

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
目次 -INDEX-
クラミジアトラコマチス肺炎の概要
クラミジアトラコマチス肺炎は、「クラミジア・トラコマチス(C. trachomatis)」という細菌に感染することで発症する呼吸器疾患です。
発症するのは主に新生児で、クラミジア・トラコマチスに感染している母親から出産時に産道を介して感染します。
また、母親は性行為によってクラミジア・トラコマチスに感染することがほとんどです。
症状として熱は基本的に出ませんが、呼吸が頻繁になったり、痰や喀血が生じたりすることがあります。
診断は、胸部レントゲン検査や抗体検査などによっておこなわれます。
発症が確認された場合は、クラミジアに効果のある抗生剤を投与して治癒を目指します。
母親は妊娠中にクラミジア・トラコマチスに感染していることが発覚した場合、出産時までに適切な治療を受けて完治させることが重要です。

クラミジアトラコマチス肺炎の原因
クラミジアトラコマチス肺炎は、性器にクラミジア・トラコマチスが感染している母親からの産道感染によって新生児に発症します。
母親がクラミジア・トラコマチスに感染するのは、性器を介した性行為がほとんどです。
特にコンドームを使用せずに性行為をした場合や、不特定多数と関係を持った場合に起こりやすくなります。
性器にクラミジア・トラコマチスが感染した後、1〜3週間の潜伏期間を経て、子宮頸管炎を引き起こすことがあります。
クラミジア・トラコマチスによる子宮頸管炎は自覚症状が少なく、気付かないことが多いですが、妊娠中に治療しないまま放っておくと、出産時に産道を介して新生児に感染する原因になります。
(出典:STD研究所「クラミジアの解説」)
クラミジアトラコマチス肺炎の前兆や初期症状について
クラミジア・トラコマチスの初期症状は新生児や乳児で見られ、結膜炎や鼻炎として現れます。
通常、生後3ヶ月までに肺炎に移行しますが、発熱はほとんど見られません。
しかし、呼吸が頻繁になり「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴が生じることがあります。
また、痰や喀血が混じった湿っぽい咳が出ることもあります。
これらの症状は低出生体重児で重症化しやすいため特に注意が必要です。
クラミジアトラコマチス肺炎の検査・診断
クラミジアトラコマチス肺炎の診断は複数の方法を組み合わせておこなわれます。
胸部X線検査では、スリガラス影の間質性肺炎の所見、肺の過膨張などが見られることがあります。
血液検査では、炎症所見であるCRPや、IgMという抗体値の上昇が確認されます。
抗体検査では、血液のクラミジアの抗体を測定し、感染の有無や経過を判断します。
より確実な診断のために唾液や痰から採取した検体から、直接蛍光抗体法などによってクラミジア抗原、PCR法によって特異遺伝子を検出します。
これらの検査結果を総合的に評価することで、クラミジアトラコマチス肺炎の診断が確定されます。
クラミジアトラコマチス肺炎の治療
クラミジア・トラコマチスによる肺炎の治療では、マクロライド系の点滴薬が主に投与されます。
症状に応じて、鎮咳剤の投与や酸素吸入などの対症療法も併用されることがあります。
重症化した場合には、炎症を抑えるためにステロイド剤を投与することもあります。
新生児(乳児)と同時に母親に対する治療もおこないます。
クラミジアトラコマチス肺炎になりやすい人・予防の方法
クラミジア・トラコマチスによる肺炎は、クラミジア・トラコマチスによる子宮頸管炎を発症している母親から生まれた新生児に感染リスクが高くなります。
また、性行為によってクラミジア・トラコマチスに罹患している者と性行為をした場合、性器に感染する確率は30〜50%と言われています。
(出典:STD研究所「クラミジアの解説」)
予防方法として、妊娠中にクラミジア・トラコマチスによる子宮頸管炎を発症している場合は、出産時期までに適切な治療を受けて完治させることが重要です。
クラミジア・トラコマチスによる性器感染のリスクを減らすために、性行為の際はコンドームを着用し、不特定多数との性行為を避けましょう。
母親がこれらの予防策を実践することで、新生児へのクラミジアトラコマチス肺炎のリスクを軽減できます。
関連する病気
- オウム病
- 性器クラミジア感染症
- 子宮頸管炎
- 骨盤内付属器炎
- クラミジア肺炎
参考文献




