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蒙古斑
五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

蒙古斑の概要

蒙古斑(もうこはん)は、赤ちゃんのお尻や腰に現れる青いあざで、日本人を中心としたアジア系の赤ちゃんに多く見られます。皮膚の深い部分に存在するメラノサイト(色素細胞)が原因で、皮膚表面から青く見えるのが特徴です。通常、5歳から6歳までに自然に消えるとされていますが、10歳頃まで残ることもあります。

形や大きさは様々で、境界が不明瞭なものが多く、通常、平らで皮膚表面からは隆起していません。蒙古斑は、良性のものであり、健康に影響を与えることはほとんどありませんが、見た目の問題から親御さんが心配することもあります。

蒙古斑
  • お尻や腰にできる
  • 5~6歳までに自然に消える
  • なかには10歳ごろまでのこるものもある
異所性蒙古斑
  • お尻や腰以外の部位に見られる
  • 通常の蒙古斑に比べて消えるのが遅く、成人になっても残ることがある

蒙古斑の原因

蒙古斑の原因は、皮膚の深い部分に存在するメラノサイト(色素細胞)が関与しています。胎児期にメラノサイトが真皮に残り、これが生まれた後も消えずに残るため、皮膚表面から青く見えるのです。メラノサイトは、メラニンという色素を産生しますが、真皮の深い部分に存在するメラニンは青く見えるため、蒙古斑は青いあざとして現れます。

アジア系の赤ちゃんに多く見られるため、遺伝的要因も考えられていますが、明らかにはされていません。

異所性蒙古斑も、通常の蒙古斑と同じ原因で発生します。

蒙古斑の前兆や初期症状について

蒙古斑の前兆や初期症状は、赤ちゃんが生まれてから1週間から1ヶ月の間に現れる青いあざです。お尻や腰に見られることが多く、皮膚表面から青く見えるのが特徴です。
通常、5歳から6歳までに自然に消えるとされていますが、10歳頃まで残ることもあります。異所性蒙古斑は、通常の蒙古斑に比べて自然に消えるのが遅く、成人になっても残ることがあります。

これらの症状が残る場合、皮膚科や形成外科を受診して、適切な検査・治療を受けることをおすすめします。

蒙古斑の検査・診断

蒙古斑は、主に皮膚の見た目で診断するため、特別な検査を必要としないことが一般的です。

異所性蒙古斑の診断も、通常の蒙古斑と同様に視診によって行われます。異所性蒙古斑は、お尻や腰以外の部位に見られる青あざを指し、顔や腕、足などの露出部に現れることが多いです。異所性蒙古斑は、通常の蒙古斑に比べて自然に消えるのが遅く、成人になっても残ることがあります。

蒙古斑の診断においては、他の皮膚疾患との鑑別が重要です。そのため、他の病気が疑われる際は、採血やレントゲン検査など、必要な検査を行う場合があります。特に、広範囲にあざが発生していたり、なかなか薄くならなかったりする場合は、代謝異常や毛細血管奇形など全身性の病気が併発している可能性があるため、注意が必要です。

蒙古斑の治療

蒙古斑は、自然と消失していくもののため、特別な治療を必要としないことが一般的です。
ただし、以下の場合は、レーザー治療が用いられることがあります。

  • 多発性のもの
  • 大きいもの(10㎠以上)
  • 濃いもの

レーザー治療は、メラノサイト(色素細胞)を破壊することで、蒙古斑を薄くする効果があります。レーザー治療は、特に異所性蒙古斑に対して有効であり、早期に治療を行うことで効果が高まります。レーザー治療は、皮膚の薄い乳児期から始めることで、治療効果が高く、色素沈着などの合併症のリスクも少なくなります。

成人の場合、レーザー治療を行うことで蒙古斑を目立たなくすることが期待できますが、小児の時期に治療する場合に比べて、色素沈着などの合併症のリスクが高いので、治療の適応を慎重に判断する必要があります。

蒙古斑になりやすい人・予防の方法

蒙古斑は、生まれつきの青あざです。日本人の場合、ほぼ100%みられます。そのため、予防方法は特に存在しません。その他の病気がなく、日常生活に支障がなければ様子観察でよいでしょう。

関連する病気

  • 異所性蒙古斑
  • 先天性真皮メラノサイトーシス
  • 神経線維腫症1型

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