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眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

内反小趾の概要

足の小指(第5趾)が内側に曲がり、付け根の関節が外側に膨らむ変形のことを内反小趾といいます。

内反小趾になると、小指の付け根にある骨の先端部である、第5中足骨頭が外側に突出し、同時に小指が内側に傾いた結果、靴を履く際に痛みを感じたり、歩行に支障をきたしたりする場合があります。

内反小趾は、タイプⅠ型〜Ⅳ型まで分類されますが、症状を呈することは少なく、痛みを伴う内反小趾の頻度は5〜15%程度と報告されています。
また痛みを伴う内反小趾のうち30〜75%の割合で外反母趾の変形を合わせて、左右の両側に変形が認められる傾向です。

男女比をみると、内反小趾は男性よりも女性に多い傾向で、その比率はさまざまですが、2:1〜10:1ともいわれています。

内反小趾の原因

内反小趾を発症する主な原因は、下記の内容が関与していると考えられています。

不適切な靴の着用

靴を履いていて、締め付けられるような、不適切な靴の長期間の着用には注意が必要です。

特に、足の小指を含めた骨の構造が整っていない方が、自分の足に合っていないキツイ靴を履くことで、骨の突出と締め付ける靴との摩擦など生じて、炎症や痛みを引き起こす原因の1つになります。

歩き方が悪い

悪い歩き方を長期間続けることで、足に負担がかかり、内反小趾の原因に影響を与える可能性があります。
特に、足の柔軟性の低下や筋力の低下があると、悪い歩き方になりやすいので注意が必要です。

これらの原因は、単独で生じる場合もありますが、多くの場合、複数の原因が組み合わさって内反小趾を引き起こします。

内反小趾の前兆や初期症状について

内反小趾は、徐々に変形が進行するため、初期段階では気付きにくい傾向ですが、早期発見をし、適切な対応を実施するのが重要です。

ここでは、よくみられる内反小趾の前兆や初期症状を紹介します。

小指の傾き

初期の兆候として最もみられるのが、足の小指が徐々に内側に傾いていくのが観察されます。
この傾きは、少しずつのため、気付きにくいこともありますが、定期的に足を観察することで発見できる可能性があります。

第5中足骨頭の突出

小指の付け根にあたる第5中足骨頭が、徐々に外側に突出してくることがあります。

靴を履いたときの軽度な不快感

靴を履いたときに、小指の付け根部分にわずかな圧迫感や不快感が起こる場合があります。
この不快感は、つま先の狭い靴を履いたときに顕著に感じます。

靴擦れや皮膚の変化

第5中足骨頭部分で突出し始めると、靴擦れが起こりやすくなります。
また、靴擦れによって、その部分の皮膚が徐々に厚くなったり、タコができたりする場合があります。

歩行時の軽い違和感

歩行時に、小指や小指の付け根に軽い違和感を覚えることがあります。
特に長時間歩いた後に感じやすくなります。

足の疲れやすさ

内反小趾により足の重心バランスが微妙に変化し、普段より早く足が疲れると感じることがあります。

これらの症状が現れたら、まず整形外科を受診しましょう。
整形外科医は足の専門的な診察ができるため、内反小趾の程度や進行状況を評価し、適切な対処法を提案できます。

また、それ以外にも、足に関する専門クリニックなども最近はあるため選択肢の1つです。

内反小趾の検査・診断

内反小趾の診断は、下記のようにいくつかの検査を実施して決定します。

問診や視診

症状に気付いた時期、日常生活への影響、靴を着用した際の違和感などについて質問します。
また、足の状態を細かく観察して、小指が傾いている角度、第5中足骨頭の突出の程度、タコや靴擦れの跡などの皮膚の変化を確認します。

歩行分析

歩き方を観察し、内反小趾が歩行に与える影響を評価します。
内反小趾が進行すると、足の形が変わり、歩行時にも影響を与える場合があるため、足へしっかり体重がかかっているかなどを確認します。

レントゲン検査

内反小趾の進行状態を確認するために、足のレントゲン検査を行ない重症度を確認する場合があります。

なお、内反小趾の重症度は下記の傾きが目安です。

  • 軽度:10~20度
  • 中等度:20~30度
  • 重度:30度以上

この角度からわかるように10度以上傾いている場合に内反小趾と診断します。

内反小趾の治療

内反小趾の治療は、症状の程度・生活スタイル・全身状態などを考慮して下記のように計画されます。

保存的治療

軽度から中等度の内反小趾では、まず保存的治療を行ないます。

①テーピング

テーピングを使用して、小指を適切な位置に固定することで痛みを軽減できる場合があります。

②装具療法

内反小趾による痛みを緩和するため、足の裏に医療用装具を使用して、足全体のバランスを整えます。

③リハビリテーション

筋力強化で足の筋肉を鍛えたり、ストレッチなどをして足の関節の動きを広げることで、立ったり歩いたりするときに小趾にかかる負担を減らし、内反小趾の症状改善を図ります。

手術療法

保存的治療で十分な改善がみられない場合や、重度の変形がある場合は手術療法を検討します。

具体的な手術の内容は下記のようにわかれます。

  • 明らかな骨の変形がないものの、痛みを伴う突出がある場合は小指の痛みを伴う軟部組織を除去します。

  • 第5趾の外側の端に膨らみがある場合は、この骨の膨らみを取り除きます。
  • 骨の突出が非常に大きい場合は、第5中足骨を切って位置を修正し、小指の向きを正常に戻す手術をおこないます。

一般的に手術後は数週間、手術した足に体重やかかとの荷重をかけないように足を保護し、必要に応じてリハビリテーションを実施する場合があります。
また、手術後も腫れが完全に改善するまでにはある程度の期間を必要としており、その期間は6〜12ヵ月程度になる場合もあります。

上記のように内反小趾の治療選択は、症状の程度だけでなく、個人の生活スタイルや希望も考慮して決定されるため、保存的治療でも十分に日常生活を送れる場合は、必ずしも手術を急ぐ必要はありません。

内反小趾になりやすい人・予防の方法

内反小趾は誰にでも発症する可能性はありますが、特定の要因により発症リスクが高まる場合があります。
また、適切な予防策を講じることで、発症リスクを低減したり、進行を遅らせたりできます。

ここでは、内反小趾になりやすい人の特徴と、予防の方法について紹介します。

内反小趾になりやすい人

下記の条件に当てはまる場合は、内反小趾になりやすい特徴のため、注意が必要です。

①女性

女性は、ハイヒールなどの不適切な靴を着用する機会が多いなどの理由により、男性よりも内反小趾になりやすい傾向です。

②高齢者

加齢に伴い、足の筋肉や靭帯が弱くなり、骨の変形が起こりやすくなります。

③足の構造に特徴がある人

扁平足や外反母趾など、ほかの足の問題がある場合は、内反小趾のリスクも高くなります。

予防の方法

続いて、内反小趾の予防方法について紹介します。

①適切な靴の選択

足への負担を減らすために、下記のような靴を選択しましょう。

  • つま先が広く、足の形に合った靴を選ぶ
  • 柔らかい素材で、足を締め付けない靴を選ぶ

②足のケア

定期的に足のマッサージやストレッチをおこない、足の柔軟性を維持したり、筋力を鍛えるようにしましょう。

③足の観察

定期的に足の状態をチェックし、少しの変化にも早めに気付くようにしましょう。

内反小趾は、初期症状に気付いた時点で、早めに対処することで進行を遅らせることができます。
足の健康は全身の健康にもつながるため、正しい知識を持ち、適切なケアを行ないましょう。

この記事の監修医師