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眞鍋 憲正

監修医師
眞鍋 憲正(医師)

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信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

肉離れの概要

肉離れは、筋肉が過度に伸ばされたり、急激な力が加わったりした結果、筋線維が部分的にまたは完全に断裂する怪我を指します。

日常生活やスポーツ活動中に発生し得る一般的な怪我であり、特にアクティブな人々やスポーツ選手によく見られます。

肉離れを経験すると、以下のような症状が現れることが多い傾向です。

鋭い痛み

怪我の瞬間に激しい痛みを感じることが一般的です。

腫れや内出血

損傷した筋肉周辺に腫れや打撲のような色合いが現れることがあります。

筋力の低下

損傷した筋肉の力が低下し、通常の動作が困難になることがあります。

肉離れの原因

過剰な負荷

筋肉に通常以上のストレスがかかると、筋線維が耐えられずに断裂することがあります。
例えば、サッカーをしたプレーヤーが急にスプリントを始めた際、準備不足でふくらはぎの筋肉に過大な力がかかり、肉離れを引き起こすなどが挙げられます。

不適切なウォーミングアップ

運動前の準備不足は、筋肉が急な動きに対応できる柔軟性を持たないため、怪我につながります。
例えば、ランニングやジムトレーニングを始める前に適切なストレッチを行わないと、筋肉が必要な伸縮性を得られず、肉離れが起こりやすくなります。

疲労による筋肉機能の低下

疲労が蓄積している筋肉は、通常よりも早く損傷を受けます。
疲れた筋肉は、新たな運動に対して適切に対応できず、少ない負荷で断裂する可能性が高くなります。

適切でない運動技術

不適切なフォームや技術で運動を行うと、筋肉に不均等な負荷がかかり、肉離れを引き起こすことがあります。
例えば、ウェイトリフティングで重量を不適切に持ち上げると、普段使わない筋肉に急激な負荷がかかり、損傷することがあります。

肉離れの前兆や初期症状について

肉離れの前兆

肉離れの前兆には、次のような感覚になるケースがあります。

筋肉の違和感や緊張
活動前後に筋肉が通常よりも硬く感じるか、ひっぱられるような感覚がある場合、これは筋繊維に異常が起きている可能性のサインです。
例えば、ランナーがレース前にカーフが異常に硬いと感じることがあります。

軽い痛みや不快感

筋肉を動かす際に軽い痛みやチクチクするような不快感が起こることがあります。
これは、筋肉が適切に機能していないことを示しており、無視すると本格的な肉離れに進行することがあります。

肉離れの初期症状

肉離れが発生した場合、以下の症状が典型的に現れます。

鋭い痛み

筋肉が断裂した瞬間には、しばしば鋭い痛みが発生します。
これは筋繊維が引き裂かれたときの反応で、特に動作中に突然感じることが多い傾向です。
例えば、ラグビー選手がダッシュをした瞬間にふくらはぎに強い痛みを感じることがあります。

腫れや内出血

損傷した部位は腫れ上がり、ときには皮膚下に内出血が見られることがあります。
これは血管が損傷し、血液が周囲の組織に漏れ出るためです。

動作の制限

損傷した筋肉は正常に機能しなくなり、特定の動作を行う際に制限が生じます。
例えば、肉離れを起こした脚では、正常に歩くことや階段を上ることが困難になることがあります。

どの科を受診すべきか

整形外科

肉離れの治療には、整形外科が最も一般的な選択肢です。
整形外科医は、骨や筋肉、関節などの運動器の専門家であり、肉離れの診断と治療に必要な知識と技術を持っています。
症状が現れたら、整形外科を受診して、適切なアドバイスと治療を受けることが大切です。

スポーツ整形外科

特にスポーツ活動中に肉離れを起こした場合は、スポーツ整形外科の受診も適切です。
スポーツ医は、アスリート特有の怪我に精通しており、リハビリテーションのプロセスも専門的にサポートしてくれます。

受診時のポイント

症状の説明を明確に

受診時には、どのような状況で怪我をしたか、どの部位にどのような症状があるかを明確に伝えましょう。

早めの受診を心がける

症状が軽いうちに受診することで、より早く適切な治療を受けることができ、回復も早まります。

肉離れは適切な対応をすれば完治が期待できる怪我です。
不安な点があれば、迷わず医師に相談し、正しい治療を受けましょう。

肉離れの検査・診断

肉離れの診断プロセス

肉離れの診断は、まず症状の詳細な聴取から始まります。
患者さんの痛みの場所、発生した状況、痛みの程度などについて詳しく尋ねます。
次に、以下のような物理的検査が行われます。

触診

医師が直接患部を触って、痛みの具体的な位置と筋肉の状態を確認します。
これにより、損傷の程度を初步的に評価することができます。

可動域テスト

患部の筋肉を動かすことで、動きに制限があるかなど、動かす際の痛みの度合いを確認します。

追加の画像診断

場合によっては、以下の画像診断が必要になることがあります。

超音波検査

超音波を使用して筋肉の内部構造を映し出し、断裂や内出血の有無を詳しく調べることができます。

CT・MRI

より重篤な損傷を疑う場合や、治療の進行を詳細に追いたい場合に行われることがあります。
CT・MRIは筋肉の微細な構造まで高解像度で視覚化できるため、正確な診断に大変有効です。

肉離れを疑った場合は、早めに医療機関を訪れ、適切な検査を受けることをおすすめします。正しい診断が、適切な治療へとつながり、早期の回復を促進します。あなたの健康と安心のために、迷わず診断を受けてください。

肉離れの治療

1. RICE処置

肉離れの直後には、RICE処置(Rest、Ice、Compression、Elevation)が効果的です。

Rest(安静)

損傷した筋肉を休ませることが重要です。
無理をして活動を続けると、さらなる損傷を招く可能性があります。

Ice(冷却)

怪我をした部位に冷たい氷嚢やクールパックを当てることで、炎症を抑え、痛みを軽減します。通常、発生後24〜48時間は冷却が推奨されます。

Compression(圧迫)
適度な圧迫は腫れを抑えるのに役立ちます。
ただし、圧迫が強すぎると血流が悪くなるので注意してください。

Elevation(挙上)
怪我をした部位を心臓より高い位置に保つことで、腫れや痛みを和らげる助けになります。

2. 薬物療法

痛み止めと抗炎症薬

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されることが多く、炎症と痛みを軽減します。
例えば、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどがありますが、副作用に注意しながら使用してください。

3. リハビリテーション

物理療法

回復が進んだら、物理療法士の指導のもとでストレッチや強化運動を始めることができます。
これにより、筋肉の柔軟性と強度を徐々に取り戻し、日常活動への復帰をサポートします。

4. 段階的な運動再開

徐々に活動を再開

理学療法士や医師の指導の下で、安全に活動を再開することが大切です。
無理をせず、徐々に運動量を増やしていくことで、筋肉を再損傷から守りながら強化していきます。

肉離れになりやすい人・予防の方法

肉離れになりやすい人

運動不足の人

日常生活であまり活動的でない人が急に激しい運動をすると、筋肉が突然の負荷に対応できず、肉離れを起こしやすくなります。

特定のスポーツ選手

サッカーやバスケットボール、テニスなど、瞬発力が求められるスポーツをする選手は、急な方向転換やスピードアップが多いため、肉離れのリスクが高まります。

加齢による筋力の低下が見られる人

年齢と共に筋肉の柔軟性が低下し、筋繊維が硬くなるため、少しの伸びや負荷でも損傷を受けやすくなります。

肉離れの予防方法

適切なウォームアップ

運動前には必ずウォームアップを行いましょう。
筋肉を徐々に暖めて血流を良くし、筋繊維の柔軟性を高めることが重要です。
例えば、ジョギングや軽いストレッチから始めることが効果的です。

徐々に運動強度を上げる

急に激しい運動を始めるのではなく、徐々に運動の強度を高めていくことが大切です。
これにより筋肉が適応しやすくなります。

適切なクールダウン

運動後にはクールダウンを行い、筋肉をゆっくりと伸ばすことで緊張を和らげ、回復を促進します。
これにより、次回の運動に備えることができます。

栄養と水分補給

筋肉の健康を維持するためには、適切な栄養と水分が不可欠です。
特に、タンパク質の摂取は筋肉修復に役立ちます。
< 肉離れを予防するためには、日常的に身体を動かし、筋肉を適切にケアすることが大切です。

また、運動する際は常に身体の状態を意識し、無理のない範囲で行うことが重要です。これらの予防策を実践することで、健康な生活を送る手助けとなります。

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