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亀頭包皮炎
村上 知彦

監修医師
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)

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長崎大学医学部医学科 卒業 / 九州大学 泌尿器科 臨床助教を経て現在は医療法人 薬院ひ尿器科医院 勤務 / 専門は泌尿器科

亀頭包皮炎の概要

亀頭包皮炎は、男性の亀頭および包皮に炎症が生じる病気です。亀頭と包皮の間に細菌や真菌(カビ)が繁殖することで発症し、赤みや腫れ、かゆみ、痛み、膿などの症状を引き起こします。包茎の男性に多く見られ、包皮が亀頭を覆っているために通気性が悪く、湿気がこもりやすい環境が細菌や真菌の繁殖を助長します。
また、亀頭包皮炎は成人男性だけでなく、子供にも発症するのが特徴です。特に幼児期は、自分で清潔を保つことが難しく、炎症が起こりやすいです。
亀頭包皮炎は、適切な治療を受ければ比較的短期間で治癒することが多いですが、再発を防ぐためには日常的な衛生管理が重要です。

亀頭包皮炎の原因

亀頭包皮炎の主な原因は、感染によるものと、刺激によるものがあります。

感染による亀頭包皮炎

細菌や真菌(カビ)の感染です。細菌性亀頭包皮炎の原因菌としては、黄色ブドウ球菌、大腸菌、連鎖球菌などが挙げられます。これらの細菌は、皮膚の常在菌として存在しており、衛生状態が悪化すると繁殖しやすくなります。特に包茎の男性は、包皮と亀頭の間に恥垢が溜まりやすく、細菌の繁殖が促進されるため、亀頭包皮炎を発症しやすいです。

真菌性亀頭包皮炎の原因菌としては、カンジダというカビが一般的です。カンジダは、湿気の多い環境で繁殖しやすく、包茎の男性や免疫力が低下している人に多く見られます。カンジダ性亀頭包皮炎は、亀頭や包皮に赤みやかゆみ、白いカスが溜まるなどの症状を引き起こします。

刺激による亀頭包皮炎

過度な洗浄や摩擦、アレルギー反応、皮膚のトラブルなども亀頭包皮炎の原因となることがあります。特に石鹸やボディソープを使いすぎると、皮膚のバリア機能が低下し、炎症を引き起こしやすくなります。また、性行為や自慰行為による摩擦も亀頭包皮炎の原因となることがあります。

亀頭包皮炎の原因に応じた適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。

亀頭包皮炎の前兆や初期症状について

亀頭包皮炎の前兆や初期症状は、亀頭や包皮に現れるさまざまな変化として現れます。最初に気づくことが多いのは、亀頭や包皮の赤みや腫れです。これらの症状は、炎症が始まったことを示しており、早期に対処することで症状の悪化を防ぐことができます。

かゆみや痛みは亀頭包皮炎の初期症状としてよく見られます。かゆみは、特に夜間に強くなることがあり、睡眠を妨げることもあります。痛みは、亀頭や包皮に触れたときや、排尿時に感じることが多いです。これらの症状は、炎症が進行するにつれて強くなることがあります。

亀頭や包皮に白いカスが溜まることも、亀頭包皮炎の初期症状の一つです。これは、細菌や真菌の死骸や、炎症によって剥がれた皮膚の一部が原因です。白いカスは、特にカンジダ性亀頭包皮炎でよく見られます。

さらに、亀頭や包皮に小さな斑点やぶつぶつが現れることもあります。これらの斑点やぶつぶつは、炎症が進行するにつれて大きくなり、ただれや潰瘍に発展することがあります。膿が出ることもあり、これは細菌感染が進行していることを示しています。

亀頭包皮炎の初期症状に気づいた場合は、症状の悪化を防ぐためにも早めに対処することが重要です。

これらの症状が見られる場合、小児科や皮膚科を受診して適切な検査・治療を受けることをおすすめします。

亀頭包皮炎の検査・診断

亀頭包皮炎の検査・診断は、主に視診と問診です。患者さんの亀頭や包皮の状態を視診し、赤みや腫れ、かゆみ、痛み、白いカス、膿などの症状を確認します。視診だけで診断がつくことも多いですが、症状が重い場合や原因が特定できない場合もあります。原因が特定できない場合に行うのは、尿検査や培養検査です。

尿検査では細菌の有無を確認します。また、培養検査では、亀頭や包皮の表面を綿棒で擦り、細菌や真菌のサンプルを採取します。このサンプルを培養し、どの細菌や真菌が原因であるかを特定します。培養検査の結果の結果がわかるまでの期間は、数日から1週間程度です。

また、亀頭包皮炎の原因が細菌性か真菌性かを判断するために、顕微鏡検査が行われることもあります。顕微鏡検査では、採取したサンプルを顕微鏡で観察し、細菌や真菌の存在を確認します。これにより、適切な治療法を選択することができるのです。

亀頭包皮炎の診断には、患者さんの病歴や生活習慣も重要な情報です。患者さんの性行為の頻度やパートナーの健康状態、過去の亀頭包皮炎の経験、免疫力の低下を引き起こす病気や薬の使用状況などを問診し亀頭包皮炎の原因を特定します。

亀頭包皮炎の診断が確定したら、原因となる細菌や真菌の種類、症状の重さ、患者さんの健康状態などによって治療を開始します。

亀頭包皮炎の治療

亀頭包皮炎の治療は、主に薬物療法と、衛生状態の保持です。

薬物療法

原因となる細菌や真菌に対する薬物療法が中心です。
細菌性亀頭包皮炎の場合に処方されるのは、抗生物質の塗り薬や飲み薬です。抗生物質は、細菌の増殖を抑え、炎症を軽減する効果があります。

真菌性亀頭包皮炎の場合に使用するのは、抗真菌薬の塗り薬です。カンジダ菌が原因の場合、抗真菌薬はカンジダ菌の増殖を抑え、炎症を軽減する効果があります。抗真菌薬の塗り薬は、症状が軽い場合に効果的ですが、症状が重い場合や長引く場合は、経口の抗真菌薬が併用されることもあります。

亀頭包皮炎の治療には、ステロイド薬が使用されることもあります。ステロイド薬は、炎症を迅速に抑える効果がありますが、部分的に免疫力を低下させる副作用があるため、使用には注意が必要です。ステロイド薬は、医師の指示に従って適切に使用することが重要です。

衛生状態の保持

毎日の入浴や洗浄を行い、亀頭や包皮を清潔に保つことが推奨されます。洗浄時には、生理食塩水やぬるま湯を使用し、石鹸は使用しない方が良いでしょう。石鹸は皮膚を乾燥させ、炎症を悪化させることがあります。

亀頭包皮炎の治療中は、性行為や自慰行為を控えることが推奨されます。これらの行為は、亀頭や包皮に刺激を与え、炎症を悪化させる可能性があります。治療が完了し、症状が完全に治まるまで、性行為や自慰行為を控えることが重要です。

亀頭包皮炎になりやすい人・予防の方法

亀頭包皮炎になりやすい人の特徴

亀頭包皮炎になりやすい人には、いくつかの共通点があります。まず、包茎の男性や小児は亀頭包皮炎を発症しやすいです。包皮が亀頭を覆っているため、通気性や湿気などの環境が、細菌や真菌が繁殖しやすいものになっています。特に真性包茎の男性は、包皮をめくることができないため、清潔を保つことが難しく、亀頭包皮炎を発症しやすいです。

免疫力が低下している人も亀頭包皮炎になりやすいです。免疫力が低下すると、細菌や真菌に対する抵抗力が弱まり、感染しやすくなります。糖尿病や免疫不全などの病気を持っている人や、免疫抑制剤を使用している人は、特に注意が必要です。

亀頭包皮炎の予防方法

亀頭包皮炎の予防には、日常的な衛生管理が重要です。毎日の入浴やシャワーで亀頭や包皮を清潔に保つことが推奨されます。
また、性行為や自慰行為の際による刺激にも注意が必要です。性行為の前後には、亀頭や包皮を洗浄し、清潔な状態を保つことが推奨されます。また、性行為の際にはコンドームを使用することで、細菌や真菌の感染を防ぐことができます。

亀頭包皮炎の予防には、免疫力を高めることも重要です。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけることで、免疫力を維持することができます。また、ストレスを軽減することも免疫力を高めるために重要です。

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