

監修医師:
高宮 新之介(医師)
目次 -INDEX-
頭部軟部組織損傷の概要
頭部軟部組織損傷は、頭部の皮膚や、皮膚の下にあるやわらかい皮下組織、筋肉などの軟部組織に生じた損傷のことで、代表例として、頭をぶつけてできるコブがあります。
この損傷は、日常生活やスポーツ活動中の転倒、交通事故、落下など、さまざまな原因で発生します。
頭部軟部組織損傷を発症すると、痛み、腫れ、出血、機能障害などの症状を引き起こすことがあります。また、頭部への外傷は深刻な頭部外傷を伴う可能性があるため、注意が必要です。
治療方法は、損傷の程度や種類によって異なり、軽度の損傷であれば、安静や冷却、圧迫止血などになります。しかし、重度の損傷や出血がある場合は、手術を行う場合もあります。
頭部には多くの血管が集まっているため、外傷によって出血や腫れが生じやすい部位です。そのため、早期の診断を行い、適切な治療を開始することが重要となります。
頭部軟部組織損傷の原因
頭部軟部組織損傷は、主に以下のような原因で発症しやすいといわれています。
交通事故
頭部軟部組織損傷は、交通事故などの事故が原因でよく発生します。特に、自転車やバイクでの事故では、頭部への直接的な衝撃が多く見られます。
暴力行為
喧嘩や暴行による暴力行為も1つの原因です。特に、頭部への殴打や外的な力が加わることで、顔面や頭部の軟部組織が損傷を受ける場合があります。
スポーツ中の衝突
スポーツ中の事故も頭部の軟部組織損傷を引き起こすことがあります。特に、ラグビーや柔道など、接触の多いスポーツでは、衝突や転倒によって頭部を損傷する場合があります。
その他の外的要因
転倒、転落や物体の落下などによって、頭部への直接的な衝撃がある場合も、軟部組織の損傷が生じやすくなります。
頭部軟部組織損傷の前兆や初期症状について
初期症状として、以下のようなものがみられます。
頭痛
一般的な初期症状の1つに頭痛があり、痛みの強さは軽度から重度までさまざまな程度です。痛みは、外的な衝撃を受けた直後に感じることが多い傾向とされています。
腫れ
組織の炎症や出血が原因で、頭部の軟部組織が損傷を受けると、腫れや青アザが見られることがあります。
感覚の変化
しびれや刺すような感覚など、異常な感覚を感じることがあります。
運動機能の障害
軟部組織損傷が重度の場合、手足が動かしにくいなど、運動機能に影響が出る場合があります。
意識障害
頭部への強い衝撃があった場合、脳震盪による一過性の意識障害や、めまい、ふらつきを感じることがあります。
これらの症状を感じた場合は、すぐに脳神経外科を受診しましょう。脳神経外科を受診し、画像診断などを実施すれば、詳細な評価が可能です。また、評価だけでなく、それぞれの患者さんに適した治療計画も併せて行うことができます。
頭部軟部組織損傷は、適切な治療が行われないと、長期的な影響を及ぼす可能性があります。少しでも症状が気になった場合は、すぐに医療機関を受診して診断してもらいましょう。
頭部軟部組織損傷の検査・診断
頭部軟部組織損傷の検査・診断は、主に以下の内容が行われます。
身体診察
初期評価として、医師による問診と身体診察で以下の内容を診察します。
- 意識状態受傷の状況
- 嘔吐の有無
- 受傷や症状の経過(高所からの転落、時速30km以上の交通事故、高齢者(65歳以上)、抗凝固薬内服中は頭蓋内病変のハイリスクです。)
- 神経学的な兆候(麻痺やけいれん)
- 痛みの程度
- 腫れ、青あざや変形の有無
- 四肢の運動機能や感覚異常の有無
画像診断
頭部軟部組織損傷の評価を詳細に行うために、以下のような画像診断を行います。
CT検査
頭部の軟部組織損傷や骨折を評価するための重要な評価方法です。CT検査は、薄いスライスでの撮影が可能で、詳細な情報を取得できることからも頭部外傷の初期診断でよく使用されます。
MRI検査
MRI検査は、CTでは見逃されがちな小さな損傷も見つけることができるため、軟部組織の詳細な評価をしたい場合に行います。
特に、脳や神経、血管の損傷を評価する際に有効な検査の1つです。
その他
必要に応じて、以下の検査が行われる場合があります。
- 血液検査
- 超音波検査
- 神経学的検査
頭部軟部組織損傷の治療
頭部軟部組織損傷の治療は、損傷の程度や症状に応じて以下のように分かれます。
軽度の損傷
皮膚の擦り傷や小さな打撲など、軽度の損傷の場合は、基本的に特別な治療は行いません。受傷直後は、冷たいタオルや氷などで患部を冷やし、腫れや痛みを軽減させます。
また、外傷がある場合は、感染を防ぐために、圧迫止血や消毒などで出血を止めて、傷口を清潔に保つことが重要です。
救急外来であれば数時間の経過観察を行い、症状がないことを確認してから帰宅することもあります。あるいは帰宅後も24時間程度は付き添い下で注意深く観察し、意識状態の変化、嘔吐の出現、激しい頭痛の発現など悪化があれば再受診することが望ましいでしょう。
中等度の損傷
中等度の損傷で、腫れが大きい場合や、内出血(血種)が生じている場合も、多くの血腫は自然に吸収されるため、基本的には経過を観察します。
しかし、血腫が大きく、自然吸収が難しい場合は、細い針を用いて血腫を出す穿刺排液を行うこともあります。
重度の損傷
重度の損傷の場合は手術を検討します。手術は、頭蓋骨の骨折や頭蓋内出血によって脳を圧迫している場合に行います。
リハビリテーション
頭部の損傷によって、バランスや運動能力が低下した場合、以前までの日常生活に戻るために理学療法士などのリハビリテーション専門職が中心となって機能訓練を行います。
心理的サポート
事故や暴力などで頭部軟部組織損傷を発症した場合は身体的な症状だけでなく、心理的な影響を及ぼすことがあります。そのため、必要に応じて長期的な心理的サポートを提供することも重要です。
急性期は上記のような対応を行いますが、受傷後数週間以上経って症状が出現・変化することもあるので注意が必要です。
頭部軟部組織損傷になりやすい人・予防の方法
頭部軟部組織損傷は、以下の要因に該当する場合、発症する危険性が高くなります。以下に、骨折しやすい方の特徴と予防方法をまとめます。
頭部軟部組織損傷になりやすい人
以下の要因に該当する場合は、頭部軟部組織損傷になりやすいので注意しましょう。
スポーツ選手
アメリカンフットボール、ラグビー、ボクシングなどのように、接触する頻度が高いスポーツ選手は、競技中に頭部への衝撃を受ける可能性が高くなります。
高齢者
年齢を重ねると、筋力やバランス感覚が低下するため、転倒する可能性が高まります。その結果、頭部を打撲して損傷を受けやすくなります。
子ども
活発に遊ぶなかで転倒や衝突などの事故が起こりやすく、その際に頭部に外傷を負う可能性があります。
交通事故に遭遇する可能性が高い場合
自転車やバイクの利用頻度が高い場合、事故による頭部への直接的な衝撃が加わり、軟部組織損傷が発生する可能性が高くなります。
予防の方法
以下の方法を実践することで、頭部軟部組織損傷の発生を予防できる可能性があります。
適切な保護具の使用
スポーツを行う際には、ヘルメットやその他の保護具を着用することで、頭部への衝撃を軽減できます。また、自転車やバイクに乗る際も同じように、ヘルメットの着用を行うことが重要です。
安全な環境の整備
高齢者の場合、自宅内で転倒する可能性を減らすため、滑りにくい床材の使用や、手すりの設置など、安全な環境を整えることが重要です。
筋力やバランス能力の向上
普段から定期的な運動を行い、筋力やバランス能力を向上させることで、転倒の可能性を減少できます。
定期的な健康診断
定期的に健康診断を受けて、骨密度やバランス能力をチェックすることで、転倒や頭部外傷の減少が期待できます。
関連する病気
- 頭皮裂傷
- 皮下血腫
- 帽状腱膜下血腫
- 外傷性脱毛症
- 蜂窩織炎
- 神経損傷
参考文献




