し、かゆみや炎症を軽減します。経口薬や外用薬があり、症状に応じて選ばれます。

3. 抗生物質

細菌感染が原因の発疹には、抗生物質が使用されます。抗生物質は、感染源となる細菌を殺す効果があり、皮膚に現れる膿疱や炎症を治療するために使用されます。

4. 抗ウイルス薬

ウイルス感染による発疹には、抗ウイルス薬が処方されることがあります。特に、帯状疱疹などウイルス感染症による発疹には早期の抗ウイルス薬の投与が有効です。

5. 保湿剤

乾燥による発疹やアトピー性皮膚炎の治療には、保湿剤が有効です。保湿剤を使用することで、皮膚のバリア機能を強化し、発疹の進行を抑えることができます。特に乾燥肌の人や、季節の変わり目に発疹が悪化する人には、日常的な保湿が推奨されます。

発疹になりやすい人・予防の方法

発疹になりやすい人

それぞれの原因によって様々です。

  • アレルギー体質の人:
    アレルギー反応を起こしやすい体質の人は、発疹を引き起こしやすいです。食物アレルギーや薬物アレルギーがある人は特に注意が必要です。
  • 乾燥肌の人:
    乾燥肌の人は、皮膚のバリア機能が低下しやすく、外的刺激に対して敏感になるため、発疹が発生しやすくなります。

予防の方法

こちらもそれぞれの原因によって様々です。

  • アレルギーの原因を避ける:
    発疹を引き起こすアレルゲンを特定し、可能な限り避けることが重要です。例えば、特定の食べ物や化粧品、洗剤にアレルギーがある場合、それらを使用しないようにしましょう。
  • 日常的な保湿:
    乾燥肌が発疹の原因となることが多いため、保湿を心がけることが大切です。特に、乾燥する季節や入浴後には、保湿剤を使用して皮膚の保湿を保つことが予防につながります。
  • 紫外線対策:
    日光に敏感な人は、紫外線が発疹の原因になることがあります。日焼け止めを使用する、帽子をかぶるなど、紫外線から肌を守る対策を行いましょう。


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