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副耳
渡邊 雄介

監修医師
渡邊 雄介(医師)

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1990年、神戸大学医学部卒。専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。耳鼻咽喉科の中でも特に音声言語医学を専門とする。2012年から現職。国際医療福祉大学医学部教授、山形大学医学部臨床教授も務める。

所属
国際医療福祉大学 教授
山王メディカルセンター副院長
東京ボイスセンターセンター長

副耳の概要

副耳(ふくじ)とは、生後すぐに耳の近くや頬にイボ状の突起を認める状態です。まれな疾患ではなく、出生した赤ちゃんの1000人に15人程度にみられます。胎児期に耳が成長する過程で生じ、「耳珠」などの耳の変形を伴うこともあります。

多くの場合、片耳の前方に一つのみイボ状の突起を認めますが、両耳の前にできたり、複数できたりするケースもあります。また、大きさも大小さまざまで、ごく小さなものから大豆ほどの大きさのものもあります。

多くの場合自覚症状は伴わないものの、副耳の根本に湿疹ができることがあります。
自覚症状を認めない場合には、特別な治療は必要ありません。しかし、副耳が目立つ場合には、整容面に配慮して外科的治療を行うこともあります。

副耳

副耳の原因

副耳は、胎児期に耳が成長する過程で生じます。

副耳ができる詳細な原因は明らかにされていませんが、遺伝によって生じることもあると言われています。

副耳の前兆や初期症状について

副耳では、生まれてすぐに耳の付近にイボ状の突起を認めます。通常、片耳の近くに一つのみ認めますが、両耳の前にできたり、顔や首にできたりすることもあります。また、一つではなく、複数できるケースもあります。さらに、中には突起ではなく、おへそのように凹んでいるものもあります。

副耳は通常皮膚組織のみを含み、柔らかい感触をしていますが、硬くコリコリとしている場合には、軟骨組織が含まれていることもあります。

一般的に、他に自覚症状は認めないものの、副耳の根元に湿疹ができることもあります。このほか、軽度の耳の変形を伴うケースもあります。

副耳の検査・診断

副耳は外観から観察できるため、特別な検査は行われません。生まれてすぐに耳の近くにイボ状の突起を認める場合には、副耳と診断されます。

副耳の治療

副耳では、一般的に特別な治療は必要ありません。しかし、副耳の根本に湿疹ができやすい場合があるほか、美容面に配慮して保護者が治療を希望するケースもあります。そのような場合には、外科的な治療が考慮されます。

副耳の外科的治療には、「結紮術(けっさつじゅつ)」と「切除術」があります。

結紮術

副耳が小さい場合や軟骨組織を含まない場合には結紮術(けっさつじゅつ)が考慮されることがあります。ただし、実際には軟骨組織を含む副耳のケースが多く、現在はあまり行われていない治療方法です。

結紮術では、副耳の根元を縛り、血流を途絶えさせて1〜2週間で自然に壊死脱落するのを待ちます。結紮術は生後すぐに行うことが可能で、麻酔の必要はありません。

切除術

副耳に軟骨組織が含まれる場合には、結紮術を行ってもイボを完全に取り除くことができません。そのため、軟骨組織を含む副耳では切除術が考慮されます。

切除術には全身麻酔が必要であるため、通常1歳以降に行われます。耳の変形などの形態異常を伴う場合には、それに対する手術を同時に行うこともあります。
術後はできるだけ患部を触らないようにして、適切に消毒を行うことが重要です。

結紮術、切除術ともに術後は傷跡が残りますが、次第に目立たなくなります。

副耳になりやすい人・予防の方法

副耳は胎児期に耳の成長過程で発生するため、予防することは困難です。

なりやすい人についてもはっきりしたことは分かっていませんが、遺伝性のこともあるため、両親や祖父母などに副耳があると、生まれくる赤ちゃんにも副耳ができる可能性が高まります。ただし、遺伝とは関係なく、胎児期の成長過程で偶然発生することもあります。

生まれてすぐ耳の近くにイボ状の突起を認める場合には、医師による診断を受け適切な治療を受けましょう。


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