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フォアダイス
五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

フォアダイスの概要

フォアダイスとは、口唇や陰部に生じる小さな白い斑点や隆起です。通常、皮脂腺は毛穴に沿って存在し、皮脂を分泌して皮膚を保護しますが、フォアダイスの場合は、独立脂腺という皮膚や粘膜から直接開口している脂腺から、皮膚の表面に小さな白い斑点として現れます。このため、唇や陰茎・亀頭などの毛穴が少ない部位に特に目立ちます。また、まれに食道や胃にできる場合もありますが、見えない場所で自覚症状もないため気づかないことが多いです。

フォアダイスは病気ではなく、生理的な現象として多くの人に見られるものです。特に成人男性の約70%に見られるとされており、女性にも小陰唇や大陰唇に発生することがあります。性病や感染症と誤解されることが多いですが、他人に感染することはなく、放置しても健康に害を及ぼすことはありません。もし、見た目が気になる場合や他の疾患と区別がつかない場合には医師の診断を受けましょう。性感染症との違いは見た目でわかることもありますが、ウイルス検査や組織検査により診断が可能です。

フォアダイスの原因

フォアダイスの原因は、皮脂腺の過剰な増殖によるものと考えられています。皮脂腺は皮脂を分泌する器官であり、通常は毛穴に沿って存在します。しかし、フォアダイスの場合、毛穴のない場所に皮脂腺が存在し、これが皮膚の表面に小さな白い斑点として現れます。

フォアダイスが発生する具体的な原因は明確には分かっていませんが、遺伝的な要素が関与していると考えられています。特に、思春期にはホルモンの分泌が活発になり、皮脂腺の活動が増加するため、フォアダイスが目立ちやすくなる場合があります。

一部の研究では、フォアダイスの発生には生活習慣や環境要因も影響を与える可能性があるとされています。しかし、具体的な生活習慣や環境要因がフォアダイスの発生にどの程度影響を与えるかについては、まだ十分な証拠がありません。

フォアダイスの前兆や初期症状について

フォアダイスは、痛みやかゆみの症状はなく、主に小さな白い斑点や隆起として現れます。フォアダイスは、思春期以降に自然に発生することが多く、特に陰茎や唇、口腔内の粘膜に見られます。男性では、陰茎の皮膚やサオ部分や亀頭に現れることが多く、女性では、小陰唇や大陰唇に出現することがあります。また、口腔内の粘膜、特に舌の裏側や頬の内側にも現れることがあります。

フォアダイスの斑点は、直径1mm程度の小さな斑点です。これらの斑点は、特に皮膚が薄い箇所で透けて見えやすく、光が反射して白っぽく見えることがあります。

フォアダイスは、見た目が気になることが多いですが、健康に直接的な影響を与えることはありません。そのため、痛みやかゆみがない場合には、特に治療の必要はありません。しかし、他の病気と区別がつかない場合には、口唇の場合は皮膚科、陰部の場合は皮膚科や泌尿器科を受診して医師の診断を受けることが推奨されます。

フォアダイスの検査・診断

フォアダイスの検査・診断は、主に視診によって行われます。医師は、患者さんの症状や見た目を確認し、フォアダイスかどうかを判断します。フォアダイスは、白い斑点や隆起として現れるため、視診によって比較的容易に診断することができます。

しかし、性感染症と見た目が似ていることがあるため、正確な診断が必要です。特に、尖圭コンジローマや性器ヘルペスなどの性感染症と間違えられる場合が多いため、医師の診断を受けるのが重要です。尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされる性感染症であり、フォアダイスとは異なる治療が必要です。
尖圭コンジローマは、喉や舌・肛門・尿道・亀頭や陰茎などに発症し感染する疾患です。ます。外見は、イボの先端がトサカ状で、イボの大きさはまちまちです。症状に、性交痛や排尿痛が特徴的で、潜伏期間が長期間であるため、感染源の特定が難しいことがあります。一方、フォアダイスは、亀頭や陰茎に発症し感染しないという特徴があります。外見では、表面がなめらかで大きさは小さく、粒がそろっています。症状は、痛みもかゆみもなく過ごせる点で尖圭コンジローマと異なります。

フォアダイスの診断には、視診だけでなく、必要に応じて追加の検査が行われることもあります。例えば、尖圭コンジローマや性器ヘルペスの疑いがある場合には、ウイルス検査や組織検査が行われることがあります。これにより、原因菌を特定し、正確な診断が可能となります。

フォアダイスの治療

フォアダイスの治療は、主に見た目が気になる場合に行われます。フォアダイス自体は病気ではなく、健康に直接的な影響を与えることはないため、治療の必要はありません。しかし、見た目が気になる場合や、性感染症と区別がつかない場合には、パートナーとの性行為においてお互いに不安になるため治療を検討することが多いです。
フォアダイスの治療方法としては、局所麻酔実施後に高周波メスによる電気焼灼(でんきしょうしゃく)、または炭酸ガスレーザー照射によって除去する方法が一般的です。高周波メスやレーザーを使用することで、フォアダイスを短時間で除去することができます。これらの治療方法は、出血を最小限に抑えることができ、傷跡もほとんど残らないため、きれいに取り除くことが可能です。

高周波メスやレーザーによる治療は、局所麻酔を使用して行われるため、痛みを感じることはほとんどありません。また、治療後の回復も比較的早く、日常生活に支障をきたすことはありません。ただし、治療後は一時的に腫れや赤みが生じることがありますが、数日~数週間程度で治まります。

また、一度除去されたフォアダイスは通常は再発しません。治療によりフォアダイスを除去しても、将来的に新たなフォアダイスが同じ場所にできるのを防ぐものではないです。 そのため、皮脂腺が活動的な人では、新しい斑点が出現する可能性があります。 この再発の可能性は個人によって異なります。

治療は、美容的な理由で行われることが多いため、保険が適用されないのが一般的です。そのため、治療費は自費となります。治療費はクリニックや治療方法によって異なりますが、数万円程度が一般的と高額な費用がかかります。

フォアダイスになりやすい人・予防の方法

フォアダイスになりやすい人は、遺伝的要因や環境要因が関係していると考えられます。特に、思春期以降の男性に多く見られます。これは、思春期にホルモンの分泌が活発になり、皮脂腺の活動が増加するためです。また、仮性包茎の男性では汚れが溜まりやすいため多く見られることがあります。

フォアダイスの予防方法は特にありません。フォアダイスは生理的な現象であり、特定の行動や生活習慣が原因で発生するものではないため、予防することは難しいです。しかし、フォアダイスは皮脂の過剰分泌によって発生する可能性があるため、清潔な環境を保つことや、適切なスキンケアを行うことで、皮脂の分泌を抑え、皮膚の健康を保つことができます。

フォアダイスが発生したとしても、多くの場合症状はなく感染する可能性もないため、放置しても問題ありません。しかし、排尿痛などの症状があり性感染症が疑われる場合は、医療機関を受診して検査を受ける必要があります。どちらも白いブツブツができるため素人目には見分けにくいかもしれません。そのため、症状だったり不安があったりするなど見分けがつかない場合は、医師に診断してもらうのが大切です。

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